RPGにSF要素を盛り込んだ先駆け
1987年(昭和62年)12月20日は、セガ・マークIII及びマスターシステム用の『ファンタシースター』が発売された日。本日で『ファンタシースター』シリーズの誕生から35周年を迎えたことになる。
初代『ファンタシースター』は、セガ・エンタープライゼス(当時)から発売されたSF・ファンタジーRPG。いまなお続くセガの看板RPG『ファンタシースター』シリーズの記念すべき1作目で“セガ初のRPG”として鮮烈なデビューを飾った作品だ。
現在は本流シリーズが発売されていないため、オンラインの派生作品である『ファンタシースターオンライン』のタイトルで認識している人のほうが多いかもしれない。2022年5月9日に逝去されたセガの小玉理恵子氏がグラフィックデザイナーとして参加していた作品としても知られている。
当時の一般的なROMカートリッジは容量がかなり小さかったため、“4メガ大容量カートリッジ”を採用していた本作はそれを大々的にアピール。パッケージにも記載されていたので、当時をよく知るゲームファンはいまでも覚えているんじゃないだろうか。ゲームキッズだった筆者も大容量というワードから想起させられる大作の予感にやたらとワクワクしたものだった。
FM音源(シンセサイザーの合成方式のひとつで、当時はワンランク上の音源という認識だった)で作られたBGMは名曲揃いとの語り草で、実際マスターシステムで初めて聴いたダンジョンの楽曲は震えるほどシビレた記憶がある。筆者はセガ・マークIIIユーザーで“FMサウンドユニット”を持っておらず標準音源のみだったので、音の広がりの違いに愕然としてしまった。本当にただただ衝撃で、FM音源をそのまま聴けるマスターシステムを持っていた友だちが心底うらやましかった……。
プレイヤーは主人公の少女アリサを操り、アルゴル太陽系の平和を守るために3つの惑星を舞台に冒険をくり広げることになるのだが、当時としてはこの惑星を股に掛けるような“SF”要素が非常に珍しいものだった。
RPG自体が新しいジャンルではあったものの定番は中世ファンタジーだったので、宇宙船やロボットが登場する世界設定にドキドキさせられたはず。その一方で剣と魔法を用いてドラゴンと戦うといったファンタジー要素もしっかりとあり、SFとの絶妙な融合に当時のゲームファンはどこか一線を画すものを感じていたと思う。
フィールドは2Dで表示されるのだが、ダンジョン内は3Dというのも変わり種。しかもダンジョン内の移動の際は、滑らかにアニメーションしていたのだから凄かった。ゲーム内でアニメ表現が使われること自体が珍しい時代だったせいもあって、かなり感動した覚えもある。おそらく当時は本当にダンジョンを歩いているように錯覚していたんじゃないだろうか。バトルで敵が動いたことにも大いに驚かされた。
1989年3月21日にはメガドライブで続編の『ファンタシースターII 還らざる時の終わりに』が発売されてシリーズ化。以降『時の継承者 ファンタシースターIII』、『ファンタシースター 千年紀の終わりに』などのナンバリング作品のほか、外伝を含めて複数のタイトルが発売された。
2000年12月22日にはオンライン対応の『ファンタシースターオンライン』が展開。さらなる人気を獲得して現在、最新作『ファンタシースターオンライン2 ニュージェネシス』がサービス中だ。
ちなみに、いま初代『ファンタシースター』で遊びたいならNintendo Switchで配信されている『SEGA AGES ファンタシースター』がおすすめ。オートマッピング機能を搭載するなどの追加要素もある。また、2022年10月27日発売のメガドライブミニ2では『ファンタシースターII 還らざる時の終わりに』が収録されているのでそちらも要チェックとなっている。