走攻守、選手を操作する醍醐味を味わえた野球ゲーム

 1986年(昭和61年)12月10日は、ファミリーコンピュータ(ファミコン)用の初代『ファミスタ』が発売された日。本日で発売から35周年を迎えた。

 『プロ野球ファミリースタジアム』は、ナムコ(当時)から発売された野球ゲーム。“ファミスタ”の愛称で知られ、長年野球ゲームの定番ソフトとして親しまれてきたシリーズの記念すべき初代作品となる。本作のロングセラーを切っ掛けに野球ゲームのブームが到来。『燃えろ!!プロ野球』や『究極ハリキリスタジアム』などを筆頭とする数え切れないほどの野球ゲームが各社から発売されていった。『ファミスタ』は3900円という手ごろな価格設定だったので、それが非常にありがたかった記憶もある。

 同時に“ファミリー”を冠するシリーズも制作され、『ファミリージョッキー』や『ファミリーサーキット』、『ファミリーテニス』といった名作が生まれた。筆者は『ファミリーマージャン』のレッスンモードで麻雀を覚えた口なので、もしかすると『ファミスタ』がなければいまだに麻雀のルールがわからなかったかもしれない……?

FC版初代『ファミスタ』が発売35周年。野球ゲームブーム巻き起こした超定番ソフト。3900円というお手ごろ価格も魅力だった【今日は何の日?】

 当時ユーザーを夢中にさせたのは、やはり現実のプロ野球に基づいた選手データを採用してくれていた点。もっとも当時はチーム名や選手名をもじったりしていて公認ではなかったかもしれないが、それでも選手ひとりひとりに個性を持たせてくれたのがうれしかった。本作以降、選手データを用いるのが当たり前になっていったのだから、革命的だったと言えるんじゃないだろうか。ファミ通本誌には付録として選手データを記載した下敷きが付いていたりしたので、それを授業中に眺めていたなんて人もいたはずだ。

 『ファミスタ』以前の定番ソフトとなると、1983年12月に発売された任天堂の『ベースボール』まで遡るしかなく、これはこれで名作と言えるのだが如何せん選手の個性が皆無。守備もほぼオートで行われていたため、かなりシンプルな作りだった。

 本作では打つ、投げる、守るといった野球の醍醐味をすべて味わえるうえ、それらがじつに簡単な操作で再現できてしまうのが何よりの魅力。ゆえにふたり用のモードで何度もくり返し対戦して楽しんだなんて人も多かったんじゃないかな。筆者は野球自体にさほど興味がないというのに、6人くらいで集まってリーグ戦を毎日やっていた覚えがある。

FC版初代『ファミスタ』が発売35周年。野球ゲームブーム巻き起こした超定番ソフト。3900円というお手ごろ価格も魅力だった【今日は何の日?】

 ナムコスターズは『ファミスタ』を象徴する架空のチームとしておなじみ。選手たちがすべてゲームにちなんだ名前になっているのがユニークなところで、いまで言う『スマブラ』的なオールスター感があるのがよかった。最初は弱小チームだったのだが、シリーズを重ねるごとに個性がより強化されていった模様。

 本作発売の翌年である1987年から『プロ野球ファミリースタジアム'87』として早くもシリーズ化。以降、毎年1本という形で発売されていくことになる。平成元年となった1989年からはタイトルを愛称だった『ファミスタ』に改め、『ファミスタ'94』までファミコンで発売。もちろん、ゲームボーイやスーパーファミコンなど多数の家庭用ゲーム機のほか、PCでもシリーズが発売されていった。2020年にはNintendo Switchで最新作となる『プロ野球 ファミスタ 2020』が発売となった。

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