先日、千葉県の佐倉に行ったんです。
佐倉駅は国立の研究機関かつ教育機関である国立歴史民俗博物館(通称:歴博)があるところです。
佐倉市関連商品の購入はこちら (Amazon.co.jp)今回は本題から逸れるので割愛しますが、歴博はめちゃくちゃ楽しかったです。
さて、そんな歴博に行くために佐倉駅にはじめて降り立った筆者たちの前に、あるキャラクターの姿が飛び込んできました。
なんのキャラクターだろう、名前が書いてあるな、堀田凛太郎くん……。
まず、センター分けの男キャラに目がない(的なことを言っていた)友人が興味を持って検索。その結果、佐倉市ご当地RPGの『天倫の桜』という作品のキャラクターであることがわかりました。佐倉市ご当地RPG????
『天倫の桜』は、スマホゲームを通じて佐倉市への関心を高める目的で作られた、佐倉市サムライRPG。戦闘はコマンド選択式で、しっかりとしたRPGという印象です。スマホゲーム情報サイトのファミ通Appでもリリース時に話題にされており、担当者へのインタビューも載っていました。
そして歴博の帰り道、立ち寄ったカフェで友人がこんな感じになっていました。
ガチ聖地巡礼帰りの人?
ネットで断片的に情報を摂取してるうち、作品と出会ってからほんの数時間のうちにものすごい勢いでのめり込んでいったのです……。何があった????? ずっと隣にいたけど友人に何が起こったかよくわからなかった。いったい何が起こった?????
思い返すと、ここまで来る途中に佐倉市で見学した武家屋敷内部にも『天倫の桜』のキャラクターが佇んでいました……。どうやら道中でさりげなくサブリミナル『天倫の桜』をされていたようです。
観光しているときは自分がこのゲームをプレイするともハマるとも思っていませんでした……。ちなみに、見学した佐倉藩士の武家屋敷は、ゲーム内でキャラクターの家として登場します。こんなところでもリンクさせてくるとは。
こうしてあちらこちらで見かけると『天倫の桜』が気になってくるというもの。なんか縁を感じるし、実際にやってみようかな? と思っているうちに友人はダウンロードを始めていました。躊躇がない。
しかし悲劇が起こります。友人の端末は『天倫の桜』に非対応だったのです。すでにこんなにハマってるのにかわいそうすぎる……。
自分も気になるし、プレイできない友人の代わりとしてもやってみて情報を教えてあげよう!!!! と軽い気持ちでダウンロードしたのが、筆者と『天倫の桜』の出会いでした。
当初の正直な気持ちはこれでした。
「自治体のコンテンツだし、難易度も展開もきっとわかりやすくてやさしい感じだろう。サクッとプレイしてみよう」
私がばかでした。ただひたすらに甘かった。そうとしか言えません。
結果的に作品にのめり込み感情がグチャグチャになりプレイして2日目には布団の中で枕を濡らしておりました。いや、現在進行形で何が起こっている???????
前振りが長くなってしまいましたが、この記事では、そんな『天倫の桜』を遊んでクリアーした後の所感などをまとめておきます。どうかこの記事を読んで、作品に触れてみる人が増えますように。佐倉市に興味を持ってくれますように。
佐倉市に縁がなくても楽しい
まずは興味を持ってくれた人が思うであろうこと。「佐倉市に住んでるわけでもないし、佐倉市がどこにあるかも知らない」。そんな人も多いと思うんですよね。そんな感じで全然大丈夫です。
もちろん、お近くの方であれば作品をもっと楽しめると思います。ゲーム内には実際に佐倉市の風景が使われていますし、実際に行くと登場キャラクターの家もある。作品の聖地巡礼が捗ります。
実際のスポットに行くとGPS連動でアイテムがもらえたりするので、現地まで足を延ばせばゲームを進めやすくなるはず。でも別にそういうものがなくてもクリアーに支障はなかったので安心してください。
ストーリーには佐倉市に伝わる民話や伝説などの要素がたくさん含まれており、ゲームをするときっと佐倉に行ってみたくなるはず!
キャラクターが魅力的、そして容赦のないストーリー
パッと見の印象は、絵がかわいくてキャラクターが魅力的。市のサイトにはキャラクターの相関図もあります。……オタクが好きなやつだ!!
『天倫の桜』ストーリーはこう。
時代は天下泰平の江戸中期、平和を謳歌する佐倉藩に突如として化物騒動が起きる。立身流剣術の使い手である若き佐倉藩士・武居新佐は藩命を受け、幼馴染の但馬雫・市之丞の姉弟らと共に化物退治に乗り出すが、佐倉全体を巻き込む恐ろしい陰謀へと少しずつ巻き込まれていく……。
化物が敵、と明示されているから単純でわかりやすいかと思いきやそうもいかないのがこのゲーム。明確な敵は化物だけ……ではなく、自分の武士道と本当の気持ちとの葛藤、その結果として生じる藩との軋轢と、ハラハラするストーリー展開が続きます。そしてもちろん全国を支配していた江戸幕府の存在も無視できません。
魅力的に描かれるキャラクターたちの心は、しっかり武士。
それぞれが置かれる過酷な運命を“武士として”受け入れ、“武士として”それぞれの信念がある。
思惑、責任、信義、忠義、思慕、愛などが複雑に絡み合い、その間で苦しむ登場人物の姿にはときに辛く感じることもあり、キャラクターの“武士として”の心情が、現代社会で生きる私には納得できない部分も多々ありました。ですが、彼らは覚悟を持って受け入れているのでしょう。心が……つらい。
ただ魅力的なキャラクターが化物退治をする、それだけのゲームじゃないんです。
自分がこの時代に生きていたら、武士としての運命を受け入れられていただろうか。彼らの物語を追っているつもりが、いつしか自分事のように。
どんなに頭を悩ませても結局答えを出すことはできず、筆者には枕を濡らすことしかできませんでした。
江戸時代に生まれなくてよかった。いろいろあるけど令和は最高なんだ。
あとこれだけは言わせてもらいたいんだけど、主人公の佐倉藩士・武居新佐の苦悶顔表情差分、どれだけあるんですの?????????
懐かしさを感じるドット絵のゲームデザインと、歯ごたえのある難度
ゲーム画面はこんな感じ。ファミコンやスーパーファミコンのRPGをプレイしたことがある人には懐かしさを感じるデザインじゃないでしょうか。最近はドット絵のゲームも多いので、若い世代にとってもこういうビジュアルはおなじみですよね。
主要キャラはなんとフルボイスです。声優さんたちのボイスも雰囲気があっていてとてもいいので聞いてみてほしい……。
難度は個人的にはわりと高めに感じました。強めのボス敵の前に回復ポイントがなくて、頼みの綱はアイテムと回復スキルのみ。初回だけ回復の泉があったけどそれ以降はありませんでした。もっと泉掘ってくれていいのよ??????
さらに村を出発して別の村に向かうとき、ダンジョンふたつぐらい通しで攻略させてくることと、途中の全体攻撃なしのキャラひとりだけで攻略を進める縛りプレイには苦しめられました。
この辺の話を編集担当さんにしたら「井口さんはゲームに甘やかされてきたんですね」と言われました。ガーン。すみません、難度設定がEasyとNormalとHardで選べるようなゲームだったら、初回はバリバリEasyを選ぶ人間です。
そうか、ゲーム全体で見たらわざわざ回復させてくれるほうが珍しいのか……。主人公の新佐たちが過酷な運命を歩むように、プレイヤーである筆者も厳しい道(個人の感想)を歩いていきます。
(編注:井口エリさんはごりごりのゲーマーというわけではありません。翻弄される様子を楽しみましょう)
当然、あっさりゲームオーバーになったりしました。皆さんもマメなセーブを心がけてくださいね!
どうしてこんなに難しく感じるんだろう。よく考えたら、ひとつ思い当たる節がありました。攻略情報がどこにもないんです! こんなに情報が溢れている世の中なのに。“攻略”という概念を知らない幼少期にやったゲームを思い出すな……。
攻略情報なしでゲームをプレイ。現代社会では逆に難しい体験でした。新鮮。道に迷った挙句、Google mapでだいたいの方向を確かめたことが何度かありました。
なかなか難しいけど負けるわけにはいきません。だって、せっかく前を向いてがんばっている新佐たちを待ち受ける運命が気になるから!
そうしてだいたい20時間くらいでクリアーすることができました。だいたい6日かかりました。大満足のボリューム感です!
最終戦が本当にキツかったので、直前に2時間くらいレベル上げ。多少レベルを上げても最後の方はジリ貧でしたが、これ脱落する人もいるのでは……。
これからプレイする方に伝えたいのは、「レベルを上げたらなんとかなるので諦めないで」ということです。RPGの基礎中の基礎を教えてくれるだなんて、佐倉市はなんてゲーマー想いの街なのでしょうか。
ゲームをきっかけにその場所に興味を持つのもいいんじゃない
『天倫の桜』を通して佐倉市に興味がわいたし、また今度は作品の聖地巡礼目的で佐倉に行きたくなりました。というかすでに佐倉市の観光スポットを少し回っていたので、佐倉で立ち寄ったスポットが後から聖地巡礼スポットになるという逆転現象が起き、妙な気分です。
プレイ前は「市のサイトにオフショット的な絵がたくさんあって素敵だな♪」なんて思ってたんですけど、いまは涙なしで見られません。うう……うう……。感情をぐちゃぐちゃにしながらイラストを見つめています。
そしてクリアー後、友人に情報を教えるために始めたのに、何を言ってもネタバレになっちゃうから話したくない、話せないという現象が起きました。ほ、本末転倒~~~!
伝えるのは簡単だけど、どうにかゲームの衝撃を味わってほしいんです。そうしてミイラ取りがミイラになり、もっと『天倫の桜』を知る人が増えるように震えながらこの記事を書いています。
本当に、なんというものを作ってくれたんだ……。感謝を込めて、佐倉市を来年のふるさと納税の候補地として考えています……ありがとう、佐倉市。
【担当編集者より】
千葉県佐倉市の広報キャラクターがかわいいのでみてほしい。名前は“しりあぶりねこ”