東京ゲームショウ2025に合わせて2025年9月25日に配信されたXbox関連タイトルの新情報をお届けする番組“Xbox 東京ゲームショウ 2025 ブロードキャスト”。同番組のオープニングアクトを飾ったのが、韓国の開発会社IGGYMOBが手掛ける『GUNGRAVE G.O.R.E: BLOOD HEAT』だ。
「『ガングレイヴ』の新作が!」ということで記者なども驚かされたのだが、本作は、2022年にリリースされた『Gungrave G.O.R.E』(ガングレイヴ ゴア)のフルリメイク作にあたる。
そもそも『ガングレイヴ』は、2002年にレッド・エンタテインメントからプレイステーション2向けに発売されたガンアクションゲーム。13年の時を経て復活した死体の戦士“ビヨンド・ザ・グレイヴ”が、大型二丁拳銃“ケルベロス”を武器に、敵対する組織と戦っていくという物語が描かれる。マンガ家の内藤泰弘氏がキャラクターデザインと原作を担当し、ハードボイルドな世界観が好評を博した一作だ。2004年には続編の『GUNGRAVE O.D.』がプレイステーション2用ソフトとして発売。さらには、テレビアニメなども放送されている。
そんな『ガングレイヴ』に魅せられたのが、IGGY MOBのキム・ケイ氏。2017年にシリーズの新作として、プレイステーションVR向けに『GUNGRAVE VR』をリリース。2022年には『GUNGRAVE O.D.』の正統続編となる『Gungrave G.O.R.E』をプレイステーションとXbox、PCで発売しているのだ(後にNintendo Switchでも発売)。
なぜ、『Gungrave G.O.R.E』のリメイク作『GUNGRAVE G.O.R.E: BLOOD HEAT』が始動するにいたったのか。今回、東京ゲームショウ2025に合わせて、キム・ケイ氏を始めとするIGGYMOBのスタッフが来日し、インタビューをする機会を得た。リメイク版ではさらにゲーム開発に関わるという内藤泰弘氏を交え、開発が始動する経緯などを聞いた。
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左から、3Dモーションアーティスト/JIN氏、ディレクター/キム・ケイ氏 ディレクター/内藤泰弘氏、ゲームデザイナー/鉄氏、テクニカルアーティスト/HEE氏。
よりいいものにしたいとの思いに突き動かされて
――『GUNGRAVE G.O.R.E: BLOOD HEAT』開発の経緯を教えてください。
ケイ
2022年の『Gungrave G.O.R.E』のリリース後、私たちは2年以上にわたりパッチ対応を続けてきました。リリース後、ユーザーの皆さんのご要望にできるだけお応えしたいと力を尽くしてきました。そして、少しでもファンの皆様の期待にお応えしたいという思いと、デビュー作をそのまま放置したくないという気持ちが大きくなってきたんです。
『Gungrave G.O.R.E』を開発したのは第8世代から第9世代へのコンソール移行期(※)で、Unreal Engine 4から5への移行期に位置しており、当時は第8世代のコンソールをベースにUnreal Engine 4で開発を進めました。その後、パッチ対応を重ねる中で、私たち自身の技術もゲーム業界の技術も進化し、そして何より「もっとおもしろくできる」という思いから、『BLOOD HEAT』の開発へと踏み出しました。
※第8世代はプレイステーション4やXbox Oneなど、第9世代はプレイステーション5やXbox Series X|Sなど。鉄
パッチを継続するにも限界があったんですね。とくにシステムとバトルデザインが限界でした。そんなとき、キムさんから「『Gungrave G.O.R.E』をリブートしたい」という話を聞いたときはうれしかったです。ハッピーな気分でした。
JIN
スタッフもこの4~5年でスキルがアップしており、「さらにいいものが作れる」という自負があるように思います。
HEE
スタッフのレベルがさらに上がったのも、リブートを後押ししたかもしれません。
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――開発にあたって注力しているポイントを教えてください。
ケイ
ビジュアル、システム、そしてバトル体験に注力しています。 第9世代のコンソールをベースに、Unreal Engine 5で開発しているため、それにふさわしいビジュアルクオリティーを実現しなければなりません。
また、従来のシステムをより現代的なものへと進化させ、さらにバトル体験の拡張にも取り組んでいます 戦闘のプロセスを、さらにバラエティーに富んだものにするように調整中です。
鉄
プレイヤーキャラクターであるクレイヴのスキルやムーブメントなど、バトルスタイルが多彩になるように注力しています。
さらにはバトルデザインにも手を入れています。前作は、戦闘と移動のみで少し単調でした。開発中の最新作では、移動と戦闘のみではなく、もう少しアクセントを加えたいと思っています。
JIN
グレイヴの武器である二丁の銃“ケルベロス”と、棺桶型の多機能武器庫“デス・ホーラー”をさらに洗練させたいと思っています。『Gungrave G.O.R.E』でも“ケルベロス”と“デス・ホーラー”はかっこよかったですが、何かさらなるプラスが必要だと思っています。
HEE
テクニカルアーティストとして、バックグラウンドモードとライティングを高いクオリティーで実現するのが注力ポイントです。
ケイ
『BLOOD HEAT』ではさらにテンポのいいバトルを実現するつもりです。
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――内藤さんはリメイク版を作ると聞いたとき、どう思いましたか?
内藤
「早くない?」と思いました(笑)。ついこのあいだまでパッチをあてていたので、「このタイミングでどういうことをやるんだろう」というのは、最初に感じました。
お話をうかがうと、ある程度作り直したいということだったので、「だったらこういうことができるの?」という感じで、システムをあまりいじらない部分でアイデアを出していったら、もっとやり直すというんですね。いまは、「そんなにやり直して間に合うの?」と思っています(笑)。
『BLOOD HEAT』は、同じ素材もあるにはありますが、本当にフルリビルドに近いことをやろうとしていて、いちからに近いんです。マップの形状もいちから考え直すようなレベルでアイデアを投げると、「やります」というんです。かなり変わりそうだと思っています。
――リメイクを作るとなったときに、開発にもっと関わってほしいとケイさんから要望があったのですか?
内藤
そうですね。2年間パッチをあててきて、『GUNGRAVE O.D.』からやってきた、ゲームのシステム的なところは『Gungrave G.O.R.E』で極まったかなと思ったのですが、それでもまだまだやれることはあるなとの印象です。『Gungrave G.O.R.E』をプレイして、思うところがいろいろと出てきました。
――内藤さんの意見が、リブートしたいというケイさんの思いを後押ししたのでしょうか。
内藤
僕が後押ししたんですかねえ……。キムさんが「リブートします」と言う前は、意見はしなかったですよ。リブートするとなったら、いろいろと提案はしました。最初は本当に細かいところからでしたね。「クルマって、爆発するときにちょっと飛ぶよりは、ぼーんと飛んだほうがいいですよ」とか。そこから深く関わっていくことになりました。
Unreal Engine 4で開発していたテクスチャーとモデリングのデータを、試しにそのままUnreal Engine 5 に放り込んでみたら、めちゃくちゃよくなったんですね。それもリブートを後押ししたかもしれません。
――グレイヴの動きもかなり変わるそうですね。
JIN
はい。キャラクターモデリングのクオリティーが向上し、基本操作も8方向から360度操作へと変わったことで、モーションがより豊かになりました。 さらに、インタラクション要素を追加することで、ゲームプレイやバトルをより充実したものにしていきます。
ケイ
グレイヴは100箇所近くにわたって修正しています。テクスチャーや骨格もアップグレードしていますね。
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――『BLOOD HEAT』ならではの新要素をお教えください。
HEE
まず、トレーラーを中心にご説明すると、グレイヴとステージとのインタラクション、近接戦でのガン=カタアクションシステム、そして新たにデザインされた敵キャラクターなどがありますが、多くの部分が変わります。何が変わるのかについては、ぜひ今後の続報にご期待ください。
ケイ
敵キャラも変わります。
内藤
前作では、「これはもう少しこうできないかな」というのがありました。世界観も含めて、ここに登場する敵はこういうストーリーがあったほうがいいのでは……という点もありました。
――敵も相当変わりそうですね。
内藤
前作で、敵に関して僕がいちばん物足りなかったのは、撃っていたら突然敵がいなくなって、戦闘が終わっているというところでした。そしてつぎに進むという感じはなんとかしたいと思っていました。「ここはこうできないですか?」というのはいくつもあるので、いまピックアップしているところです。そういう意味では、まさにいまが佳境です。
先日トレーラーが公開されましたが、現段階でもあそこからさらに変わっています。さらにぜんぜん変わると思いますよ。いいところはそのまま使いますが、「「ここは変えたい」というところは全部変えます。
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――前作には登場しなかったキャラクターたちが登場するとのことですが、どのようなキャラクターになるのですか?
ケイ
前作では登場しなかったプレイアブルキャラクターです。ファンの要望は多かったものの、当時は制作に時間とリソースの問題がありました。『BLOOD HEAT』では確実に登場します。まもなくキャラクターを公開する予定ですので、もうしばらくお待ちください。
ヒントは、内藤さんがいちばん好きなキャラクターです(笑)。
内藤
誰だろう……。「これを出してくれたらやる」というキャラクターかも。ひとりだけ残っているんですよ(笑)。
――もとソニー・インタラクティブエンタテインメントの吉田修平さんが協力しているとのことですが、どのような点で協力しているのですか?
ケイ
吉田さんは、私たちチームが尊敬している方であり、今回、私たちの情熱を理解してくださいました。ご存じのように長いあいだプレイステーションのために仕事をしてきまして、『ガングレイヴ』のことを理解してくれています。業界の先輩として多方面にわたりアドバイスをいただきながら、協力を進めていく予定です。
――ところで、皆さんを引き付けてやまない『ガングレイヴ』の魅力は何でしょうか?
鉄
キャラクターです! 寡黙でタフなグレイヴに真の男を感じます。
ケイ
生き様が、父親の世代のような感じがしますよね。家族のためにしっかりと会社で仕事をするという。グレイヴは、 何かのために 犠牲にし、盲目的に献身します。 痛みを訴えることもなく、守るべき何かのためにどんな苦痛も耐えます。 まるで私たちの父たちのように。
内藤
高倉健みたいな……。タフで寡黙で、昭和の男の価値観で生きている。
JIN
グレイヴはかっこいいですね。端正な印象があります。
HEE
私は二丁拳銃にロマンを感じます。男のロマンがありますよね。“デス・ホーラー”もいいです。棺桶型の武器なんて、ほかのゲームにはあまりありませんよね。グレイヴの魅力は二丁拳銃と棺桶に尽きます(笑)。
――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
ケイ
私は『Gungrave G.O.R.E』のパッチから本格的に企画とプロデュースを担当していました。そして、『BLOOD HEAT』では最初から企画とプロデュースを担当することになりました。
前作の開発時、そしてリリース後も、XなどのSNSを通じて多くの応援をいただき、信頼してくださっていることに、つねに感謝の気持ちを抱いています。『BLOOD HEAT』は、まったく新しい体験を提供するという覚悟のもと、チーム全員が全力で開発に取り組んでいます。今後とも多くの応援とご支援をよろしくお願いいたします。ユーザーの皆さんの期待に応えられる開発会社でありたいと思います。
鉄
完全に私たちのアイデアとユーザーのフィードバックに基づいてゲームを進化させていきます。アクションゲームユーザーが喜んでプレイしてもらえるものを開発中です。期待していてください。
JIN
『Gungrave G.O.R.E』よりも、さらにハイクオリティーなタイトルを目指しています。楽しみにしていてください。
HEE
現在の開発チームは、全員がガングレイヴシリーズのファンだけで構成されています。今回こそ、進化とヘリテッジの見事な調和をお見せしたいと思います。『BLOOD HEAT』のみが実現できるアクションに期待していてください。
内藤
IGGYMOBの皆さんは、『Gungrave G.O.R.E』で2年間パッチを当て続けてきて、いろいろとご苦労も多かったかと思いますが、ガンアクションを突き詰めようとしてきました。『Gungrave G.O.R.E』では、ひとつの到達点に達しているかと思います。
『BLOOD HEAT』では、新たなガンアクションとして、もうひとつ向こう側にいけるような絵が描けるのではないかということでお手伝いしています。ちょっとだけでも触っていただいたらその違いがわかるくらいには変わるのではないかと思います。楽しみにしていてください。
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『GUNGRAVE G.O.R.E: BLOOD HEAT』は2026年発売を目指して、Xbox Series X|S、プレイステーション5、PC向けに開発中とのことだ。