台湾のソフトスターの子会社であるロフトスターが、台湾のインディーゲーム開発チームJoy Brick、Underscoreと共同開発したNintendo Switch用アドベンチャーゲーム『Aliisha』。11月24日に発売された本作の魅力を、実際に遊んだ感想を交えて紹介する。

 本作は、“双子”にかかわる神殿を探索していく謎解きアドベンチャーゲーム。2人用マルチプレイが特徴で斬新な設定の神話や伝説、百年前の民族文化などを取り入れており、神秘的な世界観がプレイヤーを待ち受ける。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々
※本記事はロフトスターの提供でお送りいたします。

 謎解きを楽しみつつ、失われた文化とはどのようなものだったのか、神殿で暮らしていた人たちはどんな生活をしていたのか。これらをまるで考古学者になった気持ちで、追憶できる謎解きゲームとなっている。

 本記事では、実際に遊んで注目したポイントをお届けしていく。なお、体験したのはひとり用のプレイとなるが、もし友人に恵まれているのであれば、マルチプレイを楽しんでほしいと切に願う。

神話をひも解く神秘的な世界観

 本作の注目すべき点は、リアルタイムに起きていく物語を追っていくのではなく、作中でかつてあったであろう文明を探索することにある。主要人物である姉の“リーシャ”と妹の“アイーシャ”の双子は、神殿の謎を探求すべく、神殿に描かれた文明をひも解いていくことになるのだ。

 神殿の中には、意味深な壁画が描かれており、近くにいる不思議な精霊に触れると、壁画に書かれている内容を確認できる。見られる場所ひとつにつき判明する物語はひとつずつだが、神殿の中を探索することによって、徐々にその全貌を理解していける。世界観を読み解くという意味では、ムービーシーンだけでなく、ゲーム中の調査も物語のひとつなのだ。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 一度チェックした物語は、いつでも手帳で振り返ることが可能。神殿の中に「なんでこんなものが置いてあるんだ?」と思ったものは必ずと言っていいほど意味があるし、その意味がわかったときは、本当に自らが研究者になったかのような快感をもたらしてくれる。

 さらに、それらの行動は謎解きにもつながっており、書いてある説明が理解できれば、おのずと謎解きが可能になるだろう。物語を知ることで、攻略が進む。これこそある意味謎解きアドベンチャーの神髄だと感じた瞬間だった。

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 本作で操作することになる主人公は、身軽な妹の“アイーシャ”と、姉の“リーシャ”が扱うAIロボット“AMBU”だ。

 双子の姉妹であるリーシャとアイーシャは、幼いころからそれぞれが強みにもなるが、弱みにもなってしまう部分を持っている。姉のリーシャは感情を理解できず、常に理性的な思考を持っている。一方、妹のアイーシャは感情が豊かだが、冒険で傷だらけになっても痛みを感じることができない。

 ふたりは神殿に存在する神器は双子の魂をひとつにするため、妹は神殿内には双子の秘密が隠されていると思い、真相を探っていくことになる。

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 リーシャとアイーシャの物語は、どういう結末を迎えるのか。双子の秘密とはいったいなんなのか。謎多き神殿を探索しながら、物語の結末をその目で確かめよう。

神殿を探索する2人協力型謎解きアドベンチャー

 上記では、神殿を探索していれば、謎解きが可能だと説明した。本稿では、具体的にどのような謎解きが存在したのかをいくつか紹介していこう。

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 まずは、神殿に入るために、最初に謎を解くギミック。こちらは、壁にはめ込まれたメダルを指定の場所に移し、ドアを開けるというもの。

 壁にはめ込まれたメダルは、それぞれ“勇気”や“慈愛”といったテキストがあり、壁にはそれに応じて“勇気”や“慈愛”などのはめ込む穴が存在している。すなわち、そこにメダルをはめ込めば謎解きは完了となる。

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 つぎに、神殿の中に入った後の謎解き。壁画に書かれている内容をよく見ると、角笛を吹いている様子がうかがえる。しかし、神殿のオブジェクトの中に、角笛を持っていないものがある。これに角笛を渡すことで、1つの謎解きが完了するのだ。

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 すべてが壁画に関係したものがギミックになるわけでもない。ほかにも、エントランスから外れた部屋にある場所には、壁画に記されている星座のような文字をなぞったり、引き出しを開けることで謎のアイテムが出てきたりとさまざまだ。

 そして、ふたつある部屋のうち、片方ずつのギミックをリーシャと“AMBU”がそれぞれ担当することで進行する謎解きも存在した。ひとりだけで進むことができない謎解きは、ふたりの協力型謎解きゲームとして、協力している感が出ていてとても楽しめた。筆者は、ひとりプレイで体験したのだが、ふたりならより楽しめること間違いなしだ。

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 Nintendo Switchならではの、体感的なギミックも、本作の特徴のひとつ。壁画にある文字をなぞるギミックは、まるで本当に壁画に文字を書いているように感じるし、水を汲んでとある場所に流し込む場合は、どれだけ水を流し込むかが、ジャイロ操作でどれだけ傾けたかで変わる。

 水の量が規定量でなければミスとなり、やり直しになってしまうため、神殿調査ならではの慎重な操作も必要になるだろう。

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 謎解きはふたりプレイを想定しているためか、ひとりの移動量はかなり多めだった。むやみやたらに動き続けるのではなく、一度通った道は見逃しのないようにしたいところだ。

 なお、本作ではマルチエンディングが実装されており、異なる操作や異なる情報から協力することで、複数の選択肢のエンディングを迎えられる。ぜひ、一度クリアーして終わらせず、それぞれのエンディングも楽しんでほしいものだ。

ふたりのキャラクターによる個性を使いこなそう

 生身で動く“アイーシャ”と、ロボット“AMBU”を駆使する“リーシャ”には、それぞれ個性がある。ふたりプレイではそれぞれ操作するキャラクターが異なるが、ひとりプレイではつねにどちらを操作するかを選択できる。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 “アイーシャ”は、優れた洞察力から、足跡や動かせるものが視覚的にわかるようになる能力を使用できる。端的に言うと、ヒントを増やすことができる便利な機能だ。逆に言うと、この能力なしに謎解きを解くのは、かなりの労力がいるだろう。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 “リーシャ”(AMBU)は、つねに空中を浮遊できる。高いところや足場が悪いところも移動が可能だ。高所にある謎解きやアイーシャが入れない場所も探索できるのが強みである。一見、進められなさそうな道も、「AMBUなら通れるだろう」と感じるのは、本作の“あるある”だ。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 ふたりの個性をうまく使い、役割分担を行うことで効率的に謎解きを進められるだろう。例を挙げると、“アイーシャ”はヒントを与える役割、“リーシャ”(AMBU)はギミックの処理のために行動に移す役割といった感じである。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 AMBUが浮遊できることをいいことに、神殿の端から端まで探索していたところ、“(´・ω・`)”の顔文字が記されていた場所も発見した。俗に言う、「ショボーン」の顔である。

 表示されるテキストから察するに、開発者のお遊び要素である。こういう要素はほかにはないのかと探索の手に拍車がかかり、隅々まで探索したくなってしまった。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 さらに、ゲームを進めていくと、神殿の力が双子に宿り、新たな能力を身につけることもある。これらはその場所の謎解きに必要不可欠であるため、習得した際はしっかり説明文を読み、使える場所を試行錯誤しよう。

神話を読み解く謎解きADV『Aliisha』レビュー。双子姉妹の個性を活用して解明する謎と物語に興味津々

 双子が協力する謎解きアドベンチャーということで、ふたりのプレイヤーが知識を合わせ、行動に移し、物語に思いにふける。本作ならではの魅力がたっぷり詰まっているので、コンセプトに惹かれた人は、楽しめること間違いなしだ。

 11月24日発売の協力型謎解きアドベンチャーゲーム『Aliisha』は、考えを巡らせる謎解きをしっかり楽しみたい人や、神秘的な世界観が好きな人にオススメの作品だ。