2021年9月30日~2021年10月3日の期間で開催される“東京ゲームショウ2021 オンライン”(TGS2021 ONLINE)。会期2日めの10月1日には、“センス・オブ・ワンダー ナイト 2021(SOWN2021)”がオンラインで開催された。

 “SOWN”は、“見た瞬間、コンセプトを聞いた瞬間に、誰もがはっと、自分の世界が何か変わるような感覚”=“センス・オブ・ワンダー”を引き起こすようなゲームのアイデアを発掘し、ゲーム開発者に東京ゲームショウ会場でプレゼンテーションと作品紹介の機会を提供するイベント。今年で14回目を数え、東京ゲームショウの名物企画ともなっている。

 “センス・オブ・ワンダー ナイト”と銘打たれるイベントだけに、通常は夜開催となっているのが、今年は午前中からの開催。「どこがナイトなんだ!?」というツッコミは置いていくとして(日本から2作品、イスラエルから2作品、インド、オランダ、カナダ、ベルギーからそれぞれ1作品がファイナリストに選出されているという国際色豊かぶりなので、時差を考慮してのことかと思われる)、「SOWNでこの人に注目した!」という関係者も多く、クリエイター発掘の場ともなっている。

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 全エントリーは286作品だったという今年のSOWN。そこから80作品がセレクトされ、審査委員によりファイナリストとなる8作品が選出されたとのこと。審査委員であるゲームジャーナリストの新清士氏によると、選考は“ゲームを使った新しいコミュニケーション”と“ゲームという常識を疑え”という切り口で選ばれたとのことだ。配信では、その8作品のプレゼンが行われたのだが、“センス・オブ・ワンダー”という名に違わぬ斬新な発想のゲームばかり。そんなSOWN2021の受賞作は以下の通り。

“センス・オブ・ワンダー ナイト 2021”の大賞に輝いたのは、聴覚のVR『Blind Drive』【TGS2021】

Grand Audience Award

Blind Drive

Best Presentation Award

Do Not Buy This Game

Best Arts Award

Please, Touch The Artwork

Best Game Design Award

Operation: Tango

Best Technological Game Award

かくれんぼの音

Best Experimental Game Award

Blind Drive

 大賞にあたる“Grand Audience Award”に輝いたのは、イスラエルの開発スタジオLo-Fi Peopleによる『Blind Drive』。とある実験により、見えない状態でドライブをすることになったという設定のゲーム。開発者いわく“耳のVR”とのことで、音だけでプレイすることも可能なよう。「マフィア、イルカ、そして怒れる祖母が登場する愉快なクライムコメディのストーリー」も展開されるという。同作は、“Best Experimental Game Award”も受賞。Steamでは体験版も配信されており、iOSとAndroidでも配信されているので(日本語もサポート!)、機会に試してみてはいかが?

『Blind Drive』Steamサイト
App Storeでダウンロード
Google Playでダウンロード

 とはいえ、審査委員の皆さんもコメントしていた通り、エントリーされたのはいずれもレベルの高い作品ばかり。ソニー・インタラクティブエンタテインメントのインディーズ イニシアチブ 代表、吉田修平氏によると、「ファイナリストの選考に漏れた80作品の中には、メタクリティックでファイナリストよりも高い点数になるものもあるのでは」という。“イノベーション”という見地から言えば、人それぞれの感性があるわけで……。体験版のあるタイトルも多いので、気になるタイトルがあったら気軽に触ってみてください。

Operation: Tango(Clever Plays Studio)

 非対象の協力プレイゲーム。ふたりがまったく違う画面を見てゲームプレイをする。パートナーからアドバイスをもらってゲームをすすめる。声だけでコミュニケーションを取るのが特徴。

『Operation: Tango』紹介サイト

かくれんぼの音

 プレイヤーの目に映る現実を舞台に、物語を追体験する、AR(拡張)物語体験ゲーム。スマートフォンを手に、実際にプレイヤーが家を歩いたり、ときには耳をすまし、物語を体験していくことになる。

『かくれんぼの音』紹介サイト

Do Not Buy This Game

 ゲームに入ると、ゲームの制作者がプレイヤーを出迎え、きびしい事実を伝え……というゲームのよう。「このゲームは、最小限のゲームメカニズム、ユーモア、そして正直さだけを使って、プレイヤーとゲームの制作者のあいだにどれだけ深いつながりを作ることができるかを探ります」とのこと。Steamで体験版が配信中! 審査委員の方いわく『たけしの挑戦状』が好きな人はハマるとのこと。

『Do Not Buy This Game』紹介サイト

Eloquence

 『Blind Drive』と最後まで“Grand Audience Award”を争ったゲーム。「このゲームでは、活火山に住み着いた3つの異なる文化と対話することで、完全に機能する記号言語を学ぶことができます。記号言語のパズルを特徴とするポイント&クリック式の物語探索ゲームです」とのこと。

『Eloquence』紹介サイト

In My Shadow

 影を使って謎を解き、ゲームを進めていくパズルアクション。日常的なオブジェクトを動かしたり回転させたりして、その影の形を変えることで、先に進められるようになる。ストーリー性もある。

『In My Shadow』紹介サイト

謎と記憶のラビリンス

 マンガの世界を舞台にした、謎解きアドベンチャー。マンガの主人公は見知らぬ場所で目を覚まし、元の世界へ帰ろうとするも、奇妙な謎に行手を遮られバッドエンドを迎えることに……。読書であるプレイヤーはマンガの世界に飛び込み、主人公となって謎を解き、物語の続きを紡ぐことになる。

『謎と記憶のラビリンス』紹介サイト

Please, Touch The Artwork

 画家モンドリアンの抽象画をモチーフにした、パズルアドベンチャー。実際のゲームプレイは映像を見ていただくほうが早いような気がするが、とにかく斬新な1作だ。

『Please, Touch The Artwork』紹介サイト