ソニーは、2023年1月5日から1月8日まで、米国・ラスベガスおよびデジタルで開催の電子機器の見本市“CES 2023”にて、PS5用アクセシビリティコントローラー“Project Leonardo”を発表した。

 同プロジェクトは、すべてのプレイヤーがゲームを楽しめるよう、体に不自由がある人もより簡単、快適、そして長い時間プレイできることを目標に開発が行われている。単体での使用はもちろん、2台目のProject LeonardoのコントローラーやDual Senseワイヤレスコントローラーなどと組み合わせて使用することもできる。

 詳細は近日中に公開予定とのこと。

以下、PlayStation Blogを引用

 アクセシビリティは、PlayStationにとって重要なテーマです。あらゆるプレイヤーにゲームを楽しんでいただくために、私たちは、つねに高みを目指しています。サンタモニカスタジオの『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』やノーティードッグの『The Last of Us Part I』などのPlayStation Studiosの開発タイトルに充実したアクセシビリティオプションを搭載したり、PlayStation5およびPlayStation4本体のUIにさまざまな機能を盛り込んだりと、あらゆるプレイヤーに向けて、ゲームプレイの足かせとなる要素を取り除くことに情熱を注いでいます。

 私たちは本日、世界最大のテクノロジー見本市「CES」で、ゲームのアクセシビリティをさらに一歩前進させるPS5用のアクセシビリティコントローラーキット「Project Leonardo」を発表いたしました。アクセシビリティの専門家、コミュニティーメンバー、ゲーム開発者の多大なる協力により開発されたProject Leonardoは、自由にカスタマイズできるコントローラーキットのコードネームです。製品を手に取った瞬間からさまざまなカスタマイズが可能で、体に不自由がある方でも、より簡単に、快適に、そして長い時間ゲームをお楽しみいただけるようにサポートします。

 アクセシビリティの専門家、AbleGamers、SpecialEffect、Stack Upなどの先進的な団体の皆さんとの対話を通じて、カスタマイズの自由度が高いコントローラーをデザインしました。サードパーティー製の多くのアクセシビリティ周辺機器とも連携し、PS5本体設定と連動することで、新たなゲームプレイのステージを切り拓きます。コントローラーを長時間持つことができない、1ヵ所に集まった小さなボタンやトリガーを正確に押すことができない、標準のコントローラーでは指をうまく配置できないなど、運動制御に制約があるプレイヤーの多くが抱える課題を解消します。

 ここからは、その主な機能をいくつか紹介します。

自由にカスタマイズできるプレイ体験

ハードウェアのカスタマイズ

 Project Leonardoは、プレイヤーが自分だけのプレイ体験を描くことができるキャンバスです。形状やサイズが異なる多様なアナログスティックキャップやボタンなど、交換可能で頑丈なコンポーネント一式が付属しています。

 プレイヤーは、これらのコンポーネントを使ってさまざまなコントロールレイアウトを構成できます。ゲームパッドからアナログスティックまでの間隔も、プレイヤーの好みに合わせて調整できます。付属のコンポーネントを組み合わせることで、プレイヤー自身の力の強さ、可動範囲、その他ハードウェア上のニーズに適した構成が見つかります。

PS5用アクセシビリティコントローラー“Project Leonardo”が発表。体に不自由がある人もより簡単、快適、長時間ゲームを楽しめるように

ソフトウェアのカスタマイズ

 PS5本体のオプションでも、Project Leonardoのプレイ体験を調整できます。

  • ボタン割り当て
    • サポートされている機能はどれでもコントローラーのボタンに登録でき、複数のボタンを同じ機能に割り当てることもできます。また、ふたつの機能( たとえば「R2」 + 「L2」など)を同じボタンに割り当てることも可能です。
  • コントロールプロファイル
    • 登録した設定をコントロールプロファイルとして保存することで、プロファイルボタンを押して簡単に切り替えることができます。
    • 最大3つのコントロールプロファイルを保存でき、PS5本体からいつでもアクセスできます。

ほかのデバイスやアクセシビリティ周辺機器との連携

 Project Leonardoは、コントローラー単体としても、ほかのProject LeonardoやDualSense ワイヤレスコントローラーと組み合わせても使用できます。最大2台のProject Leonardoコントローラーと1台のDualSense ワイヤレスコントローラーを単一の仮想コントローラーとして使用できるため、プレイヤーは自分のプレイニーズに合わせて周辺機器を連携させることができます。また、ほかのプレイヤーとの協力プレイも可能です。

PS5用アクセシビリティコントローラー“Project Leonardo”が発表。体に不自由がある人もより簡単、快適、長時間ゲームを楽しめるように

 たとえば、DualSense ワイヤレスコントローラーをProject Leonardoコントローラーで拡張したり、2台のProject Leonardoコントローラーをひとりで使用したりできます。友人や家族も、DualSense ワイヤレスコントローラーや2台目のProject Leonardoコントローラーでプレイヤーのコントロールを補助することで、ゲームプレイをサポートできます。コントローラーは動的にオン / オフの切り替えが可能であり、あらゆる組み合わせで使用できます。

 Project Leonardoは、4つの3.5mm AUXポートを用いて拡張できます。さまざまな外部スイッチやサードパーティー製のアクセシビリティ周辺機器に対応し、専用のスイッチ、ボタン、アナログスティックをProject Leonardoコントローラーで使用できます。外部周辺機器は動的に接続または接続解除できます。また、それぞれの機器をほかのボタンのように機能させることもできます。

PS5用アクセシビリティコントローラー“Project Leonardo”が発表。体に不自由がある人もより簡単、快適、長時間ゲームを楽しめるように

柔軟性と適応性に優れたデザイン

 好みに合わせてアナログスティックの位置を調整して、間隔を近づける、または離すことができるように、左右対称のスプリットデザインを採用しました。コントローラーは据え置きにも対応しており、手で保持せずに、机の上や車いすのトレイに置いたままプレイ可能です。AMPSマウント(※1)や三脚に簡単に固定でき、360度調整できるため、最も快適な角度で使用できます。また、操作しやすいコントローラーの向きに合わせて、アナログスティックの「上」方向を設定できます。

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントのデザイナー森本 壮は、Project Leonardoの工学デザインについて、チームがなぜこのようなアプローチを取ったかの経緯、想いを次のように語ります。

 「Project Leonardoは、PS5製品ファミリーの一部であり、同じデザインコンセプトをベースとしています。すべてのプレイヤーがPlayStationの世界をともに楽しむというアイデアがきっかけでした。チームは、アクセシビリティの専門家とともに12種類以上のデザインを検証し、主な課題を解決して効果的なコントローラーの使用へと導くアプローチを模索しました。最終的に、“スプリットコントローラーデザイン”を採用しました。左右のサムスティックの位置をほぼ自由に調整でき、コントローラーを手で保持する必要がなく、非常に柔軟にボタンやスティックキャップを交換できます。

 プレイヤーはそれぞれのニーズに合わせてProject Leonardoをカスタマイズできるため、これが正解という形はありません。自分に合った構成を自分自身で作り上げることができるのです。また、アクセシビリティ周辺機器との組み合わせにも柔軟に対応するため、個性的なスタイルを演出できます。私たちから単一の形を押し付けるのではなく、プレイヤーとのコラボレーションでデザインが完成することが、とても楽しみです」

デザイナー 森本 壮、ソニー・インタラクティブエンタテインメント

今後の展望

 Project Leonardoの開発は現在も進行中であり、コミュニティーからの貴重なフィードバックを今後も必要としています。この取り組みを支えていただいている素晴らしい団体の皆さんやアクセシビリティの専門家の方々に感謝いたします。

 また、ゲーミングアクセシビリティの発展に貢献してきたコミュニティーの皆さんにも感謝を表したいと思います。皆さんの想いが私たちの開発の原動力であり、その情熱が私たちを日々鼓舞しています。より皆さんのニーズに適した製品を開発できることは、私たちにとってまさに特別な体験です。さらなる製品機能や発売時期など、今後も引き続き情報を公開してまいります。

※1 AMPSは、アクセシビリティ周辺機器などを機器に固定するための取り付けネジの業界規格です。