2023年7月28日、スパイク・チュンソフトが『ぼくのなつやすみ』(以下、『ぼくなつ』)を手掛けた綾部和氏の最新夏休みゲームをNintendo Switchでリリースする。

 そのタイトルは『なつもん! 20世紀の夏休み』(以下、『なつもん!』)。“なつもん”には、“夏を極めた者”という意味が込められており、プレイヤーはオープンワールドで表現されたよもぎ町を舞台に、虫捕りや魚釣り、ラジオ体操、夏祭りなど、夏休みならではのイベントを満喫できる。

『なつもん!』レビュー。どこにでも登れるのが探求心を刺激しまくる。子どものころに戻って夏休みを遊び尽くせるアドベンチャーに期待大
プレイヤーの分身となる主人公の男の子は、サーカス団の団長の息子。夏休みの1ヵ月間、よもぎ町に滞在して町内や周辺を自由に探索できる。
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 6月上旬、新潟県でメディア向けのハンズオン(いわゆる体験会)と、木下大サーカスの見学ツアーが開催された。本稿では、ひと足早く本作をプレイした記事担当ライター・ジャイアント黒田によるゲームのレビューと、木下大サーカスを鑑賞した感想をお届け。

 なお、綾部氏を始めとした本作の開発陣へのインタビュー記事と、ゲームプレイ映像も用意。こちらもぜひ観てみてほしい。

童心に帰って虫捕りと魚釣りに熱中!

 筆者は18歳で上京するまで、広島県の田舎町で生まれ育った。周囲は田んぼと山に囲まれており、昆虫たちの宝庫。夏休みはシオカラトンボやオニヤンマを追いかけたり、木に砂糖水を塗ってカブトムシを捕まえたりもした。瀬戸内海にほど近く、釣り場にも困らなかった。自分で釣り上げたキスやアイナメは、格段に美味しかったのをいまでも覚えている。

 本作で虫捕りと魚釣りを体験して、兄弟や友だちと夢中になって野山や浜辺を駆け回った当時の記憶が蘇ってきた。虫は虫捕り網を使って採取できるほか、静かに近づけば手掴みでも捕まえられる。捕獲できる虫は200種類とバラエティー豊かで、コンプリートを狙う楽しみもある。

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 虫捕りの操作自体はシンプルなのだが、コツを掴むまでは、網の中に虫をうまく捉えるのがなかなか難しい。子どものころ、虫捕りで悔しい思いをしたのをアラフォーになって再び体験できるとは(苦笑)。一心不乱に網を振り回して何とか捕まえたが、木にハチミツを塗っておびき寄せたり、おもちゃの銃のグリ鉄砲で虫を撃って捕まえたりと、捕獲方法が多彩なのもうれしい。

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 一方、魚釣りは餌を用意する必要があるものの、ヒットするまでの待ち時間がほとんどなくて、リアルよりも非常に快適。魚の口に針を引っ掛ける“アワセ”も、“Hit”の文字に合わせてタイミングよくボタンを押すだけとシンプルだ。川では淡水魚、防波堤などでは海水魚が狙えるうえ、20種類の魚種が収録されており、自分が釣った魚が晩ごはんのおかずになる要素も釣り師としての血が騒ぐ。

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 新たな虫を捕まえたり、魚を釣ったりしたときに、主人公が記録する絵にも注目を。子どもが描いたような味のある絵になっており、ほほえましい気持ちにさせてくれる。主人公、絵心あるな。

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探求心を刺激するオープンワールドの世界と壁登りのシステムの虜に

 今回のハンズオンで筆者がもっとも時間を割いたのは、オープンフィールドで表現されたよもぎ町とその周辺の探索だ。昭和な町並みを彷彿とさせるノスタルジーな雰囲気のよもぎ町の周囲には自然豊かな山や海が広がっており、あの先は何があるんだろうと、探求心が刺激される。

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探索の途中で見つけた人面岩(筆者が命名)。よもぎ町には、不思議で魅力的なスポットが数多く用意されている。

 スタミナが続く限り、木や家の壁、煙突、崖など、フィールドのほぼすべての場所を自由に登り降りできるのも、探索を続ける大きな原動力に。筆者は高所恐怖症だが、子どものころは恐怖心よりも好奇心が勝り、高いところに登っては、ひとりで降りられなくて後悔したっけ……(苦笑)。

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スタミナは、ステッカーを集めると増えていく。ステッカーは、イベントやクエストなどの冒険をクリアーすると入手可能。

 本作では、そんな子どものころに抱いた高所への憧れを思う存分に堪能できる。高所に珍しいアイテムが隠されていたり、ムササビのように滑空できたりするのも楽しい。オープンワールドのゲームに採用されている、高所からの落下ダメージがないのもユーザーフレンドリーだ。

 ちなみに、ハンズオンで登頂できた場所で、いちばんのお気に入りは山城だった。試行錯誤をくり返し、近くの山からたどり着けたときの感動はひとしお。時刻のタイミングもピッタリで、城の上から見える夕日は絶景だった。

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住人との交流やサーカス団の演出など、チャレンジできるコンテンツが満載!

 本作はほかにもイベントを通して住人と交流したり、夏祭りに参加したり、サーカスの公演を手伝ったりと、多彩なコンテンツが用意されている。

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 これらの要素は夏休みを進めていくと徐々に解放されていくので、プレイヤーのペースで気になるコンテンツからじっくり進めていくことができそうだ。今回は、物語中盤のセーブデータが用意されており、サーカスの公演の手伝いの一端も体験できた。

 とあるきっかけで、主人公はサーカス公演の演出にチャレンジすることに。演目や楽曲を決めて、公演を成功に導くのが主人公の役割だ。演目はつな渡りや空中ブランコ、ジャグリングなど、サーカスでおなじみのものが多数用意されていた。

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 本来は、公演をくり返し行うことでサーカス団のランクがアップ。一回の公演でより多くの演目を披露できるようになり、新たな演目や衣装、楽曲が入手できるという。つまり、公演を成功させるだけではなく、サーカス団を発展させる楽しみも体験できるのだ。

 演目のパフォーマンスも見応え十分。ランクが低いと演目が失敗することもあり、本物のサーカスのようにハラハラドキドキしながら観賞できた。なお、失敗したときのユニークな演出はゲームならでは。成功したときと見比べてみるのもおもしろそうだ。

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つな渡りに失敗し、大事なところを強打する一幕。トコトコさんの大事な“トコトコさんジュニア”がたいへんなことに!

 約2時間のハンズオンはあっという間に終了。本作の魅力をひと通り体験するには「時間がぜんぜん足りない!」、「もっと遊びたい!」というのが本音だったが、新たな夏休み体験ゲームの魅力は十分に堪能できた。

 『ぼくなつ』シリーズのファンはもちろん、オープンワールドを探索するのが好きな人にもオススメできるタイトルになっている。今年の夏は『なつもん!』で、子どものころに体験した夏休みを過ごしてみてはいかがだろうか。

サーカスに興味を持った人は木下大サーカスへ行こう

 ハンズオンの開催地がスパイク・チュンソフトのある東京ではなく、なぜ新潟だったのかというと、6月上旬に木下大サーカスの新潟公演が行われていたから! 記事の最後に公演を鑑賞した感想をお伝えしよう。

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木下大サーカスのテント。想像以上にデカくてビックリ!

 筆者のサーカスの知識と言えば、マンガの『からくりサーカス』で得た程度。幼少期に家族で観に行ったことがあるような記憶がうっすらと残っているのだが、ともあれ久しぶり(多分)のサーカスに、非常にワクワクしていた。

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開演前に、団員のブライアン・ドレスナー氏が、ジャグリングを見せてくれることに。間近でくり広げられるパフォーマンスは迫力満点! ちなみに、9代続くサーカス一家で生まれ育ち、奥さんと息子さんもステージに立っているとのこと。

 テントの中はまさに別世界。結論から言うと、約2時間にもおよぶショーはあっという間だった。ジャグリング、フラフープ、オートバイ、象やホワイトライオンの猛獣ショー、空中ブランコ……。眼前でくり広げられる演目はどれも迫力満点で新鮮な体験だった。

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積み上げた椅子の上で曲芸を披露する出演者。筋力とバランス感覚、何よりも勇気や度胸がすごい!

 とくに印象的だったのが、回転する大車輪の上で演技を行うウィール・オブ・デスの演目。出演者たちは涼しい顔でパフォーマンスを披露してくれるのだが、車輪の上で縄跳びにチャレンジしたりと、見ているほうは気が気じゃない。この感動は、実際に生でサーカスを見ないと味わえないものだった。

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 木下大サーカスは、2023年7月8日から札幌公演、10月29日から千葉幕張公演を開催予定。『なつもん!』でサーカスに興味を持った方はぜひチェックを!

木下大サーカス・取締役 木下英樹氏のコメント

 

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 木下大サーカスは明治35年、いまから121年前に中国の大連(中国南部の都市)で私の曽祖父が旗揚げしました。年間に4場所から5場所ぐらい、現在は日本の国内だけですが、戦前はハワイや中国、フィリピンなどの海外で公演を行っていました。

 木下大サーカスは、小さい子どもからお年寄りまで、3世代、4世代に渡って楽しめるファミリーエンターテイメントです。皆様に夢と勇気と感動をお伝えしていますので、ぜひ会場でご覧ください。

木下大サーカス公式サイト
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