2023年2月2日~5日、台北南港展覧会ホール1にて台北ゲームショウ2023が開催された。今年(2023年)の台北ゲームショウには、25ヵ国から275社が参加。約250ものタイトルが出展されたこともあってか、4日間の累計来場者数は30万人(!)を突破したとのことで、主催者の予想を大きく上回る盛況ぶりだったという。
筆者は今回が初めての台北ゲームショウ取材だったのだが、東京ゲームショウと同じく会場全体に活気があり、一方で東京ゲームショウとはまた異なる雰囲気や特徴も感じられてとても新鮮だった。この記事では、ふだんなかなか知ることができない、台湾最大のゲームショウの実態についてリポートしていきたいと思う。
日本産ゲームがとても多く、その注目度もとても高い!
おなじみ東京ゲームショウの出展タイトルは、日本産タイトルと、欧米を中心とした海外タイトルから構成されているが、台北ゲームショウは、台湾ほか東アジアタイトルと日本産タイトルが大半を占め、欧米タイトルの数が極めて少なかった。コンシューマーもアプリもPCもごちゃ混ぜのアジアゲームショウといった雰囲気、と言えばわかりやすいだろうか。日本産タイトルへの来場者の興味、関心は非常に高く(どのブース、コーナーも大盛況だった)、ニーズの強さもダイレクトに実感できた。会場で目にしたおもな日本産タイトルを羅列してみると……
- Fate/Grand Order(アニプレックス/ラセングル)
- ストリートファイター6(カプコン)
- みんなと街コロ(グランディング)
- Wo Long: Fallen Dynasty(コーエーテクモゲームス)
- ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜(コーエーテクモゲームス)
- 零 ~月蝕の仮面~(コーエーテクモゲームス)
- 三國志 覇道(コーエーテクモゲームス)
- ウマ娘(サイゲームス)
- FOR SPOKEN(スクウェア・エニックス)
- ロマンシングサガ リ・ユニバース(スクウェア・エニックス/アカツキゲームス)
- あけておねがい(ディッジ)
- 災難探偵サイガ~名状できない怪事件~(ディッジ)
- Tokyo Stories(ドリコム)
- スプラトゥーン3(任天堂)
- Nintendo Switch Sports(任天堂)
- Ib(PLAYISM)
- ヘブンバーンズレッド(Wright Flyer Studios × Key)
といったラインアップ。抜け漏れもあるかもしれないが、これだけのタイトルと、さらにはインディーゲームブースにも数多くの日本産タイトルが出展されていた。なお、カッコ内は日本の発売および運営メーカーを指しており、ここに記載のすべてのメーカーが台北ゲームショウに出展しているわけではない(現地の別法人から出展されているケースも多い)。いずれにせよ、コンシューマー、アプリ、Steamなどプラットフォームを問わずにさまざまなタイトルが出展されていて、それぞれが来場者の興味を引く施策を展開していたことに率直に驚いた。趣向を凝らしたブースやコーナーについては、写真から確認してほしい。
なお、個人的にもっともインパクトがあったのは『ヘブンバーンズレッド』だろうか。現地ではまだサービスインしておらず、事前登録中なのだが、キャラクター、ゲーム内容、クリエイターがひと目でわかる巨大パネルと、ゲーム内容などを紹介するステージでブースが構成されていて、強い存在感を発揮していた。率直に力の入れようがスゴかった。
うらやましいほど配布物が多い!
そんな台北ゲームショウの会場を歩いていると、ほぼすべてのブース/コーナーに写真のような立て看板が設置されていることに気づく。まずは写真を見てほしい。
それぞれの写真からなんとなくわかるだろうが、“試遊台でゲームをプレイする”、“アプリをダウンロードする”、“事前登録をする”、“FacebookやYouTubeに登録する”、“指定のハッシュタグでSNSに投稿する”など、出展タイトルごとにユーザーに何らかのアクションを求め、そのリワードとして配布物を渡すという施策が台北ゲームショウではマストになっていた。
しかも、もらえるノベルティの大半は会場限定のファン心理をついた物品もしくはゲーム内アイテムで、それらが惜しげもなく配られていた(写真は、筆者が会場でゲットしたコーエーテクモゲームスと『ウマ娘』の配布物)。
東京ゲームショウでも珍しくない施策ではあるが、その徹底度合いが明らかに違うのだ。こういった施策は日本でももっと取り入れようがありそうだし、ユーザー目線では増えてほしいと感じる(オペレーションは大変かもしれないけど)。ゲームファンが会場まで足を運ぶ動機になり、満足度の向上や各タイトルのファンの開拓にもつながる、とてもわかりやすい施策と言えるのではないだろうか。
会場ではNintendo SwitchもPS5も購入できた!
そのほかに特徴的だと感じたのが、会場内でゲーム機本体を購入できたこと。台北ゲームショウには任天堂、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、マイクロソフトのブースもあったのだが、各ブースでは、ゲーム機本体や周辺機器を会場特別価格で購入することができた。台北ゲームショウでは以前からのスタンダードな取り組みとのことで、これを目当てに来場するゲームファンも多いとのこと。実際に会場で、Nintendo Switchやプレイステーション5本体を購入している来場者も目にした。
ちなみにいまの台湾の為替レートは、1ニュー台湾ドル=4.40円(2023年2月7日時点)となっている。会場ではプレイステーション5本体が17580元で販売されていたのだが、日本円に換算すると77352円になるため、日本で購入したほうが明らかにお得、ということになる(日本におけるPS5ディスクドライブ搭載版の価格は60478円【税込】)。これは完全に余談だが、日本出国時に羽田空港で、プレイステーション5本体を持ち運んでいる外国人観光客を複数見かけたのだが、自国で購入するよりも安いならそうするよな、と改めて納得してしまった。
台北ゲームショウは自由と楽しさに溢れるイベント
そのほか、各ブースが立体的に作り込まれていたり、造形物が多かったり、コンパニオンやコスプレイヤーがブースを彩っていたり、ステージイベントも積極的に展開されていたりと、昨年の東京ゲームショウと比較すると規制が緩く、各出展社が趣向を凝らしながら自由にブース演出をしている印象を強く持った。自然にさまざまなブースが目に入り、思わず足を止めてしまうような、そんな楽しさが会場全体から感じられた。
台北ゲームショウ関連では、本記事とは別に、コーエーテクモゲームスの鯉沼久史代表取締役社長へのインタビューも掲載している。日本のゲームメーカーが台湾市場や台北ゲームショウをどのように捉えているのかが読み取れる内容になっているので、ぜひこちらもご一読いただきたい。