国民的特撮作品「ウルトラマン」とシリーズ25周年を迎えた人気育成シミュレーションゲーム「モンスターファーム」のコラボレーション作品として、バンダイナムコエンターテインメントより発売される、『ウルトラ怪獣モンスターファーム』。夢のコラボとも言える本作を実際に遊んだので、プレイレポートをお届けする。

『ウルトラ怪獣モンスターファーム』でガンQから目が離せない。デカかわいいウルトラ怪獣を育成することで湧いてくる不思議な愛情がそこにある

 本作は、モンスターを生み出し育成する『モンスターファーム』のシステムをベースに、『ウルトラマン』シリーズの怪獣たちを育成するシミュレーションゲームだ。

 原作の世界とは異なり、怪獣たちは人間たちとともに暮らし、生活している。しかし、怪獣の凶暴性がなくなったわけではないので、うまく怪獣たちを育てるブリーダーが必要になるわけだ。プレイヤーは、そのブリーダーのひとりとして生活していくことになる。

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 本作のレビューをする際に数時間ほど遊ばせてもらったが、筆者が抱いた感想は、はっきり言って個人的にかなりの“良ゲー”だった。理由を含め、以下でプレイした感想を紹介していく。

 ちなみに、筆者はアニメ『モンスターファーム』の視聴はもちろん、『モンスターファーム』、『モンスターファーム2』、『モンスターファームアドバンス』を遊んだシリーズ経験者である。好きな種族はハム種だ。

成長が楽しい! 対戦が楽しい! 愉快に育てて豪快に怪獣バトル!!

 まずは、本作の基本的な流れを紹介しよう。

 本作では怪獣を再生し、育てて大会に出場して対戦する。これが基本的な1サイクルである。上記のループの中には、手持ちの資金で効率的な育成をしたり、アイテムを購入したり、技をさらに覚えさせたりと、より細分化した育成を楽しめる。

 この辺りの遊びは、『モンスターファーム』ファンが想像している通りだと思ってくれていい。

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 トレーニングを重ねていくうちに、どんどん強くなっていく感覚が気持ちがよく、もっと強く、もっと個性的に、と育成を重ねてしまう。この快感は、『モンスターファーム』本シリーズの大きな特徴であるが、『ウルトラ怪獣モンスターファーム』にも多分に受け継がれている。

 個人的におもしろかったのは、トレーニング時の怪獣のモーションだ。『モンスターファーム』シリーズのトレーニングで見られるモーションは、バトルでの技のモーションが流用されることが主である。

 しかし本作の場合、トレーニング“雪像づくり”を行えば、雪を“ポンポン”とするモーションを見せてくれるのだ。

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 ほかにも資金を使う修行では、ほかのブリーダーが育てる怪獣と一緒にトレーニングを行い、切磋琢磨していく様子をうかがえる。こういったひとつひとつの仕草に愛嬌を感じるのは、本作ならではだろう。なにせ、見た目はまんま怪獣なので、強面の動物が、突然かわいらしい動作をするような、なんとも言えないユーモアな空気が漂う。

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“ガンQ”と“ダダ”が一緒にトレーニングしている様子に口角が上がってしまう。

 育成を終えたら、つぎはバトルを紹介する。怪獣同士を戦わせる場合は、育成要素同様『モンスターファーム』のシステムを踏襲している。

 2体の怪獣が距離を取り合い、敵との距離によってあらかじめ設定している技を使用し、敵のHP削る、もしくはHPの割合の多い方が勝利となる。

 距離の取り合いはお互いに行うため、片方が前進して片方が後退すると、距離はほとんど変わらない。

 しかし、このひとつの要素だけをとっても、怪獣の特徴によって異なる。足が速ければ距離を詰めやすい(離しやすい)ため、距離の取り合いの駆け引きがおもしろい。

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本作では、ガッツを使用して距離を一気に詰める“ダッシュ”というアクションも存在する。

 そして、怪獣は距離に応じた4つの技を設定することになる。技は怪獣ごとに異なり、それぞれ“ちから技”、“かしこさ技”や、隣接、近距離、中距離、遠距離に応じた技など様々な個性が存在する。“ガンQ”の“熱光線”は、いわゆる“目からビーム”を出す技だ。

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恐ろしい見た目もさることながら、状態異常を狙える使いやすい技となっている。

 技を使用するには、ガッツを消費する。ガッツは、時間経過とともに回復していく数値のことで、ガッツが足りなければ、当然、技を使用することはできない。

 どんな育成をして、どんな技を使いこなすのかが、ブリーダーの腕の見せどころである。筆者は低耐久火力特化の“ガンQ”を育成したところ、敵のクリティカルヒットの前に一撃で沈み、大会に敗北した。

 悔しすぎてレビュー中なのに思わず声が上がりかけたほどだ。“ツノタロウ”とかいうブリーダーと“ゴモラダダ”……名前は覚えた。筆者と“じゅうけつ(ガンQ)”のペアで、製品版では必ずリベンジすることを決意した。

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ちなみに、バトルはオート機能を使用できるほか、ナワバリバトルや一度優勝した大会では、一瞬でバトルの勝敗を決める“らくらくバトル”という便利な機能も実装されている。

 なお、筆者は先行プレイのため体験できなかったが、『ウルトラ怪獣モンスターファーム』には、おすそわけプレイも実装されている。育てた怪獣をアップロードしたり、ほかのプレイヤーがアップロードした怪獣を対戦相手としてダウンロードしたりすることが可能となっている。

 友人が育てた怪獣を自分のニンテンドースイッチにダウンロードすれば、おすそわけプレイによるオフライン対戦が楽しめるのだ。自慢のウルトラ怪獣同士でのバトルは盛り上がること間違いなしだろう。

ファームの運営も忘れずに!

 怪獣を育成するためのファームを経営していくには、お金が必要である。怪獣を育てるためにエサが必要になるためだ。

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 エサにはさまざまな種類、さまざまな味があり、怪獣の求めるものと、プレイヤーの資金とを相談して与えることになる。

 資金は大会で入賞することで獲得でき、毎月あるエサの出費や修行、アイテム購入などで使用する。ファームをうまくやりくりしていくために、コンスタントに大会に入賞して、資金を蓄えておこう。

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 ちなみにファームの中で、怪獣たちはさまざまなリアクションを取ってくれる。見た目は少し恐ろしさを感じさせる怪獣たちだが、しばらく眺めていたり、育成したり、苦楽をともにしていると、愛着がわくものである。転んだときは、つい手を差し伸べたくなる。サイズ的には無理なのだが。

 育成・バトル・運営の3つの要素のすべての要素に興味を惹かれ、どれも育てたくなる、戦いたくなる、資金を集めたくなると、能動的に動きたくなる遊びが満載となっている。ハマりすぎて、私生活に影響を及ぼさないように気を付けよう。

『モンスターファーム』といえば“円盤石(CD)の再生”。本作は……“ICカード(追憶版)”!?

 『モンスターファーム』ではおなじみの“円盤石”。過去作で言うと、CDであったり、DVDであったり、文字入力であったりと、さまざまな方法でモンスターを再生(召喚)できるという本シリーズならではの要素のことだ。

 Nintendo Switchでの開発となる本作では、CDを読み込ませることはできない。では、何を読み込ませるのかというと、NFC(Near field communication)機能、すなわち近距離無線通信を備えた“ICカード”である。

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 近年で一気に普及しはじめた交通系ICカードや社員証、“アミューズメントICカード”、さらにはスマートフォンといった、さまざまなものがNFC機能に対応している。

 ゲーム的なところで言うと、NFC機能を“追憶版”として再生することで、とある仕組みに則って怪獣が再生されることになる。ちなみに、楽曲名やアーティスト名から楽曲を検索して怪獣を再生することも可能なので、NFC機能付きのICカードを持っていなくても遊ぶことはできるので安心してほしい。

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 注意してほしい点として、最初からすべての怪獣を再生できるわけではない。ゲームの進行度に応じてブリーダーの力が認められるため、その進行度に応じてより多くの怪獣を再生できるようになる流れとなっている。

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本記事で紹介していた筆者の“ガンQ”は、筆者のスマートフォンから生み出された相棒である。普段から愛用している端末が何を生み出すのかドキドキだったが、どんな怪獣でも育ててみると愛着がわくものである。

 日常的に利用しているICカードが使えるために、ふと思ったことがある。もしかしたら、この交通系ICカードは怪獣なのではないだろうか。

 何を言っているのかわからないかもしれない。でも、駅の改札にICカードをタッチするたび、コンビニで支払いのためにカードをタッチするたびに、怪獣をすぐそばに感じる。

 もしかしたら、ICカードの中で怪獣たちがいまかいまかと出会いを待っているかもしれない。不思議なものでそう考えると、普段の生活も少しだけ楽しい感じがしてくるものである。

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NFC機能を使った要素は再生だけではない

 本作には、怪獣を再生する他にも、NFC機能を使用した要素が存在する。“クッキー”という、アイテムを制作する要素だ。

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 クッキーは、エサとは別に怪獣に特徴を与えるアイテムだ。クッキーを与えると“○○距離の技の威力が高くなる”、“相手を吹き飛ばしたときたまに毒にする”といった特徴が怪獣に備わる。

 クッキーを焼く際には、追憶版同様、NFC機能を使用できる。また、資金が必要かつ所持数に上限があるので、ずっとクッキー制作をし続けることはできない。

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 自分の怪獣に合わせたクッキーを探すもよし、焼いたクッキーの中から個性を見出して、それに合った怪獣を再生するもよし。すべてのクッキーを同時に所持することはできないので、手持ちに残すクッキーはよく考えよう。

 筆者の“ガンQ”は、中距離技の威力を上げており、お気に入りの技のひとつ“光弾攻撃”のダメージを上昇させた。威力の高い技を覚えた際には、さらに強くなることは間違いないだろう。

 ぜひ読者もICカードを使用してクッキーを焼き、育成中の怪獣に与え、自分好みの怪獣に育てていこう。

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世界観が融合した物語に注目

 これまではゲームの遊び方や特徴について紹介してきたが、世界観や物語も注目の要素のひとつだ。

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 本作のプロローグでは、なぜこの世界で怪獣が人間と共存しているのか、光の巨人とは何者なのか、怪獣を育ててなにをするかなど、ストーリーに沿って解説される。ちなみに、『モンスターファーム』ファンならおなじみの、ホリィも登場する。

 物語序盤では、光の巨人“ウルトラマン”がプレイヤーを危機から救ってくれる。ボイスも収録されているので、攻撃時の「ヘアッ!」を聞けるのも、魅力のひとつだ。

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 育成やバトルのほかにも、怪獣の収集、物語の展開など、多くの要素に惹きこまれる本作。特撮にあまり明るくない筆者でもここまで楽しめたのだから、詳しければより楽しくなるのは言うまでもない。

 そして、『モンスターファーム』と『ウルトラマン』の両方を知らなかったとしても、十分に楽しめることは間違いないだろう。育成要素やシステム、ゲーム性だけを切り取ってもおもしろい。

 早速、筆者はスマートフォンを使って、また“ガンQ”を生み出したいと思う。今度こそ、“ツノタロウ”に敗北の二文字を教えてやろうと燃えているところだ。

『ウルトラ怪獣モンスターファーム』でガンQから目が離せない。デカかわいいウルトラ怪獣を育成することで湧いてくる不思議な愛情がそこにある
完全に宿敵認定しているツノタロウ。彼に勝つまでは眠れない夜が続きそうだ。

『モンスターファーム』シリーズでおなじみの藤田課長に本作での裏話などを聞く

 2022年9月に開催された“東京ゲームショウ2022”開催前に又野健太郎プロデューサーのお話をうかがう機会はあったのだが、本稿ではまだお話を聞けていなかった開発プロデューサーである藤田課長にもお越しいただき、実施したインタビューの模様をお届けしていく。

又野健太郎(またのけんたろう)

バンダイナムコエンターテインメント所属。『ウルトラ怪獣モンスターファーム』ではプロデューサーを務める。文中は敬称略。

藤田課長(ふじたかちょう)

コーエーテクモゲームス所属。『モンスターファーム』シリーズエグゼクティブプロデューサーであり、同作を語るうえでは欠かせない人物。文中は敬称略。

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写真左から又野プロデューサー、藤田課長。

――藤田課長は制作側のプロデューサーとして本作に携わっていらっしゃいますが、どのようなことをおもに担当されていたのでしょうか。

藤田課長今回は純粋にウルトラ怪獣と『モンスターファーム』のコラボということで、両IPを要するに合体させてゲームを作ろうと又野さんからお話がありまして、実際にゲームの開発プロデューサーを私がやらせていただいてます。

 『モンスターファーム』はもう25周年になるのですが、ずっと『モンスターファーム』のプロデューサー、エグゼクティブプロデューサーをやらせていただいているので、その関係もあってご一緒させてもらいました。

又野『モンスターファーム』が大好きな自分からしたら藤田課長はレジェンドですね。

藤田課長最初に『モンスターファーム』を遊んだころは小学生だったと聞いて、なんかもうドキドキしちゃいましたよ(笑)。

又野当時、『モンスターファーム』のアニメがあったんですけど、第1話に藤田課長がバンバン出てるんですよ(笑)。

――『モンスターファーム』のアニメといえば、モッチーが印象的でした。『ウルトラ怪獣モンスターファーム』では、予約特典で“科特隊モッチー”が登場します。

藤田課長ああ、もうこれは又野さんのファインプレーです。『ウルトラ怪獣モンスターファーム』には『モンスターファーム』とついているので、モッチーは登場させたいっていうのをずーっと言っていたら、私以上に『モンスターファーム』ファンな又野さんの気持ちが高まってしまって、円谷さんに当たってくだけろで言ってみたんですよ。

又野お客様の想像の斜め上をいきたくて……モッチーを登場させるべく、各所にお願いして回りましたね(笑)。

藤田課長アイデアはおもしろいですが……実際に実現しちゃうんだから……すごいですよ。キャラクターの垣根を超えて科特隊の衣装をきています。

又野たくさん乗り越えなきゃいけないこともありましたけど、本当に実現できてよかったです!

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――モッチーは育成怪獣なので、ほかの怪獣のように大きくなって登場するんでしょうか?

藤田課長本来モッチーは人のサイズくらいなんですが、『ウルトラ怪獣モンスターファーム』の世界にくると怪獣の大きさになるという設定になっています。

又野『モンスターファーム』の世界では円盤石からモンスターを誕生させるという設定です。本作の舞台では、皆さまが知っている『モンスターファーム』の世界のどこかの島のお話で、この島では円盤石から再生すると大きくなるという設定になっています。

――なるほど! 本作ではNFCを使用して交通系ICなどで怪獣を生み出せますが、実際に開発面で大変だった点やこだわったポイントを教えてください。

藤田課長まずNFCでやろうというのは、ずっと前から思っていました。思った理由のひとつは、『モンスターファーム』でCDを再生っていう仕掛けを作れたことにあります。

 ただ、最近はやっぱりCDを入れるとか抜く動作が、ゲーム機をはじめ、いろいろな機器でなくなってきたんですよね。

 例えば、写真を撮ってその写真を解析してとか、サブスクの音楽を解析してとか……。それでもCDを入れたらモンスターが出るのと比べると、アクションの工程数が1個増えるんですよね。

 CDだったら入れて⇒再生ですけど、写真だと撮影⇒ハードに入れ込む⇒再生とアクションが増えるじゃないですか。これだとおもしろくないという感覚があって。なんかこう1アクションでできるものはないかなって考えたときに、交通系ICだったら一発でいけると思ったんです。

 よく考えたら社員証とか、これをピっとタッチして何かが生まれるのは絶対におもしろいって思ったんですよね。

又野ただ、NFCはひとり何枚も持っているものではない……ということは開発を進めていく中で、大きなハードルになりましたね。

 社員証などもNFC対応である場合が多いのですが……ひとり1枚しか持ってないですしね。それにそのNFCからしか生まれない怪獣なんていた場合は関係者しか手に入れられなくなってしまいます。

藤田課長でも、タッチっていうものが非常にわかりやすかったので、どうしても企画にしたいと相談しているなかでとある法則性で怪獣が誕生するようにできました。もちろん、これは内緒なのでプレイヤーの皆さんで見つけてみてほしいです。

『ウルトラ怪獣モンスターファーム』でガンQから目が離せない。デカかわいいウルトラ怪獣を育成することで湧いてくる不思議な愛情がそこにある

――発売日ということで、ちょっとしたヒントをいただくことはできないでしょうか……?

藤田課長ヒントを出すとすれば……NFCカードというのは、どんなカードも基本持っている動かないデータがあります。それ以外にNFCは生活の中で使うので、日常生活で朝来たときにタッチしたり、夕方来たときにタッチしたりっていう時間とかの問題、それに買い物したりとか、いろいろなことがありますよね。

 そのNFCの中のデータの状態変化に法則性をつけて作ろうっていうふうにして、何度も何度も練りましたね。

又野誕生方法はこのタイトルにおいて、もっとも重要な要素のひとつですからね。本当に開発スタッフの皆さまと何度も練り直しましたね。

藤田課長結果、いい感じにまとまりました。

 理想はSwitchを持ったお父さんと子どもが家で社員証や交通系ICをタッチし怪獣を誕生させます。そこから電車に乗って出かけました。電車の中で時間が空いているので、子どもがもう一度『ウルトラ怪獣モンスターファーム』を立ち上げて、もう一回タッチすると、違うものが生まれたいうのが必要です。そして電車を降りて目的地に着きました。そうしたら明日また違う怪獣が生まれると。

 今度は友人同士ですごいのが出たと順番に見せてまわって、ここで全員が違ってはいけないんですが、3人のなかでひとりだけ違うのが出たとかなると、おもしろいですよね。今回はそういう仕掛けを作りました。

『ウルトラ怪獣モンスターファーム』でガンQから目が離せない。デカかわいいウルトラ怪獣を育成することで湧いてくる不思議な愛情がそこにある

――たしかに、「なんで?」という疑問が出て知りたいとなります。

藤田課長同じカードから、ひとりだけ違うものが生まれるってことを、うまく入れるのに成功したのが今回ですね。ここはめっちゃ遊んでほしいんですよ。もう本当に頑張ったポイントなので!

又野本当にそうですね。生まれたときの状況をいろいろと書き出して……みんなでにらめっこして、誕生ロジックをぜひ解き明かしてもらえるとうれしいです。

――ほかにこだわったポイントなどがあれば教えてください。

藤田課長こだわった場所ばかりですね。まずはコンセプトアートでイメージの共有を図ったんです。それで共通認識はデカカワイイでいこうとなったんですね。

又野デカカワイイということは開発序盤に決めることができましたが…そこから実際の画面に落とし込む際は、かなり苦労しましたね。

 怪獣が懐いている感じを出さなきゃいけない。限られた画面上でいろいろな怪獣の愛らしさだったり、バトルのかっこよさだったりを見せるうえで、大変なことはたくさんありました(笑)。

藤田課長いまでこそカメラをかなり使ったアングルで表現ができているんですけど、当初はそんなことを想定していなかったので、本当に開発の現場にはがんばってもらいました。

 でも、そのおかげで怪獣たちのいろいろな魅力が表現できたんじゃないかと思うんです。又野さんにもたくさんご意見をいただきました。

又野そうですね。たくさんお願いをしてしまったと思います(笑)。

藤田課長又野さんは感想だけでなく、しっかりとこうしてほしいというのを言ってくださるので、すごく助かりました。

『ウルトラ怪獣モンスターファーム』でガンQから目が離せない。デカかわいいウルトラ怪獣を育成することで湧いてくる不思議な愛情がそこにある

――最後に発売日を迎えましたので、これから遊ぼうと思っている皆さんにメッセージをお願いいたします。

又野ウルトラ怪獣と『モンスターファーム』のコラボレーションを実現した怪獣育成シミュレーションゲームです。育てているうちに愛着が湧いてきて、こんなにかわいかったのか……と何度も感じていただけるゲームになりました。

 ウルトラ怪獣ファンのみなさまには原作では描かれなかった様々なウルトラ怪獣の表現や合成によって誕生する見たことあるようでで見たことのないウルトラ怪獣が注目ポイントです。

 『モンスターファームファン』のみなさまには、あのモンスターファームのシステムでウルトラ怪獣を育成できる懐かしくも新しいゲームになっているところがポイントです。

 ほかにもいろいろと驚きのポイントがあります……ので、ぜひ手に取っていただければと思います!

藤田課長すごく手前味噌になっちゃうかもしれないんですけど久しぶりに自分で作ったゲームの中でやってておもしろいんですよ。やりこみ要素がすごく入っていて、何時間でも遊べるようになっています。

 私としては、本質的なところまで触ってもらってしっかり遊んでもらえば、絶対にこのよさをわかってもらえる仕上がりになっているのがひとつあります。

 もうひとつは、コーエーテクモゲームスにはいつも『モンスターファーム』の続編の要望がすごくくる中で、今回こういうコラボでやらせていただきました。

 やっぱり『モンスターファーム』のプロデューサーからすると、新しい『モンスターファーム』の形をひとつ示せたものだと思っているので、ぜひそういう意味でも『モンスターファーム』ユーザーの皆さんにもやっていただきたいですね。

 ウルトラ怪獣ユーザーの皆さんや、ウルトラIPユーザーの皆さんにも、かわいい怪獣を感じてもらいたいですね。まず見られないウルトラ怪獣たちの姿を見て、楽しんでいただけたらうれしいです!