MyDearestとイザナギゲームズが共同で開発するVR捜査ゲーム『ディスクロニア:クロノスオルタネイト』(以下、『ディスクロニア:CA』)。同作のMeta Quest 2版第1章が2022年9月23日にリリースされる。

 2022年9月9日からは体験版もリリースされるということで、今回は特別に体験版の先行レビューをお届けしていく。

VR捜査アクション『ディスクロニア: CA』トレーラー

『ディスクロニア:CA』体験版を先行レビュー。VR世界で事件を捜査。インタラクティブ性が増したプレイ感と、“自分の左手”で謎を解く楽しみを体感できる体験版

 『ディスクロニア:CA』の舞台は遥か未来。犯罪発生率0.001%の海上都市で起きた殺人事件の謎を追うアドベンチャーゲームだ。

 物語の舞台となる“アストラム・クローズ”はAIによって徹底的に管理されているはずの楽園。しかし、そこで“起こるはずのない殺人事件”が起こってしまった。プレイヤーは特別監察官“ハル・サイオン”として、この難事件に挑むことになる。

 体験版を起動すると、そこはもうアストラム・クローズ。広大な円形状の広場をぐるっと取り囲むように白い建物が並んでいる。建造物のデザイン的にもどことなくSF感が漂うが、それ以上にどこか殺風景に感じる。“これが楽園都市なのか?”と一瞬首をかしげてしまったが、この都市の最大の特徴は、全市民の夢を統合した“拡張夢の世界”を作り上げてメンタルケアに当たっていること。この無機質な現実世界とは違ったもうひとつの顔を持っているわけだ。

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 ハルは都市管理局から支給された徽章を使うことで、この拡張夢の世界にアクセスすることができる。パブリックエリアでAボタンを長押しすると、雫が落ちるような演出の後に拡張夢の世界に移動。

『ディスクロニア:CA』体験版を先行レビュー。VR世界で事件を捜査。インタラクティブ性が増したプレイ感と、“自分の左手”で謎を解く楽しみを体感できる体験版
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 そこにはまるで海中にいるかのような景色が広がっている。色とりどりの魚たちが手の届きそうなほどに近い位置を泳ぎ回り、手を伸ばして触ろうとするとスッと逃げていく──。なんとも幻想的な光景だ。じつは泳ぎ回っている魚群パノラマは5000匹にも及ぶそうで、ひとりで水族館に足を運ぶのが好きな筆者としては、ひたすら目で追っているだけでたいへん癒されてしまった。市民の犯罪抑止のために使われている世界というのも納得だ。

 VRを活かした世界の作り込みとしては、クロノスユニバースシリーズの1作目『東京クロノス』や2作目『アルトデウス: ビヨンドクロノス』も目を見張るものがあったが、3作目となる『ディスクロニア:CA』ではこの美しい世界を眺めるだけでなく、自由に散策できるという楽しみも用意されている。

 基本的な移動は左スティックを倒すことで行ない、右スティックを左右に倒せばプレイヤーが身体の向きを変えなくても、向いている方向を調整できる。また、右スティックを前に押し込めば、ガイドの先にあるポイントまでテレポートすることも可能。体勢をあまり変えたくないというプレイヤーであっても、ストレスなく遊べる設計になっているのはありがたいポイントだろう。

『ディスクロニア:CA』体験版を先行レビュー。VR世界で事件を捜査。インタラクティブ性が増したプレイ感と、“自分の左手”で謎を解く楽しみを体感できる体験版
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 ハルは拡張夢の世界の散策中にひとりの少女と出会う。そして、彼女に導かれるままラムファード博士の家へと転送される。

 ラムファード博士はアストラム・クローズの創設者であり、今回の殺人事件の被害者ということが明らかになっている人物だ。

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 ラムファード博士の家へとやってきたものの、カードキーがないためにハルは部屋から出られなくなってしまう。

 ここからは部屋の中にあるオブジェクトを調べながら脱出の糸口を探る“パズルパート”だ。体験版のパズルパートでは全部で3つの部屋を探索しながらカードキーの入手に必要な“クリスタル”を集めることになる。探索はかなり自由度が高く、左スティックでの移動に加え、右スティックを押し込んで“しゃがむ”ことも可能。しゃがむことで視点が変化し、立っているときには気づけなかったオブジェクトを発見するといった要素も用意されている。探索で入手したアイテムは“所持品”としてストックされ、Bボタンを押すと自由に取り出すことが可能だ。

 また、知識ではなくひらめきや絵合わせで答えを導き出すような謎が多く、また警備ドローンもヒントを出してくれるので、アドベンチャーゲームに慣れているプレイヤーであれば詰まることはなさそう。どうしても解けないという場合は、警備ドローンに話しかけることで提示されている謎をスキップできるという、物語に集中したい人向けの要素も用意されていた。

『ディスクロニア:CA』体験版を先行レビュー。VR世界で事件を捜査。インタラクティブ性が増したプレイ感と、“自分の左手”で謎を解く楽しみを体感できる体験版
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チェス盤を使った謎も。部屋中をくまなく見わたすことで手がかりも見えてくる……!?
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 ラムファード博士の寝室で、ハルは厳重にロックされたカードキーを発見する。博士がどのようにロックをしていたのかを調べるために、ハルの左手に宿った能力“メモリーダイブ”を使うことに。メモリーダイブは“過去干渉”ができる能力で、以前にそのオブジェクトに触れた別人の記憶を追体験するという、いわゆるサイコメトリーの一種だ。今回の体験版では出てこないが、過去を覗くだけでなく、ときには干渉して現在にも影響を与えられるというから驚き。

 このメモリーダイブを使うときの長押しがなんとも気持ちいい。トリガーを長押しすることで、特殊な能力をあたかも自身の身体の一部として使っているような感覚を味わえる。

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 メモリーダイブを使用可能なオブジェクトは、特殊なエフェクトがかかっているのでわかりやすい。

 “カメラ”にメモリーダイブすると幼い日のハルと思しき人物の姿も見られる。はたして、ハルはラムファード博士とどのような関係だったのだろうか?

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 無事にカードキーを入手して警備ドローンにわたすと最後の扉が開く。そこで待っていたのは……。

 体験版はあくまでパズルパートがメインということで、ストーリーに関しては断片的にしか描かれないが、作品のとっかかりとなる世界観を味わうには十分だろう。また体験版の最後に待っている“サプライズ”も開発チームの力の入れ込み具合を感じた。

 総合プロデューサーであるMyDearestの岸上健人氏や、同じく総合プロデューサーを務めるイザナギゲームズの梅田慎介氏も以前のインタビューで「インタラクティブな要素にこだわった」と語っていたが、今回の体験版でもメモリーダイブという能力を直感的に使い、謎を解いていく楽しみをしっかり感じられた。

『ディスクロニア:CA』体験版を先行レビュー。VR世界で事件を捜査。インタラクティブ性が増したプレイ感と、“自分の左手”で謎を解く楽しみを体感できる体験版
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 2022年9月23日の第1章リリースを前に、ぜひ本作の“おもしろさ”を体験版で味わってほしい。

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