2023年5月16日にプレイステーション5(PS VR2対応)、プレイステーション4(PS VR対応)、Steam(PC VR対応)にて配信予定のアクションパズルゲーム『HUMANITY』。thaとエンハンスが共同開発し、販売はエンハンスが担当する。なお、配信同日にはサブスクリプションサービス“PlayStation Plus(PS Plus)”のゲームカタログに登場し、エクストラ及びプレミアム会員は追加料金なしでプレイできる。
本記事では、プレビュー版『HUMANITY』を遊んでのレビューをお届け。ゲームの流れを説明するために最序盤のステージ攻略手順は公開するが、それ以降、回答手順や物語のネタバレはないのでご安心を。また、プレビュー版ゆえに製品版と異なる部分があるのでご注意を。
群衆アクションパズル『HUMANITY』先行プレイ動画
人間たちがワラワラと動き回るパズルゲーム
『HUMANITY』は人間たちをゴールまで導く、アクションパズルゲーム。章区切りで全90ステージが用意されており、さまざまなギミックを駆使してステージを攻略していく。
最大の特徴とも言えるのが、歩き回る人間たちの群衆だ。この人間たちを眺めているだけでも妙に気持ちよく、ゴールまで到達した綺麗な列の流れは独特の爽快感を味わえた。
また、ギミックの中には人間がジャンプしたりするものもあり、群衆が飛び交いながらゴールまで歩む姿など、通常では見られない風景が楽しめる。パズルを解いた達成感、そして人間たちの動きによるビジュアルの気持ちよさ、このふたつが『HUMANITY』の大きな魅力と言えるだろう。
どうやって遊ぶゲーム?
プレイヤーは白い柴犬を操作し、ステージ中にアクションアイコン(正式名称はアイテム)を置いて、群衆をゴールまで導いていく。人間たちは基本的に出現地点から前進しかせず、ステージの端に辿り着けばそのまま落下してしまう。
アクションアイコンにより方向転換を指示したり、ジャンプするようにアクションアイコンを置くことで、人間たちをゴールまでうまく誘導するのが、プレイヤーの役目であり、本作のパズル要素となっている。
といった感じで、ステージごとのギミックを考えながら道筋を考えていこう。クリアーするだけなら比較的カンタンだが、金色の巨人“ゴールディ”をゴールまで導くのはひと苦労。ゴールディはステージの決められた場所に設置されており、人間たちが触れると群衆に合流。
ゴールディは通常の人間とは異なり、落下するとステージリセットをしないと復活しない。やり込み要素のひとつではあるが、ゴールディをゴールさせた数でシステム、ファッションアイテムなどが解放されるほか、章のラストステージ解放条件にもなっている。
最初は群衆をゴールまで1本の線を描くように誘導する、いわゆる“一筆書き”のようなものが多いが、ステージが進むにつれてギミックはどんどん凝ったものになっていく。たとえば指示をリアルタイムで変更しなければならないものや、アクションアイコンの設置数が決められたもの、アクションアイコンの設置がスタート前のみにしかできないステージなど、やり応えのあるギミックが満載で、どれも遊んでいて楽しかった。
とっても遊びやすい配慮
パズルゲームゆえに解きかたがわからないとゲームを進められないが、本作は遊びやすさを重視したさまざまな要素が用意されている。たとえばゴールディを集めると解放される機能には、アクションアイコンの配置状態をセーブしたまま最初からスタートするリセット機能が存在。ちょっとしたミスも、やり直ししやすくなる。
また、時間停止や時間倍速などの機能も追加されていくため、ゴールディを集めれば集めるほどにステージを攻略しやすくなっていくのがうれしかった。
さらに、どうしても解けない人のためにヒント動画も存在する。ヒントどころか、通常クリアーの方法を教えてくれるので、これを見れば必ずクリアーできるというわけ。動画は停止したり時間送り・戻しも可能なので、“ここのギミックだけがわからない”と、一場面だけ見るという使いかたもできるだろう。ちなみにゴールディ取得方法は、基本的に教えてくれない。
驚くほどに充実した物語性
『HUMANITY』はゲームを始めると、いきなりプレイヤーが柴犬であると言われ、人間を導く謎の実験のようなものに巻き込まれていく。これは何なのか? なぜこんなことをしているのか? などの疑問が、謎に包まれたままステージが進行する。
客観的に見て、大半のパズルゲームは物語性を重視していない傾向にあると思うが、本作はしっかりとしたストーリーが付いているのも大きな特徴だ。
ゲーム序盤は人間たちが落下して消えていく、高い場所から地面に落下して消える様などを見て、ついついかわいそうというか、人を消してしまった罪悪感が生まれてくる(物語の中でわかるが、死亡しているわけではない)。その罪悪感も、次第に慣れてしまうのだが。
そのあたりからも『HUMANITY』、つまり“人間性”とは何なのか、深く考えてしまうところ。最後まで遊べば本作のゲーム性に沿った、秀逸なストーリーが楽しめるので、ぜひとも最後まで遊んでほしい。
無限に遊べるクリエイトモード
本編90ステージのほかにも、ユーザーがステージをクリエイトし、全世界に公開できるクリエイトモードが付いている。クリエイトモードで作られたステージは、完全に作り手の自由となっているため、独創性の高いステージも楽しめるだろう。
プレビューバージョンでは、2月に配信された期間限定DEMOの期間中にユーザーが制作したステージを楽しむことが可能だった。たとえば綺麗にクリアーまでの流れを見ているだけで楽しめる“全自動型ステージ”や、風景をメインに楽しむものなど、本編以上に独創性の高いステージを味わうことができた。
公開されたステージには“いいね”を付けたりすることもできるため、ほかのユーザーとコミュニケーションしながらゲームを楽しめる。
“アクション”パズルゲームであること
ゴールまで導くシンプルなパズル性に、群衆の美しさがミックスされた『HUMANITY』。賛否両論ありそうだなと思ったのは、終盤のステージ。本作は理詰めで解くパズル要素がほとんどを占めているが、終盤では本作のジャンルが“アクション”パズルである部分が、強く押し出されている。詳細は控えるが、ゲーム性の変化に驚く人も少なからずいるだろう。
カンタンすぎるようなステージはチュートリアルであるプロローグを除くとひとつもなく、適度な難度が最初から最後まで楽しめる。ゲームの好みや世代を問わず、ぜひとも1度は遊んでみてほしい。