どうすれば最高のパフォーマンスを発揮できるのか。答えは心身を整えることにある。世界を舞台に戦っているプロが言うから間違いない。

 本稿では、対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV』で活躍する忍ism Gamingのももち選手、チョコブランカ選手にインタビュー。eスポーツプレイヤーにとって身だしなみや精神的なことを含めて“整える”ことの重要性をテーマに話を伺った。

 なぜ大舞台で結果を残せるのか。秘訣は日常的に行っているルーティンにあり!

※この記事は刃物メーカー貝印の新ブランド“AUGER(オーガー)”の提供でお送りいたします。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性
チョコブランカ選手(左)とももち選手(右)。文中では敬称略。

ももち

eスポーツプレイヤー兼忍ism Gamingのオーナー。多くのキャラクターを使いこなすプレイスタイルはまさに忍者そのもの。格闘ゲームの世界大会CAPCOM CUP、EVO、EVOJapanの3種制覇を果たしている。伊賀の三大上忍の一派である“百地家”の子孫。

チョコブランカ

日本女性として初めてのプロチームと契約を結んだeスポーツプレイヤー。ももち選手とは夫婦の間柄で、忍ism Gamingの運営などを行っている。『ストリートファイターIV』で、当時日本一の強さを誇っていたマゴ選手のサガットを倒したのは有名。

忍ism Gaming - Special Interview | AUGER

格闘ゲーマーは指先が命! 大会前のルーティンとは

――ゲームを本気でプレイするうえで、気を付けていることはありますか?

ももち試合前に爪を切ったりですね。格闘ゲームは手元が大事な競技なので。ただ、試合直前に爪を切りすぎると違和感が出たりするので、数日前に切って大会に備えることは多いです。

 ヤスリもけっこう使って、最後にちゃんと研ぎます。(心を)落ち着かせるのもそうですし、最終調整。ルーティン(※)として大会前にやることで気合が入ると言いますか。見た目以上に効果があると思っています。

※ルーティン:決まった所作や習慣のこと。いつもと同じ手順を踏むことで精神的に落ち着く効果があるとされている。

――やはりボタンの押し心地に影響するものですか?

ももち爪が長いと強くボタンを押したときに爪が割れることもありますから、パフォーマンスにも影響します。そこはしっかり整えて。

――爪のケアを意識されるようになったのはいつ頃からですか?

ももちプロになってからです。アマチュアで活動しているときは(ゲームは)あくまで趣味の延長なので、そこまでパフォーマンスや見た目は意識していませんでした。でも、プロになってからは結果を求められますし、若いプレイヤーが憧れてくれる存在でいたいんです。だから周りの目を気にするようになった、というのはありますね。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性

――チョコブランカさんはいかがですか?

チョコブランカ私はボタンを連打するキャラクターを使っていて、爪が伸びていると連打がしづらくなるので昔から整えています。清潔感にもつながりますからね。男女関係なく、爪をきれいにするのはいいことだと思います。

――試合のような緊張感を伴うシーンでふだんと同じことをすると冷静になれる、と聞きます。実感はありますか?

ももち(変に気負っているときでも)気持ちがリセットされますし、そこから「よし!」と気合を入れるスイッチでもあります。“これをやると落ち着く”みたいなことがひとつあるといいんでしょうね。精神的に整うと集中できるので、大事な仕事や勉強など、結果を残したいときにもルーティンは効果的だと思います。

――ほかの選手や忍ism Gamingのメンバーで変わったルーティンをお持ちの方はいらっしゃいますか?

ももち(『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の)takera選手はめちゃくちゃ筋トレしていますよ。最近は筋トレをするプロプレイヤーが増えています。

チョコブランカ私はもともと陸上をやっていたのもあって、大事な試合に勝ちたいときは、会場の隅で腕立て伏せをやってから試合に臨んでいました。どうしても変な力が入ってしまうので、その力を抜くために体を動かそうと。

ももちこれ、関係ないようでいて、すごく理にかなっていることなんですよ。

――格闘ゲームと筋トレにどういったつながりが?

ももち大会のときは緊張して心拍数が上がります。ふだんから運動していると心拍数が上がることへの耐性をつけられるんですよ。要はどきどきに対する“慣れ”ですね。試合直前にその場でランニングしたりして、心拍数が上がった状態に合わせるのもひとつのルーティンかもしれません。

身だしなみは重要。若いプレイヤーの見本になることを意識して

――プロのプレイヤーになって多くの人から注目されるようになったと思います。やはり見られかたは気にされますか?

ももち単純に、身だしなみを気にするようになったと思います。昔はゲームセンターに行くときに、無精ひげのままのこともよくありました。そのときは周りにどう見られても全然気にしてなくて……。

 いまはファンの方から声をかけていただくこともあります。見た目が悪いと印象もよくないですし、若いプレイヤーも増えているので、そういった子たちに見られて恥ずかしくないように、見本になれるように、つねに意識しています。

――ふだんの配信でも気にされていますか?

ももち配信では日常の親しみやすさが大切。大会とはまた少し違うんですけど、見た目の印象は大事なので気を使っています。最近は(チョコブランカと)いっしょの生配信も増やしているので、そういうところで爪のケアを見せるのもおもしろいかもしれませんね。

――最近は男性向けの化粧用品が増えていますよね。ももちさんも使っていますか?

ももちとくに化粧品は使ってないですね。ムダ毛の処理くらいは気にしていますけど。

チョコブランカでも肌が乾燥しているときとかに、私の化粧水と乳液を使ってるよね。

ももちチョコがいろいろ持っているので借りたりしています。あとはひげが伸びてるときに注意してもらったりですとか。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性
貝印AUGER システムカミソリは、ヘッド部分に3D首振り機能を搭載している。首回りからあごの肌にフィットして深剃り可能。

――チョコブランカさんからアドバイスをもらいつつ、適度にスキンケアもしていると。チームメンバーには身だしなみの大切さを教えたりしていますか?

チョコブランカ先輩の姿を見て育ってほしいなと思いつつも、「人前に出るからきっちりしようね」といった感じで、あまり細かくは言わないです。基本的には選手たちも清潔感のある身だしなみを気にしてくれていますから。

――プロを取材していると、“人からの見られかた”も大事なのかなと感じます。たとえば、悪印象を持たれたらデメリットも大きいですよね。

ももちそれはあると思います。eスポーツが世間に認知されるようになって、ゲームを知らない人に見ていただくことも増えました。清潔感がなかったり変なことを言ったりして「所詮ゲームだよね」と見られるのは、自分たちとしては本意ではない。しっかりした印象を持ってもらえる言動を心がけています。こういった取材ですとか、SNSで発信するときもそうですね。

――チョコブランカさんもイベント出演などで発信側に回ることが多いと思います。言動についてどのように意識されていますか?

チョコブランカ思っていたことが間違って伝わってしまうというのを、何回か経験したことがあるんです。ですので、「こうは思ってないよ」と言ったうえで自分の思いを伝えるとか、少しずつ伝えかたを変えていきました。

ももち周りの若いプレイヤーには、「自分が憧れる選手、見本になる選手になれよ!」と伝えています。それには身だしなみも言動も同じくらい大切ですからね。

ふだん通りに戦うため、こだわりのある道具を使い続ける

――気持ちを整えるためにはルーティーンで決まった手順を踏むといい、というお話がありました。“使い慣れた道具を使ったほうがいい”という考えにも近いと思いますが、道具にこだわりはありますか?

ももちやっぱりアーケードコントローラーですね。すごく愛着がありますし、自分だけのカスタマイズでフィットするものになっているので、人に貸すのが嫌なくらいです。

 昔はゲームセンターで対戦するのが主流だったので、アーケード筐体でプレイするのが基本だったんですけどね。プロのeスポーツプレイヤーとして自分のコントローラーで大会に参加するようになってからは、自分のアイテムのひとつとしてこだわりを持っています。

チョコブランカ私もアーケードコントローラーにはこだわっています。ボタンの硬さで技の出やすさも変わります。ともに戦うパートナーでもあるので愛着があります。いちばん大事なものですね。

――一般の人からするとコントローラーの調整は想像しにくいと思います。時間をかけて仕上げていくのでしょうか?

ももちゲームをプレイしながら微調整していくんですよ。ボタンの深さを0.1mm変えたりとか。

チョコブランカ私はいろんなパターンを試していくうちに、これがいちばんと思える調整に出会えました。細かく時間を掛けたというより、やっていくうちに気付いた感じですね。「これだ!」って。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性

――ほかにこだわっているものはありますか? ゲームには直接関係ないものでも。

ももちお茶ですね。海外大会によく参加するんですけど、(海外だと)なかなか日本茶が飲めないんです。日本から持って行って大会前に飲むことで、日本の感覚(を取り戻す)と言いますか。“海外に来てるぞ”という感覚が強すぎると、どうしてもふだん通りの力を発揮できないんです。

チョコブランカどれだけいつも通りに過ごせるか、というのは大事だと思います。私の場合は香りですね。好きな香水やアロマを使うと、リフレッシュしてお仕事に臨めます。あとは、一度気に入ったものをとことん使い続けるタイプなので、お気に入りのもので(周囲を)固めて、自分に快適な環境を作るような感じで。

――“使い慣れたものを身近に置く”というのはポイントかもしれませんね。ゲーマーにとって身だしなみも大事ということでしたけど、そういったケア用品にこだわりはありますか?

ももち毛抜きやカミソリはふだんから使っているものを海外にも持って行きます。これもルーティンのひとつかもしれないですね。これからはAUGERを持って行くと思います。ハサミは切れ味がしっかりしていて、なおかつ安全な造りになっているのは個人的にうれしかったです。これまでも眉毛の処理にハサミを使うことはあったんですけど、先が尖っているとヒヤッとすることもあるので……。

チョコブランカももちはものに対しての愛着やこだわりが強いほうだと思います。何にでも手を広げるんじゃなくて、最低限のものを大事に使うイメージ。

――機能性に優れたAUGERは長持ちするでしょうし、まさにももちさんと相性のいい商品と言えますね。

ももちはい。(愛用品の中には)小学生の頃からずっと使っているものもあるので、もしかしたら30年、40年使う可能性もあります!

――ちなみに、チョコブランカさんから見て、ももちさんの清潔感に点数を付けるなら?

チョコブランカもとから清潔感のある人だったので90点くらいかなぁ(笑)。

ももち100点だと改善の余地がなくなるからね。残りの10点はAUGERを使って伸ばしていこうと思います。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性

精神を整えることが結果につながる! 勝負に携わる者にとっての“整える”とは

――単刀直入にお聞きします。どうしてそんなに格闘ゲームが強いんですか?

ももち自分は好きでずっとやっていた結果、強くなっていました。もともとプロを目指していたわけではないんですよ。原点は、ただただ「あいつに勝ちたい」。格闘ゲームはほかのeスポーツ競技と比べて年齢層が高いんですけど、そういう人は多いんじゃないかと思います。

――好きとはいえ、ずっと続けるのはたいへんだと思います。チョコブランカさんはいかがですか?

チョコブランカ私の場合は“楽しい”を重要視していて。私もプロになろうなんて思っていなかったんですけど、ゲーセンという文化・ゲームのおもしろさにのめり込んでいったタイプ。やめたくなったときも何回かありましたけど、少し離れるとやっぱりやりたくなるんですよね。そういう気持ちを経験したら、「あ、やっぱり私はこれ(ゲーム)」が好きなんだなと。だから続けられるんだと思います。

――好きなことを続けていたら強くなり、2011年7月にはアメリカの“Evil Geniuses”に加入されました。“プロプレイヤーカップル”という部分をフィーチャーされることが多かったと思いますが、悔しくありませんか? 実力を見てもらいたい、のような。

ももちそこにはネガティブな感情はなくて、ポジティブに捉えています。ただ、プロは何をもってプロなのか、目指すべき活動は何なんだろうと、プロになる前からずっと苦しんできました。悩みもあったんですけど、ふたりであることにも意味がある。ふたりだからほかのプレイヤーやコミュニティーとは違うことができる。これが自分たちの強みだなと。

チョコブランカ私もネガティブな気持ちはまったくなくて。私ひとりだったら無理だったと思いますし、ふたりだから続けられている。ふたりいっしょだから(これまでの苦難を)乗り越えられた、というのはあると思います。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性

――試合前や大事なイベント前のおふたりの様子を教えてください。やはり緊張されてますか?

チョコブランカ試合前はピリピリしています。絶対に勝たないといけない試合ではとくにそう。そのときこそ、どれだけいつも通り過ごせるのかが大事です。

――そういった緊張を試合に持ち込むと、やはり実力を発揮できないものでしょうか。

ももち緊張がいい意味で集中につながればプラスになりますし、逆にネガティブな方向にいくこともあるので、そのときの自分次第です。お互いに緊張していると感じ合ったときは、大会に向けてプラスの感情を持てるように気を使っていますね。

――試合のシーズンでは何試合も戦い、その中で調子の浮き沈みがあるかと思います。その際はどのように乗り越えてきましたか?

ももち1年間、シーズンを通して戦うとなると、どうしても調子が悪いときもあります。大会はある程度スケジュールが決まっているので、浮き沈みがあることを受け入れて、調子の波がいいところを大会でぶつけるイメージで調整しています。

チョコブランカ自分のいちばんいい状態を試合当日に持ってくるのは、精神的に落ち着いてないと難しいんですよね。

ももち心が乱れていると大会の結果にも影響するんですよ。技術以上に精神的な問題が成績に反映される。長年格闘ゲームをやってきて、何度も身をもって体感しました。自分にとって気持ちを落ち着かせるコツが、ルーティン(試合前のネイルケアなど)だったり、ふだんの活動なんです。

――技術が優れていても勝てないことがあると。

ももちいちばん強いやつが優勝するとは限らないです。格闘ゲームのトーナメントがあるとして、いちばん勝率の高い人が勝つのであれば毎回その人が優勝するはずですよね。でも、実際はそうはならない。試合にはいろんな要因が絡み合います。1%でも勝率を上げるために、できることは全部やりたい。ルーティンで精神を整えるのもそのひとつです。

チョコブランカ心が浮き沈みしている状態で試合に臨むと、いつも通りに戦えない。だからこそ、自分のパフォーマンスを最大限発揮するために、“整える”のも重要な技術なんです。

ゲーマー必見! ももち流爪整え術

 爪のお手入れをあまり意識したことがない人のために、ももちさんが日常的に行っている爪の整えかたを紹介。これを実践すれば格闘ゲームのパフォーマンスが一段階上がるかも!?

 まずはお風呂に浸かってリラックス。爪が柔らかくやわらかくなったところで、適切な長さに切っていく。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性
今回使っているのは『AUGER ツメキリ M Revolver』。刃に力が伝わりやすい構造で、切れ味も鋭い。

 続いて、ヤスリで凹凸を整える。力任せにごりごり削ると荒れてしまうので、ヤスリを一定の角度で固定してゆっくり丁寧に。

 目の荒いヤスリで大まかに形を整えた後、目の細かいものに持ち替えて入念に磨き上げよう。プレイ中の影響を考えて、爪が割れないような均等さを意識するのがポイントだ。

俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性
『AUGER ネイルファイル』は荒い面と細かい面が表裏一体になっている。荒い面で大まかに磨いたら、くるりとひっくり返せばOK。

身だしなみと心を整えるグルーミングツール“AUGER(オーガー)”

 おふたりがプロモーションを担当する“AUGER(オーガー)”は、調理用品や化粧道具といった製品を数多くを手掛ける貝印によるグルーミングツールだ。カミソリ、爪切り、ネイルファイル、ハサミ、毛抜きと、日常的に使いたいアイテムが取り揃えられている。

 貝印は日本有数の鍛冶の町である岐阜県関市をルーツに持つ、刃物と金属のスペシャリスト。AUGERには使い心地を向上させる機構が備わっており、“身だしなみを整える時間”をより豊かにしてくれる。

 また、全体にブラックを基調としており、男女問わず使いたくなるオシャレなデザイン。男性の美意識が注目されてる現代だからこそ、オススメしたい商品だ。

AUGER×esports 特設サイト
貝印“AUGER”製品紹介ページ
俺より強い奴が勝つとは限らない。『ストリートファイターV』eスポーツプレイヤー・ももち&チョコブランカに訊く、ネイルケアや筋トレなど独自ルーティンで心を整える重要性