『デス・ストランディング2』レビュー。配送、戦闘、環境などあらゆる部分がドストレートな正統進化。アクションも大幅強化され、サムは空手技も扱う!

by西川くん

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『デス・ストランディング2』レビュー。配送、戦闘、環境などあらゆる部分がドストレートな正統進化。アクションも大幅強化され、サムは空手技も扱う!
 ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2025年6月26日発売予定の、2025年6月26日発売予定のプレイステーション5(PS5)用ソフト『DEATH STRANDING2: ON THE BEACH』(デス・ストランディング2 オン・ザ・ビーチ)。開発は、小島秀夫監督を中心とするコジマプロダクションが手掛けている。

 発売に先駆けて、2025年4月22日よりメディア向けの試遊イベントが開催。発売が迫る本作を、いち早く体験できた。本記事では、試遊した感想と、新たな要素の解説などをお届けしよう。

 物語のネタバレはないが、新システムなどは解説しているので、そこも気になる人はご注意を。なお、今回遊んだのは開発中のバージョンとなっている。
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正統進化『デススト』!

 最初にお伝えしておきたいのは、『デス・ストランディング2』(以下、『デススト2』)はどのような方向性に進化していたのか? という点。結論から言うと前作『デススト』から、ドストレートな正統派進化を遂げていた。細かな要素で予想外の驚きはたっぷりと散りばめられつつ、前作から遊びの幅がより増えている印象を受けた。
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 なお、今回のメディア向けプレビューイベントは、計4日にわたって実施され、ゲームの中盤に差し掛かった(と思われる)ところまでプレイできた。4日で30時間ほど全メディアが体験したわけだが、各日ごとに進められる地点が決まっていたり、最終的なプレイ範囲も限られていたりしたので、ボリュームはまだまだ未知数。

 前作『デススト』は、ハマる人にはハマるゲームでありつつも、“過酷な環境でとにかく荷物の配達をする”というある種ストイックな面もあるゲーム性なため、受け入れられない人も多少なり存在しただろう。だが、本作はより快適かつゲーム性が進化していたので、あらゆる人にオススメできるタイトルに昇華できていると感じた。
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 もちろん前作から遊んでいたほうが物語に没頭しやすいが、ゲームタイトル画面から前作のストーリーのあらすじを最後まで読むことができるので、本作から始めても基本問題はないだろう。

物語はメキシコ、オーストラリアへ

 舞台となるのは前作『デススト』から11ヵ月後の世界で、主人公のサムは、前作でいっしょに旅をしたルーと暮らしている。ルーは胎児の姿から“赤ちゃん”と呼べるほどに成長しており、サムは身体の大きくなったルーを連れて配達業をしているわけだ。

 そんなある日、サムたちの前にフラジャイルが現れ、彼女が新たな組織“跳ね橋部隊”の一員として活動していることを告げられる。そしてフラジャイルは、とある事情から、サムにメキシコへの配送を依頼するのだった。
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 というわけで、本作序盤の舞台は、前作のアメリカ大陸と地続きであるメキシコ。メキシコはアメリカ合衆国に比べたらずっと小さいため、1エリアのみのマップとなっていた。
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砂漠のような荒野となっているメキシコ
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比較的自然豊かで、さまざまな表情のあるオーストラリア
 そしてサムは跳ね橋部隊の一員となり、つぎにオーストラリアへ向かうことになる。本作のメインとなる舞台はオーストラリア大陸で、今度はオーストラリアを横断しながら、カイラル通信(※本作における重要な設定で、数多のインフラが含まれたインターネット回線のようなもの)をつなげていくことになる。
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 その中でサムは、数多のキャラクターたちと出会いながらも、伝説の配達人として過酷な配送・任務に挑んでいく。前作から登場しているデッドマンやハートマンなどとの再会もある。本作より登場する新たなキャラクターたちも多数存在し、とくに跳ね橋部隊のメンバーは個性豊かだ。

 ジョージ・ミラー監督がモデルを務めるタールマン、忽那汐里さんがモデル担当のレイニー、喋る人形のドールマン、そしてトゥモロウなどが跳ね橋部隊のメンバーとして、サムを手助けし、独自の活躍をしていく。それぞれ何かしらの超能力(本作設定で言うDOOMS)があるので、要はエスパー集団のような感じでとてもカッコイイ。
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フラジャイル(声・水樹奈々)
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タールマン(声:宮本 充)
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ドールマン(声:杉田智和)
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トゥモロウ(声:若山詩音)
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レイニー(演:忽那汐里)
 なかでもドールマンはこれまでの情報でも公開されていたように、サムといっしょに旅をする存在となる。状況に合わせて多彩なセリフをしゃべってくれる(小島監督いわく、サムのつぎにセリフが多いとのこと)。こちらの感想については、ゲームシステムとともに後述する。

 なお一部のシーンでは11ヵ月後のルーを胸に、いわゆる"抱っこ紐"であるベビーキャリアを使って運んでいる。トレーラーや今回公開するスクリーンショットでは、胸にサムがBBポッドを付けているシーンもあるだろう。そのため、本作は常時成長したルーを運ぶわけではなく、特定のシーンでのみ運ぶ存在になっている。
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過酷な環境で泣いてしまうルー。
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BBポッド時代のように、あやすこともできる。
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あやしているシーンは三人称でも楽しめる。

物語は予想外にもわかりやすい

 物語の内容はここではもちろん伏せておくが、遊んだ感想だけはお伝えしよう。まず、予想以上に『デススト2』のストーリーはとてもわかりやすかった。前作はなぜサムがアメリカを横断するのかは、ざっくり言えばまあアメリカ全土を救うため、という感じだったのだが、そこに義姉のアメリを救う目標も関わっていたりして、序盤からしてやや複雑だった(ゲーム内の設定と用語をまず知っていく必要があるのもあるが)。
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 『デススト2』でもやはりゲーム内用語は多く、設定的にもどうなっているのかわかりにくい部分は、やはりある。しかしそこは超能力者たちの物語なので、まあそういうこともあるだろうと、飲み込めるような作りにはなっている。ゲームの目的も、サムが人々を手助けすることに終始しているので、とても飲み込みやすい。
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 もちろんストーリー的に「なぜ?」といった感じの謎はたっぷりと散りばめられている。そこはストーリーを進めていくと明かされていく要素だ。
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 ゲーム側も、ストーリーがわかりにくくならないように配慮しているようで、カットシーンで固有名詞が登場すると、毎回“コーパス”という解説メニューに飛ぶことができ、用語をチェック可能。コーパスにはポーズメニューなどからもアクセス可能だ。

 また、物語の語り口自体も、本作から始めた人でもわかりやすいように作られている印象。前作で何があったのか、BTとは何かなど簡潔に説明すべき点だけはまとまっていた。用語を調べなくてもイチから遊べるため、この仕組みが本作を遊ぶためのハードルを下げてくれていると言える。
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 シーンもテンポよく進んでいくほか、カットシーンはすべてスキップできるのだが、細かく入る演出などはボタン操作でも一瞬でスキップ可能。ただ、サムが寝たり起きたりする際などの頻繁に見るシーンを飛ばしていると、そこにじつはふだんとは異なる重要なシーンが挟まることも。そういった飛ばすべきではない場面ではボタン操作で長押ししないとスキップできなくなるのも、細かくも物語が追いやすい仕様でうれしかった。

サムの表現が向上

 主人公のサム・ポーター・ブリッジズは、俳優のノーマン・リーダスさんがモデルや演技を務め、日本語の声優は津田健次郎さんが担当している。サムのモデルは前作でもかなり綺麗だったが、本作ではさらに写実的にブラッシュアップされており、本当に毛穴まで見えるかの如く高繊細。
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サム(声:津田健次郎)
 髪の毛の表現はさらにパワーアップしていて、サムのサラサラヘアーが堪能できる。シャワーシーンでは濡れた髪がより精緻に表現されているなど、サムの描写はとても向上している。身体に付く汚れは、前作よりも極端に汚れたりするのだが、シャワーでそれが自然に流されていくことにも驚いた。

 そもそも、キャラクターたちの描写自体が大きく向上していて、鳥肌が立っていることがわかるような演出もあった。本作のサムは外で活動しすぎると日焼けをするという新要素もあるが、それを回復するといった表現も存在する。
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 ゲーム全体のグラフィックも大きくパワーアップしているが、前作の時点でかなり綺麗なグラフィックだったため、そこまで大きく違うということはない。より細かく、より繊細な画面になりつつも、メキシコ、そしてオーストラリアといった異なる地で、表情豊かな自然環境を堪能できる。

 序盤はサムとルーがすごくかわいくて、見ていてとても微笑ましたかった。サムはルーのことを溺愛しているようで、父親が子をあやすような場面や、そもそもルーをあやすアクションもある。このあたりは、ぜひとも皆さんにも体験してほしいところ。

過酷なフィールドでの配送

 さて、ゲームは前作から引き続き、拠点で配送任務を受けて、配送先へ届けることに終始している。一部バトル任務などもあるが、基本はやはり配達業だ。

 ゲームを開始すると、まずメキシコの荒野を歩くことになる。山を越え、川を渡り、サムはルーとともに自分の家へ帰ることから物語がスタートする。
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こちらがゲームスタートをし、操作可能となる瞬間。
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 前作の経験を経ているとはいえ、やはり足腰は屈強な人間くらいの性能なので、険しい道では転んでしまったりする点は変わらない。オドラデク(センサー)を使って地形の危険度を探りながら、険しい道を踏破して進んでいく。

 高所に登るための足場や、簡易的な橋として使える梯子(はしご)、川渡りや高所から降りる際に支えとして使えるロープ用パイルも健在。歩いて配達する場合は、自身の能力と、アイテムを使って過酷なフィールドを渡っていく点は、前作から踏襲されている。
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 細かく進化している点もあり、梯子は掴んだ際にスライド移動できるようになっており、上下の移動が少しだけ早くなった。スライド移動は梯子の角度によって可否が決まるようで、横方向に橋のように使う場合は使用できなかった。また、梯子を最初からつなげることができ、2個持っていれば2倍の長さに伸ばすこともできた。

 メキシコの荒野を渡るシーンでは、チュートリアルかのようにさまざまな自然現象が発生。触れた者の時間を加速させてしまう、人間ならば老化してしまう“時雨(ときう)”や、風で体勢を崩しやすくなる“強風”は、前作にもあった要素だ。
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 本作ではさらに、飲み込まれると視界が悪くなる“砂嵐”、踏ん張るか立ち止まる必要がある“地震”(本作ではゲート・クエイクと呼ばれていた)など、新たな自然現象がサムの行く手を阻んでくる。
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 地震は立ち止まれば基本的に回避でき、砂嵐も迂回可能。また、砂嵐に巻き込まれたとしても、本作は目標地点を定めていれば、どこに向かえばいいのかを示すマーカーだけは可視化できるので、そこまで苦労はしなかった。ただし視界が非常に悪いので、砂嵐のなかを無理やり走っていたら、気づくと川に落ちていた、なんてことはあるかもしれない。前作にあった“ホワイトアウト”に近い印象。
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視界がない状態で気づけば目の前が崖、なんてことも。
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ほぼ何も見えなくなっても、目標はアイコンが見えるので案外楽に移動できたりした。
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地震が起きると、土砂崩れが起きたりすることも。目の前を岩が通りすぎることもあったが、体験した中ではとくに被害はなかった。とはいえ、触れればおそらくロクなことにはならないだろう。
 川の表現も強化されており、時雨の影響などにより“増水”する可能性が追加された。増水された川はもちろん通常の川よりも大きくなり、流れも速い。増水した際に、川岸に梯子や橋があった場合、水に触れて壊れてしまうこともある。
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 また、川の流れに波がともなう場合もある。なんとか回避できたので身を持って体験せずにはすんだが、増水した川を梯子で渡っていたところに波が当たれば、サムが波に飲み込まれてしまうだろう。

 ほかにも、前作にあった“寒さ”のほか、“暑さ”も存在するようだ。今回のプレイ範囲ではとくに対策が必要になる場面がなかったが、体温管理もより細かく必要になるのかもしれない。なお、オーストラリアでは“火事”にも遭遇したが、こちらはどちらかというとミッションのギミックのようだ。
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 前作から慣れているからそう感じたのかもしれないが、徒歩で配送するシーンは前作よりもかなり少ない印象。最序盤では、足を使って過酷なフィールド移動をする必要があるが、前作ほどのそのターンは少ない。前作と同じようなことは短く済ませようと、ゲーム側もそう作られているように感じた。
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 また、新たな要素として昼・夜の概念が登場。昼は明るく、夜は暗い。夜になると視界が悪くなるが、敵の視界も悪くなるため見つかりにくい、などの恩恵もある。こちらはゲーム的な影響も多少あるものの、どちらかというと時間経過による景色の移り変わりを楽しめた。なお、昼と夜は、セーフルーム・プライベートルームで寝ることで選択できるようになっている。
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乗り物も進化

 歩きでのフェーズはすぐに終わり、序盤から乗り物に乗れるようになっている。前作ではバイクの“リバース・トライク”に乗れたが、本作ではバイク型の車のような“トライクルーザー”が登場。もしかしたらのちにバイクにも乗れるかもしれないが、今回の体験では見ることはなかった。

 前輪がふたつ、後輪がひとつのトライクルーザーは、基本性能はリバース・トライクと変わらない。ウィリーもできるし、ジャンプも可能だ。ただ、より配送に特化したバイクになっている。サムはバイク前方のイスに座って運転するので、乗りながら荷物を拾えるようになった。
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 また、バイク後部に荷物を取り付けられるのは前作と同じだが、そもそもサムの背負っている荷物を支えるスペースがある。その影響もあってか、荷物の重さがバイクの速度に影響することはないようで、かなり快適なバイクへと進化していた。重量上限を超えると、そもそもバイクに乗ることはできない。

 さらに細かいところで、トライクルーザーは止まりながらウィリーなどもできるため、勾配のある段差を無理やり登ったり、後輪だけで川を渡ることで流れからの負担を下げたりするなど、さまざまなことができる。またがって乗るタイプのバイクではなくなったので、カッコよさという点では賛否があるかもしれないが、乗り物としては使い勝手がとてもよくなっていた。
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両手が空いているので、荷物もそのまま拾える。
 また、前作の“トラック”も、基本性能そのままに“オフローダー”として登場。より車高が上がっていて、川の影響を受けにくい作りになっている印象だが、ほとんどは前作のトラックと変わらない。荷物は検証はしていないが、体感としては前作よりも大量に積める印象だった。

 本作の乗り物はカスタマイズ性が向上しており、まずバッテリー強化タイプ、防御強化タイプのような種類変更はなくなったようで、バッテリーを強化したい場合は、バッテリーを自分で装着するシステムになっている。
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 また、トラックにはさらにツールを装備することができ、“重機関銃”を付ければ自動で敵を射撃。“スティッキーキャノン”を付けると、目の前に落ちている荷物を自動で拾い、荷台に積んでくれる。装備枠は2種あり、たとえばスティッキーキャノンを2個にすると、より効率的にアイテムを拾えたので、とても便利だった。もちろんカラーやステッカー変更にも対応。
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バイクに乗りながら銃も撃てる。見た目がバイクっぽくない問題はあるが、両手が空いている利便性のほうが個人的にはうれしい。

サムの成長

 乗り物がそうであったように、本作ではカスタムの要素が大幅に強化されている。サムに新たな成長システムが追加されたのもそのひとつ。前作では“配達人グレード”を上げていくとサムの基礎能力がアップしていったが、本作ではバトルをこなしたり、重い荷物を持ち歩いたり、危険な体験をしたりすると、それぞれのステータスへ個別に経験値が溜まり、能力がアップしていく仕組みになった。
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 バトルステータスも細分化され、たとえば素手戦闘をこなしていると素手の攻撃力やパンチ攻撃の回数が増加する。銃は銃の種類によって、強化ステータスが変わっていく。といった感じで、あらゆる行動がサムの強化につながっている。

 また、配達人グレードを上げていくと“APASエンハンスメント”という、スキルツリー的なものの項目が増えていく。スキルポイントはカイラル通信をつなげ、エリアを広げていくと増加。バトルに役立つもの、探索や配送に便利なスキルなど、さまざまなスキルを自由に選択できる。
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 足腰を強化する装備品・スケルトンも早い段階で解放できる。スケルトンは足の速さや、持てる荷物の上限に関わっている基礎的な装備だ。本作ではさらに種類が増え、移動に特化したものだけでなく、バトル用のスケルトンもあった。

 能力とは関係ないが、サムの見た目は前作よりもさらに細かく変更できる。眼鏡や帽子をつける、バックパックをカスタムするのはおなじみの要素。前作ではクリアー後にスーツのカラー変更ができたが、本作はアンロック要素としてスーツの柄やカラーが変更可能になっている。また、BBポッドにアクセサリをつけることも可能なほか、BBポッドのデコレーションもできた。
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 なお、サムのアクションもいくつか追加されており、放尿などの地味な要素も健在。荷物まわりで大きな要素となったのが、バックパック自体を地面に置けるようになった。荷物を1個にまとめて置ける感じで、要はバトルをしたいときなどに、より身軽な状態で戦えるようになった。

 とはいえ筆者は背負ったままで戦うことが多く、荷物も武器になるので利用するシーンはほとんどなかった。だって、荷物なくなりそうだし。
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バックパックを置くと、背負っている荷物だけをそのまま全部そこに置く。拾うときもワンボタン。
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バトルが強化

 バトルは前作では簡素な作りというか、戦うよりも逃げることがメインだった。銃撃戦など派手めなところもあったが、本作ではよりアクションバトルを楽しめるように変化している。
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ステルス要素はさほど変わらず、後ろに回って紐で縛り上げる。
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ちなみに本作の敵は目と耳がよく、遠くからでもしっかりこちらの存在を察知する。
 人間の敵との戦いは、非殺傷武器で戦わなくてはならない部分は基本変わらない。殺害してしまわないように立ち回る必要があったが、本作ではそこがかなり緩くなっていて、殺傷できそうな武器だろうと気絶で止まるようになっていた。
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 もちろん死亡してしまう場合もあるのだが、その遺体を放置するとどこかで対消滅(ヴォイドアウト)を起こしてしまう。前作も遺体を自身で焼却することで、ヴォイドアウトを回避できた。また、遺体は拠点の近くなどに放置していると、自動で死体処理班が焼却してくれた(かわりに低評価を受ける)。

 今回の体験では、人間の敵を気づかぬうちに殺害してしまった。ただ、おそらく敵拠点の中で倒してしまった敵だったのだが、ほかの配達人によって運ばれて低評価を貰ってしまった(具体的には-1000いいねされた)。もしかしたら、バトルが激しくなった影響を緩和するために、人間の敵を殺害してしまった場合のヴォイドアウトは発生しにくくなっているのかも。

 バトルの難度が上がったかというとそうではなく、基本は配達するゲームであることはやはり重視されている印象。射撃戦は敵を倒すとスローモーションが掛かるため、スロー中につぎの敵を撃っていけば、一網打尽にすることも可能だ。ヘッドショットで敵もすぐに倒せるので、バトルの自由度は上がりつつも、難度はそこまで高くない。
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 武器種もかなり増えていて、アサルトライフルだけでなくマシンガンやスナイパーライフルなどが登場。ハンドガンもマシンピストルなどが追加されており、さまざまな武器を使える。タールを撃ち出す“タールキャノン”は、タールをまいて敵の動きを遅くできたりする。

 荷物にならない装備として“ブラッドブーメラン”も登場。敵に投げると戻ってくる、打撃系の投擲武器といった感じ。ボタン長押しで血液を込めることが可能で、威力を強化できた。

 また、素手の格闘も強化されていて、サムはドロップキックやボディプレスなどもできるようになった。さらに防御も可能で、防御することでカウンター攻撃も可能に。アイテム“ストランド”を持つと、相手の攻撃に合わせて構えることで相手の攻撃をいなすアクションもくり出せる。
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 なお、報酬としてサムが技を習得することも。とある空手家から技を教えてもらうことができ、習得するといつでも発動可能になる。

 ちなみに前作のパワーグラブは、荷物の扱いが楽になる装備品だった。同じ性能のグラブも登場するかもしれないが、今回手に入れたコンバットパワーグラブは、素手攻撃でバッテリーを消費し、パンチを強化するものになっていた。敵にロボット兵の“ゴーストメック”という硬い敵が登場するのだが、それをもパンチで壊せる、武器に近いアイテムだった。

 荷物で殴る、荷物を投げて敵に当てると一発で倒せるのは健在で、やはり荷物での格闘戦も強力なまま。前作の近接戦闘は荷物がメインになりがちだったので、そこに慣れている人も、そのまま戦える。

BT・ボスとの戦い

 幽霊のような敵であるBTは、今回の体験ではそこまで遭遇することがなく、見つかっても乗り物にさえ乗っていれば比較的避けやすい印象だった。また、もしバトルとなっても対策武器がお助けアイテムとして出現するのは変わらないので、そこまで脅威には感じなかった。
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サムの血液が武器となるので、血液グレネードでBTを退治できる。
 また、ボスとの戦いも存在する。こちらは前作とだいたい同じで、大型BTごとにギミックを持っているので、それに対処しながら攻撃するといった感じ。こちらもお助けアイテムが登場する要素があるので、事前に用意しなくても戦いやすい。
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 前作でBTの対策に慣れていることもあってか、本作でのBTとの戦いは比較的ラクに感じつつ、出現頻度自体がかなり抑えられていたので、あくまでアクセントのひとつとして留めるようになった印象だ。
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 また、人間体のボスと戦うこともあり、物語のなかでニールと戦う場合も。ニールは前作で言えばクリフのような人物で、謎の兵隊を率いてこちらを襲ってくる。だいたいクリフ戦と変わらない要素ではあるが、より激しさを増したバトルを楽しめた。
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ニール(声:加瀬康之)
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VR訓練登場

 武器やアクションが大幅に増えたこともあり、チュートリアルミッションも用意されている。プライベートルームなどから“VR訓練”を選ぶと、サムがVR機器を被り、VR空間でさまざまな訓練を積める。

 たとえばステルス行動についてのものや、荷物をいかに運ぶのかといった戦闘×配送の要素も学べる。また、武器ごとに射撃の的当てなども用意されている。

 基礎項目をすべて達成してみると、称号的な飾りがゲットできた。項目ごとにおそらく報酬もあるだろう。

 ちなみにVRで訓練する要素は、小島監督ファンとしてはニヤリとしてしまう。サムのドット絵が飾りで置かれていたりと、やはり意識してしまうポイントだった。
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拠点とマゼラン号

 前作は基本、プライベートルームをサムの部屋として使用できた。本作でも同様の部屋が存在し、拠点のプライベートルームではサムの睡眠や、シャワー&トイレ(同時にこなすようになった)、見た目変更や、そのほかいろいろなことができる。

 飲み物も置かれているが、前作の現実に存在するエナジードリンクは登場せず、かわりに“かいらる茶”と書かれた飲み物を飲める。おそらくお茶だろう。また、ドールマンとの会話も楽しめる。

 拠点はデジタルな壁紙が前面と背後に置かれており、デフォルトでは自然環境のなかで寝るような状態に。壁紙は変更が可能で、プレイヤーがフォトモードで撮影した写真も使用できる。ときには依頼者・プレッパーズ(サムに配達依頼をする、一軒家的なシェルターに住む人たち)から送られてくることも。
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 また、物語の中でサムたちは“DHVマゼラン”という船で移動するようになる。マゼラン号は第二の拠点とも言える要素で、マゼラン号のなかにもサムのプライベートルームが存在する。ただ、こちらは遊んだ範囲では壁紙の変更機能は存在しなかった。

 マゼラン号はマップ画面から、特定の拠点の近くのどこに呼び出すのかを選ぶことができる。サムが乗っていなければマゼラン号だけが移動し、サムが乗ればサムごと移動する。いわゆる、ファストトラベル装置のひとつになっている。

 マゼラン号には荷物・車両を搭載することができる。そのため、本作では荷物丸ごとのファストトラベルにも対応している。配送がかなり楽になる要素なのだが、マゼラン号で配送すると評価が“マゼラン”になり、貰える評価が下がってしまうデメリットがある。

 とはいえさまざまな部分でかなり移動が快適になるし、建設系は評価を気にしなくていいため、遠くから建設素材を持ってきたいときなどにも気軽に利用できる。また、マゼラン号自体にも、ほかのプレイヤーへアイテムを預けるシステムがあるので、かなり利便性が高い。

 ちなみにDHVマゼランのDHVとは、Deep-tar Hunting Vesselの略。深部タール狩猟船といった意味で、タールに潜航してBTを狩るための船なのだ。
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ファストトラベルが増加

 ほかにもファストトラベルは存在し、まず前作にあった温泉はシステムが少し変わった。前作は自然の中にある露天風呂に漬かって、サムを癒すようなシステムだった。本作は施設として整備された温泉を利用するような形となっており、露天のものもあれば、室内のものも。

 そして基本的には温泉を自身で採掘しないと、見つけることができないシステムになった。専用の探知要素があるので、ヒントを頼りに温泉を掘り当てると、温泉施設を建設できるようになっている。今回のプレイでは温泉までたどり着いた人が少ないのか、協力的な部分は体験できなかったが、新たなオンライン協力要素のひとつになっているのではないだろうか。
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 温泉ごとに異なる強化効果を得られるのは前作と同じ。さらに本作では“温泉ジャンプ”というシステムにより、温泉から温泉にファストトラベルできるようになった。荷物は、最初に浸かった温泉施設にすべて預けられる。

 さらに建設施設“トランスポンダー”が登場。トランスポンダーを建設すると、トランスポンダーから別のトランスポンダーへ、ファストトラベルできる。つまり、自由な場所へファストトラベルできるようになった。ただし建設していないと使えない。

 別の人が建設したものも対象だったので、思わぬ場所にファストトラベルできる場合もあるかもしれない。今回のプレイではほとんど見ることがなかったが、製品版ではどうなるのか楽しみなところ。

 なお、前作のファストトラベルである“フラジャイルジャンプ”は、フラジャイルのとある事情により使用できない。かわりに“トランスポンダー”はプライベートルームにも存在し、プライベートルーム間のファストトラベルにも対応している。
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フィールドのあれこれ

 フィールドに建設できる施設も増えていて、前作のディレクターズカット版で登場した“カイラル橋”や“ジャンプ台”などもそれなりに早い段階で使用できた。

 また、道路を作る“国道”システムも健在。国道は大量の素材を消費することで、全員が使える道路を伸ばしていく、好きな人にはたまらないシステム。筆者はそもそも、移動の利便性を高めたかったので、今回のプレイでも率先して国道復興を目指していた。
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 国道は大幅に長さが増していて、よりやり込めるようになっている印象。ルートが分かれている部分も多く、1本の道路だけでは済まないような形になっていたので、移動も楽だし、配送したい人もより楽しめるのではないだろうか。

 さらに、国道とは別に“モノレール”が登場。モノレールはジップライン移動のようなものだが、大量の荷物を積むことができ、荷物を直接拠点に運べるのが大きな利点。国道と同じように、素材を運び込むことで、モノレールの線路を伸ばすことができる。
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 なお、前作ではフィールドがアメリカ東部・中部・西部と3エリアに分かれていた。遊んだ限りの話だが、本作はメキシコ、オーストラリアを行き来できるが、遊んだ範囲のオーストラリアはエリア分けされていなかった。もしかしたら、本作はオーストラリア全土が地続きになっているかもしれない。
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野生動物が存在

 人間が住めないレベルの地表となっているのが本作の基本だが、オーストラリアには多少野生動物が生活できている模様。ただし、やはり野生動物の数はかなり少ない。カイラル通信を進めていくと、野生動物を保護している依頼者に出会うことができる。

 野生動物は近づくことで保護袋に入れることができ、荷物となる。動物を保護する依頼者に届けるか、拠点に預けることで野生動物を保護できる新要素が追加されている。

 野生動物はさまざまな種類が用意されており、カンガルーやコアラといったオーストラリアらしい動物が登場。その依頼者の施設で保護されるようになり、さながら動物園のような見た目となる。

 助けた動物には、助けた人の名前が紐付けられる。つまり、みんなで保護した動物園を作ろう! みたいな非同期オンライン要素になっているのだ。もちろん“いいね”できるので、自分が助けたんだよ! とアピールするのもいいだろう。

いいね&ゲーム内SNS登場

 先述した“いいね”は、『デススト』シリーズに欠かせないシステムだ。もちろん、どうでもいい人にはどうでもいい要素だろう。SNSでの“いいね”ボタンと同じように、ほかのプレイヤーやNPCからもらえるのものだが、ゲーム的な価値は本当にない。ただ数字として蓄積されていく、自身の評価値だ。だが“いいね”をもらうのは、それだけでやはり気持ちがいいものだ。

 前作にもあった“ソーシャル・ストランド・システム”は本作でも大事な要素で、ほかのプレイヤーの行動がプレイヤーの世界にも反映されるようになり、たとえばほかの人が使った梯子のルートを利用することで、楽に地形を突破できたりする。
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 建物なども物語の進行に応じてにはなるが、設置されているものも利用可能だ。とはいえ、いきなり強力な施設が使えたりしないように、進行に応じて解放はコントロールされているのでご安心を。このあたりはほとんど、前作と同じように使用できる。

 本作ではさらに“ソーシャル・ストランド・サービス”(SSS)という、ゲーム内SNSが登場。ゲーム進行に応じて、出会った人たちが写真とメッセージを投稿してくれる、疑似的なインスタグラムなどに近い機能だ。サムが荷物を届けた、その後のちょっとした物語が語られたり、SSS上で依頼者どうしが会話をくり広げ、それが配達ミッションになったりするなど、プレッパーズの深堀りにもなっている。
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 もちろん投稿には、いいねを送ることが可能。また、自分が撮影した写真をSSSに投稿することもでき、NPCからいいねをもらうこともあった。
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フォトモードも進化

 フォトモードもより使いやすく、かつ多彩な機能を搭載。さまざまな撮影パラメータがいじれるのはもちろんのこと、サムのポーズも大幅に増加。さらにルーのポーズ、ドールマンのポーズも変更できたりと、より個性豊かな撮影が楽しめるだろう。

豪華なプレッパーズ

 本作は、基本的に依頼者へ荷物を届けることがゲームのメインだ。その中に、個人(またはその家族)と暮らすプレッパーズからの依頼をこなすこともある。

 あらゆるアンロック要素は依頼者からの依頼を達成するか、もしくはフィールドなどに散らばっている“落とし物”を届けてあげると上昇する、親密度が関わっている。仲よくしていけば、武器や装備、建設物から、車両のカスタマイズ品、サムのファッションアイテム、さらにはフォトモードのフレームなどまで、あらゆるものが依頼者から手に入る。

 なお、前作でもプレッパーズとして実在の人物がゲストとして登場することがあった(たとえばミュージシャンの三浦大知氏が、プレッパーズとして登場していた)。詳細は伏せるが、本作ではさらにバラエティー豊かなゲストプレッパーズが登場する。
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選択が楽しい『デススト2』!

 とにかく全体的に正統進化を遂げており、とくにあらゆる部分での選択の自由が生まれていると感じた。荷物の配送方法から、バトルの手段、移動ルートや見た目のカスタマイズなどなど、すべてにおいて選択肢が用意されている。

 今回、筆者はほかのプレイヤーよりも進行度が早すぎたようで、ゲーム側が用意したもの、もしくは開発スタッフ陣が用意した(とお聞きしている)施設やアイテムは少しだけ利用できたが、残念ながらほかのプレイヤーの施設やアイテムに助けられるようなシーンは少なかった。
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 代わりに、ほとんどの国道を復興させたり、困りそうな場所に橋を建設したりと、道の手助けを多く設置するプレイを楽しんでみた。また、マゼラン号の出口など、必ず人が通るような場所に充電できるバッテリーを置いて、(絶対に通るから)半強制的に“いいね”がもらえるポイントをたくさん設置したり(笑)。おかげでメディアプレビューイベント終了時には、約10万いいねを獲得できた。つながったプレイヤーリストから見たところ、ダブルスコアくらいでトップだった様子。意味ないけどね!

 といった感じで、ほかの人の手助けはたくさんできたようで、“ソーシャル・ストランド・システム”の用意してあげる側の体験はたっぷりと堪能できた。これもまた選択のひとつで、自分で切り拓いていってもいいし、ほかの人が用意したものをとにかく利用してもいいだろう。
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 前作はサムとルーの孤独な旅、といった感じで、その横に見えないほかのプレイヤーたちの支えがあって、独特の雰囲気があった。本作ではドールマンがかなりしゃべりまくるので、その雰囲気はやや薄まり、サムと仲間たちの旅という感じで進行する。

 もちろん賛否はあるかもしれないが、本作は状況が刻々と変化し、さらに選択の幅が非常に広い。そのため、ドールマンが適宜助言してくれることで、「あ、そういうこともできるのか」と気づいてもらうための手段なのだなと感じた。自然とドールマンのことも、好きになっていくだろう。

 物語の続きもさることながら、どれくらいお遊び的な要素が詰め込まれているのかも、すごく気になる。製品版を早く遊ばせてほしい!!
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      集計期間: 2025年05月08日20時〜2025年05月08日21時