2021年5月15日、16日の2日間にかけて開催される、オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)のオンラインイベント“デジタルファンフェスティバル2021”。そのなかでメディア向けに、吉田直樹P/Dへの合同インタビューが実施された。
 “デジタルファンフェスティバル2021”の中でも数多くの新情報が発表された新拡張パッケージ『ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ』(ぎょうげつのフィナーレ)(以下、『暁月のフィナーレ』)の新ジョブ“リーパー”や、そのボリューム感など気になることを伺った。

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吉田直樹(よしだなおき)

スクウェア・エニックス 取締役執行役員 第三開発事業本部長。『ドラゴンクエスト』シリーズ初のアーケードタイトルである『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズのゲームデザインとディレクションを担当。2010年12月に『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターに就任。現在、『ファイナルファンタジーXVI』のプロデューサーも兼任している。

――『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズに登場した近接ジョブで、『FFXIV』には実装されていないジョブはまだ多くあると思いますが、そのなかで今回『FFXIV』オリジナルのジョブである“リーパー”を採用した一番の決め手は何でしょうか?

吉田 『FF』は35年続いているシリーズなので、まだ登場していないたくさんのジョブが存在しています。でも僕たちはMMORPGというジャンルのゲームとして、これからもさらにコンテンツを発展させていこうと考えているため、本来トリッキーな『FF』ならではのジョブをMMORPG用にアレンジし過ぎると、元のジョブのよさが消えてしまうと思っています。

 もちろん、従来のシリーズに登場したジョブを実装してほしいという声もありますが、オリジナルでの体験や感動をそのまま『FFXIV』に持ってくることができるのだろうか……、と考えました。僕らがマストにしていることは“ゲーム体験としておもしろいかどうか”です。

 無理にみなさんの思い出に残るジョブを実装し、その結果思い出と違う感触になってしまった場合、『FFXIV』としていいものにはならないですし、オリジナルのジョブに対しても失礼になるなと。ですので、今回だけでなく今後は、オリジナルのジョブのほうが多くなっていくのではないかと考えています。先日発表した新ジョブ“賢者”と、今回発表した“リーパー”は、かなり検討をしたうえで“『FFXIV』ならではのジョブにしよう”と作っている最中です。

――ちなみに“リーパー”ですが、このジョブならではのポイントやほかのジョブとの違いはどんな部分にありますでしょうか?

吉田 ファンのみなさんのなかでも、とくに欧米で「鎌を持つジョブを実装してほしい」という声をたくさんいただいていました。そこで「鎌を持つジョブを『FFXIV』ならではのジョブに落とし込み、新しいゲーム体験を作るとしたら?」という観点で見たときに、単純に近接DPSとして自分の力だけで攻撃するだけよりは、もうひとつそこにひねりがほしいなと。

 そこで“攻撃することで何かしらのゲージが上がっていき、呼び出したアヴァターそのものを取り込んで戦う”という形を考えました。中二病的な発想で申し訳ないのですが……(笑)。バトルを続けていって自分のテンションが最大化する感じを “リーパー”で体現することができたので、これはイイねと。

 あとはこの案で本当にシステムとして成立するか検証し、意外とすんなりといったので、満場一致で決まりましたね。グラフィックサイドとしても鎌はイメージしやすいということもあって、いまのところはこの形で制作をしています。

――コレクターズエディションの特典にデスサイズが用意されているなど、鎌という武器は『FFXI』を意識している印象も受けたのですが、『FFXI』の両手鎌のウェポンスキルである“ギロティン”や“クロスリーパー”など、『FFXI』のファンが喜ぶような仕掛けがどれくらい用意されているのかが気になります。

吉田 現在は技を作りながら調整をしていている段階なのですが、僕らのなかにも『FFXI』の開発出身で『FFXIV』で開発をしているメンバーも多いので、当然リスペクトする部分もあります。

 これまで『FFXIV』チームはこれまでのシリーズに登場したジョブだったりアクションだったりをリスペクトしながら、『FFXIV』としてアレンジをやってきていると思うので、従来と同じように制作はしていますが、中途半端になりそうな要素に関しては、逆にガッカリされてしまわないようにオリジナルに振り切ったりはしていますね。

 そのバランスについてはコロナ禍の状況ではありますが、これまでやってきたメディアツアーのような形での体験をきっちりとやらせていただく予定ですので、そこで既存ジョブ含めてジョブの変容をみなさんにお伝えできればと考えています。

――先ほどリーパーの専用ゲージについてお話がありましたが、こちらはゲージがたまるとアヴァターが憑依するという仕組みでしょうか?

吉田 まだ完全に仕様が固まっていないので、はっきりと言及はできませんが、基本的には攻撃をしていくとゲージがたまり、それがMAXになったら自分でアヴァターを取り込むタイミングを図って……といったイメージではあります。ただ、あくまで僕らの想定であり、プレイヤーの体験として成立するかはまだ検証の段階ではありますので、現段階では“イメージ”として捉えていただければと。

――アヴァターは召喚士のエギや、機工士のオートマトンとは異なる感じでしょうか?

吉田 はい、違います。リーパーはペットジョブではありません。『FFXIV』はジョブごとにゲーム体験を変えるということがポリシーなので、「ペットジョブでないのであれば機工士ですか?」と聞かれたらそれもまた「違います」となりますね。その異なるゲーム体験を提供するためにも、いままさに開発中ですとだけ言わせてください(笑)。

――アヴァターは何種類かあるのでしょうか?

吉田 いえ、さすがにグラフィックスの制約というか、レギュレーションが存在していますので1種類になります。今日の開発パネルでもお話しましたが、1キャラクターに収めることができるテクスチャー容量もポリゴン数も、すべて厳密に決められているのです。

 そのなかで、ダイナミックな動きをしたうえに、アヴァター用のモデルとテクスチャーを限界まで詰め込んでいるので、もし「アヴァターを5種類で」と発注したら、デザイナーから「それならレギュレーションを変えてくださいよ」と言われてしまいます(笑)。アヴァターが1体しかいないからこそ、アヴァターと融合したときのダイナミックさがすごく気持ちよくなるように作られているジョブにしています。

 また、アヴァターと融合したときの姿は、種族ごとにちゃんと変化があり、全員同じにはなりません。そこはプレイヤーのキャラクターの個性が消えないような対応を精一杯やっていますので、ぜひそちらに期待していただければうれしいです。

――あとはいわゆるピュアDPSなのか、シナジーDPSなのかが気になりますが。

吉田 方向性はおおよそ定まってはいますが、いまはお伝えする段階ではないかなと。後日バトルを解説する場を設けますので、そのときにあらためて突っ込んでいただければと。

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――ヴィエラの男性が発表されましたが、『FF』シリーズではこれまで見たことがないと思います。デザインは『FFXIV』オリジナルのものになるのでしょうか?

吉田 はい、そうです。『FFXIV』のチームが作ったヴィエラなので、ぜひ実装されたら思い切って使っていただければうれしいですね。ただ、『漆黒のヴィランズ』の発表時にメディア向けのインタビューでお答えしたように、パッチ5.0でのヴィエラの女性とロスガルの男性の実装をもって、『FFXIV』での新種族の追加は本当にやめるつもりでした。

 もちろん、新種族は作りたいのですが、追加するとなると種族の数だけ膨大なリソースの掛け算になってしまうのです。あらゆる装備の報酬を、その種族用に掛け算で作っていかなくてはいけないので、単純にパッチをお届けする時間に影響が出てきてしまいます。

 ですが、世界中から「ヴィエラの男性やロスガルの女性を自分の手で操りたい」、「ミコッテとは違う獣人系の男性バージョンを『FFXIV』チームならば作れるんじゃない?」という声を頂戴しまして。さらに、グラフィックスのチームからも「もし、吉田さんがやりたいと言ってくれるならば2種族はムリですけど、1種族ならばなんとかチャレンジしてみますよ」と言ってもらえたので、まずは手探りで作れるかどうかの検証を始めました。

 僕らもこれまで見たことがないヴィエラの男性という種族をどう構築していくものかと悩みましたし、『FFXII』にすごく思い入れがある方からしたら、「これがヴィエラの男性なのか?」と見られてしまう可能性がありました。ですから、女性のヴィエラをベースにしつつ、どうあるべきかを議論を重ね、ものすごい数のアートワークを作り、オリジナルの設定に沿った形で納得ができる差別化を図っていきました。最終的にはスタッフがそこを見事にやりきってくれたので、それならば実装しようと今回発表しました。

 正直に言えば、本当ならばロスガルの女性と同時期に実装するべきだったとも思っています。ただ『暁月のフィナーレ』のさらにつぎの拡張で、同時に実装するとしても、『暁月のフィナーレ』で1種族実装する場合と作業はそこまで変わらないと。だったら「必ずロスガルの女性も実装していきます」と宣言したうえで、『暁月のフィナーレ』で先にヴィエラの男性だけでも使用できるようにしたほうが、長い目で見たら『FFXIV』プレイヤーの皆さんのためになるのではという判断で、まずはヴィエラの男性を実装させていただきました。

――ヴィエラの男性は設定上では希少な種族ということでしたが、プレイヤーキャラクターとして実装するということは、NPCにもヴィエラの男性が登場するのでしょうか?

吉田 もちろん、可能性がゼロだとは言いません。ただ、希少だからこそいままでみなさんが目にすることがなかったということも、設定としてきっちりと作ってきたところですので、たとえば彼らが大繁殖して、“ヴィエラ男性の園”みたいなものが登場するのかと言われると、それはたぶんないのではないかなと(笑)。ちゃんと設定に沿った形で、『FFXIV』の世界に登場できるようにしていくことは大事だと考えています。

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――今回の拡張パッケージは、全体的な物量がものすごいボリュームになっていると幾度かお話されていました。もちろんプレイヤーの遊び方にもよりますが、従来の拡張パッケージと比べてメインシナリオのクリアーまでのプレイ時間などに変化はありそうですか?

吉田 いまはちょうど開発中期ですのでまだ確定はしていませんが、作っている感覚でいえば確実に長いだろうなとは思います。拡張パッケージとしてのカットシーンやボイスも過去最大級ですし、今回“ハイデリン&ゾディアーク編”をプレイヤーのみなさんが納得できる形、かつ我々も納得できる形でお届けしようとしたときに、削れない要素が多いのです。

 とはいえ、その納得できる形が僕らが求められていることです。ですので、当初は目標としていた発売日はもっと前だったのですが、完璧な状態でプレイヤーの皆さんに楽しんでいただくため、理由を説明したうえでそれを変更し、2021年11月23日という発売日にさせていただきました。

 そしてもうひとつは開発側の都合になるかもしれませんが、パッチ5.0でフェイスというシステムを実装したことで、ダンジョンに行くときにプレイヤーがどのロールであっても成立する暁のメンバーを、必ず近くに置いておかなくてはいけなくなりました。

 これはあまり想定していなかったことで、たとえば『蒼天のイシュガルド』、『紅蓮のリベレーター』では「じゃあ、俺たちはこっちに行ってくるよ」と暁の面々などのキャラクターと別れて、ダンジョンは光の戦士たちだけで挑んでいたと思います。彼らが裏で何をやっていたのかはあとで報告はされますが、ある意味ていねいに描く必要はなかったのです。それが『漆黒のヴィランズ』以降では「俺たちも行くぞ」って、みんなもいっしょについてきますよね。

 もちろん、彼らに話しかければ全員と会話ができます。その結果、途中のカットシーンでも登場人物がとても増えました。ということは、ひとつのカットシーンでも、キャラクターに演技をさせる必要があるし、人数も多いし、当然ダラダラと話しているだけだと飽きるので、そこに演出を入れていかなくてはいけない。だからシーン数が変わらないとしても、演出コストが肥大化していっているので、そこがボリューム増加の理由としてかなり大きいです。

――たしかに、『漆黒のヴィランズ』では暁の血盟のメンバーがいつも近くにいましたね。自然とプレイをしていたので開発側のコストは想定していませんでしたが、お話を聞くと納得できました。

吉田 とくに今回はある意味“総決算”で、トレーラーを見ていただければわかると思いますが、曲も“総決算”になっており、ありとあらゆる人物が登場してくるので、そのあたりも楽しみにしていただけるとうれしいですね。僕らが苦労したぶん、おもしろく仕上がっていますので。

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――ちなみにトレーラーの映像では七大天竜のヴリトラが出てきて驚きました。パッチ5.5のPart1では魔大陸に封じされていたティアマットが解放されましたが、もしかしたら『暁月のフィナーレ』では七大天竜で未登場であるアジュダヤも出て、ハイデリン&ゾディアーク以外の語られていない要素も、総決算的に明かされていくのでしょうか?

吉田 じつは総決算だからといって、いままで登場していなかった要素を無理やり登場させようとは思っていません。今日奇しくも“直樹の部屋”で、神木隆之介さんにもお話しましたが、「こいつはにぎやかしのために連れてきたな」、「ポッと出したな」という登場人物はユーザーさんにバレてしまうと思うのです。

 それよりも、たとえば人と竜の重い歴史があったなかで、『蒼天のイシュガルド』でそのふたつの種族がどう絆を結んできたのか、をあらためて提示するためにも、人と竜という存在が今回のシナリオにも欠かせないのです。そしてそれを語るのであれば、七大天竜の一翼に担ってもらうべきだろうという点から構築されているので、必要かどうかというのが選択の理由として大きいですね。

――となるとヴリトラは物語で必然だから登場すると?

吉田 そうですね。これはみなさんがあまり予想つかない形になるかなと思いますが、たっぷりヴリトラのストーリーもありますので、楽しみにお待ちいただければと思います。

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――“ハイデリン&ゾディアーク編”のお話が今回で完結するということですが、完結させない形でもパッチ6.0、7.0、8.0と続けていくことは可能だと思います。あらためて、今回完結させる理由を教えてください。

吉田 これは個人的なお話にもなりますが、僕は作り手であると同時にやはり消費者でもあって、本当にいろいろな作品に影響を受けて成長してきた人間だと思っています。オタク気質でもあるので、深くハマっていくタイプなのですね(笑)。アニメや映画などを見た際に「ここでクライマックスを迎えておいてくれたら、どれだけこの作品はよかったんだろう」という作品に会うこともあります。もちろん事情があるのはわかっていますし、オタクなのでその事情も深堀りします……(笑)。

 一方で『FFXIV』は本来、パッチ7.0あたりで“ハイデリン&ゾディアーク編”が完結かな、と思ってはいたのですが、『漆黒のヴィランズ』でこれまで張られていた伏線の8割をみなさんにお届けしたときに、僕が消費者として感じたあのテンションに、みなさんがなってくれたと実感し、「ここでヒートアップした気持ちをクールダウンさせる必要はないだろうな」と考えました。

 そうとなれば、みなさんが見たい1回目のクライマックスを、このパッチ6.0でお届けしようと。なぜ僕が意図的に“ハイデリン&ゾディアーク編”の完結と言っているのかというと、あまり続きのお話をすると気持ち的に「どうせ続くんだ」という気持ちになっちゃうじゃないですか(笑)。であれば、いったんここで“ハイデリン&ゾディアーク”にまつわるお話は終わりであると明言しようと考えたのです。これは開発チームにも言っています。“ラストを叩きつけるぞ”と。

 歴代の『FF』シリーズは、だいたい物語8割が終わったら、残り2割がクライマックスですよね。大地が浮き上がってみたり、異常な世界になって「ダメだ、この世界は終わりだ!」となったりして。そんな残り2割を1本の拡張パッケージにしようというのが『暁月のフィナーレ』であり、それがゲームというエンターテイメントのなかでのひとつのチャレンジだと思います。

 これはストーリーがあるMMORPGでしかできないことなので、思いっきりやってみようというのがコンセプトです。だからこそプレイヤーのみなさんにも、“その先もちゃんと続くから、まずは1回ラストをしっかり見てほしい”という言いかたをさせていただいています。

――パッチ6.0で“ハイデリン&ゾディアーク編”が完結した以降は、これまでのように6.1、6.2と続いていくと思いますが、そこでは何が描かれていくのでしょうか?

吉田 新しい物語がスタートします。当然主人公はプレイヤーのみなさん、英雄“光の戦士”ではあります。

――それは『暁月のフィナーレ』として語られていくのでしょうか?

吉田 いえ、違います。

――となると6.1以降はタイトルが変わるのでしょうか?

吉田 さあ、どうでしょう(笑)。

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吉田 本音で言うと、まだ考えていません(笑)。もちろん、6.1以降にどんな物語を描いていき、どんな人たちが中心となって光の戦士たちといっしょに冒険が行われるのかという構想はできあがっています。なんだったら、その先までもある程度はできています。

 ただ、どのような形でみなさんにお届けしていくかというのは、『暁月のフィナーレ』のテンションしだいかな、と思っています。つまり、僕もプロデューサー、ディレクターとしてチェックをして、プレイヤーとしてゲームを遊んだときに、“きっとプレイヤーのみなさんはこんな感情になっているんだから、6.1以降はこういうお届けの仕方をするべきだ”と見えてくるんのではないかなと。いまは僕もまだ経験をできていないので、もうちょっと開発が進んだらアイデアが出てくると思います。

――無人島開拓のコンテンツですが、こちらはクラフター・ギャザラーを育てていなくても遊べるというアナウンスですが、例えばクラスを取得していなくても遊べるのでしょうか?

吉田 遊べます。スローライフコンテンツと銘打っている無人島開拓は、モンスターとガチガチの戦いをするだけではなく、何か物を愛でたり、エオルゼア中から動物たちを連れてきて、それを眺めているだけでもなんか楽しいなと思っていただきたいなと。

――クラフターやギャザラーのレベリングを兼ねる遊び、といったイメージとは異なるという認識でしょうか?

吉田 もちろん遊ぶ際に、クラフターやギャザラーなどのライフ系コンテンツに手をだしてみようかな、と思っていただきやすくなるような導線はちゃんと引きます。ただし、ご質問にもあったように「クラスの解放だけはしておいてね」となると、とたんにやらない方も出てきてしまうので、あくまでそれとは切り離しても楽しめます。コンテンツのなかには、ギャザラーやクラフターがあるとちょっとプラスになる、という要素はあるかもしれませんが、今回は競い合うことはできるだけ排除していて、自分のペースで好きなように好きなものを集めてきて、癒やされてくださいというような考えかたをしています。

――思いのほか反響があったというお話もありましたが、当初はどれくらいの反応を想定されてたのでしょうか?

吉田 「あ、なるほどね~」くらいの反応でしょうか(笑)。日本ではコツコツ集めて何かをするということが好きな方が多いですよね。それこそファミコンで遊んでいた時代からデータ遊びが好きで、僕も大好きなのですが。それが欧米になってくると、アクションベースになってできるだけ結果が早くほしいというコンテンツを好まれる方が多いと感じています。

 だから、海外ではこの手のコンテンツが広がるのは、なかなか難しいだろうな……と思っていました。だからといって、このような遊びを放っておくというのも違うと思うので、『FFXIV』の世界をより豊かにするための新しい遊びとして用意しようと考えました。ですがフタを開けたら欧米での反響がすごくて。もちろん日本については“DASH村”って言ってしまったのもあり、番組のディレクターさんが反応するくらいトレンドになったのですが(笑)。

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吉田 欧米の場合はインタビューを受けても必ず「無人島開発を楽しみにしているプレイヤーが多いので、どういうコンテンツなのか知りたい」とか、それこそ「本当にギャザラーとクラフターをやっていなくても遊べるの?」とも聞かれます。

 無人島開拓の企画自体はけっこう前から進めていたのですが、『あつまれ どうぶつ森』のように、コロナ禍というなかで、みんなでつながれて、そんなにあせらなくてもみんなでいっしょに楽しんでいこうよ、といったゲームが評価される風潮があるからこその反応なのかなとも感じています。これはまだ深読みできていませんけど、だからちょっとプレッシャーがかかっています……(苦笑)。

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――最後にデジタルファンフェスティバルを楽しんでいる方へメッセージをお願いします。

吉田 今回コロナ禍ということで、どうしてもお客様に会場へ来ていただくことができませんでした。いつもならば、プレイヤーのみなさんが満面の笑みで楽しんでいる姿を見られたと思いますので、そこは僕らも本当に残念に思っています。

 ですが、今回はこれからの時代の新しい形として、デジタルを使って全世界の人を巻き込むイベントの作りかたをチャレンジさせてもらうことができたので、これを糧にこれからもやっていきたいです。