2023年6月28日にiOS/Androidにて配信開始された『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』(以下、『タクトオーパス』)。音楽の力を宿す少女たちが人を喰らう獣と熾烈な戦いをくり広げる新作RPGだ。原作には『サクラ大戦』や『天外魔境』など、数多くの名作を生み出した広井王子氏が参加。さらにキャラクターデザインはイラストレーターのLAM氏、音楽考証を指揮者の栗田博文が務めるなど、そうそうたるメンバーが制作に参加している。
本作の舞台は、人間を喰らう獣 “Despair Dolls”(以降、D2)が跋扈する地球。D2は人間の奏でる旋律に惹かれる習性を持つため、本作の世界では音楽が禁忌とされている。しかし敵に対抗できる唯一の手段も音楽の力だったのだ。そこで活躍するのが、音楽を力とする少女“ムジカート”と、彼女たちを導く者“コンダクター”だ。
プレイヤーはコンダクターの朝雛タクトとなり、個性豊かなムジカートを育成しながらD2との戦いに身を投じていく。世界観が壮大で魅力的な本作はターン制のコマンドバトル。パーティー編成や戦闘中のポジションが勝敗をわける重要な要素となる。さらに戦況を一変させるド派手な必殺技“ミュージカルエフェクト”もあり、戦略性と爽快感の両方が楽しめるようになっているのも大きなポイントだ。
-
LAM氏によって生み出されたムジカート、その魅力とデザインのこだわりを訊いた
- 運命(声:本渡 楓)
- 木星(声:依田菜津)
- きらきら星変奏曲(声:指出毬亜)
- ワルキューレ(声:上坂すみれ)
- カルメン(声:花守ゆみり)
- くるみ割り人形(声:洲崎 綾)
- ボレロ(声:芹澤 優)
- こうもり(声:朝井彩加)
- 月光(声:黒沢ともよ)
- シバの女王ベルキス(声:高橋李依)
- ダフニスとクロエ(声:河瀬茉希)
- G線上のアリア(声:金元寿子)
- 魔王(声:東城日沙子)
- 威風堂々(声:立花日菜)
- 幻想即興曲(声:河野ひより)
- カノン(声:関 ありあ)
- アルルの女(声:赤崎千夏)※崎はたつさきが正式表記
- エリーゼのために(声:石見舞菜香)
- 白鳥の湖(声:嶋原彩心)
- 魔弾の射手(声:羊宮妃那)
- ラ・カンパネラ(声:菱川花菜)
- 四季・春(声:村上まなつ)
- 四季・夏(声:森永千才)
- 四季・秋(声:真堂 圭)
- 四季・冬(声:野々村真白)
LAM氏によって生み出されたムジカート、その魅力とデザインのこだわりを訊いた
ムジカートは楽曲の楽譜(スコア)を身に宿しており、楽曲名がそのまま彼女たちの名前になっている。おしとやかな“運命”や元気ハツラツの“木星”、堂々とした振る舞いの“魔王”など、個性豊かな少女が数多く登場するため、プレイヤーの心を魅了するムジカートと必ず出会えるのも魅力のひとつだ。
ゲーム内ではメインストーリーに加え、ムジカートとのお茶会が楽しめる“ティーブレイク”という要素があり、そこではキャラクターたちの意外な一面や、本音が見えてくる。本記事で気になる子を見つけたらティーブレイクで交流を深めてみてはいかがだろうか。
そんな本作の顔である多彩なムジカートを手掛けたのはイラストレーターのLAM氏。LAM氏はどのようにして彼女たちをデザインしたのか、そしてどういった部分にこだわったのか、コメントをいただけたのでムジカートの魅力とともに紹介していく。
運命(声:本渡 楓)

LAM氏のコメント
開発の最初の段階で企画書用に描いたのが運命でした。有名な“ダダダダーン”のメロディーがとても印象的ですが、 全体を通して非常に美しい楽曲です。 運命に翻弄される儚さ、運命を楽しむ鮮やかさ、そして運命に立ち向かう力強さをこの楽曲から感じ、“運命の赤い薔薇”をモチーフに真っ赤なムジカートをデザインしました。髪型は作曲者のベートーヴェンをイメージした銀色で、ロールした髪を毎回描くのがたいへんですがお気に入りです。
木星(声:依田菜津)

LAM氏のコメント
昔から聴いていた大好きな楽曲です。映画のオープニングのようなワクワクする導入、壮大な物語性を感じるメロディー、聴いていてすべてが楽しいです。有名なメロディー部分にあるような、純粋さと力強さ、そして決意を感じる芯の通ったムジカートをイメージしました。元気いっぱいで爽やかな印象に仕上がったと思います。
きらきら星変奏曲(声:指出毬亜)

LAM氏のコメント
誰もが聴いたことのあるきらきら星変奏曲は、聴いていて元気になるような、 幸せな気持ちでいっぱいになる星のようなムジカートが浮かびました。短冊のようなボリューミーな髪の毛がこだわりポイントです。 あまり描いたことのない小さな子だったので最初は四苦八苦しましたが、チームの皆さんとのキャッチボールを経て無事かわいく着地させられました。
ワルキューレ(声:上坂すみれ)

LAM氏のコメント
激しい戦地の上空に戦乙女が降り立ち輝いている、そんな荘厳なイメージが湧くエネルギッシュで美しい楽曲だと思いました。美しさと力強い印象にすべく、白を基調に甲冑をイメージしたドレスを仕立てました。髪と左目のお化粧、耳飾りは戦乙女の翼をイメージしています。ワルキューレはアニメでも活躍してくれて登場機会が多く、個人的にも思い入れのあるムジカートです。
カルメン(声:花守ゆみり)

LAM氏のコメント
子どものころに初めて見たオペラが“カルメン”でした。 パワフルで元気、 かと思えば穏やかで妖艶、 聴いている人を虜にするような緩急のあるこの楽曲から、 大人の色気の漂う女性が浮かびました。 艶やかなロングの黒髪と、 踊り子のようなセクシーな衣装がお気に入りです。 当時描いたキャラの中ではいちばんセクシーなキャラクターかもしれません。
くるみ割り人形(声:洲崎 綾)

LAM氏のコメント
有名なフレーズをたくさん有するこの楽曲は、かわいくて楽しくて美しい、素晴らしいバレエ音楽です。表情がコロコロと変わるような曲の印象から、愛らしいムジカートをイメージしました。ドイツのくるみ割り人形をモチーフにした大きな帽子と、ハート型に結ったおさげはすごくお気に入りです。
ボレロ(声:芹澤 優)

LAM氏のコメント
2種類の旋律をくり返しながら、1曲を通して徐々に高まっていくメロディーが壮大で美しい楽曲でワクワクします。穏やかな導入からクライマックスまでのボルテージの上りかたが素晴らしく、静かに燃える青い炎のようなイメージが浮かびました。クールでボーイッシュなシルエットと、大ぶりな髪飾りや腰のフリルの対比がこだわりポイントです。
こうもり(声:朝井彩加)

LAM氏のコメント
自由かつ感情豊かな楽曲で、目を離すとすぐにいなくなってしまうような気まぐれでいたずら好きなムジカートのイメージがすぐに湧きました。喜劇の曲なので明るく楽観的な印象にしつつ、題名の蝙蝠をイメージしたシックな黒基調のドレスにしました。角状のヘンテコな髪型や蝙蝠型のマントなど、ユニークなシルエットをたくさん取り入れました。
月光(声:黒沢ともよ)

LAM氏のコメント
曲を聴いて最初に浮かんだ情景は“夜の湖に映る月”でした。静かにたゆたうような優しく儚いメロディーがとても印象的ですが、非常に激しい旋律も持ち合わせたギャップのある楽曲で、聴いていてドキドキしました。湖畔の波のような穏やかな流線型のドレス、水を連想する青色、ダウナーな目もとで月夜の湖が似合うクールビューティーなムジカートを目指しました。
シバの女王ベルキス(声:高橋李依)

LAM氏のコメント
エキゾチックで壮大、題名の通り偉大な女王の貫録を感じる、1本の映画を観たような錯覚を覚えるほど物語性に富んだ楽曲です。金で装飾された豪華絢爛で、華麗で気位の高いムジカートをイメージしました。美しい黒髪と、シースルーのセクシーな衣装がこだわりです。
ダフニスとクロエ(声:河瀬茉希)

LAM氏のコメント
美しく雄大な自然を感じる、ファンタジー世界に迷い込んだような気持になる大好きな楽曲です。アイルランドの羊飼いをイメージして、緑の民族衣装を着せ羊のツノがついたボンネットを被せました。題材の登場人物ダフニスとクロエの二人をイメージしてオッドアイにしています。
G線上のアリア(声:金元寿子)

LAM氏のコメント
結婚式でお馴染みのこの楽曲からは、美しく幸せになることを祝福されているような優しさと愛情を感じました。白く儚く美しい、愛を求めている美しい少女をイメージしてデザインしました。いままでデザインしたことのなかったキャラクター性のムジカートだったので、愁いを帯びた顔立ちがすごくお気に入りです。G線1本で演奏できるという点を意識して、孤独感が強く寂しがり屋な一面を持っています。
魔王(声:東城日沙子)

LAM氏のコメント
私が小学生のころに初めて聴いたときはとても怖かった曲です。恐ろしくも美しい、そんなイメージでデザインしたムジカートです。おどろおどろしい見た目になりそうな曲調ですが、美しく力強い歌声の印象もだいじにしたいと思い、白をベースとした配色にチャレンジしてみました。じつはデザインするときはその楽曲をひたすらループして聴いていたので、ずっと怖かったです。
威風堂々(声:立花日菜)

LAM氏のコメント
迫力のある厳かな曲調に、高潔でまっすぐなイメージが浮かびました。誇り高く信念を持って前に進んでいくムジカートにしたいと思い、自信に満ちて堂々とした印象をだいじにしました。威厳のあるとてもかっこいい曲ですが、日本ではとても親しみのある曲でもあるので、バランスを取るのがたいへんでした。
幻想即興曲(声:河野ひより)

LAM氏のコメント
笑顔ではしゃぎまわるような、だけど底知れない美しさと恐怖を兼ね備えた、とってもかっこいい曲だと思います。激しく美しいアルペジオが特徴的な楽曲なので、戦闘を楽しく動き回るような元気なムジカートをイメージしてデザインしました。じつは幻想即興曲は何年も前の企画初期にデザインしたムジカートです。楽曲の印象に引っ張ってもらって、すらすらと描くことができた子でとくに苦労しませんでした。その後のムジカートのデザインに大きな影響を与えた存在ですね。
カノン(声:関 ありあ)

LAM氏のコメント
平和を愛する美しいムジカートのイメージが真っ先に浮かびました。この曲を聴くときは幸せな気持ちになっているときが多いからかもしれません。デザインする際は穏やかさに身を任せすぎて儚くなりすぎないように注意しました。壮大で力強いメロディーの印象もしっかり反映させるべくがんばりました!
アルルの女(声:赤崎千夏)※崎はたつさきが正式表記

LAM氏のコメント
戯曲のイメージが強い楽曲で、“タンタンターン”から始まるメロディーはすごく記憶に残っていました。地域にゆかりのある楽曲なので、南フランスの素敵な女性のイメージが浮かびました。力強さとメロウなメロディーが共存する、素敵な曲です。楽曲の元ネタ的にも魅力的な女の子である必要があったので、思わず一目ぼれしてしまいそうなムジカートを目指しました。
エリーゼのために(声:石見舞菜香)

LAM氏のコメント
タイトルからも女性的で愛らしい印象の楽曲なので、ガーリィーなイメージのムジカートが浮かびました。キャッチーなメロディーがとても印象的で知っている方も多い有名な楽曲ですから、みんなに愛されるムジカートになって欲しいという想いを込めてデザインしました。ぱっと見で分かる大胆なシルエットがお気に入りです! あっという間にデザインできたムジカートでした。
白鳥の湖(声:嶋原彩心)

LAM氏のコメント
超有名な楽曲で、イメージは一発ですぐに浮かびました。白と黒の2色が印象的な楽曲です。物語の軸となるふたりの娘の要素をひとりのムジカートに落とし込む作業が楽しかったです。イメージはすぐ浮かんだので苦労せずにデザインできました。個人的にかなりお気に入りのデザインです。
魔弾の射手(声:羊宮妃那)

LAM氏のコメント
まるで映画を見ているような、物語性を強く感じるかっこいいオペラ楽曲です。曲名にもなっているモチーフがとても印象的で、絶対に外さない射撃の名手をイメージしてデザインしました。あまりいないタイプのムジカートなので、描いていて新鮮で楽しかったです。
ラ・カンパネラ(声:菱川花菜)

LAM氏のコメント
“ラ・カンパネラ”はLAMが好きなクラシック楽曲トップ3に入る楽曲なので、ワクワクしながらデザインしました。非常に難度の高い複雑でかっこいいメロディー、演奏する人によって聴こえかたが大きく変わる自由自在な表情から、天才肌の自由なムジカートが浮かびました。こだわりのポイントとしては、鐘(campanella)をイメージしたドレスのシルエットです。昔から好きだったクラシック楽曲で何回も聴いたことがあったので、割とすぐにデザインが決まりました。
四季・春(声:村上まなつ)

四季・夏(声:森永千才)

四季・秋(声:真堂 圭)

四季・冬(声:野々村真白)

LAM氏のコメント
四季は馴染みのある楽曲が多く、聴いたことのある人も多いかと思います。僕も大好きな楽曲なので、デザインするのを楽しみにしていました。春夏秋冬の4曲で“四季”ということで、統一感、ユニット感を意識しています。ツートンの髪、花模様、色とりどりの花をあしらった衣装は力作です。作曲者ヴィヴァルディの出身地にちなんだヴェネツィアカーニバル衣装のような、見ていて楽しい4人になるよう心掛けました。共通の衣装イメージが決まってからは、いかに楽曲の個性を反映させるかだけ考えればよかったので、比較的スムーズにデザインできました。ただ、花がたくさんついているので、描くのがとてもたいへんでした(笑)。