上野に生まれた“ゲーミングサウナ”に突撃!
デスクおい堅田くん、君はサウナは好きかね?
堅田机がしゃべった!? なんだ、デスクですか。サウナはブームになる前からふつうに好きですよ。
デスクならばちょうどいい、この施設に取材に行ってきてくれたまえ。
堅田なになに……RED°E-SAUNA UENO、レッド イーサウナ上野? ふつうのサウナじゃないんですか?
デスクうむ。なんでも、サウナでリラックスすること“ととのう”を数値化して、それをランキング化するという要素のある施設だそうだ。
堅田へえ。ゲーム感覚で競い合うわけですか。「リラックスしなきゃ!」って逆に肩に力が入りそうですね(笑)。
デスクつべこべ言ってないでさっさと行け!
堅田うへへーい。
というわけで、本稿では2022年4月29日にオープンしたレッド イーサウナ上野の体験リポートをお届け。個室サウナとはどんな施設なのか? どういう設備がある? そして“ととのう度”の判定とは?
専用のリストバンドを装着
まずは3階で受付を済ませて専用のリストバンドを装着。このリストバンドがスマートウォッチになっていて、使用者の心拍数を記録してくれる。サイズは小さくごく軽いので装着感はさほど気にならない。
受付にはサウナハットやロゴ入りタオルも揃っていて、おみやげとして購入できる(※タオルは部屋にも用意されているのでその日使うぶんは買う必要はなし)。
狭いながらも充実した個室サウナ
利用者はカードキーを使って各個室に入室。部屋にはちょっとした休憩スペースと洗面台、サウナ、そして水風呂が備えられている。広さはビジネスホテルの部屋よりも少し狭め。ホテルからベッドを取り除き、代わりにサウナを設置したというようなイメージだ。
アメニティーにはタオル、ドライヤーを始めシェービングウォッシュ、フェイスケアミルク、アフターシェーブローションなども備えられていてありがたい。
休憩スペースにはシンプルな椅子と机が準備されていて、サウナ→水風呂→休憩というルーチンが気ままに取れる。
各部屋は1名あるいは2名で、60分か80分単位での利用となる。今回の体験では1名での参加となったが、サウナ愛好国・フィンランドなどでは仲のいい友人知人どうしでサウナを楽しむことも多いとのことだし、2名での利用も楽しそうだ(※2名での利用は同性のみ可)。北欧でも“裸の付き合い”って言うのかなあ。
初めての個室サウナ体験!&ととのうチャレンジ
準備を整えていざ入浴。
なにしろリラックスの結果はリストバンドを通じて記録、数値化される。しかも店舗ではそれをランキング化もするらしい。となると、できるだけ高い“ととのう度”を叩き出したいと考えるのがゲーマーの性。なるべく一生懸命リラックスしようと気合を入れつつサウナ室へ入った。
初めて体験する個室サウナはその狭小感に少し面食らうものの、ひとりで利用するぶんには十分な広さ。部屋の奥ではストーブがカンカンと熱を発していて、空間が狭いためあたたまるのも早い。この日は大体120度ほどで過ごしていたが、「もう少し低い気温が好み」という人は扉を開ければ調整することも可能だろう。
サウナが個室であるということ
それにしても静かだ。
ふつうのサウナでは、閉ざされた空間に何人もの大人が集まっている群れの存在感というか、“人いきれ”というような、人がいること自体が発する音がある。リラックスするための場所だけど、裸の他人どうしが密集していて満員電車のようなちょっとした緊張感というものをやはり感じないではない。
サウナの外に目を向けてもおしなべて都会は喧騒にまみれている。電車の音、工事の騒音、人の歩行音、ざわめき。アパートに帰ってもほかの住人の生活音というのはいやでも耳に入ってくる。何しろ日本でいちばんの人口密集地・東京に暮らしている以上、他人の音というものからは逃げられない。僕たちは日々なんらかの音にまみれて生きている。ま、なにしろ音を出しているのはお互い様だ。気にしないようにしないといけない。
だけど、このサウナには静寂がある。ひとり用の、個室だからこその静けさ。個室だという条件に加えてビルのフロアほとんどがサウナ施設なので、仮に満室になったとしても、大きく物音を立てる理由がない。だから全体的に非常に静かな環境でサウナを楽しめる。
サウナ室にひとりきりになって、熱さを感じる、汗をかく、息をする、それだけに集中できる。サウナに没頭できる。
ひとりで入るからこそ「いい場所をあまり長く占拠していると迷惑かな」という遠慮や「あの人より長く入っていよう」というような無駄な勝負心が生まれることはなく、サウナと自分ひとりが向き合う体験が堪能できる。
サウナが個室であるということの利点はおそらくそういうことだろう。
ただでさえもともとリラックスできるサウナ空間に、静かさや、“ひとりである”という集中&リラックス要素が追加されている。吸って吐く、吐いて吸う。腹式呼吸にひたすら集中していると、意識は次第に無思考の世界へといざなわれる。吸って吐く、吐いて吸う……。
圧倒的静けさ――そう、ここは――宇宙――。
ハッ、気づけば意識が宇宙空間へとトリップしていた。時間もちょうどよくなっていたので、水風呂へ移る。
サウナ入浴において水風呂はとても重要。その清潔さ、水温はサウナそのものと同等に大切な要素だ。本施設の水風呂はサウナ室の目の前にトビラが設置されていて、サウナから出ると2歩で水風呂に飛び込める。
通常の入浴施設の場合、水風呂にザブンと飛び込むのはマナー違反。必ず汗を流してから入ろう。しかし、個室サウナである本施設の場合はそのまま水風呂に飛び込むことも許される。
風呂桶はツボ風呂になっていて、落ち着けるサイズ感もじつにいい感じ。そして大事な水温は約18度。水道水かけ流しで、ぬるからず冷たすぎず……という温度だが、気温120度のサウナからわずか2歩、掛け水なしで体を沈み込ませたときの約100度に及ぶ一気の温度差は他施設では味わえないもの。
これはもう大谷翔平が時速160キロのストレートを投げた後に120キロ台のカーブを投げてくるようなものでその落差はまさにメジャー級。MVPクラスの衝撃を味わえると言っていいだろう。
熱くなった体が十分に冷やされるまで数10秒、冷水に全身を浸す。冷たさと静けさが体を包み込んでいる。体を浮かせ無重量状態を感じながら、そっと目をつむると――
宇宙――。
ハッ、気づけば意識が再び宇宙空間に放り出されていた。
水風呂から上がり、体を拭いてから部屋のリラックススペースで小休止。静かな室内、清潔な椅子に身を横たえていると――
宇宙――。
まあとにかく宇宙を感じてしまうくらいにリラックス極まるのだった。
ひとりきりっていいよね
そのほか、本施設ならではの見どころもいろいろ。サウナの窓からは大型液晶が見える形になっていて、サウナに入りながら好きな番組やネット配信サービスで動画を楽しめる。
熱せられた石に水を掛けて蒸気を上げる“ロウリュ”用のバケツと水も用意されていて、これも気ままに楽しめる。
“ひとりサウナ”のメリットとして、通常のサウナではマナー違反のためはばかられる“寝転がりサウナ”や頭まで水風呂に沈める“全身全霊水風呂”もできてしまう。ふだんなら絶対にできない行為を誰にも見られずにひとり行う背徳感が新たな快感を呼ぶ。嗚呼。ひとりって最高だ!
この日はサウナ(10分)→水風呂→休憩(10分)を2セット行って終了。初めての個室サウナ体験は、最高というほかないものだった。
サウナ以外でもリラックス
果てしないリラックスの旅はまだ終わりではない。
ビル7階には、最新の映像投影設備を設置した“Warp Square”がある。これは、天井中央のプロジェクターから壁面に波の映像を映し出し、その波の音と光の中でただただくつろげるというスペース。
フロアには“人をダメにするソファ”ことヨギボーのクッションが設置。人間をどこまでもやさしく包んでくれるビーズクッションに身を沈めて波を眺めるだけで意識は宇宙へ旅立とうというもの。
そのほか、8階にはボードゲームを楽しめるフロアーの“RED° BODOGE”も。サウナでリラックスした後にボドゲ。理想的な休日になりそうだ。飲食メニューの提供も予定されていて、ただいま準備中とのこと。
ちなみに、本施設は東京タワーのふもとに今春オープンしたRED゜TOKYO TOWER(レッド トーキョータワー)と同じ“東京eスポーツゲート”によって運営されている。東京の新スポットとしてこちらと合わせて楽しむのもおすすめだ。
さて、ととのう度は……?
退店時にリストバンドと専用のアプリをリンクさせて“ととのう度”の結果を測定。機器のペアリングに少し時間がかかったものの……おお! 確かに時間とともに心拍数が上がって(サウナ中)、その後ゆっくりと下がって(水風呂&休憩中)、また上がって(2セット目)、また下がっている(再休憩中)。
自分でもゆっくりとリラックスできた実感はあるものの、こうしてデータとして見える化されるととてもわかりやすい。
ちなみに、“ととのう度”の判定基準についてお店の方に聞いたところ、実際には単純な心拍数の上下だけではなく、測定結果をもとに独自のアルゴリズムで点数化しているとのこと。そのアルゴリズムはお店をオープンする前に実際に多数の方にサウナに入ってもらい、実験を行ったアンケート結果にもとづいているのだという。
つまり、ただひたすら心拍数を上げたり下げたりすればいいというわけではなく、リラックスしている人の心拍グラフに近いほど高得点が出る仕組みだそう。
で、実際“アリ”なのか?
というわけで、東京・上野にオープンしたばかりの個室サウナ施設RED°E-SAUNA UENOの体験リポートをお届けした。
ひとりorふたりのごく限られた人数で使用するサウナというのは初体験だったけど、ビジネスホテルのひと回り小さいくらいのスペースに必要十分な設備が準備されていて、何よりほかのサウナにはない“個室感”、個室ならではの自由さで安心してのんびりできる。
“ゲーミングサウナ”とも表現できる“ととのう度”測定は、ほかのサウナにはないサービスでちょっとした遊び心。ザ・リラックスマスターを目指すもよし、さほど気にせずおもしろがるもよしといった感じ。サウナデータは蓄積されていくので、通えば通うほど楽しみは増していきそう。
何より筆者の心に響いたのはその静かさ。都会のど真ん中にいることを忘れさせてくれる。値段設定は上野にもある多数のサウナ施設と比較しても少々お高めではあるものの、そこはひとりきりになれる貴重な時間と空間への価格でもあり、“都会の隠れ家”代としては理解できる価格かなと思う。
こだわりのサウナ好きにはもちろんのこと、東京観光の際にちょっと変わったスポットを訪れたいという方や、東京暮らしで「ひとりになりたい、ひとりでゆっくりと過ごしたい」と思ったときに、新しく選択肢に入る施設じゃないかなと思う。宇宙が見えるよ。
施設情報
- 施設名:RED°E-SAUNA UENO(レッド イーサウナ上野)
- 住所:113-0034 東京都文京区湯島3-44-7
- 営業時間:10:00~24:00(年中無休)
- RED°E-SAUNA UENO公式サイト
料金情報
- ひとり利用:
60分5300円[税込]
80分6200円[税込]
- ふたり利用
60分7700円[税込]
80分9900円[税込]
※2022年5月31日までオープン記念で各500円引き。