ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、同社が運営中のMMORPG『ラグナロクオンライン』(『RO』)で公式コスプレイヤーを務める“よきゅーん(乾曜子)”さんのギネス世界記録認定式を開催した。
認定されたカテゴリーは“ビデオゲームの公式コスプレイヤーを務めた最長期間(女性)”。よきゅーんさんは2003年8月から公式コスプレイヤーを担当しており、2023年で20年を迎えた。もちろん現在も継続中だ。
※せっかくなので本稿は写真多めでお送りします。
20年間も公式コスプレイヤーを務めているよきゅーんさん。当時は“コスプレ”という言葉が一般的ではなかったため、“キャンペーンガール”や“イメージガール”といった肩書きで活動していたそうだ。
活動の幅は広く、公式生放送やオフラインイベントに多数出演。仕事をきっかけに『ラグナロクオンライン』に深くハマり、大人数で城を獲り合う“攻城戦”では所属ギルドの後衛部隊リーダーを務めるなど、プレイヤーとしての知識も一級品である。
よきゅーんさんに続いて登壇したのは、ギネスワールドレコーズジャパンの認定員ジャスティン・パターソン氏。
パターソン氏は「よきゅーんさんの偉業を世界に発信できることを光栄に思っています。長い歳月に渡ってコスプレイヤーとして活躍してきましたが、それだけではなく、この記録は新しいカテゴリーとして設立しました。よって、よきゅーんさんは、この記録の世界の始めての保持者となりました。本当におめでとうございます」と祝辞を贈った。
よきゅーんさんは「私はコスプレイヤーをしながら、コスプレタレント(中心の)事務所の“PPエンタープライズ”の経営も行っています。今回、コスプレに関する賞をいただけたのは、業務と親和性が高いので今後の弊社の活動において、重要な出来事になったと思っています」と笑顔を見せる。
そして認定証を受け取ったよきゅーんさんは、「10代でコスプレに出会い、『ラグナロクオンライン』で公式コスプレイヤーを20年も務めさせていただきました。あっという間の20年だったけど、その間にゲーム内外で楽しかったことがたくさんありました」と感慨深そうだった。
ちなみに『ラグナロクオンライン』がサービスを開始した2002年と言えば、2月22日にマイクロソフトのゲーム機Xboxが日本国内で発売された年。アニメ『NARUTO -ナルト-』や『機動戦士ガンダムSEED』の放送がスタートしたり、新海誠監督の『ほしのこえ』やジブリ映画『猫の恩返し』が劇場公開。浜崎あゆみさんの『H』がミリオンセラーを達成したのも2002年だ。
それ以外に世間を賑わせたニュースでは、“2002 FIFAワールドカップ”が日韓合同で開催されたり、東京都の多摩川に出没したアゴヒゲアザラシの“タマちゃん”が流行語大賞になった年でもある……。はるか遠い昔の話なので、20年の重みが理解できるはずだ。
ちなみに、彼女より前(あるいは近しい時期)に人気になった女性コスプレイヤーは少なくない。『バーチャファイター』の双子サラとして注目されたルークさんとみちるさんをはじめ、まろんさん、めろんさん、びとらさん、イベントMCとしても活躍した毛利摩生さんなど。『うる星やつら』のラムちゃんコスプレで各種メディアに出演したマンガ家の一本木蛮さんも、広義では有名コスプレイヤーと言えるだろう。
公式の立場として活動した人もいるが、さすがに20年も続くことはなかった。よきゅーんさんの快挙をひと言で表すと、まさに“継続は力なり”である。
運営チームと二人三脚。20年の歩み
会場から大きな拍手が起こった後、『ラグナロクオンライン』運営チームのスタッフからも祝辞が贈られた。
運営スタッフ代表 「よきゅーんさんは公式コスプレイヤーのお仕事を、とても情熱を持って取り組んでくださいました。さらに生放送番組などでは、ゲームの大ファンとしてユーザー目線で貴重な意見をくださいました。よきゅーんさんと運営チームは、いままで二人三脚で『ラグナロクオンライン』を盛り上げてきたと感じています。あれから20年が経ちましたが、ゲームはまだまだ進化し続けます。なのでよきゅーんさんには、この先も我々と手を取り合って進んでいただけたらと願っています」
運営スタッフから感謝の言葉を告げられたよきゅーんさんは、この20年間の思い出をいくつも語った。なかでも熱弁していたのは、公式イラストから多少アレンジしたコスプレ衣装を作っても許される世界観とコミュニティーについて。
一部コスプレ界隈では“キャラクターデザインに忠実であること”がよしとされる。髪は同じ色のウィッグをかぶり、目にはカラーコンタクトを入れる。気持ちはわかるが、絶対に同じにしないといけないと考えるのは少し窮屈だ。
一方、『ラグナロクオンライン』は個性を出せるゲーム。『自分がこの世界に入ったらどんな衣装を着たい? という主張が許されるんです」とのこと。よきゅーんさんによると、本作は“コスプレイヤーとして経験値を積ませてもらえる作品”らしい。
コスプレを仕事にしたい方に向けてアドバイス
ギネス世界記録認定証授与式の最後に質疑応答が行われた。ワールドレコード保持者とは思えない気さくなよきゅーんさんは、報道陣の質問に終始笑顔で答えていたのが印象的だった。この度は本当におめでとうございました!(文中では敬称略)
――そもそもコスプレを始めたきっかけは?
よきゅーん コミケの情報をネットで見て、始めてコミックマーケットに行ったとき、「なんだこれは!?」と衝撃を受けたのが出会いです。それが冬コミだったので、つぎの夏コミに衣装を作って参加しました。そこから1~2年してからガンホーさんからお声がけをいただきまして、商業のコスプレ活動が少しずつ増えていきました。
――これまで何着くらいコスプレ衣装を作ってきましたか?
よきゅーん 服飾を勉強してきたわけではないので、それほど多くありません……。自分で作った衣装は100着くらいだと思います。
――世間的には多いと言われるのでは?(笑)
――『ラグナロクオンライン』の衣装の数はどれくらいでしょうか?
よきゅーん ガンホーさんに用意していただいた公式衣装が半分くらいあるので、私が自作したのは多くありません。モンスターを含めても20着くらいだと思います。
――好きな生地の種類は?
よきゅーん ブライダルサテン! 本当に好きな生地です。高級感があって、キラキラと光沢はあるけど、安っぽい光じゃなくて重厚感があるのが気に入ってます。でも……値段が高い!(笑) 1メートルで3000~4000円くらいするので、勝負服を作るときに使っています。
――今後、お仕事としてコスプレをしたい人も増えてくると思います。アドバイスするとしたら?
よきゅーん SNSの使い方には注意してほしいです。これは弊社の所属タレントにもよく言っています。いまの時代、ネットに書いたことは瞬時に世界に広がるので、発信する前にちょっと考えた方がいい。もしもお仕事としてコスプレをするとしたら、クライアントさんは過去ログまで遡ってリサーチします。今後、仕事で活動したい方は、裏アカウントはもちろんやめたほうがいいですし、マイナスな印象のある発言は、あまり書かないほうがいいと思います。SNSは自分の“お顔”だと思ってほしいですね。
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