NetEase Gamesが開発、運営するTPSバトルロイヤルゲーム『荒野行動』にて、2021年9月23日に新マップ“孤島作戦”がリリースされた。その発表の仕方が大掛かりかつユニークなものだったので、本記事ではその模様をお届けしたい。

 また、実装前の新マップを体験できたほか、開発の経緯や注力したポイントなどをメールインタビューにて伺っている。こちらもあわせてチェックしてほしい。

※この記事は『荒野行動』の提供でお送りします。

新マップ探索中に遭難した公認実況者たちを救援せよ

 9月10日、荒野行動の人気eスポーツチーム“αD”の代表として有名な石田拳智(超無課金)氏を始め、本作の公認実況者たちが意味深なツイートを発信。思い返せばこれが事の発端だったわけだが、このときはまだ内容に疑問を持つ人は少なかった。

 しかし翌日になると、公認実況者たちと連絡が取れなくなったことを心配するツイートが、同じ公認実況者たちやチームメンバーから投稿され始めた。

『荒野行動』αD/超無課金や芝刈り機〆/危!たちが探索した新マップ“孤島作戦”を解説。仲間の蘇生が可能で、よりカジュアルに撃ち合える爽快感が魅力的!
『荒野行動』αD/超無課金や芝刈り機〆/危!たちが探索した新マップ“孤島作戦”を解説。仲間の蘇生が可能で、よりカジュアルに撃ち合える爽快感が魅力的!
連絡がつかなくなった公認実況者たちは、アイコンやプロフィールが一時的に変更されていた。

 事態が大きく動いたのは9月12日。連絡がつかなくなっていた公認実況者たちが、いっせいに助けを求める動画付きのツイートを投稿した。どうやら新マップの情報を得るべく探索に来たものの、電波障害で帰れなくなってしまったらしい。

 ここまで来るとファンたちもいろいろと察して、大量のリツイートがなされた。言ってしまえば新マップお披露目のプロモーションであるわけだが、数多くの公認実況者たちが参加していることいい、連日のツイートによる前振りといい、かなり大掛かりだ。

 9月12日夜には、リツイートによる救援電波のおかげで公認実況者たちがようやく帰還。その際、それぞれが探索した場所の写真が公開されたほか、新マップは9月23日にリリースされることが明かされた。

 その直後、公式アカウントからも新マップに関する情報が公開され、今回の騒動は幕を閉じた。とはいえ、ある意味ではここからが本番だ。

 新マップ実装は、こういったシューターゲームにとって非常に大きな意味を持つ。果たして、どのようなマップに仕上がっているのだろうか。

新アイテムの追加で、これまでにない『荒野行動』が楽しめる

 こうしてその存在が明かされた新マップ“孤島作戦”。実装前に体験させてもらったところ、これまでの『荒野行動』にはなかった新たな要素が盛りだくさん。高低差が激しかったり、軍事基地が立ち並んでいたりといったマップ全体の雰囲気は、かなり『荒野行動』らしいものだが、実際にプレイした感覚はかなり違う印象を受けた。

 砂漠や沼地といった新たなロケーションが追加されていることは、その理由のひとつだと思う。少し移動するだけで景色がガラッと変わるのはワクワクするし、後のインタビューでも触れられているが、見た目だけでなく戦術も地形によって異なるのもおもしろい。

 そして、これまでの本作にはなかったオブジェクトや特殊なアイテムが、不思議な感覚に拍車をかける。担当編集者とボイスチャットしながら散策したら、思いのほか盛り上がってしまった。

※テストプレイは開発中のマップで行いました。画面表示が実際のものとは異なる場合があります。

『荒野行動』αD/超無課金や芝刈り機〆/危!たちが探索した新マップ“孤島作戦”を解説。仲間の蘇生が可能で、よりカジュアルに撃ち合える爽快感が魅力的!
砂漠は比較的見通しがいい。

 新マップ“孤島作戦”は、砂漠や沼地、桜の谷など場所によってさまざまな環境を楽しめる。各地にはロケットセンターやミサイル基地など、軍事関連と思しき基地が立ち並んでいるのも特徴的だ。

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たくさんのミサイルが並ぶ基地。
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大量のソーラーパネルの中心には謎の塔が……。
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某同人誌即売会が行われていそうな造形の建物を発見。
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打刀が大量に落ちており、中央には謎の石像が。
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石像を壊すと、チームメンバー全員ぶんが揃えられそうなほどの装備がぎっしり! 開幕ここでの斬り合いを制すれば、勝利に大きく近づくかも……。
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ジップラインを利用すれば、移動も楽ちん。ここ以外にも、ジップラインは各所に張り巡らされており、戦闘中の移動もしやすくなっている。ジップラインは荒野ランドにも存在しており、この孤島作戦にも引き継がれている模様。一般的なFPS/TPPSにはあまりないシステムなので、新しい体験が楽しめる。

 ジップラインを使えば離れた場所にすばやく移動できる。高低差が激しいエリアに備え付けられていることもあり、うまく利用すれば移動にかかる時間をかなり短縮可能だ。

 ちなみに、ジップライン利用中にも銃撃は行える。さっそうと高速移動しながら敵を撃ち抜いたらかなりかっこいいので、ぜひ挑戦してみてほしい(筆者には無理でした)。

 ジップライン以外にも、孤島作戦には新たなシステムが数多く追加されている。そのひとつが、ショップだ。ショップは各地に点在しており、専用の“通貨”を使うことで強力な銃器や特殊なアイテムを購入できる。

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ショップはマップに心電図のようなアイコンで表示されている。
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銃器やアイテムの値段は300~400くらい。戦闘不能になった仲間を復活させる“メンバー召還”は100。

 ショップでの買い物に必要な通貨は、これまた各地に点在している箱の中に入っている。箱は砂漠や沼地のような自然の中よりも、基地内の建物の中などに多く設置されているように感じた。

 ひとつの箱に入っている通貨は100~200くらいだが、ゼロの場合もある。箱には通貨以外にも銃器や装備も多く入っているので、まずは箱をなるべく多く開けて物資を集めるのが重要になりそうだ。

 ゲーム序盤なら装備を整えるためにショップを使いたいが、ある程度進行すると別の機能が重要になってくる。何とやられてしまった味方を蘇生できるのだ。序盤のミスがたたって人数不利のまま終盤の混戦に突入することもあるが、蘇生機能を活かせばその不利を解消できるかもしれない。戦いかたが変わるかもしれない。

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箱の中には、通貨以外にも銃器や装備なども入っている。

 孤島作戦で追加された特殊なアイテムはいくつかあるのだが、今回はその中から“戦術爆撃”を紹介。簡単に言えば、これまでランダムで発生していた爆撃を降らせる危険区域を意図的に発生させられるアイテムだ。

『荒野行動』αD/超無課金や芝刈り機〆/危!たちが探索した新マップ“孤島作戦”を解説。仲間の蘇生が可能で、よりカジュアルに撃ち合える爽快感が魅力的!
戦術爆撃は地点を指定して爆撃を降らせる。終盤に建物が少ない場所で使用すると有効かも。ただし爆撃は自分も受けてしまうので注意。
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戦術爆撃を使用すると取り出すパソコン。孤島作戦の公式キービジュアルに描かれていたパソコンがこれか……?
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爆撃地点を指定してから、ものの数秒ほどで爆撃が開始される。
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治療エリアを設置すると、範囲内にいる味方を徐々に回復する。
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遮蔽物作成機は、指定した位置に遮蔽物を置くことができる。かなり堅固なシールドなので、チームメンバーもまとめて守れそう。

 これらは戦術アイテムと呼ばれる。1度使用しても消費されることはなく、60秒のクールタイムが過ぎれば再度使用可能になる。早めに手に入れられれば、試合中に何度も使えるようだ。

 従来の『荒野行動』で有利に戦うためには、ポジション取りの技術や純粋な撃ち合いの強さなどが求められてきた。どちらかといえばストイックなゲーム性が持ち味だと思う。しかし、孤島作戦では特殊なアイテムを使った戦術が追加され、よりカジュアルに敵を倒す楽しさや真正面から撃ち合う爽快感を楽しめるようになっている印象だ。回復の手段が増えて復活もできるとなれば、戦闘不能を恐れすぎることもない。

 通常は最大100人で対戦するところ、孤島作戦は最大60人での対戦となっており、そのぶん試合時間も短めなので気軽にプレイしやすい。一風変わった戦闘を楽しい人はもちろん、『荒野行動』をまだプレイしたことがないという人は、これを機に遊んでみるといいのではないだろうか。

孤島作戦の開発経緯についてインタビュー

 このように、開発の力のかけ具合から見ても、新マップのクオリティにはかなり期待ができそうだ。この度ファミ通.comでは、新マップ開発の経緯や注力したポイントについて開発チームへのメールインタビューを実施。今後の開発計画についての返答もあったので答えていただいたので、ぜひ最後までご覧いただきたい。

――孤島作戦では多くの新要素が実装されていますが、なかでもチームメンバーの蘇生は大きなポイントだと思います。実装に至った経緯を教えてください。

開発チーム チームメンバーを蘇生するシステムはさまざまなタイトルで採用されています。これには、倒されてしまったときのストレス軽減やチームがともに行動できる機会を増やす意味合いがあると思います。本作においては、おもに後者を重視しています。

 ユーザーアンケートを通じて、多くのユーザーが仲間とともに戦うことを楽しんでいることがわかりました。であれば、1度やられてしまったら終わりとするより、蘇生のチャンスを残したほうがユーザーにとってよりよい体験ができるはずです。また、銃撃戦が得意な猛者でなくとも、誰もがチーム全体を救う英雄になれるという意味合いもあります。

――新防弾衣の実装によって、相手を倒しづらくなったと思います。これにはどのような意図があるのでしょうか?

開発チーム 本作に限らず、バトロワにおいて突然の奇襲によって一瞬のうちに敗北してしまうことはよくあることです。そうした戦術について、もちろん否定はしません。しかし苦労して装備を集めたにも関わらず、反撃する隙もなく一瞬で倒されてしまったとなると、そのユーザーにとってはあまりいい体験とは言えないでしょう。

 そこで、孤島作戦では新たな試みとして防御力を調整したのです。とはいえ、ただ闇雲に堅くすればいいというわけではないと考えています。新防弾衣は防御力こそ高いですが、装備の耐久値は低く調整されています。あくまでも、不意に攻撃されてわけもわからないまま倒されてしまうことを防ぐためのもので、その後の撃ち合いについては立ち回りや戦略性が損なわれないよう意識しました。

『荒野行動』αD/超無課金や芝刈り機〆/危!たちが探索した新マップ“孤島作戦”を解説。仲間の蘇生が可能で、よりカジュアルに撃ち合える爽快感が魅力的!
新防弾衣のダメージ軽減率はこれまでよりも高く、何もできずにやられてしまうことは少なくなっている。そのぶんアーマーの耐久値がやや低くなっているが、修復機を使えば耐久値を回復できる。

――これまでの荒野にない地形、“砂漠”と“沼地”も追加されましたね。各地域の特徴を教えてください。

開発チーム 我々の思い描く『荒野行動』の世界は非常に広大です。新マップの開発は、そんな荒野世界の世界から、風景を少しずつ切り出すようなイメージで行っています。さまざまな地形が続々と追加されるのは、そのためです。

 すべての地形には、それぞれプレイ方法や策略に一定の関連性があります。たとえば、砂漠エリアには砂丘がいくつか見られますが、遮蔽物は少なめです。ここでは中・遠距離の戦闘が適しているでしょう。一方で、森と沼地エリアは遮蔽物が比較的多くあるため、より近距離での戦闘に向いています。

――マップデザインに関する考えと開発中に意識した点について教えてください。

開発チーム 新マップ開発の際にまず意識することは、そのマップだけが持つ個性と、それにふさわしい戦術性を持たせることです。また、ユーザーのニーズを満たすことも重要視しています。リリース以来4年間続くシューティングゲームとして、我々はシューティングゲームの競技界隈で斬新なものを作り続けたいと望んでいます。

 新マップ・孤島作戦には、我々がこの1年で生み出した新しい考えを詰め込んでいます。とくに意識したのは、以下の3つです。

 1点目は、撃ち合いの激しさ。新防弾衣によって防御力は上がりましたが、そのせいで撃ち合いが冗長なものにならないよう意識しています。先手を取って攻撃した側が有利なことに変わりはなく、新防弾衣を着ていても油断は禁物です。

 2点目は、ハイテンポなプレイ。孤島作戦のプレイ時間は13~15分間を目安としており、忙しい日常生活の合間に息抜きとしてプレイできるよう意識しています。

 3点目は、フレンドとの連携。これは先ほども申し上げたとおり、おもにチームメンバーの蘇生を実装したことによって、よりチームワークが重要になっています。フレンドとうまく連携できたときの楽しさが、より向上していると思います。

――今後のマップ開発計画について教えてください。

開発チーム 新マップの開発には膨大なコストが必要です。ユーザーの意見から、現有マップの一部をもとにアレンジを加えることで、異なる戦略とプレイ体験を実現できることがわかりました。そこで、2021年の年末から2022年の頭を目途に、“嵐の半島”の一部地域を慎重に調整し、旧マップから新体験を生み出そうと考えています。

 また、多数のユーザーは広いマップを望んでいる現状も把握しています。今後の新マップ開発は、改めてユーザーとのコミュニケーションを密に行い、ユーザーのニーズと実際の開発状況を総合的に考慮したうえで行っていきたいと考えています。