Blizzard Entertainmentは、モバイルRPG『ディアブロ イモータル』のクローズドαテストを2021年5月20日より日本向けに実施する。今回本誌では海外で行われたクローズドαテストに参加し、国内メディア向けの合同Q&Aを通じて開発陣への取材も行ってきたので、その内容をご紹介しよう。

 なお日本向けのクローズドαテストは、(いわゆる“アジアサーバー”ではなく)日本専用のサーバーでテキストのローカライズつき(※)で行なわれる予定となっている。(※当初はボイスもローカライズ予定とされていたが、αテスト版ではテキストのみとなった)

ネガティブな印象は一回忘れろ! D3をベースにモバイル向けに合理的に進化したプレイが面白い

 本作は、アクションRPG『ディアブロ』シリーズから生まれたF2P(基本プレイ無料)のモバイルゲーム。『ディアブロIII』系のクラス(職業)やそのスキル(※)を駆使し、『ディアブロII』と『ディアブロIII』の間となる時代を冒険していくこととなる。(※バーバリアン、デーモン・ハンター、モンク、ウィザードが実装済みで、ネクロマンサーは今後実装予定)

 2018年のBlizzConにてファンコミュニティが『ディアブロ』の正統続編を期待する中で発表されたということもあって、当時は非常に厳しい反応を受けたのを記憶している人も多いだろう。記者もあまり期待しておらず、後に2019年のBlizzConで遊ぶ機会があってもスルーしたぐらいだった(だって『ディアブロIV』と『オーバーウォッチ2』のデモが遊べたんだもの)。そして今回ようやく遊んでみたのだが……めちゃくちゃ面白いぞコレ?

ディアブロ イモータル
ディアブロらしいダークでドロドロした物語が展開されていく。ちなみに今回プレイしたのは北米版なので英語だったが、日本向けにローカライズも行われる予定。

1. モバイルでちゃんとディアブロしてる!

 プレイした感想として、まずプレイ感がちゃんとディアブロしているという事を挙げておきたい。例えばモンクなら「Cyclone Strikeで雑魚集団を引き寄せてExploding Palmで爆発を仕込み、Seven-Sided Strikeで起爆して一気に蹴散らす」といったムーブがちゃんとできる。

 もちろん操作はタッチパネルを通じてのものになるが、ほどよく自動ターゲットも効いていていい感じに狙ってくれるし、スキルボタンを押してからスワイプでスキルの方向や範囲を指定する操作もやりやすい。これは、モバイルアクションゲームの蓄積があるNetEaseとの共同開発になっていることも大きいだろう。

ディアブロ イモータル
スキルボタンを押してからそのままスワイプすることで方向や対象範囲を指定できる。

2. スピンオフならではの大胆にポップな作りの部分も

 「ディアブロとしてちゃんと遊べる」という上に、さらにスピンオフならではの思い切った作りがあるのも本作の面白いところ。

 『ディアブロIII』よりもさらに弾幕アクションっぽい攻撃を出してくる敵がいたり、イカダで川を流されながら戦っていくステージがあったり、クエストの途中でパズルアドベンチャーのようなインタラクティブシーンがあったりと、「ナンバリング作だったら難しいかもな」と思う仕掛けが仕込まれていて飽きさせない。

ディアブロ イモータル
モロに弾幕っぽい攻撃を出してくる敵がいるのも面白い。
ディアブロ イモータル
パズルアドベンチャーゲームのようにちょっとした操作を求められるインタラクティブなシーンも。

3. モバイルに最適化&合理化されまくったプレイ

 モバイルと、じっくりダンジョンに潜れるPCや家庭用ゲーム機では、プレイ時間の使い方が結構異なる。モバイルゲームだからこその合理的な作りも本作の特徴のひとつだ。

 特に序盤はレベルがサクサク上がりまくるし、「どっちのアイテムを装備するか?」とか「この装備にジェムをつけるか?」といった事でためらうような場面もほとんどない。いくつかトピックを挙げてみると以下のような感じだ。

  • 進行中のクエストの目的地までのルートがナビで示される
    • クリアーしたエリアではさらに目的地までの移動も自動で行える
  • アイテムの自動拾得機能もある
  • スキルのリソース概念を廃止し、一律クールダウン制に
    • 基本スキルのみ、使っていくことでアルティメットスキルがチャージされる
  • 不要な装備をバラして得た素材でレア/レジェンダリー装備の強化(ランク上げ)ができる
    • バラす際には一括指定も可能で、さらに現在の装備より強いアイテムが含まれている場合は警告も出る
  • 装備につけたジェムやランクは装備交換時に新しい装備に付け替えられる
    • つまり、乗り換えるには惜しいレジェンダリー装備などをランク上げで長く使える(より強力な装備が手に入ったらジェムやランクを移してしまえばいい)
  • スキルルーンがない代わりに、レジェンダリー装備に自分のクラス用のスキル性能を変化させる特殊効果がつく
  • ガイド機能が非常に充実しており、あらゆるアクティビティで経験値やバトルパス用のポイントを得られるほか、それをプレイすることで何を得られるかなども明示されている
ディアブロ イモータル
アルティメットを発動すると、基本スキルが一定時間強化される。
ディアブロ イモータル
レジェンダリーには自分のクラススキルの強化がついているほか、レジェンダリージェムをつけたりランクを上げて性能を強化できる。
ディアブロ イモータル
オートナビ機能が付属。迷わずにサクサク進められる。
ディアブロ イモータル
あらゆるアクティビティから経験値やバトルパス用のポイントを得られるほか、ガイド機能が充実しており「レジェンダリージェムが欲しいならこのアクティビティ」といった事も示されている。

では課金要素は?

 本作がF2Pタイトルである以上、つきものなのが課金要素だ。クローズドαテストでは課金ポイントの“永遠のオーブ”が定期的に配布されるようになっており、バトルパスの有料部分(※)以外の要素は体験できるようになっていた。(※無料トラックと課金トラックがあり、後者は永遠のオーブで購入)

ディアブロ イモータル
前述したようにいろんなアクティビティでもりもりバトルパスが進行していくので、せっかくなら有料部分の報酬も得られるように買ってもいいかなぁと思ったりした。

 記者は少額課金にはかなり渋い方だが、F2P部分だけでもかなり楽しめたので本作のバトルパスは真面目に購入を検討している次第。

 それ以外に課金で何ができるかは、公式サイトの記事“基本プレイ無料へのアプローチと理念”を一読するのをオススメするが、ここでは実際プレイしていてどうだったのかをまとめてみよう。まず、永遠のオーブで買える主なものは下記の三種類。

  • “エルダーリフト”でプレイする際にレジェンダリージェムがドロップする確率が上がる、レジェンダリー版“要石”
  • アイテムの特性を再抽選するための“再鍛造の石”の特殊なバージョン(使用するとある程度傾向を絞り込める)
  • プレイを通じて手に入るゲーム内通貨“プラチナ”を直接買える
    • プラチナはゲーム内市場でジェム/レジェンダリージェム/ルーンを売買したり、レジェンダリー版要石を買うのにも使える
  • その他、外見カスタマイズに関わるアイテムを買える
ディアブロ イモータル
レジェンダリー要石を使うとレジェンダリージェムが確定になる。

レジェンダリージェムを軸に見る課金要素

 再鍛造が必要なほどにやり込めたわけでもなかったので、今回プレイしていて直接大きく関わってきたのはレジェンダリージェムに関わる部分だ。レジェンダリージェムはレジェンダリー装備のスロットにはめることで、ステータス強化以外にさまざまな副次効果を得られるというもの。確率の高い入手方法はおおよそ以下のようになる。

  • エルダーリフトをレジェンダリー版の要石でプレイする
    • ただしレジェンダリー版の要石はプレイを通じて手に入る“プラチナ”などでも買える(が高い)
    • リーダーが使った要石はパーティーメンバーにも適用される(フレンドやメンバー募集したプレイヤーへの便乗が可能)
    • 今回のテストからレア版の要石を使った場合のレジェンダリージェムのドロップ率が上がっている(メインの報酬は依然としてルーン)
  • 指定のルーンを集めてクラフトする
    • ルーンはエルダーリフトを要石付きでプレイした際に得られる“Fading Ember”やチャレンジリフトなどのクリアーを通じて得られる“名誉”でも買える
    • ルーンはゲーム内市場でプラチナを使って売買可能
  • レジェンダリージェムを市場で売買することもできるし(ただし一度装備したレジェンダリージェムは売れない)、Fading Emberや名誉を使う商人から買えるレジェンダリージェムもある

 このように、課金しないとレジェンダリージェムを入手できないわけではないが、ここでポイントとしておさえておきたいのが、レジェンダリージェムは同種を同時に別の部位に使用することはできないということ。

 つまり「多くの種類を得て各所につける」か、「同種を複数集めてランクをアップグレードして追加ボーナスを得る」かを狙っていくことになる(最終的には両方)のだが、永遠のオーブを使って買ったレジェンダリー版の要石でエルダーリフトをプレイして色々ゲットするのが手っ取り早いやり方になっているし、特定のレジェンダリージェムを入手するための各種方法にも(プラチナを通じて)永遠のオーブを利用できるというわけだ。

ディアブロ イモータル
レジェンダリージェムがダブったら、まずはランク上げ。ランク4まで行けばさらなる追加効果を得られる。本当にダブり始めたりいらないのが出てきたら市場で売るというのも選択肢。

新要素の“闘争の円環”の正体は、PvPも含む勢力争い要素

 今回のテストからは、PvP(対人戦)要素を含むエンドコンテンツ系の新要素“闘争の円環”が新たに導入されていた。その実態は頂点を目指すサーバー内クランの抗争要素といった所で、PvEコンテンツが占める部分が意外と大きく、実際の対人戦が起こるのは一部分であるのに注意。

  • 最上位グループが“イモータル”として君臨する
    • 最大500名が所属可能。除名機能も存在
    • 各シーズンは1ヶ月から3ヶ月続く(※期間は今後調整予定)
      • シーズン開始時はNPCがイモータルとして機能する
  • それ以外は“シャドウ”として複数のステージを通じて準備を行い、イモータルとの入れ替わりを目指す事ができる
    • シャドウにはレベル41で始められる闘争の円環用のクエストをクリアーしていき、定期的に行われる抽選で選ばれるとなれる
    • 参加必須ではなく、どちらでもない“冒険者”でいることもできる
  • イモータルは独自のショップや48名参加のレイド“カイオンの試練”などのコンテンツを利用できる
    • カイオンの試練をクリアーすると宝物庫に報酬が貯まり、さらにイモータルと冒険者にはエルダーリフトに“ダイデッサの祝福”ボーナスが付く
  • シャドウにも専用コンテンツがある
    • 特に最序盤はシャドウ用のクエストなどをこなしてシャドウ内のランクを上げていくことになる
  • シャドウは“ダークギルド”を結成してランキングを競う(ダークギルドに参加しないシャドウも存在可能)
    • ダークギルドの結成や参加ができる“集会”の期間は決まっており、効率的に行えるようになっている
    • 集会のタイミングが来ると既存のダークギルドは最大規模を大きくできる
  • イモータルが集めたアイテムをシャドウ4人で襲撃する“宝物庫の襲撃”があり、警報が発動するとイモータルプレイヤーが防衛に参加してきてPvPになる
    • イモータルが始終張り付かなくてもカウンターが可能なように、襲撃できる時間は決まっている
    • イモータルは防衛成功時にゲットしたいアイテムのリクエストを出しておくことができる。イベントの参加率によってリクエストの個数が3個まで増える
  • 上位ダークギルドが十分に成長すると“追放の儀式”というPvPイベントに発展する
    • 1週間に一度、トップ10のダークギルドが8名の最強メンバーを送り込み、イモータルと複数ステージで戦う
    • 半数以上にイモータルが勝利するとイモータル側の支配が維持される。半数以上にシャドウが勝つと新たなサイクルが始まる
      • クローズドαテストではランキングトップのダークギルドがイモータルになるという仕様
      • 新イモータル以外の全員がシャドウ以前の“冒険者”に戻る
    • PvP練習用の8対8の対人コンテンツ“戦場”なども存在する
ディアブロ イモータル
大半の人はシャドウとしてシコシコランク上げをすることになるかと思う。

 ちなみにPvP要素については、闘争の円環以外にも宝箱を狙って戦う小規模なものも存在する。またPvPではスキルの方向性はPvEと変わらないものの、効果時間などのバランス調整は行うとのこと(そのままだとスタン時間の長いスキルなどが致命的になるため)。

ソロプレイ、パーティープレイ、大人数での勢力争いなど、幅広いプレイが可能

 合同Q&Aで興味深かったのが、エルダーリフトにしても闘争の円環にしても、あくまでエンドコンテンツの一種であり、それだけを目指さないように配慮している旨のコメントがされていたこと。最大のコンテンツはまずソロで遊べるストーリークエストであるというのが開発側のスタンスだ。

 もちろん開発の目標としては実態はどうあれそういう事を言っておきたいだろうし(「このゲームはPvPやらないと駄目ッスね」なんて事を言う開発・運営はそういない)、プレイヤーコミュニティが拡大していくと“おいしいコンテンツ”が開拓されたり、そこから市場に出回るジェムなどが増えてきてトレンドが変わったりもする事もあるだろう。

 しかし「基本ソロプレイで、時々マッチメイキングやチャットでの募集でパーティープレイ」というぐらいでもバリバリ遊べてしまったのも事実。前述のようにシステムがかなり合理化されているので、「時間ないから今日はバウンティクエストをちょっとだけ」といったプレイでもサクッと遊べて、きっちりボーナス報酬がいろいろついてくる(ログインボーナス的なものはまた別にある)。

 本作でディアブロしてみるというのもいいだろうし、まだ発売時期が決まっていない『ディアブロIV』待ちの間にトライしてみるというのもいいんじゃないだろうか。気になる人は事前登録しておくのをオススメしたい。

ディアブロ イモータル
古文書風のアートなどもいろいろ出てくる。
ディアブロ イモータル
各地でいろんなモンスターを倒していくと埋まっていく図鑑的要素も。埋めていくとボーナスが用意されている。