世界最大級のECサイト、というだけじゃない。Amazonはさまざまなデバイスの開発も手掛けているハードウェアメーカーでもある。スマートスピーカーのEchoシリーズ、タブレットのFireシリーズや、電子書籍リーダーのKindleシリーズを使っている方も多いだろう。ハードウェアスペックは特段に秀でたものを持たないが、日常的な使いかたであれば便利でハイコスパだと感じるモデルが多い。
これらAmazonデバイスの中で、最大サイズのスマートディスプレイがEcho Show 15だ。15.6インチのフルHDディスプレイには天気予報や予定表、リマインダーと連携したウィジェット、お気に入りの写真などのウィジェットを表示可能。迫力あるサウンド再生を得意とするスピーカーも内蔵している。これをしばらく使ってみたらすばらしいエンタメプレーヤーだったのでその魅力を紹介していく。
Echo Show 15の購入はこちら (Amazon.co.jp)ひと昔前のEcho Show 15は動画サービスとの相性がイマイチ
2022年4月に発売されたEcho Show 15だが、日本ではいまいちパッとしないアイテムだった。なぜならばEcho Show 15はFireシリーズのように多種多様なアプリを使ってカスタマイズできないし、バッテリーも内蔵していないデバイスだからだ。
声でコントロールできるスマートスピーカーのEchoにディスプレイがついた、という立ち位置ゆえに、Echo Show 15が使えるアプリはAmazon AlexaおよびブラウザのAmazon silk。そしてブラウザ上で動作する一部のウェブアプリくらい。せっかくの大画面があるというのに、Amazon silkで再生できる動画サービスは音声によるフルコントロールは叶わず、デスクトップモードにして指での操作も必要なので使い勝手はよくなかった。
「家族の予定表を常時確認したい」「つねにフォトフレームに表示したい」などの目的ならEcho Show 15はすばらしいデバイスだ。しかし個人用として使うには肝心のエンターテイメントの機能が乏しい。
そして15.6インチというディスプレイは、日本の住宅環境を考えると大きく感じる。テーブルや棚の天板に置くのであれば、スタンド構造を取り入れているEcho Show 8の大きさがベストじゃないだろうか。
……という感想を持っていたが、これからEcho Showシリーズを買うというならEcho Show 15も積極的に推していきたいという気持ちに変わった。というのもEcho Show 15に待望のFire TV機能が備わったからだ。
ハンズフリー&大画面でさまざまな動画が見られる幸せ
Fire TV機能により、Echo Show 15でABEMA、Netflix、プライムビデオ、YouTubeなどのサービスをリモコンで選んで多種多様な番組を楽しめるようになった。「アレクサ、Fire TVで映画を見せて」と観たいコンテンツ名を喋ってエンタメにサッとアクセスできる。リモコンが付属するモデルも販売されているので、声でコントロールするのは億劫だ、という方でも安心してほしい。
キッチンに壁掛けでセッティングすれば、調理のために両手がふさがっているあいだでも溜め込んだストリーミング映画やアニメを見られる。もし防水仕様の壁掛けキットがあるならばバスルームやトイレにもEcho Show 15を設置したいと思わせるほど快適だ。
仕事スペースにモニターアームを設置して、Echo Show 15を固定するのもいいだろう。BGM代わりとして推しの配信やスポーツの実況をながら聞きして、盛り上がったシーンがあったら「アレクサ、3分もどって」といったように、音声で巻き戻しをすればいいのだから。
動画コンテンツを楽しむうえでサウンドも重要な要素。両サイドにはそれぞれ1.6インチのスピーカーが内蔵されており、ステレオ再生が可能。
通信機能はWi-Fi(2.4/5GHz)とBluetooth。Echo Show 15をスマートフォンのBluetoothスピーカーとして使うことも可能で、Echo Show 15の音声をほかのBluetoothスピーカーに出力できる。
たったひとつの機能が追加されるだけで魅力が大幅に変化する。デジタルデバイスはハードウェアの完成度だけではなく、ソフトウェアによっても満足度が大幅に異なるものなのだと改めて実感したEcho Show 15。据え置き型ゆえに万人向けのモデルではないが、ストリーミングエンタメ専用機としても価値あるデバイスだと感じるものだった。
なおEcho Show 15のFire TV機能を使う上でひとつだけ注意点がある。Echo Show 15は縦横どちらでもセッティングできるように画面の回転機能が備わっているが、Fire TV機能使用時は基本的に横表示。縦位置ではうまく見ることができないサービスがあるため、壁かけにするときは横位置とするべきだ。もしくは縦横回転が可能なモニターアームを使いたい。