NCSOFTから2024年8月28日(水)に正式サービス開始予定のスマートフォン(iOS/Android)、PC(※)向け新作RPG『 護縁 』。“ドラマティック縁バトルRPG”と銘打っており、リアルタイム戦闘と往年のターン制バトルの魅力を詰め込んだ意欲的なタイトルだ。 ※NCSOFTのサービス“PURPLE”を使用。  元気な主人公ユッシ・ユキがさまざまな人物と出会い、“縁”を結んでいくストーリーも本作の魅力だ。ファミ通.comでは日本版でユキを演じる声優の前田佳織里さんにインタビューを実施。声優としての側面に加えて、好きなキャラクターや今後の展開への期待など、プレイヤー目線の面でのお話の両方を伺ってみた。 
前田佳織里(まえだかおり)  
福岡県出身。“2016声優アーティスト育成プログラム・セレクション”グランプリ受賞、翌2017年に『100%パスカル先生』で声優デビュー。代表作に『ウマ娘 プリティーダービー』ナイスネイチャ役、『アイカツスターズ!』双葉アリア役。『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』桜坂しずく役などがある。文中では前田。
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収録ボイスは2000以上。スタジオのサポートが神すぎた ――ユキのイラスト等を見たときの第一印象を教えていただけますか。 
前田 
 お話をいただいたときには、すごく活発そうな子だなぁという印象を受けました。全体のキャラ表などの資料は後からいただいたので、最初の収録のときはユキが主人公だということを知らなくて。 ――あらためて見ると、主人公要素満載のキャラですよね。 
前田 
 キャラデザインもすごくいいと思いました。このゲームの登場人物は本当に、キャラクターひとりひとりがとっても魅力的で、そのなかでもユキちゃんは剣を下げていたり動きやすい服装だったりで、戦う主人公なんだろうなと。 
――実際に演じてみて、イメージが変わった部分はありましたか。 
前田 
 性格面のイメージはあまり変わりませんでした。ユキちゃんの過去が重要な起点になっているんですけど、なかなか過酷な過去を持った子なので、ハツラツとして明るいだけじゃないんだな、と感じました。ユキちゃんの気持ちに感情移入しながら楽しんでほしいです。 ――収録はストーリーの順番通りに行なわれたのでしょうか。 
前田 
 優先するボイスから録っていって、ストーリーに関しては時系列通りの収録でした。 ――非常にシリアスなスタートからコミカルな展開へと一気に変わりますが、このあたりの落差は演技のうえで気にされたのでしょうか。 
オープニングでは、ユキが所属する家門“護縁門”が何者かの襲撃を受けて焼け落ちる場面が描かれる。 
前田 
 起点となるユキちゃんの目的自体はすごく重いんですけど、それだけじゃなくて冒険の楽しさも魅力のゲームなので、そこは絶対に伝えたいと考えました。コミカルなシーンはテンポもいいし、めちゃくちゃおもしろいんですよ。なのでそこは落差を大きくつけるように意識しています。 ――家門の再興が目的ですから、お金は気になるでしょうね。 
前田 
 お金を見つけると、「うわぁ~!」って満面の笑みになって、目がキラキラするんですよ。そんなところもいいなぁって。 
――いろいろなセリフを収録されているんですね。ちなみに、収録のボリュームはどれくらいでしたか。 
前田 
 4日間くらいで一気に収録したんですよ。私だけじゃなくて、全体的にキャラクターのボイスの量がすごいので、皆さんたいへんだったみたいです。 NCSOFT側のスタッフ  数えたら呼吸音以外の収録ボイス数は2070ワードほどでした。 ――そんなに! ひとつ10秒で録ったとすると20700秒だから……。休憩なしでも5~6時間かかりますよ。 
前田 
 余談になりますけど、C And Tさん(収録スタジオ)がほんっとに音声を録ること、そして声優さんを支えることのプロなんですよ。ほしいな、と思った瞬間に念慈菴(※)を溶かしたお湯をスッて持ってきてくれるんです(笑)。 
※念慈菴(ねんじあん):京都念慈菴がビワから作ったシロップ。ノドのケア用アイテムとして日本の歌手や声優の間で広く愛用されている。 前田 
 スタジオの中にカメラとかないよね? なんでわかるの? 天才! みたいな絶妙なタイミングで。お菓子もサッと出てきていたりとか、至れり尽くせり。サポートのプロだからすごいんです。C And Tさん、マジですごいですよ。サポートの神です。 ――今日イチで語るじゃないですか。 
前田 
 気を遣わせちゃうからと意地でも隠してやるって思っていた疲労感も全部わかっていらして、のど飴を出してくれたり、そろそろ休憩入れましょうとか言ってくれたり。 
前田 
 休憩のときも「ここおすすめなんですよ」って日向ぼっこできるブースに連れて行ってくれて、そこでゆったりくつろぎながら念慈菴のお湯を飲んで、「つぎの演技プランどうしようかな」と考えてました。 ――ゲームと同じで、リアルでも戦う人へのバッファーとヒーラーは大事ですから。 
前田 
 そうですね、私にとってのヒーラーはC And Tさんでした。(「ここですか?」とNCスタッフが用意した施設画像を見ながら)そうそう! ここです! 人があまり通らなくて、木漏れ日がちょうどいいんです。過酷なシーンがいっぱいあったから、ユキの気持ちに入り込んで切り替えられないときにここに連れてきてもらって、お菓子を食べて「がんばろ」って。 ――オフラインイベントをやることがあったらその休憩ブースを再現してほしい。 
前田 
 ぜひ! 振り返ってみるとそんな風に、C And Tのスタッフさんにすごく支えてもらいながらの収録でしたね。人の優しさをめちゃくちゃ感じて、私も縁を大事にしようと、“縁”を“護”っていこうと、めっちゃ思いました。 ――タイトルの伏線回収、ありがとうございます。 
ニュアンスを守りつつ、日本でも愛される主人公へ ――そんな収録のなかでも、とくにたいへんだったシーンを教えていただけますか。 
前田 
 原音(韓国語音声)合わせでの戦闘シーンなどがありまして。それが……100本くらいあったかな。原音の声優さんのニュアンスを耳コピして、そこに感情を乗せてやらせていただいたんですけど。戦闘シーンの音声がこんなに多いゲームは(自分が関わった範囲では)めったになくて、それだけ力を入れているということだと思うんですよね。 ――ユキの究極技の剣の演出なんてかっこいいですよね。 
前田 
 (NCスタッフが用意した映像を見ながら)そう! かっこいいんですよ。 
ユキの剣はオープニングの惨劇で折れてしまっている。それを氷の力で補って振り抜く演出がとにかくかっこいい。 
前田 
 ユキちゃんとこの剣との絆も楽しみにしてほしいですね。めっちゃ好き、このシーン。 ――そういうエピソードもあったんですか? 
前田 
 ……ありました! 冒険をしていくと仲間がだんだん増えると思うんですけど、メインとなる子の掘り下げがすごく丁寧なんですね。あとは、ネタバレになっちゃうけど、 『護縁』 というタイトルなだけあって、ユキちゃんの一族の“ご縁”もすごくストーリーに関係しているんですよ。そこが剣の由来につながっていて、タイトルの伏線回収になってると思うんですよ。……すみません、記事にしにくいですよね。 ――大丈夫です。早口で語りたくなるゲームはいいゲームですので! 
前田 
 お願いします! 私もグッときちゃって、泣きながら収録するシーンもいっぱいありました。縁や絆をとっても大切にしているゲームですし、悪側のことをマジで許せねぇ! ってなります。本当になりますので! ――そういうお話を演じていくうえで、収録スタッフ側からここをこうしてほしい、といった指示はありましたか。 
前田 
 ありがたいことに、ユキに関しては最初からキャラクターの方向性がぴったりで。テストの段階から「ぴったりなので、これでいきましょう」と、サッと(GOサインをいただきました)。演じていくうちに、ここはもうちょっと活発にしようかな、と自分の中で考えて、スタッフさんと二人三脚で探っていった感じでしょうか。 
――ゲームの収録の場合、ご自分からこうしてみようと変える部分と、メーカーさんからここは変えてほしいと指示が出る部分だと、どちらが多いものなんでしょうか。 
前田 
 半々くらいだと思います。クライアントさんから最初に「こうしてほしいんです。この子はこうなんです」って資料をいただいて、膨らませていくんですね。 『護縁』 の収録のときは、自分から「もしかしたらこっちの方が合うかも」と思ったら提案したり、逆にあちらから提案をいただいたシーンもありました。 ――海外の作品ということで、ニュアンスのすれ違いなどはありましたか。 
前田 
 そこはどうしても必然的に出てきてしまうものだったかなと思います。「この言い回しのほうがこの子は自然かも」と思ったところは私から提案させていただくシーンもありましたし、(C And Tの)スタッフさんと話し合って)伝えることもありました。 
前田 
 あと印象的だったのは、韓国で演じていらっしゃる声優さんの声(原音)を聞いて演じるときに、必殺技のセリフの力の入れかたに差があったところ。たぶん日本語と韓国語ではニュアンスに違いがあるんだと思います。もちろん英語でも(ニュアンスの違いは)あるので、吹き替えの現場に行くときは気を付けています。言語のアクセントの付け方は国によって違うんですよね。 ――なるほど。その違いを自分の中で整えないといけないんですね。韓国語のニュアンスのままだと、日本語になったときに違和感が出るから。 
前田 
 まさにそうですね。「この人のこう仰っているところは、たぶん日本的に言うとこうだろうな」って自分の中でかみ砕いていきました。ユキの場合はこの子の魅力を引き出すにはどうすればいいかな、みたいなことも考えて。原音の方をリスペクトしながら、自分の中で調理していくのがすごい楽しかったです。 ――ゲーム音声の収録でありながら、吹き替えの要素が強い感じでしょうか。 
前田 
 吹き替えという概念とも違うと思うんですよね。もちろん原音の方のお芝居へのリスペクトはありつつも、日本の皆さんに親しんでもらうお手伝いがしたいと考えています。自分のオリジナリティーはどこまで出そうかなって悩むんですけど、あえて「私のユキちゃんだったらこうします」という意見をふんだんに出したりしていて。 ――もとのニュアンスを残すだけではないと。 
前田 
 ユキちゃんの声を当てているうちに、ここはこうしたいなって意識が出てきて、そこは伝わっているんじゃないかと思います。でもやっぱり原音のニュアンスは大事。韓国の声優さんがすごく丁寧に演じていらっしゃったので。気を付けないと伝言ゲームになってしまうんですよ。 ――原音の声優さんのニュアンスが、当てる言語(この場合は日本語)によって変わることもある、ということでしょうか。 
前田 
 そうですね。Aさん、Bさんと伝えていくうちに、同じことを伝えているつもりでも、全然違う意味になることもあるじゃないですか。プレイヤーの皆さんが聞く段階になって、原音の方(最初のAさん)のよさが伝わりづらくなってしまうというか。それをなくしたいなと思っていて、最後の私の演技は大事だぞ、と。韓国の声優さんが伝えたいことを音だけで判断して、細かいニュアンスを聞き取って、でも自分の伝えたいことも入れて、やるぞ! と熱い使命をもってやらせていただきました。 ――かっこいい! これは紛れもなくプロの姿勢。こういう話を聞きたかったのでうれしいです。 
キャラへの愛とレイミョウグッズ化を熱く語る ――ネタバレにならない程度に、好きなシーンや印象的だったイベントを教えていただけますか。 
前田 
 イーランとの出会いですね。私とってもイーランが好きなんです。ふつうに前田としての推しキャラだからというのもあります。イーランを探して探してようやく出てくるんですけど、(溜めて)登場シーンもかっこいいし、あのですね、登場シーンがかっこいいんですよ。 ――どうして2回言うんですか。 
――好きなシーン以外にも、すてきなキャラがいたら教えてほしいのですが。 
前田 
 いっぱいいるんだけどなぁ……。どうしよ。サイカさんもいいですよね。この子がですねー、めちゃくちゃかっこいいんですよ。かっこいいし、いざというときにユキが頼れるだけの器を持っている方なので。声優は鬼頭明里さんなんですよ。それもうれしかったなー。 
前田 
 あと、私、レイミョウがとっても好きです。早くグッズ化しないかなっていまから思ってます。超かわいいんですよ。かわいいんですけど、とあるシーンで「ユキに手を出すな!」って守ってくれるんですよ。こんなにかわいらしい子が一生懸命に私のことを守ってくれている……! みたいな。あれにはグッときました。しかも、ご担当は悠木碧さん! ――それはそうとう心強い。 
NCスタッフ  エヌシージャパンの社内でも人気があって、「ぬいぐるみを作りたいね」と話題に挙がることがあります。 
前田 
 早く! 出して……! ――ぬいぐるみを作る企画記事やりたいですね。 
前田 
 お願い! まじでお願いします……! 本っ当にこの子のぬいぐるみがほしくて、それを持って海外イベントに行きたいです。韓国に行ったことがないから行きたーい。虎みたいな姿になることもあって、それもかっこいいんですよ。ガオーって。優しくかわいくて、ユキが突っ走りがちなところを、レイミョウがずっと「大丈夫? ねえ大丈夫?」と保護者のようについてきてくれるんですよ。(インタビュアーに)どういうキャラがお好きなんですか? ――絵を見る限りだと、イーランはかなり好きだと思います。 
前田 
 イーランは沼ですよ。まじでかっこいいですから。褐色、白髪というあたりもヤバいです。早くみんなに沼ってほしい。 NCスタッフ  ちなみに声優は坂田将吾さんです。 
前田 
 解釈一致ですね。 
ちなみに、『護縁』公式サイトの英雄紹介ページでは、イラストや設定が公開されているほか、ボイスも試聴できる。また、一部キャラクターのテーマ曲も公開中だ。 
前田 
 さっきも少し言いましたけど登場シーンがいいんですよー。画面のエフェクトって言うんですかね。ちょっと止まって、名前がドドドドって出てくる。演出がおしゃれで盛り上がりますよ。 
イーラン登場シーン。「かっこいいから見た方がいいですよ」と、現場にいたスタッフさん含めてみんなで動画を観賞するひと幕もありました。 
――だいぶプレイヤー目線で語っていただきましたが、前田さんはふだんからゲームは遊ばれていますか。 
前田 
 コロナ禍の初期にステイホームという風潮になったときなんかは、ここぞとばかりにいろいろなゲームを遊んでいました。最近はちょっとバタバタしていてできていませんけど、そのぶん声優としてさまざまなゲームに関われて、早く私もプレイしたくてしょうがないという気持ちです。 『護縁』 はプロモーションも多く見かけるので、それを見るたびに「早くやりたい!」って。 ――実際に『護縁』をプレイされるとしたら、どんなプレイスタイルになると思われますか。 
前田 
 ユキを演じているということもあり、悪いやつは絶対倒したいです。許せない。 ――ごりごりのアタッカー気質を感じる。 
前田 
 まずは倒すことに注力すると思います。 『護縁』 はパーティプレイもできるんですよね? パーティプレイはやってみたいですね。でも、ほかの人に極力迷惑がかからないように、ちょっとうまくなってから人と遊びたいタイプなので。 ――コソ練派ですね。 
前田 
 (インタビュー時はリリース前なので)ソロプレイの仕様がどれだけ充実しているかわからないですけど、(育成しやすい要素が)あったらいいなって思ってます。早く遊びたい! 
――主人公を演じるということでNCSOFTさんとのご縁も続いていくかと思います。どういうことをいっしょにやっていきたいですか? 
前田 
 まずはぜひ韓国に行きたいです!! ――(NCスタッフに向けて)ですって! 
前田 
 『護縁』 はワールドワイドに愛されると思いますし、韓国の皆さまにも「本当にありがとうございます」と伝えにいきたいです。でもやっぱり、まずはゲーム内のお話も長く続いて、早くまたユキちゃんを演じたいという気持ちが大きいですね。 ――コラボカフェで韓国料理って珍しくていいですね。お酒を飲むイーランにちなんで、コラボ酒なんてのもいいかもしれません。 
前田 
 お! いいですね、お酒。すごく好きなんですよ(※)。 
※お酒好き:前田さんは同じく声優の船戸ゆり絵さんとともに、毎年“Tokyo SAKE Collection”というイベントに中心人物として携わっているほどにお酒が好き。とくに日本酒については毎年プロデュース酒を出しているほど。 ――我々がお酒の取材をしたいがために言ってみたんですけど、思った以上の反応をいただきました。 
前田 
 お酒、いいと思いますよぉ?(NCスタッフさんの目をじっと見ながら) ――そう言えば、NCSOFTの別タイトルでコラボコーヒーを出されていましたよね。 NCスタッフ  今年の4月末で終売しておりますが、エヌシージャパンの創立22周年を記念して、“OK COFFEE”というブランドとコラボレーションを行い、“NC Cafe”という施策を展開しました。販売とあわせて、ふるさと納税の返礼品としてブレンドコーヒーを作ったんですよ。じつはこのコラボには当社のプレイヤーの方も関わっていて、いろいろな縁に助けられています。 
前田 
 すごいドラマがありますね。 ――レイミョウのぬいぐるみ化の件も、本社に持ち帰ってもらわないと。韓国のNCSOFTはものすごく大きな会社(※)ですから、ワンチャンありますよ。 
※NCSOFTは大会社:韓国NCSOFTの社屋には結婚式場や託児所があったり、サウナやジム、大きなフードコートまである。ほかにも中庭が森のように広かったりと、充実した設備を誇る。 前田 
 ここで急に大きな夢を出させてもらいますと、アニメ化してほしいです。ストーリーがすごく重厚ですし、アニメでまたキャラクターが動いたらさらに魅力が伝わりそうなタイトルだと思います。でもまずはゲームをたっぷり楽しんでいただいて、 『護縁』 の世界を存分に愛してもらいたいです! ――世界観を共有している『ブレイドアンドソウル』はアニメ化していますからね。インタビューは以上となります。ありがとうございました。