古今東西のインディーゲームを紹介するコーナー。今回お届けするのは、圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、セルビア生まれの問題作『Scorn』(スコーン)。案内人は、女児アニメ好きフリーライターの小林白菜

なんだ、これは!? すべてが謎に包まれたグロテスク・ワールドにようこそ

 目を覚ますと、そこは不気味な施設の一角。プレイヤーは謎の存在となって、この世界を探索していくことになる。

 趣向が凝らされた奇妙なギミックの数々を解き、迫りくる恐ろしい生物たちを退けて――。制作に8年の歳月を費やして構築された圧巻のグロテスク・ワ
ールドを、心ゆくまで堪能しよう。

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
『Scorn』Microsoft Storeサイト 『Scorn』Steamサイト

刺さる人には刺さる怪作

 公式では“ホラーFPSアドベンチャー”をうたっている『Scorn』(スコーン)。

 しかし、プレイヤーを驚かせるような演出は皆無。本作が楽しめるかどうかは、まず“作品世界の造形に魅せられるかどうか”、それから“ヒントの少ない謎解きと、やや不条理な戦闘を受け入れられるかどうか”にかかっていると言えるだろう。もし、ホラーが苦手でも、ビジュアルに心を惹かれた人は、ぜひこの世界に飛び込んでみてほしい。

▼仕掛けを解き、まだ見ぬ場所へ

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
ゲームは全編主観視点で進行。待ち受ける頭を悩ませるギミックの数々は、どれもが名状しがたい造形をしている

▼嫌な想像ばかりがかき立てられる

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
施設の片隅で見付けた、人間に似た生きものたちの積み重なった亡骸。いったい何をしていた場所なのか?

目を逸らせない、常軌を逸したアートワーク

 本作のビジュアルは『エイリアン』のクリーチャーなどをデザインしたH・R・ギーガーと、ネット上で“3回見たら死ぬ絵”と呼ばれる作品などを手掛けたズジスワフ・ベクシンスキーから影響を受けている。

 現実離れした造形の数々は、悪趣味でありながら独特の“美”も感じられる。歩みを進めるたびに目の前に広がる光景や、用途不明な装置の数々に、嫌悪感さえ覚えるはずなのに、なぜか目を逸らせない。

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
道を切り開くために配置された装置も、一貫して生物的な機構を備えている。

▼意志を持った生物か? 目的のため作られた装置か?

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
お腹のあたりに何かを宿しているように見える人型の存在。起き上がる気配はないが、生命活動を停止しているわけでもなさそうだ。

蠢き出す、正体不明の生き物たち

 ゲーム序盤は探索と謎解きのくり返しだが、中盤からは施設内を謎の生物が徘徊。こちらも探索中に手に入れた銃で応戦することになる。銃弾の所持数が心もとなければ逃げるのも選択肢のうち。

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】

ボボボ…… ボボボボォォォ

ぐちゃぐちゃ……ぐちゃ……

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
銃や回復装置もやはりグロテスク。しかし身を守るための心強い味方だ。

旅路の果て、最後に目撃する光景は……?

 システム説明以外で言語が用いられておらず、ストーリーや作品世界が意味するものの解釈もプレイヤーに委ねられている本作。終盤の衝撃的な展開の数々から何を受け取るか―― それもまた、あなた次第だ。

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
謎の生物の姿かたちも多種多様で、攻撃性があるモノばかりではない。彼らとどのように関わるかはゲームをプレイしてのお楽しみ。

◆タスケテ……タス……ケテ……

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
カプセルに閉じ込められた胎児のような存在。目の前の装置には、これをはめ込めそうなくぼみが……。何が起こるのだろうか……?

▼最後の瞬間まで、目を逸らせない

『Scorn(スコーン)』圧巻かつ奇怪なビジュアルが忘れられない体験へと誘う、アクションアドベンチャー【とっておきインディー】
ストーリーの解釈はプレイヤーに委ねられている。常軌を逸した光景に何を思う?

Scorn(スコーン)

  • プラットフォーム:Xbox Series X|S、PC
  • メーカー:Kepler Interactive
  • 開発:Ebb Software
  • 配信日:2022年10月14日配信
  • 価格:Xbox Series X|S版は4650円[税込]、PC版は4180円[税込]
  • ジャンル:アクションアドベンチャー 
  • IARC:18歳以上のみ対象
  • 備考:ダウンロード専売 Xbox Game Pass対応
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