『ダイの大冒険』の物語を本作独自の切り口で楽しめるRPG
2021年4月に行われたクローズドベータテスト(以下、CBT)を経て、いよいよ2021年9月28日にサービス開始予定となる、アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』をベースにしたスマートフォン(iOS/Android)用ゲームアプリ、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 -魂の絆-』。
現在、App Store、Google Play、公式Twitter、LINE公式アカウントで事前登録の受付が行われている本作をいち早くレビューした筆者が、その肌触りを皆さんにお伝えしていく!
本作の物語は、アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』を追体験できるもの……なのだが、本作独自の要素として“主人公であるプレイヤーの世界とダイたちの世界がリンクする”というヒネりが加わっている。
そのおかげで、ストーリー的には“仲間となったダイたちとともに、主人公の世界とダイたちの世界にいる敵を倒していく”ことになり、アニメの追体験をしながらも独自の物語を楽しめるのだ。
そして、当然ながら主人公=プレイヤーはダイたちと共闘することになるのだが、彼らの個性は『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のまま。だから、「回復役が欲しいからマァムを連れて行くか」とか「ポップの守備力は怪しいから、いい装備品を装備させておこう」なんていう、原作ベースの知識がしっかり通用する。
また、主人公は勇者、戦士、僧侶、魔法使いのどれかに転職できる。「お気に入りのキャラクターはダイ(勇者系)とアバン(勇者系)とクロコダイン(戦士系)です!」みたいな人でも、主人公を僧侶に転職させればパーティのバランスを取ることが可能なので、好きなようにパーティを編成していい。このあたりに密に絡む育成システムについては、キモであるバトルの話をしてからお伝えする。
操作はシンプルだが、強敵に挑むにはテクニックが必須
では、本作の核となるバトルシステムを簡単に解説しよう。
本作のクエストが始まると、主人公たちは左、中央、右の3レーンに分割された1本の道を奥に向かって進んでいく。各レーンの奥から続々とモンスターが出現するので、その正面に立って攻撃し、最奥部にいるクエストのボスを倒すまで戦い続けるというのが基本の形だ。
操作するキャラクターによって、通常攻撃の範囲が微妙に異なるのがバトルの重要ポイントだ。とくに、任意にセットできる攻撃スキルはその影響が顕著で、少し奥にいる敵に攻撃が届く槍の技、近づかなくても攻撃できる呪文、隣接レーンまでまとめて切れる剣技など、さまざまなタイプのスキルが用意されている。
主人公たちの通常攻撃は自動でくり出されるので、プレイヤーが操作で介入できる部分はそう多くない。レーンの移動、バックステップ(回避)、ガード、攻撃スキルの発動、そしてスタンバイしている仲間(=相棒)との交代くらいで、いずれもタップやスワイプなど、直感的に操作できるのはうれしい。
また、バトルには“ブレイク”という要素もある。ボスとの対戦時、スキが生じたときにタイミングよく攻撃を当てると、ボスが奥に吹き飛んで一定時間行動不能になるのだ。このときは大ダメージを与えるチャンスになっており、ブレイクを出せるかどうかでかなりバトルの難度が変わってくると言える。
本作はRPGなので、キャラクターのレベルや装備品、各種能力強化がパーティの強さに依存する部分は大きい。とはいえ、操作によって敵との戦力差をある程度までなら埋めることが可能だ。少なくとも今回のバージョンをプレイした限りでは、「この強敵に勝てた!」というカタルシスは得られたので、ガッツリめのゲームファンも楽しめると思う。
逆に「ゲームのテクニックには自信ないけど、『ダイの大冒険』が好きなんだよ!」という人も、レベルや装備を強化すれば勝てるようになるので、そこは安心してほしい。
筆者はCBT版で本作をプレイ済みなのだが、プレイフィーリングに関してはCBTとすさまじく変わった……ということはなかった。もちろん、敵の強さのバランス調整、演出が見やすくなっているなどの微妙な変更は加わっていると思うが、なにぶんCBTは5ヵ月も前のことなので自信はなし。
ただ、大筋ではCBT時に持った印象と変わらないので、CBT版をプレイしておもしろいと感じた人であれば、9月28日のリリース版をプレイしてもいいだろう。
仲間をとことん強く! 奥深いキャラクターの育成&強化要素
続いては、キャラクターの育成について。CBT版でも感じたが、「育てたり強化する要素が多く、そう簡単に上限にはたどりつけなさそう」というのが、筆者の印象だ。つまり、長期にわたって楽しめることは請け合いということだ。そこで、まずは本作の育成&強化を解説しよう。
- ボード……キャラクターの基本能力を底上げできる強化要素。レベルの上限解放なども含まれているので、まずはここを最優先に強化していくとよさそう
- 装備品……強い武器や防具を持てば、攻撃力や守備力がダイレクトに上がる! “宝探し”(ガチャ)で重複した装備品と、クエストをプレイして手に入る素材を使うことで強化できる
- スキル……攻撃スキルは、素材となるアイテムを消費してレベルアップさせられる。装備品と同じくらいバトルへの影響力がある
- 魂の水晶……入手した仲間の“魂の水晶”をセットすることで、“魂スキル”が発動して能力がアップ。魂の水晶は最大3つまでセットが可能で、その組み合わせによって共鳴度が変化する
- 絆Lv.……仲間とともにバトルで戦うと、“絆Lv.”(親密度のようなもの)がアップ。これが上がると、仲間たちをさらに強化できたり、オリジナルエピソードが見られるようになる
ざっと挙げるとこんな感じ。基本的にはガチャに挑戦したり、対応するクエストをプレイして必要な素材を入手することで、成長や強化が可能になるといった形だ。つまり、やり込めばやり込むだけ、その実感が得られるようになっているのである。
ちなみに絆Lv.は、絆Lv.を上げたいキャラクターといっしょに冒険するだけで上がるので、もっともお手軽。絆Lv.が高くなるだけでもメリットはあるが、さらに後述する“魂の水晶”を使った強化の下地が作れるという重要な側面を持つことは、覚えておいて損はない。
さて、上のリストを見て、CBT版を遊んだ人は「“魂の水晶”って何?」と思っただろう。そう、リリース版には“魂の水晶”という新たな強化要素が追加されるのだ。“魂の水晶”は本作に登場する各キャラクターに用意されているアイテムで、それぞれでセット時に強化される能力が異なる。
さらに、“魂の水晶”も素材を消費して強化することが可能だ。また、原作での関連性が高いキャラクターの“魂の水晶”をセットすると、“共鳴度”が高まって強化される能力がよりパワーアップするという仕組みになっている。
原作の物語を知っていると“共鳴度”が高まる組み合わせがわかりやすいので、ファンにはうれしい強化要素と言えるだろう。もちろん、原作を知らなくても“おすすめ”機能を活用したり、“魂の水晶”に付記されたヒントとなる文章を読むことで共鳴度を高めるやりかたを模索できるので、原作の知識の有無がそこまで不利に働くことはない。
CBT版のプレイ経験も踏まえて、今回プレイできたバージョンを紹介してきたが、実際にプレイした感想は、「本作の特徴的なバトルは相変わらず楽しいし、アニメの放送が盛り上がっているこのタイミングで本作を遊べるのは最高!」というもの。
また、令和版のアニメを視聴したかどうかに関わらず、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』直撃世代にとっても(難度のバランスも含めて)楽しめるゲーム内容になっていると感じた。
クエストを周回プレイすることが前提となる強化&育成要素で、しかもその内容が豊富なので、「スタミナ回復の時間を待てないという人はお財布のヒモが緩みそうだな」という印象もあるが、日々のんびりプレイする派であれば、プレイを続ければ続けるほどダイたちが育っていく喜びが実感できるはず。
なによりゲームが楽しく、「おお、○○○○よ! これをプレイしないとは もったいない!」という気持ちになれるタイトルなので、ゲーム性に興味を持った方、そして『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』ファンの方にはぜひプレイしていただきたいところだ。ちなみに、サービス開始時にはジェム3000個(装備ガチャ10連相当)プレゼントが決定しているので、遊ぶならサービス直後からがおすすめ!