『ウィッチャー』シリーズや『サイバーパンク2077』などの開発経験を持つスタッフが立ち上げた新スタジオ・Rebel Wolvesが手掛ける新作アクションRPG『The Blood of Dawnwalker』の発売日が2026年9月3日に決定。発売元はバンダイナムコエンターテインメントで、対応機種は、プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC。 本作は、昼間は人間、夜は吸血鬼として活動する“ドーンウォーカー”となった主人公・コーエンの壮絶な物語を色濃く描く物語主導型のシングルプレイヤーRPGだ。中世ヨーロッパの美しくもダークなオープンワールドが舞台となり、昼夜で変化する半吸血鬼コーエンの能力を活かした戦闘や探索を楽しめるのがゲームの核となっている。
そんな本作の魅力をさらに深く理解するために、スタジオ創設者を始めとする開発陣へのインタビューを掲載。いずれのスタッフも『ウィッチャー』シリーズや『サイバーパンク2077』の開発に携わったベテランたち。興味深い話を聞くことができた。
独自の昼夜システムがシナリオの二面性・リプレイ性を生んだ


Rafał Jankowski氏(リード・クエストデザイナー)(左)、Mateusz Tomaszkiewicz氏(クリエイティブディレクター)(右)
――『The Blood of Dawnwalker』の発表以降、本作に対するユーザーの反響はいかがですか?
Mateusz
私たちがまず伝えたかったのは、主人公・コーエンの人物像やドーンウォーカーの独自性でした。そして、ストーリードリブン型のRPGを好きなプレイヤーに対して、本作の斬新の要素を説明したいと考えていました。現状では、その目標は達成できたと思いますが、まだまだお見せしたいことがたくさんあります。
コミュニティーの皆さんから多くのフィードバックをいただき、たいへん感謝しています。その一部はすでにゲームに反映させていますが、さらに多くの意見をいただけるとうれしいです。
――本作はシングルプレイRPGです。このジャンルの魅力はどういうところだと考えますか?
Mateusz
第一にシングルプレイヤーRPGが隆盛を極めていることを喜ばしく思います。個人的にRPGは群を抜いて夢中になれるジャンルであり、今後もさらに多くのRPGが登場することを期待しています。
私の視点からすると、すぐれた脚本はプレイヤーの冒険に意味を与え、道中での選択によってプレイヤーは単なる傍観者ではなく、能動的な参加者となって自分だけの冒険を体験できるのです。よいRPG、このジャンルの魅力というのは、重厚な物語とプレイヤーの主体性(つまり語り手と受け手)が絶妙なバランスで融合している点だと思います。
――コーエンが家族を救う目標達成のために30日間という制限を設けたのはなぜですか?
Rafał
物語の側面から言えば、コーエンの家族の命が危険にさらされており、吸血鬼が家族に害を及ぼすまでの期日が30日ということです。ただし、期間内に目的を達成できなかったとしても、そこで物語が終わるわけではありません。

――この30日間が自動的に経過するのではない点が興味深いと感じました。
Rafał
もし時間が勝手に流れてしまうと、プレイヤーにとって非常に難易度が高く、不安を煽るものになる可能性があると考えました。そのため、開発の初期段階から時間の流れをコントロールできるように、時間を一種の“通貨”のように、リソースとしてさまざまなコンテンツで消費する形にしたのです。
Mateusz
これによってゲーム側が時間のコストを明示し、プレイヤーが意識的に決断を下せるようになります。自分の選択にさらなる結果の重みが加わり、単に自分を急き立てるだけの勝手な時計ではなくなりました。プレイヤーは好きなだけ時間をかけて世界を探索し、景色を楽しみ、リラックスできます。時計の絶え間ないプレッシャーを感じる必要はありません。
――昼夜でのプレイフィールの変化が、ゲームの進行やクエストの達成に及ぼす影響を教えてください。
Rafał
ゲーム内のストーリーには“昼のみ”のものもあれば“夜のみ”のものもあります。多くの場合は途中で、昼から夜、夜から昼へ切り替えることも可能です。私たちが最も大切にしているのは物語であり、この“二重のゲームプレイ・グループ”というシステムによって、クエストの構造や物語の流れにおいて、ある種実験的で興味深い試みが可能になりました。
しかし、決して強制ではありません。すべてのクエストやコンテンツに必ずしもこのふたつの層を持たせる、といったルールは作りませんでした。場合によっては、無理に層を重ねてもうまく機能しないこともあるからです。
Mateusz
昼夜の切り替わりは、コーエンの能力に大きな影響を与えます。夜間では吸血鬼の能力として素早い攻撃や、専用のアビリティセット、シャドウステップというテレポート移動が使えます。建物の壁を歩くことだって可能です。その代わり、吸血鬼状態では“血の渇望”というデメリットがあります。
一方で昼間は人間として行動し、これらの能力を使えませんが、その代わりに魔法が使えます。たとえば、死霊術(ネクロマンシー)を使って死体と話すことで、クエストの手がかりを得られるでしょう。

――たとえば、吸血鬼としてロールプレイしたい場合、ゲームのほとんどを夜間でプレイするといったことは可能でしょうか?
Mateusz
はい、純粋に吸血鬼として、あるいは純粋に人間としてロールプレイしたいプレイヤーは、そのような方法も可能です。特定の時間までスキップできますし、たとえば夜だけプレイしたいのであれば、昼をキャラクターの育成に充てるというプレイスタイルも選べます。
――本作の戦闘は攻撃と防御に方向の概念があり、少し操作が複雑なのかと感じますが、いかがでしょうか?
Rafał
最初はそう見えるかもしれませんが、非常に取っつきやすいと思います。プレイヤーは最初から方向を意識する必要はありません。単に攻撃ボタンを押すだけで、ランダムな方向から攻撃が実行されます。オムニ・ブロック(全方位防御)を維持しつつ、基本をマスターしたと感じたら、4方向からの攻撃を試してみるといったことが可能です。そこから方向指定に慣れていけば、より楽しく魅力的な体験になるはずです。
Mateusz
複雑さも十分にありますが、入り口は広いと言えます。ご存知の通り、過去にも方向指定型の戦闘を採用したゲームはありましたが、その多くは非常に複雑で習得が困難でした。逆に非常に簡略化されたアクション戦闘のゲームもありますが、私たちはその中間に位置するものを作ろうとしました。
“習得は容易だが、極めるのは難しい(Easy to learn, hard to master)”ですね。そのうえで、さらなる楽しみを提供するアクティブ・アビリティもあります。単なる方向指定型の戦闘ではなく、それにアビリティが加わったものです。
――最初に戦闘ムービーをパッと見た時、『ウィッチャー』に似ていると思いましたが、実際は違うのですね。
Rafał
基礎的な部分で共通点があるかもしれませんが、本作の戦闘はもう少しスローで戦略的です。アクション性を少し抑え、よりリアルな……そうですね、現実のフェンシングに近いものを目指しました。

――本作の物語やクエストにはさまざまな選択肢があります。たとえば、敵を殺すかどうかでその後に起こる変化の例を教えていただけますでしょうか?
Mateusz
ネタバレをせずに答えるのは非常に難しいのですが……たとえば、この物語には吸血鬼の領主ブレンシスに反対するグループがいくつか存在し、望めば彼らと同盟を組むことができます。しかし、彼らは単純な善人でも悪人でもない、道徳的に複雑なキャラクターです。そのため、「これが何を意味するのか」、「この谷の人々の生活に、物語の後にどのような影響を与えるのか」を考える必要があります。誰かを排除するか、あるいは誰かと同盟を組むかによって、ゲームの結末が変わることもあります。
――このあたりは、ゲームのリプレイ性に影響を与えていそうですね。
Rafał
リプレイ性こそが、まさに『The Blood of Dawnwalker』の真髄です。ソフトな時間制限があり、“ナラティブ・サンドボックス”として構築されているため、各プレイヤーの体験はそれぞれ異なるものになります。一度クリアーした直後に、あるいはしばらく経ってから、また別の決断を下したり、別のNPCに出会ったりして、1回目では見逃したかもしれないことを知るために、再びプレイしてほしいですね。プレイヤー同士で体験を比較したり、道中で下した異なる選択について皆さんが語り合ったりするのを楽しみにしています。
――単に物語を引き延ばしているのではなく、くり返しプレイすることで物語や登場人物たちの関係性をより深く理解できるような仕組みでしょうか。
Mateusz
まさにその通りだと思います。一度のプレイで満足できる体験になるよう構築しましたが、私はリプレイを強くお勧めします。キャラクターに異なる光が当たりますからね。1回目のプレイでは見えなかった彼らの一面を知ったり、異なる秘密を見つけたりできるかもしれません。
Rafał
ゲームの結末を迎えるために、必ず追いかけなければならない、完了しなければならないサイドストーリーというものはひとつもありません。そのため、プレイヤーごとにまったく異なる体験になると予想しています。大きなストーリーラインもいくつかありますが、けっきょくのところそれらはオプション(任意)のコンテンツです。
プレイヤーが少なくともゲームのクリアーに挑戦するために必要なものは、すべてプロローグの段階で与えられます。ただし、すぐに敵の城を攻めるのは非常に困難であり、おそらく1回目のプレイでいきなり試みるプレイヤーはいないでしょう。しかし同時に、城を攻める前に必ず完了しなければならないクエストというものも存在しません。
――犯罪行為の概念やロマンス要素はありますか?
Mateusz
悪名(インファミー)というシステムがあります。これは、吸血鬼の宮廷や兵士から見たプレイヤーの印象です。さまざまな行動によって悪名が上がります。たとえば、物を盗んだり、人や衛兵を襲ったりといったことですね。さらに、吸血鬼の領主に対抗する行動や、クエストによっても変化します。彼らの作戦を妨害したり、彼らが隠しておきたかったことを知ったり、人々を彼に反旗を翻すよう仕向けたりといったことです。
これらすべてが悪名に蓄積され、一定の閾値を超えると、ブレンシスは勅令(エディクト)を発令します。毎日、伝令が街の中心に立ち、コーエンの活動を阻止し、生活を困難にするための新しい法律を布告します。たとえば、賞金稼ぎを差し向けたり、もっとも極端な場合は街を封鎖したりします。
――より賢く立ち回らなければならないということですね。
Mateusz
その通りです。悪名を上げないように、より隠密に動くのです。彼らの注意を引かないような選択をするわけです。ただし、興味深いのはこれが単にネガティブな結果だけではないという点です。谷の反乱軍などは、むしろプレイヤーの悪名が高いことを好みます。「あいつは有名だ、仲間として信頼できる」となるわけです。また、悪名が高いと特定の人々を脅しやすくなります。
つぎにロマンス要素について。もちろん、家族の救出がコーンの主たる目的ですので、メインフォーカスではありませんがロマンスクエストがあり、いくつかの選択肢を用意しています。この世界には非常に個性的で興味深いキャラクターたちがいます。単なるワンシーンで終わるようなものではなく、意味のある関係だと感じられるよう個別に作り込んでいます。

――あらためて、本作でいちばん見てほしいところはどこですか?
Mateusz
私個人にとって非常に重要なのは“プレイヤーの主体性”です。ゲーム世界でプレイヤーができることを最大化することです。それと同時に、心に深く刻まれるような、感情を揺さぶる魅力的なストーリーも大好きです。複雑なキャラクターたちと交流し、彼らの人生に影響を与え、問題を解決し、決断を下していくのはすばらしい体験になるでしょう。
Rafał
クエストデザイナーとしての私の視点から言えば、私はCRPGを愛していますし、選択と結果、そして非線形性(ノンリニア)という要素が大好きです。プレイヤーとして体験するのも楽しいですし、プレイヤーのためにそのような体験を設計するのも楽しんでいます。ですから、本作の体験の自由さをぜひとも味わってほしいですね。
信憑性があり、地に足の着いた世界の創造


(左)Bartłomiej Gaweł氏(アートディレクター)
(右)Adam Payet氏(環境アーティスト)
――本作のアートや世界観に対するユーザーの反響はいかがですか?
Adam
非常に心温まるポジティブな反応をいただいています。私たちが一般的な吸血鬼の伝承とは大きく異なる世界を構築したため、その設定や世界観に興味を持ってくれています。
たとえば衣装がルーマニア文化特有のものであることや、建物の一部がカルパティア地方出身の人々にとって馴染み深いものであることにすぐに気づいてくれました。ドラキュラが住んでいたとされる城からもインスピレーションを得ており、私たちが注力した細部や、歴史的側面に少しのファンタジーを注入しつつも、リアリズムを失わないようにしています。
――まさにそれが本作のアートのコンセプトであると。
Bartłomiej
信憑性があり、地に足の着いた世界を作りたかったのです。ファンタジー作品であっても信憑性は不可欠だと考えています。実際の歴史に基づいた説得力のある世界観と、私たちが独自に創造した神話や伝承を融合させることが課題でした。これらの要素を組み合わせ、一貫性を持たせ、アートスタイルに統一感のある基盤を築くことが、私たちの主要な目標でした。

Adam
カラーパレットの“二面性”にも注力しました。秋という設定なので、寒色系のグレーやブルーの山々がある一方で、木々はゴールドやレッドに色づき、別の側面を示しています。ライティングや建築、植物の選択を通じて、昼と夜の二面性を表現しようとしました。荒涼として悲しげな場所もあれば、鮮やかな赤に彩られた活気ある場所もあります。昼と夜、生と死。それ私たちが指針とする主要な原則のひとつです。
Bartłomiej
チームには歴史好き、あるいは歴史家でもあるアーティストがたくさんいます。また、可能な限り多くの場面で、中世ヨーロッパを再現できるように徹底的な調査を行いました。
Adam
ゲームの舞台であるサンゴラ谷は架空の場所で、カルパティア山脈のどこかに位置している設定です。山の中にある、忘れ去られた小さな谷というアイデアです。そこで何が起きているのか誰も知らず、領主ブレンシスに支配され、外の世界から切り離されて誰も助けに来ないのです。ハイキングに行って迷い込み、帰り道がわからなくなるような、カルパティア山脈の奥深くを具体的にイメージしました。
Bartłomiej
カルパティア地方の集落が当時どのような様子だったかについては、かなりのことがわかっています。絵画、歴史書、その他の資料など、数多くの資料から確かな情報が得られます。また、この地域は私たちのすぐ近くにあるため、その地理にも精通しています。
――吸血鬼はしばしばスラブの民間伝承と関連付けられます。本作で吸血鬼はどのように描かれているのでしょうか?
Bartłomiej
吸血鬼は世界的によく知られた存在です。本作では一般的な吸血鬼との共通点を持たせつつも、同時に新たな要素を取り入れ、彼らの神話性を広げたいと考えました。
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、たとえば牙を一本抜き取り、人間の心臓を突き刺すとその人間を吸血鬼にすることができる点や、吸血鬼が年を取るにつれて、頭部を含む体のほかの部分にも牙状の棘が生えるといった点です。プレイヤーの皆さんが彼らの独自性を発見したときの反応を見るのが、いまから楽しみです。


――主人公のコーエンについてどんなイメージでキャラクターを制作しましたか?
Bartłomiej
彼はほかのゲームの主人公とは一線を画す存在として構想されていました。圧倒的な力を持つのではなく脆弱で、自身の新たな力と置かれた世界を理解し始めたばかりの人物です。この主人公像は、彼のデザインや外見を形作る過程に大きく影響を与えました。
表面的には弱々しく見えるかもしれないが、彼は同時に強さも持ち合わせている。それが彼と家族を支え、彼がドーンウォーカーとなる現実を受け入れ、愛する人々を救うという絶望的な任務に立ち向かう助けにもなっています。
そして弱さと強さをより象徴的で認識しやすいものにするためのデザイン案を考えたいと思いました。左右の目の色が異なる点も彼の二面性を表現しています。こうした個性や外見上の特徴すべてが、コーエンをより際立った主人公にし、人々の記憶に残る存在にしてくれることを願っています。

――アート全般に関して、苦労した点や難しかったところはどこですか?
Adam
世界観のデザインや物語をゲーム体験と結びつけることでした。見た目が綺麗で美しいものを作ることはできても、プレイしにくい(たとえば戦闘のスペースが足りない、探索がおもしろくないなど)のでは意味がありません。アートと物語と体験、これらの要素が“ナラティブ・サンドボックス”として融合し、プレイヤーに特定の印象を与えるようにすることが最大の挑戦でした。
一方で、プレイヤーが探索中に偶然見つけて驚くような、隠された場所を世界中に作ることは私にとっての最大の喜びです。とくに“古代遺跡”は私のお気に入りのロケーションで、思い入れを持って制作しています。
Bartłomiej
私の最大の課題はすべてをゼロから構築することでした。本作は新しいIPです。新しい世界、物語、キャラクター、クリーチャー、そのすべてに多くの独創性が必要でした。これはアートチーム、ストーリーチーム、その他多くの関係者による共同作業でした。普遍的に知られたモチーフをより個性的に、より“私たち自身が作り上げたもの”にすることが重要なポイントであり、苦労した点でした。
それと同時に、とてもやりがいのある楽しい経験です。過去のゲームや期待を気にすることなくアイデアを探求し、私たちの世界がどうあるべきかを考えるのは、非常に解放的なことです。私はつねに、ゼロから新しいものを創造するという共同作業の経験というレンズを通して、全体像を捉えています。そういう意味で、街と大聖堂、城の複合施設は、おそらくその共同作業の最良の例となったでしょう。