2022年4月23日(土)~24日(日)のインディーゲーム展示イベント“TOKYO SANDBOX 2022”が開催中。同イベントに出展している求道庵の最新作『鬼ヶ谷 いんくらいん』のプレイアプル版を体験できたので、制作者のミニインタビューとともにプレイリポートをお送りする。

『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】
『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】
“TOKYO SANDBOX 2022”会場の秋葉原ベルサール2階。コンパクトなスペースに約50の出展ブースがひしめく会場内は、コロナ禍以前の活気あるインディーゲームイベントに近いものがあった(当然ながら、新型コロナ感染症対策は会場入場時・各ブースで徹底されていた)。

 今回プレイできたのは、10分程度でクリアーできる試遊版。3タイプの鬼の攻撃をかわしながらインクライン(“傾斜鉄道”とも呼ばれるケーブルカーの一種)で斜面を登り、方陣に誘い込んだ鬼たちを封印……というゲームの基本を体験できるものだった。

『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】

 自然豊かな風景に古い日本家屋が立ち並ぶフィールドは、求道庵の前作『吾妻邸くわいだん』と同系統ながら、カラッと明るい時間帯、デフォルメ化されたキャラクター、目立つアイコン表示……など、ぱっと見の印象はだいぶカジュアル。ゲームバランスも「クリアー自体は難しくない&高得点狙いで欲張るほど難易度アップ」という、自分の腕前に合った “鬼攻め”……もとい“鬼避け”を楽しめる調整がされていた。

 今回移動できたのはごく狭い範囲での一本道だったが、完成版ではゲーム進行に合わせて、進めなかった場所が次第に通れるようになるとのこと。広大な世界を渡り歩くよりも、限られた箱庭世界の密度の濃さを楽しむプレイヤーほどハマれそうだ。

『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】
『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】
会場入り口付近にある求道庵ブース。体験版はゲーミングコントローラーで快適に操作できた。

『鬼ヶ谷 いんくらいん』制作者・田口求道氏ミニインタビュー

田口求道氏(たぐちぐどう)

求道庵(ぐどうあん)クリエイター。9年間をかけてひとりで作り上げたタイトル『吾妻邸くわいだん』を2018年にプレイステーション4、2020年にPC、2021年にNintendo Switchでリリース。現在『鬼ヶ谷 いんくらいん』を開発中。

――インクラインをメインのギミックにしようと思ったのは?

田口僕は日本の古い建物や遺構が好きで、学生時代、京都にあるインクラインの跡地(※京都市東山区の“蹴上インクライン”)にも何度か行った経験があります。昔からインクラインを何かしらの形でゲームに使いたいなと思っていたのですが、『吾妻邸くわいだん』のNintendo Switch版開発が終わりかけのころに、ゲームシステムへの落とし込みかたが見つかったので、次回作として造り始めました。

――『吾妻邸くわいだん』は“夜”がメインのシリアスな世界観でしたが、今作はあらゆる面で逆をいっているという印象です。

田口“鬼をひょいと担いで歩き回る”という奇天烈なギミックは、前作の頭身のキャラ向きではありません。現実になかなかない絵づらを違和感なく成立させるには、頭身を低くするのがいいと判断しました。そして、そんなパワフル系な主人公の特性を際立たせるには、全体的に明るめな画面がいいだろう……と。

『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】

――ギミックありきの調整なんですね。

田口あとは、前作をファミ通さんなどの誌面に載せていただいた時に「暗い画面だと目立たない」「明るい画面の方が映える」ということを身をもって学びました。

――なるほど(笑)。

田口『鬼ヶ谷 いんくらいん』にも夜のシーンはありますが、それも明るく見えるように心がけました。

――ビジュアルに合わせて、ゲーム性もカジュアルに寄せたのでしょうか?

田口そこはやり込み系のアクションゲーマーを前提としています。操作も前作よりシンプルなぶん、とっつきやすくなってはいますが、「一度クリアーしてからどれだけうまく進めるようになるか」を楽しめる調整にしています。

――体験版をプレイした限り、基本部分はほぼ固まっているとの印象を受けましたが、開発は順調でしょうか?

田口できれば年内に完成させて、来年の早い段階でリリースしたいですね。

『鬼ヶ谷 いんくらいん』レビュー&ミニインタビュー。箱庭世界の密度の濃さを楽しめる“鬼避け”アクションアドベンチャー【TOKYO SANDBOX 2022】