近々正式発表を予定しているIP創出プロジェクト『魔女のふろーらいふ』は、魔女×温泉×スローライフというテーマを掲げ、さまざまなメディアでの展開が予定されている。
そのプロジェクトを立ち上げたのは、スマートフォンから携帯ゲーム機、アニメ、はたまたテレビ番組、格闘ゲーム化と広がった『ミリオンアーサー』シリーズなどを手掛けた岩野弘明氏だ。
まったく新しいIPプロジェクトとして始まったこともあり、まだ全貌が見えない『魔女のふろーらいふ』。本作でプロデューサーを務める岩野氏に、どのような作品であるのかを聞いていく。さらに今回、ファミ通.comではタイトル名とタイトルロゴがなんと初公開!
岩野弘明
『魔女のふろーらいふ』プロジェクトでは総合プロデューサーを務める。過去にスクウェア・エニックスで『ミリオンアーサー』シリーズなどを手掛けた。現在は株式会社アカツキゲームス所属。
魔女×温泉×スローライフが生まれたきっかけ。そして温泉が持つ非日常という魅力
――まずは、岩野さんが『魔女のふろーらいふ』プロジェクトにおいて、どのようなことを担当されているのか教えてください。
プロデューサーを担当しています。企画立案から資金の獲得や体制面の構築、制作進行やアセットのクオリティ管理のディレクションなどプロジェクトに幅広く携わっています。
――ディレクション的な部分までご担当されているんですね。早速、プロジェクトのことについて聞かせてください。魔女×温泉×スローライフという不思議な掛け合わせが生まれたきっかけは?
『魔女のふろーらいふ』は2020年あたりから動き始めたんですが、その前にしばらく構想を練っていた期間がありました。
企画を立ち上げる際は、いつも自分がそのときに夢中になっているものを組み合わせて、その熱狂を世の中に届けたいという気持ちで考えています。
じつは僕、温泉が趣味で時間ができたら日本のいろんな温泉地を旅しています。いつか温泉をモチーフにした企画をやりたいなとは思っていたのですが、ちょうどこのプロジェクトを考えていたときに某キャンプアニメにハマっていまして。ゆったりのんびりしたスローライフな要素は、温泉にも通ずる物があると思いました。
”温泉”、”スローライフ”という要素がある中で、そこに自分が過去企画した作品にはほぼ登場させちゃうくらい好きな”魔女”を組み合わせたらどうなるだろう、と想像していきました。
こうしていろいろ自分のなかで熱量が高いものを組み合わせていった結果、魔女×温泉×スローライフというテーマに辿り着きました。もちろんただ好きなものを突っ込んだのではなく、この組み合わせであればそれぞれのよさがさらに引き立つ組み合わせだと考えています。
そのうえで自分が好きなものを入れ込むだけでなく、自分が感じた楽しさやそのときの熱量をアウトプットして、お客さんにも楽しんでいただきたいと思っています。
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#魔女のふろーらいふ
あらすじ紹介
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作品のあらすじはこちら!
魔女×温泉×スローライフをテーマとした
ぽかぽかあたたかい物語を
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#魔女ふろ https://t.co/DUfK9DqeA0
— 魔女のふろーらいふプロジェクト公式 (@majyofuro)
2023-01-13 12:05:13
――意外な誕生経緯でした。作品にもかかわることなのでお聞きしたいのですが、岩野さんが温泉に注目した理由をお聞かせください。
温泉にハマったのは、前職での京都出張がきっかけでした。ひとりの出張で、つぎの日が休日ということもあり、温泉にでも入って帰ろうと思ったんです。じつは、温泉には子どものころ以来入っておらず、「足を伸ばせる広いお風呂」くらいの感覚でした(笑)。
でも、京都の雰囲気も相まってか、すごく惹きこまれたんですよね。ひとりで温泉に入りながら、自分がこれまでやってきたことやこれからの自分を見つめなおす時間にもなりました。
温かいお湯で体が気持ちいいのはもちろん、湯口から流れるお湯の音や鳥の鳴き声、風の音など、温泉を取り巻く環境音がなんとも心地よく、温泉がもたらす癒やしによって頭もクリアになる。この体験が最高だったので、「温泉を深堀ってみたい」と思い、さまざまな温泉地へ足を運ぶようになりました。
“温泉”には入浴する楽しみもありますが、それ以外にも温泉地へ行くまでの道程、その場所での景色やグルメなど、楽しめるポイントがたくさんあります。個人的には車や電車などで温泉地に向かうまでの道のりはロマンを感じますね。
旅をしている非日常感が徐々に湧いてきて、いろんなストレスから解放されるんです。「ああ、この体験はすごくいいな」と思えて。じつは僕、温泉にハマり出した頃っていろいろうまくいかないことや将来に対する不安とかもあったんですが、それを温泉旅が癒やしてくれてたんですよね。でもそういうストレスや不安って多くの人が結構感じてるものだと思うんです。
なので、ものづくりをしている身として、エンタメコンテンツを通して多くの人に温泉のよさやそこで得られる癒やしの感覚を知ってもらいたいと考えたのが温泉に注目したひとつの理由でしょうか。
物語冒頭の舞台は静岡県・修善寺温泉
――小説など『魔女のふろーらいふ』では複数のメディア展開が予定されているそうですが、これら作品ではどのようなことを表現するのでしょうか?
それぞれのメディアによって、違う楽しみ方を満喫してもらえるものを目指しています。
例えば、しっかりシナリオや世界観を楽しみながら作品に触れていくとなると、細かく描写される情景や心理などに注目しやすい小説が適していると思います。小説では、よりキャラクターや世界観、物語を楽しんでいただけるようにしていきたいですね。
――それぞれの続報を楽しみにしております。作品を片手に温泉地へと向かうのも非常に楽しそうですね。
まさに! それぞれのメディアで温泉地の魅力をお伝えしていければと考えています。物語の中心となるのは魔女で、さまざまな温泉を巡りながら温泉にどんどんハマっていくのですが、巡る場所は実際に存在する温泉地です。
作品を通じて実際の温泉旅行を楽しんでいるような感覚に浸ってもらえたらうれしいです。もし、作品がきっかけで実際の温泉にも行っていただけたら最高ですね。
――温泉に行きたくなる作品は珍しいですよね(笑)。なんとなく気になっていたけど、作品を通じて知って興味が出るみたいなことは、よくあると思うので、きっかけとしてはあり得ることだと思います。
我々も実際に温泉地へ行って、「ここ登場させたいね!」という話をよくします。
なかでも、物語冒頭の舞台である静岡の修善寺は、とても素敵なところです。ぜひ、知ってほしい温泉地のひとつです。
異世界最強の魔女が転移先の日本で温泉に目覚める。作品を彩るキャラクターたち
――登場キャラクターについても聞かせてください。どんな人物たちが作品を盛り上げてくれるんでしょう?
まず紹介するのは、物語の中心人物であり異世界最強の魔女・サピテトルーです。王道の異世界ものでは勇者と魔王がいて、争いがあって……という感じだと思いますが、そういう争いをサクッと解決できてしまうくらい強い魔女です。それだけ強いと、しがらみがあったり、煩わしいことだってあります。
そういうものから逃げるように、異世界転移魔法を使ったところ、日本の修善寺にやってきました。その際に記憶を失ってしまいます。そこで一條ゆのかという、修善寺に住む女子高生と出会うんです。
ゆのかは、天真爛漫でポジティブ。温泉地で育ったんだと想像できるキャラクターです。サピテトルーは、ゆのかに出会うことで温泉がよいものだと気づかされます。加えて、温泉に入ったことで記憶がほんの少し戻ります。
温泉は記憶をよみがえらせるために、もっと味わうべきものかもしれないと思い、温泉巡りの旅が始まります。そして、その旅にはゆのかをはじめとする“温泉同好会”の女の子たちとの交流も欠かせません。初めはふたりが出会うことで、物語が進んでいきます。
――“温泉同好会”以外のキャラクターも存在するのでしょうか?
もちろんです。“魔女の”とタイトルについている以上、異世界側のキャラクターも登場します。先ほどの“サピテトルー”は、異世界でいろいろなことをしていたものですから、異世界で「サピテトルーが別の世界に転移したらしい」と噂になってしまいます。
「転移先でやらかすかもしれないから、止めなければ」という人もいますし、サピテトルーを崇拝している人も、追いかけてきます。サピテトルーと関係を持った人々が現代に訪れることになってしまうんです。
――異世界の人たちとくり広げられるドラマも見どころなんですね。
異世界人がこちらの世界にやってきてどうなるのか。温泉の魅力に屈服してしまうのか、それとも全然違う展開になるのか、楽しみにしてほしいです!
これは温泉ソムリエが作っている作品です
――お話を聞いているだけで、温泉に行きたくなってきました。
そうですね(笑)。ちなみに温泉が好きすぎて温泉ソムリエという資格を取りましたよ。
――温泉ソムリエ!? 失礼ながら温泉をテイスティングとかはしませんよね?
しませんよ(笑)。セミナーを受講すれば取れます。温泉を楽しみながら受講できるみたいな回もあるようですね。
セミナーでは、泉質ごとにどのような効果があるのか、温泉の定義とはみたいなことを学べます。温泉ソムリエの上位に、“温泉ソムリエマスター”というものも存在するんですよ。
――なんか上級職みたいなのが出てきましたね。
マスターになるには、より具体的な講義を受ける必要がありますね。じつは、温泉好きが高じて、温泉関連の資格を5個くらい持っています(笑)。
――ええ、5個もですか!?
はい。“サナトリウム健康アドバイザー”や“温泉観光アドバイザー”とかですね。あと、この作品作ってる人みんな温泉ソムリエだったら説得力あるしおもろくない? ってことで企画している人たちはだいたい温泉ソムリエの資格を持っていたりします。
ちなみに豆知識ですが、ざっくりいうと源泉温度が25℃以上か特定の成分が一定量含まれているものを温泉といいます。なので源泉温度が冷たくても温泉っていうこともあるし、そういうのものを冷鉱泉といいます。
――いきなりソムリエっぽいことを言い出しますね。でも、『魔女のふろーらいふ』がきっかけで温泉ソムリエを取りました、みたいな人も将来的にはいらっしゃるのでは。
そうなったら、温泉ソムリエのオフ会とかしたいですね。
日常を眺めているだけで温泉の知識と温泉に行きたい欲が高まる作品に
――『魔女のふろーらいふ』で展開していく物語や見どころについて、可能な範囲でお教えください。
サピテトルーは、温泉はもちろん、スマートフォンや緑茶など、現代日本の文化自体何も知りません。現代日本と異世界のギャップに驚く様子は、かわいくて見どころですね。逆異世界転生的な反応をするというか。日本の文化、科学技術などを理解し始めると調子に乗ってしまうところは、とくに“らしさ”が出ています。
異世界のキャラクターがどう動き回るのか、どう温泉にハマっていくのか。異世界と現代、そして温泉が交錯する物語が展開されるので、そこは普通の温泉ものとは違う体験ができると思っています。とくに小説では、行く先々の温泉地の魅力をより掘り下げています。
サピテトルーが温泉や日本文化にふれて、どう変わっていくのか。それを取り巻く人間模様、異世界と現代日本が巻き起こすハチャメチャも魅力なので、そこもを楽しんでいただきたいですね。
キャンプや登山など、趣味を題材にした日常系作品が女の子たちのゆるふわ日常を眺めながら自然と趣味の知識が蓄えられてその体験をしてみたくなるように、『魔女のふろーらいふ』では彼女たちの日常を眺めているだけで温泉の知識と温泉に行きたい欲が高まっていくものにしていきたいです。
――友人と温泉地に行ったときに、ちょっとした豆知識を披露できそうですよね。
当然、ドヤ顔で語れます(笑)!
――本格的にプロジェクトが始動した後は、実際の温泉地とのコラボレーションなどは考えられているのでしょうか?
そうですね。修善寺の新井旅館さんには、作品の舞台にさせていただくにあたり、現地を取材をさせていただくなどご協力いただいています。その他、いろいろな温泉地を旅する物語なので、作中の旅先はもちろん様々な温泉地とのコラボイベントがあってもおもしろいなと考えているところです。
個人的には“宴会場ライブ”を仕掛けてみたいです。賛同してくれる旅館があれば、宴会場を借りて、『魔女のふろーらいふ』の歌を集まってくれた人たちと楽しめたらいいなと。
ちょっと前のイメージかもですが「温泉旅館といえば宴会場」というくらいセットのイメージなので、これを満喫しない手はないと思っています。
――いつか実現したら、ぜひ取材させてください。最後に、『魔女のふろーらいふ』を楽しみに待っている方々へ向けてメッセージをお願いいたします。
プロジェクトの情報は早めにこまめに出していきたいと思っています。なぜかと言うと、ちょっとしたアウトプットを通じて、お客さんの反応や意見をもらいながら、いっしょに作っていきたいと思っているからです。
もちろん、すでに作り終えている部分もありますが、IP全体を通して、お客さんの意見を取り入れる姿勢で続けていこうと考えています。交流の場や意見交換の場は積極的に作っていきますので、少しでも興味を持って参加してくださる方々を歓迎しています。
温泉をはじめとする観光業をいち消費者として、さらに盛り上げたい気持ちもあります。作品を通じて温泉ひいては日本の温泉文化自体をもっと盛り上げるきっかけになれたらと思っていますので、応援したい、いっしょに盛り上げたいという人がいれば、ぜひご注目ください。