2022年9月15日~18日に千葉県・幕張メッセにて開催の東京ゲームショウ2022。家具や事務機器を取り扱うイトーキがブースを構えており、ゲーミングチェアを出展していた。

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 ゲーミングチェアは出始めの頃はややニッチなジャンルだったが、ここ数年で風向きが変わった。関家具やオカムラ、ニトリ、イケアといった大手が続々と参入。オフィスチェアの雄として知られるハーマンミラーは、ロジクールと協業して24万円越えの高機能チェアを発売している。

 イトーキのブースには2タイプのチェアが展示してあった。ゲーミングチェアの王道デザインとも言えるレーシングシート型の『クロスフォーカスチェア』コンパクトモデルと、オフィスチェア『Act』(アクト)をベースにしたモデルだ。

イトーキの最新ゲーミングチェアは変形機構を搭載。小柄な人も座りやすいモデルはオフィスチェア『Act』をベースに開発中【TGS2022】

 今回気になったのは後者だ。パッと見の印象は「ゲーミングチェアっぽくない」。『Act』はイトーキのオフィスチェアにおけるスタンダードシリーズで、価格はだいたい8万円~14万円ほど。お値段から、かなりいいイスなのだろうと想像できる。

 背もたれの素材はエストラマー樹脂。柔軟性があるのに強度も十分。短時間しか座っていないので正確な評価はできないものの、体重を預けると適度に沈み込み、座り心地は良好だった。

イトーキの最新ゲーミングチェアは変形機構を搭載。小柄な人も座りやすいモデルはオフィスチェア『Act』をベースに開発中【TGS2022】
イトーキの最新ゲーミングチェアは変形機構を搭載。小柄な人も座りやすいモデルはオフィスチェア『Act』をベースに開発中【TGS2022】

 僕がもっとも興奮したポイントは座面だ。何と変形するのである。先端部分を巻き込むように下部に収納することで、座面の奥行きが5cmほど短くなるのだ。見た瞬間、心の布袋寅泰がギターをかき鳴らした。

イトーキの最新ゲーミングチェアは変形機構を搭載。小柄な人も座りやすいモデルはオフィスチェア『Act』をベースに開発中【TGS2022】
左が標準の状態で、右が奥行きを縮めているところ。

 ゲーミングチェアはたいてい大きいのだ。いちばん最初に流行ったブランドがアメリカ製だったから、だろうか。どんなに設計にこだわっても小柄な人は深く腰掛けられず、逆に疲れてしまう。

 最近は各社が小さめモデルを投入しているが、まさか座面の大きさを変えるという答えがあるとは思わなかった。

イトーキの最新ゲーミングチェアは変形機構を搭載。小柄な人も座りやすいモデルはオフィスチェア『Act』をベースに開発中【TGS2022】
家族でゲームを楽しむ場合、体型に合わせてふたつも3つもゲーミングチェアを買うのはたいへん。サイズが可変なら使い回ししやすい。

 ほかにも担当さんからいろいろ話を伺った。

  • 靴を脱いで座ることを想定しているので、座面の位置はオフィスチェアより15mm低い。
  • ゲーマーの好みとトレンドに合わせて色や素材を設定(座面にフェイクレザーを使ったモデルはオフィスチェアにはない)。
  • ヘッドレスト付きなので、在宅ワーク用チェアとして考えてもお得感がある。

 「靴を履いた状態で座るオフィスチェアは少し座面が高い」や「広いオフィスで使うものを家の中に置くと大きく感じるので、小さいと圧迫感が減っていい」など、地味ながら膝を打つポイントが盛りだくさんだった。

イトーキの最新ゲーミングチェアは変形機構を搭載。小柄な人も座りやすいモデルはオフィスチェア『Act』をベースに開発中【TGS2022】
アームレストは、レバーを持ち上げると自由に動かせる4Dリンクアーム。

 発売日は未定で、いまのところの想定価格は13万円ほど。高級オフィスチェアの価格帯だ。高いととらえるか、お買い得ととらえるか。

 昨今は在宅ワーカーが増加し、自宅でPCを使う時間が伸びているという。「体の負担を考えて自宅でもいいイスを使いたいし、何ならPCでゲームもしたい」なんて需要にもマッチしそうだ。

 ちなみに、9月26日に東京・京橋にイトーキのチェア用ショールームがオープンする。『Act』をベースにしたこのゲーミングチェアも試せるようなので、一度座ってみるのがおすすめだ。そして変形機構を見て驚き、心の布袋寅泰にギターをかき鳴らさせようぜ。