2022年8月25日、ついに発売となった『地球防衛軍6』。本作の秘密について、『地球防衛軍』シリーズを通してプロデューサーを務める岡島信幸氏に直撃インタビュー! 前作からつながる物語設定についてや本作の新要素にまつわるあれこれ、今後の展望まで根掘り葉掘り訊きまくった。
プロデューサーが語る本作いちばんのセールスポイントとはいったい?
PS5『地球防衛軍6』の購入はこちら(Amazon.co.jp) PS4『地球防衛軍6』の購入はこちら(Amazon.co.jp)岡島信幸 氏(おかじま のぶゆき)
ディースリー・パブリッシャープロデューサー。『地球防衛軍』シリーズ初代作から本作までプロデューサーを務める。
荒廃した地球をいかに救うのか
――いよいよ発売となった『地球防衛軍6』ですが、改めて、本作のもっとも大きな見どころからお伺いできますか。
岡島約5年ぶりとなる『地球防衛軍』ナンバリングシリーズになるわけですが、こんなにも発売間隔が空いてもきちんと続編が出るんだぞ、というのが最大の見どころですね(笑)。
――「なぜそんなに間隔が空いたんですか」というところを聞いてしまっても?(笑)
岡島理由はいろいろあるわけですが、まず前作『地球防衛軍5』発売(2017年12月7日)からしばらくのあいだは大型ダウンロードコンテンツのミッションパックの準備をしていたりしたので、本当の意味で『地球防衛軍6』の開発に取り掛かったのはそれが終わってからでした。
――追加ミッションパック2が2018年5月17日配信ですから、それが終わってからカウントすれば、前作から約5年と言いつつ実質の開発期間は4年強という感じですかね。
岡島また世界的な新型コロナウイルスの感染拡大というのも、『地球防衛軍6』にとって影響がゼロだったとは言えません。
――ああ……開発時期ともろにかぶってしまいましたね。本作はシリーズで初めてプレイステーション5版も発売されますが、ディースリー・パブリッシャーとしても、初のプレイステーション5用ソフトになりますよね。
岡島そうですね。やはり新ハードでの開発はそれなりの労力が必要なところがあり、『地球防衛軍』ファンの皆さまにはずいぶんお待たせすることになりました。でも、新ハードがリリースされたからには、そちらに対応しないわけにはいきませんよね?
――開発サイドとしては、時間を掛けたぶんいいものができたとお考えでしょうか。
岡島はい。きっと喜んでいただけると思います。変えるべきところを変え、変えてはならないところは変えず、というナンバリングEDFシリーズの新作らしい仕上がりになったと思います。開発を手掛けたサンドロットのクリエイターの皆さんもかなりがんばりました……いえ、現在進行系でがんばっています。
――えっ、このインタビューは発売の○日前にやっているんですけど、日程的にはとっくにマスターアップ(製品版の完成のこと)していないといけないですよね?
岡島もちろんゲーム自体は出来上がっていますよ。ですが、発売日に行う予定のアップデート用の開発作業を、今日現在も行っています。本当はもう終わる予定だったんですが、クリエイターからリクエストが出まして、完成を延ばしています。内容としてはおもにバランス調整で、テストプレイをくり返して細かく手を入れ続けています。
――『地球防衛軍』シリーズの開発は、一度ステージを組んでからテストプレイを行い、敵の配置や難しさの塩梅を丁寧に改善していくというやりかただとお聞きしましたが、今回もそのブラッシュアップに時間を掛けているということですか。
岡島まさにその通りです。クリエイターたちは、いかに遊んでおもしろいミッションに仕上げるかということを、シリーズを通じてずっと手作業で追求しています。
――そのミッションですが、ミッション総数というのは本作ではどのくらいに?
岡島正確な数は秘密なのですが、前作よりも多いということは明言できますよ。
――おお! 前作も110ミッションあって相当なボリューム感でしたが、さらにその上を。
岡島少し手前味噌になりますが、『地球防衛軍』はいい意味で時間泥棒ですよね。「今日は最後にあと1ミッションやったら寝よう」と思ったらそれが意外と大作戦だったり、武器の構成に工夫が必要で、一度撤退して再出撃したりして。でも、その時間が楽しいんですよね(笑)。本作もそういった時間をたっぷりと過ごしていただけると思います。
荒廃した地球での物語が生まれた経緯
――本作は、前作『地球防衛軍5』のエンディング後の世界が舞台す。プライマーは撃退したけれども人類の9割が滅亡し、文明がほぼ壊滅している状況から始まるということもあり、ミッション1からしばらく重たい雰囲気で続いていきますよね。
岡島『地球防衛軍5』の後の世界を描いているわけなので、しかたないですよね。あの終わりかたで、その後の世界ですからこうなるしかないと思います。誰もが違和感なく想像できる世界設定ですが、多少重苦しいかもしれません。
それはそういう雰囲気を狙ってしたというよりも、前作のその後を考えると必然的にこうなるということです。序盤を遊んでいただく限りでは、「これは地球を救う話にならないぞ……?」と先行き不安になってしまうかもしれませんが。
――そうですね。まず地球がボロボロになっているし、さらに新しい敵が出て来ますし。
岡島そういう雰囲気を感じつつ、遊んでいただくと、まさに転機が訪れるわけなんですが、「なるほど、そう来たか!」と感じていただければうれしいですね。
シナリオライティングは、サンドロットのプランナー兼クリエイターの本間毅寛さんが行っているのですが、最初から構想を持っていたようです。すばらしい構想でしたがそれがじつは難産でした。
諸事情ある中で、開発期間を延長することになり、いったんは「もっとシンプルな内容へと路線変更するか」ということが検討材料に上がりました。ですがやはり初志貫徹したいと話し合って、最終的には私のほうから、現行路線で続行することをお願いいたしました。
――最終的には、本間さんが思い描いた当初の構想のかたちで製品化までこぎつけたということですか?
岡島そういうことです。これでよかったと思います。でも一時期は本当にたいへんでした。
――(笑)。
岡島いろいろと端折ってつじつまさえ合わせれば開発期間の短縮だけは図れたのかもしれませんが、そうするともともと思い描いていたものをご提供できなくなってしまいますので……。こういうときの決断はやはりプロデューサーがすべきことですから。「最初からやろうとしてたものを作ってください」とお願いするのが私の役割であったと思います。
本間さんも「絶対に岡島だったらそう言ってくれる」と思って相談してくださったと思います。私の勝手な憶測ですが(笑)。
カメラからエアレイダーまで本作の変更点は?
――少し細かい話題になりますが、本作ではカメラ位置が変えられたりダメージ表示が出せたりと、いろいろ変更が加えられてますね。
岡島カメラタイプは4つあります。最近流行のTPSに近い、ああいった角度が好きな人もいるだろうと。ある日突然、実装されていて驚きましたが、プレイヤーが選べるというのはいいことだと思います。従来の画角がよければ設定できますし、字幕もいらないなという方は消していただければいいことですので。
――変更点では、フェンサー以外にレンジャーのバックパックのようなサブ装備枠が増えたのは大きなポイントだと思います。
岡島『地球防衛軍5』では、高難度設定で遊ぶときフェンサーで遊ぶ方が多かったんですね。フェンサーの一強という形より、兵科それぞれその長所短所ありながら使いかたによっては高難度も攻略できるというのがいいバランスだと思いますので、フェンサーの変化は少なくほかの兵科たちがそこに近づくような性能アップを図ったということです。
――エアレイダーはとくに変わりました。荒廃した世界では空爆要請が行えず、小型ドローンを使うようになっています。
岡島クリエイターも悩んでいました。「エアレイダーはこの世界でどう戦うのか?」と。空軍は呼べないですし、呼べたらおかしいですし。でもクリエイターの皆さんは考えていましたね。最終的にはドローンを使って攻撃をするという、新感覚かつ爽快感のある兵科に仕上がっていると思います。エアレイダー使いの皆さんもご期待ください。
すべてのミッションではないですが、前作までのような戦いかたもできます。ひと粒で二度おいしい兵科と言えるのではないかと(笑)。
――なるほど(笑)。さて、最後に本作の物語的な注目ポイントについて教えてもらえますか?
岡島ストーリー上の見どころはネタバレになるので言いづらいですが、けっきょくのところ、地球を救うということは簡単にはいかないんだぞ、ということが理解いただけると思います。
敵は、人類の常識を超えたところで奥の手、裏技、反則を使ってくる。だから我々も逆手に取って……という。おっと、これ以上は言えませんが、そこのヒリヒリするような展開がやはり最大のポイントだと思います。
――序盤ではもしかすると、物語上プレイヤーにストレスがかかる展開だったり、重ための雰囲気だったりするかもしれません。ですが、その展開も踏まえて、最終的に気持ちよくなるわけですね?
岡島「絶望、絶望」ってPRではよく使っている言葉ですが、『地球防衛軍』は、最後は気持ちよくなるゲームですから(笑)。絶望から始まり、絶望で終わるというわけにはいきません。
絶望から始まり、最後は、プレイヤーが地球を守った英雄となり、大きなカタルシスを得て終わるわけですよ。それはもう絶対です。
『地球防衛軍6』発売記念特集号 発売中!
ちなみに2022年8月25日発売の週刊ファミ通(9月8日号/No.1760)では『地球防衛軍6』の発売記念特集を掲載! こちらもチェックしてみよう。
『週刊ファミ通』2022年9月8日号 No.1760の購入はこちら(Amazon.co.jp)