2021年11月11日、アトラスより新作RPG『真・女神転生V』(以下、『真V』)がNintendo Switchにて発売された。本記事では、注目の新要素を中心にプレイして感じたゲームの魅力をお届けする。
『真V』は、『メガテン』の通称で知られ、後に『ペルソナ』シリーズや『デビルサマナー』シリーズなどの派生作品も生んだRPG『真・女神転生』シリーズのナンバリング最新作。見知った現実が一変し、世界の存亡をも左右する戦いに身を投じていくストーリーや、行く手に立ちはだかる悪魔や神々と戦い、ときには“仲魔”にして道を拓いていく独特の世界観、ゲームシステムなど、シリーズ作品に脈々と受け継がれてきた魅力的な要素は本作でも健在だ。
舞台となるのは、現代の東京と荒廃した魔界“ダアト”。主人公は、このふたつの世界を行き来し、さまざまな悪魔や神々と時に対立し、時に協力しながら、歩む道を選んでいくことになる。
進化したグラフィックとテンポのいいゲーム進行
ゲーム開始から十数分、早くもダアトに迷い込んで感じたのは「広い!」という印象だった。『メガテン』と言えば個性的すぎる悪魔や神々、人間たちが織り成すアナーキーな世界観が有名であるが、本作ではこんな“らしくない”感想が最初に口を突いて出てきた。シリーズ作品を遊んできた人ほどそう感じるのではないだろうか。
これまでの作品では“神と悪魔と人間による、世界の命運を左右する戦いの物語”というスケールの大きいテーマがくり広げられてきた。にも関わらず、冒険の主な舞台となるのはつねに天井と壁が気持ちを圧迫してくる妖しいダンジョンであり、ちょっと歩けばすぐに壁にぶつかるし、また複雑な構造をしているものも多く足を止める時間も長かった。
それはそれで探索しやすいというメリットがあってよかったのだが、『真V』の舞台である“ダアト”は複数の広大なエリアから構成される屋外の広大なフィールド。ほとんどのエリアで思いっきり走り回れる(しかも速度が段違い!)うえ、ジャンプもできる。坂道をスライディングで高速滑降したり、高所から飛び降りるなんてことも可能だ。単純に移動時のテンポが上がっているし、スピード感も気持ちいい。
テンポという点では、バトルが基本的にフィールド上の敵シンボルと接触することで発生するシンボルエンカウント制になったのも大きい。戦いたくないときはダッシュやジャンプを駆使するなどして回避できるので、自分のリズムを保って進められるのだ。
なお、従来のシリーズを彷彿とさせるダンジョンや、俯瞰視点のフィールドは本作にもあるので、それらがないと寂しいという人は安心してほしい。
この変化には、ハードがNintendo Switchになったことによるグラフィックの向上が大きく関係しているのだろう。悪魔たちのビジュアルもより魅力的に描かれ、バトルでの演出や、イベント時に挿入されるムービーなど、目で楽しめる要素も大幅に増えている。悪魔会話での悪魔たちのコミカルな動きや、ボス戦での迫力溢れる演出は必見だ。
戦略的なバトルは健在!
バトルは、『真III』以降のアトラス作品ではおなじみの“プレスターンバトル”システムが今回も採用されている。相手の弱点属性を突いたり、クリティカルを発生させると行動回数が増え(最大8回)、反対に無効、反射、吸収される属性の攻撃をしたり、空振りをすると行動回数が減るというものだ。
本作では物理、火炎、氷結、電撃、衝撃、破魔、呪殺といった基本属性に加え、毒、魅了などの状態異常にも相性が設定されているので、ケースによってはじつに多彩な戦いかたが可能。敵の防御相性は、何度も攻撃したり倒すか、アイテム“万里の眼鏡”を使うことで調べられる。
プレイヤー側だけでなく、敵側も同じルールで戦うことになるため、ザコ戦でもひとつのミスであっさりやられてしまう恐れもある、緊張感に溢れる戦いは多くのゲーマーたちを魅了してきた。
ただ今回は、従来作品よりもひとつのエリアごとに出現する敵の種類が少なくなっていたり、アイテムや“写せ身合体”によるスキル継承など属性攻撃の手段が増えているので、だいぶ戦いやすくなっている。また、難易度設定も“Normal”以上ではかなり骨太な難度となっているものの、無料配信されている“Safety”にすればザコ戦ならほとんど一撃で倒せるようになるなど、ストーリーだけ楽しみたい人でも安心。なお、難易度はHard以外ならいつでも変更可能となっている(Hardのみ、一度ほかの難易度に設定し直すと元に戻せなくなる)。
悪魔を口説いて仲魔にする“悪魔会話”や“悪魔合体”など、おなじみの要素も健在。悪魔会話では、ユニークなやり取りを通じて悪魔らしいがめつさが存分に味わえる。ランダム性もあるので、ある意味難度の高いボス戦よりも理不尽を感じてしまうかも?(笑)
ただし悪魔は一旦仲魔にしてしまえば“悪魔全書”でいつでも購入できるようになるうえ、今回は後述する“遺物”のおかげでマッカ(お金)にはそれほど困らないので、交渉や合体はケチケチせずに行うといいだろう。
さらに、新要素として新たな回復手段“マガツヒ結晶”が登場したのも大きい。フィールド上に点在する3色のマガツヒ結晶を回収(近付くだけでオーケー)すると、緑色ならHP、黄色ならMP、赤色なら満タンになるとバトルで強力な“マガツヒスキル”を発動できるようになる“マガツヒゲージ”が回復する。フィールド上のマガツヒ結晶は新月になると復活するので、時間さえかければつねに無料でパーティーの消耗を回復できるのだ。とてもありがたい。
より気軽に没入可能なストーリー
バトルと並ぶ魅力の柱であるストーリーは、相変わらず“『メガテン』っぽい”展開、そして内容となっている。前半戦のうちは情況に流されるがまま、霧に包まれたような感じで進み、中盤以降から一気にペースが上がって話の理解が広がる展開ということ。また、序盤はシリーズ名物のエキセントリックなキャラクターがあまり登場せず、むしろメインどころには親しみやすいキャラクターが多い。シリーズを初めて遊ぶ人にも安心してオススメできる、布教したい人にとってはありがたい作品だと言える。
従来作品はいい意味で現実離れした、濃厚な世界観が特徴で、それがゲームへの没入感を高めた効果もあったと思う。それらと比べると、だいぶ気軽に没入できるはずだ。
また、本作では、おなじみのストーリー分岐(マルチエンディング)も用意されている。思わせぶりな選択肢も序盤から登場するので、シリーズ作品を知っている人ほどビクビクしてしまいそうだ。
『真V』では、主人公と合一するアオガミに加え、“アマノザコ”という小さな悪魔が“クエストナビ”という名の相棒になってくれる。バトルには参加しないが、フィールドを移動中にアイテムを発見して知らせてくれて、それが孤独な冒険の中では賑やかしとなり心が癒やされる。大空直美さんのボイスも最高だ。そして、そこそこの確率でお役立ちアイテムを見つけてきてくれるのもうれしいところ。ときどきミスをして敵を呼んできてしまうけど……。
ほかにも、各地の自動販売機を調べると手に入る“遺物”を売ってマッカに換える仕様や、各地に隠れた“ミマン”という小さい悪魔を見つける“ミマンを探せ!”などの収集要素も用意されており、シナリオも含むボリュームは期待以上に仕上がっているはず。
従来からのファンを裏切らない“お約束”的要素はそのままに、より多くの人が親しめるような新要素を盛り込んだ『真V』。発表から4年以上も経ったぶん、さすがのデキになっていると言える。今後ともよろしく……。
週刊ファミ通11月11日発売号は『真・女神転生V』を特集
2021年11月11日発売の週刊ファミ通(2021年11月25日号)では、『真・女神転生V』を特集! 表紙は、アトラス土居政之氏の描き下ろし。28ページに及ぶ発売記念特集では、改めて本作の見どころを紹介するとともに、序盤の攻略アドバイスや、開発スタッフによるスペシャルコラムなどをお届けします。
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