2021年9月30日~2021年10月3日の期間で開催される“東京ゲームショウ2021 オンライン”(TGS2021 ONLINE)。

 10月2日には、コーエーテクモゲームスによる配信番組“コーエーテクモLIVE! in TGS2021”が公開された。その中のプログラムのひとつとして、“シブサワ・コウ40周年記念 プロデューサー座談会”がおこなわれた。本記事ではその模様をリポートする。

“東京ゲームショウ2021”最新情報まとめはこちら

シブサワ・コウ ブランドの思い出タイトル

 シブサワ・コウこと、襟川陽一氏が『川中島の合戦』を開発・発売してから、2021年で40年。シブサワ・コウブランドが40周年を迎えたことから、シブサワ・コウブランドに関わるプロデューサー陣が集結し、シブサワ・コウブランドタイトルについてのトークをくり広げた。

 出演したのは伊藤幸紀氏(シブサワ・コウ ブランド長、『三國志 覇道』プロデューサーなど)、越後谷和広氏(『三國志14』プロデューサーなど)、小山宏行氏(『信長の野望・大志』プロデューサーなど)、山口英久氏(『ウイニングポスト9』プロデューサーなど)の4名。

WS000374
WS000378
WS000380
WS000383

 まずは思い出に残るシブサワ・コウ ブランドのタイトルを挙げるコーナーへ。伊藤Pは『三國志』シリーズ推しのようで、初めて遊んだ『三國志III』、初めて制作に関わった『三國志11』、いま制作している『三國志 覇道』という、伊藤Pの歴史が感じられるチョイス。

WS000419

 越後谷Pは『ウイニングポスト4』、『太閤立志伝IV』、『三國志英傑伝』と、ジャンルとしてはバラバラなチョイス。こちらは越後谷Pが実際に開発に関わったタイトルとのことで、入社して最初に開発したのが『三國志英傑伝』、そこからさまざまなタイトルに関わり、とくに『ウイニングポスト4』は初めてゲームの仕様書を書いたとのことで、その熱量のあまり膨大な量を書いてしまい“論文”と言われたそうだ。

WS000420

 小山Pは初代『信長の野望』と『信長の野望・覇王伝』をピックアップ。『信長の野望』は自分でお小遣いを溜めて買ったのだとか。どのハードのものかは語られなかったが、『信長の野望』シリーズといえばゲームの中でも比較的高値。当時小山Pも苦労して買ったのではないだろうか。

WS000421

 山口Pは旧コーエーのタイトルで初めて遊んだ『三國志』、“オルド”に衝撃を受けた『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』、初めてシリーズ作品を担当した『ウイニングポスト 7 2010』をチョイス。“オルド”の子孫継承が、『ウイニングポスト』シリーズの子孫継承にも影響を与えているのだとか。

WS000422

 さらには、番組に出演していないプロデューサー陣の思い出タイトルも発表。『信長の野望・創造』プロデューサーの小笠原賢一氏は、『信長の野望・戦国群雄伝』を挙げる。小笠原Pは『信長の野望』シリーズが作りたくて入社したとのことで、おそらくいちばんハマったタイトルとして挙げたのではないだろうか。

WS000423

 シブサワ・コウ氏本人の思い出タイトルは、初代『信長の野望』と『仁王』の2作品をピックアップ。この時代が大きくかけ離れたタイトルを挙げるのが、なんともゲーム好きのシブサワ・コウ氏らしいというかなんというか。紆余曲折を経て、開発に大きな時間を掛けた『仁王』には、やはり強い思い入れがあるようだ。

WS000426

 また、ユーザーからの思い出タイトルも挙げられ、そのコメントも紹介された。中でも『太閤立志伝V』を挙げるファンの声には、放送のコメント欄でも「わかる」と同じ意見が多数。越後谷Pも「いまでも『太閤立志伝』の新作は作らないんですか、とよく聞かれます」と、根強い人気の高さは把握しているようだ(『太閤立志伝』の新作まだですか!?)。

 さらに、シブサワ・コウ ブランド作品のBGMについて語るコーナーも。各プロデューサーがさまざまな名曲たちをあげる中、山口Pは『ウイニングポスト 8』の『本馬場入場(欧州)』をチョイス。前半は静かなメロディだが、途中から豪華絢爛なメロディに変わる特徴的なBGMだ。しかしゲーム的にはレース開始前のワンシーンに過ぎず、さっさとレースが見たいプレイヤーにはパパッと飛ばされてしまうので、BGMの存在自体ほとんど知られていないのだとか(笑)。

イントロクイズ対決も披露!

 “コーエーテクモLIVE! in TGS2021”の共通テーマは“対決”ということで、本番組でも対決コーナーをくり広げる。シブサワ・コウ ブランドタイトルのBGMのイントロを聞き、どのタイトルのBGMなのかをプロデューサー陣が早押しで回答していく、イントロクイズだ。

 すぐに分かるタイトルもあれば、プロデューサー陣であれど頭を悩ますシーンも。とくに伊藤P「『三國志』!」(不正解)、越後谷P「じゃあ『三國志II』!」(不正解)と続き、山口P「じゃあ『三國志V』!」(正解)などとプロデューサー陣がまさかの『三國志』ローラー作戦に出たりと、見どころ満載!

 こちらはBGMが関係していることからも、その模様をぜひ配信アーカイブでチェックしてみてほしい。

シブサワ・コウあるある!?

 続いては、シブサワ・コウ ブランドの“あるある”なことについて、プロデューサー陣が語っていくコーナー。

 まずは“仕様書・データ量が多すぎる”という、いきなりディープなあるあるネタ。シミュレーションゲームを得意としていることからも、データ量が半端ない模様。たとえば武将の数だけデータが用意されているだけに、その物量はものすごい。そのデータ量の多さは全プロデューサーが実感しているようで、小山Pも山口Pも若干辛そうな表情でしみじみとうなずくシーンも(笑)。

WS000405

 続いては“Wikipediaの上を行くスタッフがいる”という、あるある。Wikipediaといえば数多の書き手が情報を集結させていくインターネット百科事典だが、それを優に超える歴史知識を持つ“生き字引”と呼ばれるスタッフが『信長の野望』、『三國志』シリーズのスタッフにいるそうだ。間違っているところはすぐに指摘されるし、最近の研究により解釈が変わったところも把握しているとのこと。

WS000406

 やはり歴史や競馬好きスタッフが多く集まっているようで、旅行先は必ず北海道の牧場と決めているスタッフもいるのだとか。そんな中で伊藤Pが「伝説があるんですけど、ゲームを発売し終えたあと(なので仕事がないときに)、会社に来て15分競馬新聞読んで、帰る。ってスタッフがいましたね(笑)。昔は15分いたらその日は出社した扱いで」と、当時ならではの暴露話も披露(笑)。山口Pから「いまはそんなことありませんから!」とフォローも入る。

 また、新人スタッフには必ず、競馬好きかどうか尋ねるのだとか。毎年新入社員が入ってきても、競馬好きのスタッフがなかなかいないそうで、ようは『ウイニングポスト』シリーズに関わりたくて入ってくるスタッフが少ないのだとか。ここ2年連続で珍しく若い競馬好きスタッフが入ったそうで、ようやく若返りを図れたという。

 逆に言えば歴史好きのスタッフは、かなり激戦区なのだとか。新入社員へアンケートをするそうなのだが、その際にもし競馬好きと答えるスタッフがいたならば、ほぼ確実に『ウイニングポスト』チームにいけるそうだ(笑)。

シブサワ・コウ氏の印象

WS000408

 最後はシブサワ・コウ氏、本人について語るコーナー。越後谷P曰く「とにかく毎日ゲームを遊んでいる」という。遊ぶゲームは自社・他社問わず。クリアーするのはもちろん、やり込み度もハンパないそうで、たとえば『三國志 覇道』をやり込んだうえで、細かいところにプロデューサーへ指摘が入ることもあるそうだ。

 伊藤Pのもとに“メモ”という題名のメールがシブサワ・コウ氏から飛んでくると、その中にはゲームの感想や、ゲームの悪い部分への指摘が書かれているそうだ。伊藤Pは“メモ”という題名のメールを見るだけで、いまではドキドキなのだとか(笑)。

 人柄としては、絶対に怒ったり怒鳴ったりしない、温厚な人物だと小山Pは語る。ただ経営者・クリエイターとしての目線は非常に厳しく、かつその指示は的確。実現するのが難しい注文も多いそうだが、それができたらゲームが絶対におもしろくなるようなアドバイスが多いと、山口Pは語っていた。

グッズも販売中!

 といったところで、プロデューサー座談会は終了となった。コーエーテクモゲームスは今回ピックアップされたシブサワ・コウ ブランドタイトルのTシャツなど、40周年記念グッズなどを多数販売中だ。ファンにはたまらないものとなっているので、ぜひチェックしてみてほしい。

シブサワ・コウ40周年記念 メモリアルアイテムストア
WS000417

※画像は配信画面をキャプチャーしたものです。