ずっとゲームをしていたい。だが、同じ姿勢が続くと疲れてくる。誰もが直面する問題だ。
時間を忘れてゲームに熱中したいが、気づいたら体に痛みが。それは困る。できることなら横になりたい。そしてそのままゲームがしたい。
プロはどうやってこの疲労問題を解決しているのだろうか。そのテクニックを教えてもらった。
結論を先に述べると、うつ伏せでゲームをするために作られたクッション『ねおちピロー』を使って横になると体が楽ということがわかった。
それどころか、
- 姿勢パターンの多さが魅力
- 指圧師(国家資格持ち)が治療院に導入したくなる
- ゲームをするとき以外にも活躍
などの事実が判明し、フロアが沸き、「めっちゃ楽!」祭りも始まりました。
ゲームパッドを握るときは、手を肘より上にする
ここで言うプロとは、ゲームのプロではなく人体のプロ。指圧師兼ライターの斎藤充博さん(文中では敬称略)である。いま遊んでいるゲームは『FANTASIAN(ファンタジアン)』。好きなツボは委中(いちゅう)。
指圧師なので筋肉の動きに詳しく、いまは自身も座り仕事(ライター業)が中心ということもあって姿勢には気を使っているはず。
斎藤さんによると、ゲームをするときに意識したいのはおもにふたつ。ひとつは“自然な角度”、もうひとつは“支えを作って重みを分散させること”。
斎藤 人は手が肘より上にあったほうがものを握りやすいんです。だから、ゲームパッドを握るときは肘の角度は90度弱くらい。それでホールドしやすい位置を探してください。
“角度による握りやすさの変化”なんて考えたこともなかった。たしかに、手を上に向けたほうが指が動きやすい気がする。
斎藤 で、脇を軽く締める。腕が完全に浮いていると疲れますし、(Nintendo Switchなどの)ジャイロ機能は肘を固定したほうが精密操作しやすいですよ。
ちなみに、肘から先の前腕部を支えると、ジャイロ操作の精度が向上するとのこと。斎藤さんはこの方法で『スプラトゥーン2』がうまくなったと言っていた。
手首と腕は“Switch本体を支える”と“角度を調整する”というふたつの仕事をこなしている。片方から解放すれば細かな動きに神経を使えるというシンプルな理屈だ。
ディスプレイに自分の姿勢を合わせるのはNG
ゲーマーにとっての生活習慣病みたいなものがある。猫背だ。キーボードとマウスを使うPCゲームの場合はとくに顕著。ゲームに限らず、PC作業全般に言えると思う。
斎藤 猫背だと首も背中も腰も疲れますからね。支えを作ることが、姿勢をよくするために重要。膝の上に分厚いクッションを置いたりすれば強制的に前傾姿勢を防げます。体が前に倒れようがないので(伏線)。
「楽な姿勢でゲームとかPC作業をするんだったら」と、斎藤さんは続ける。その方法はシンプルすぎて目から鱗だった。
斎藤 まず自然な姿勢を作って、その視線の先にディスプレイがあるようにするといいですよ。ディスプレイに合わせるんじゃなくて、ディスプレイを自分に合わせる。
もう一度書く。目から鱗だ。我々の姿勢はディスプレイに支配されていたのかもしれない。ディスプレイからの奴隷解放宣言である。
大画面のテレビなら離れた位置からまっすぐ見るのは簡単だが、ノートPCの場合は少々難しい。たいてい斜め下のディスプレイを覗き込む形になる。
ゲームパッドの場合は手の位置を肘より上にしたいという話だった。今度は「手を上げすぎないほうがいいですね。肘と平行くらいで」と斎藤さん。
斎藤 疲れると机の縁に腕を置きたくなりますよね。こうすると腕の重さを机に分散させられるし、前傾姿勢の場合は胴体の重さもある程度支えられます。ただ、手が(肘より)高い位置にあるとキーボードを打ちにくいと思います。手の位置は上がってるのに下に力を入れるという矛盾が生まれちゃうので。
スマホの場合:腕を何かで支えたい
スマホの場合はどうだろう。ずっと下を見続けることが原因で、ストレートネックになる人も多いと聞く。
斎藤 スマホはわりと下を見がち。首が疲れるので(スマホの位置を)上げたいんですけど、そうすると今度は腕がつらい。支えがないから。こういう体勢でスマホ見る人いますよね。
斎藤 これ、脚をつっかえ棒にして位置を高くしてるんですよ。スマホって意外と重いから、体がごく自然に肘の置き場所を求めてるんじゃないかなあ。
楽ではあるが、長時間にわたって腰を捻り続けると今度は腰が心配。スマホの場合でも分厚いクッションで肘を支えたいところだ(伏線)。
横になってゲームがしたい
楽な姿勢については概ね理解できた。だが、ちょっと待ってほしい。いちばん楽なのは横になることではないか。
寝転んで携帯ゲームをする姿勢と言えばうつ伏せである(仰向けだと顔に携帯ゲーム機やスマホを落として前歯が折れそうになるので)。最初は楽なのだが、徐々に肩や首、腰が痛くなってくる。
斎藤 肘をついて上半身を持ち上げると腰が反ります。人間の腰って前には曲がるけど後ろはそんなにいかない。わりと精一杯やらないと、うつ伏せでゲームってできないんですよ。
うつ伏せでゲームをやること自体が、人体にとって無茶だったのか。僕は上半身の重みに負けて肩甲骨のあたりが痛くなるのだが、これも不自然な力がかかっているのが原因なのかもしれない。
斎藤 それはねえ、もうね、肩甲骨のあいだの筋力がない。
急に体の弱さという現実を叩きつけられてしまった。
斎藤 でも、うつ伏せでゲームやりたいですよね。僕もです。わかります。本もうつ伏せで読みたい。肩甲骨や肩が痛いのもありますけど、悩みとして大きいのは腰のほうだと思うんです。
『ねおちピロー』なら腰の負担を減らせそう
どうにかして負担を軽減できないだろうか。たとえば、うつ伏せ用クッション『ねおちピロー』を使うとか。
『ねおちピロー』の中身はパウダービーズ。腕を置く場所が設けられていて、体重を預けるとパウダービーズが流動。柔らかく体を支えてくれるので、長時間ゲームやスマホ観賞を楽しめる。いわゆる“人をだめにする”系のクッションである。
これを事前に斎藤さん宅に送って試してもらっている。果たして、人体のプロによる評価は「これだったら腰の負担を減らせると思います」だった。このひと言にフロアがわいた(※)。
※:「これはちょっと……」と言われたら広告記事として成立しないので、本気で声をあげました。
斎藤 うつ伏せで肘を立てると胸の下に隙間ができますよね。ここを何かで埋めるといいっていうシンプルな話で。(埋めるのが)柔らかいクッションなら痛くない。楽ですよ、これ。
体勢の自由度が高い
『ねおちピロー』は大手服飾メーカー・クロスプラスの製品だ。作ったのはうつ伏せゲーム派のファッションデザイナーさん。「『あつまれ どうぶつの森』を1日13時間プレイしていたら体が痛くなったので考案した」と言っていた。
「自分がほしいから」という理由がとにかく最高だと思う。究極的には自分のためなので妥協がない。
たとえば、生地。クッションは肌触りがよくて柔らかい素材で作るのが定番。とはいえ、それだと理想的な形状を保持できない。そこで、横と底面には伸縮性のない生地を採用して型崩れを防いでいる。
体が沈み込みすぎると姿勢を変えるのもひと苦労だが、型崩れしにくい『ねおちピロー』なら問題なし。微妙に角度を変えたり、本体を抱え込むようにしたりなど、好きな位置で姿勢をキープできる。
斎藤 楽でも同じ姿勢が続くとよくないですから。体を動かしやすいのはいいですよ。
ベッドや布団では寝返りを打ちやすいことが重要とされる。特定の場所に負担がかかり続けると疲れるからだ。適度に体の動きをサポートする『ねおちピロー』は人をだめにしすぎないクッションと言える。
真ん中に穴が開いているのもおもしろい。ゲームをやりすぎて“寝落ち”しても鼻をぶつけない。限界までゲームをやってやろうという鉄の意思を感じる。
腰の反り具合は好みが分かれるところだと思う。僕は自宅ではバスタオルを折りたたんで腰の下に敷き、少しだけ水平に近くなるように角度を調整している。
斎藤 なるほどなるほど。いいっすね。その辺の好みは人それぞれ。そういう微調整ができるのはいいと思います。
マッサージ屋さんに導入してもいいのでは?
と、ここで斎藤さんがおもむろに立ち上がった。「ちょっと試してみていいですか」と。
岡上くんに指圧を施術したかと思うと、何だか納得した様子。何だ何だ。何があった。
斎藤 これ、マッサージ屋さんとかに置いてもいいんじゃないかな。僕たち(指圧師)もうつ伏せ用クッションを使いますけど、使い心地がいいものに出会ったことがないんですよ。薄かったり通気性がいまいちだったりして。
マッサージ屋には穴が開いたマッサージベッドやうつ伏せ用クッションが置いてある。デザイナーさんはそれが好きで参考にしたと言っていた。期せずしてプロのお墨付きをもらうことに。
仮に治療院で不特定多数が使うとなると、気になるのは衛生面。クッションは洗濯しにくいが、『ねおちピロー』はカバーも別売りされているので安心である。
加えて、もう1点気になるのは耐久性だ。ビーズクッションの中には極小の発泡スチロールが入っていて、徐々につぶれてへたってくる。『ねおちピロー』は発泡スチロールの追加・交換も可能なので、長期にわたって寝落ちし続けられる。
「うわ、めっちゃ楽!」祭りが開催
さて、ここまでに何度も書いてきた伏線を回収するときが来た。
膝の上に置いて前腕部を支えるのも、前傾姿勢を防ぐのも、スマホを持つ手を支えるのも、『ねおちピロー』がひとつあればいいのである。
岡上くんにはいろいろは体勢を試してもらった。彼の「うわ、めっちゃ楽!」を何回聞いたかわからない。「これは広告記事だけど、そこまで持ち上げなくていいよ」と言っても、何かの合いの手のように「めっちゃ楽!」。
取材に同席していたクロスプラス社員からしたらボーナスタイムみたいなものだろう。もしくはそういうお祭りの掛け声。
ここで斎藤さんから「それだったら足のところにもう1個使ったらもっと楽になると思いますよ」という提案が出た。人を堕落させる悪魔か。
冗談で3つ並べたつもりが、意外にも寝心地がいいらしい。『ねおちピロー』間の隙間は気にならず、立体縫製による凹凸がいい感じに体にフィットする模様。
『ねおちピロー』は“正解”と言いたい
厚手だから姿勢が安定する。体重を預けると体にフィットする。体を支えることで肩や腰などが楽になる。プロの指圧師とゲーマーの感想がほぼ一致。『ねおちピロー』は“正解”と言いたいところである。
また、「タブレットで読書するときにも便利だと思いますよ」と、斎藤さん。タブレットは軽量化が進んでいるとはいえ、ずっと持つとなるとまだまだ重い。たしかによさそう。
本記事では、初期カラーであるコーヒー、ネイビー、ミントの3色をお借りした。派手な色がないことを残念がっていたら、2021年4月28日には新色のオレンジとグリーンが発売。オレンジの発色がすごくいい。
せわしない現代。たまには寝落ちぎりぎりまでゲームを遊ぶのもいいと思う。心の栄養補給である。そのときのおともには『ねおちピロー』をどうぞ。
ところで、デザイナーさんが『ねおちピロー』を作ろうと思った理由はもうひとつある。斎藤さんや岡上くんとの会話では話題に挙がらなかったが、せっかくなので書いておく。
「畳の部屋に寝転ぶことが多いんですけど、腕に畳のあとがつくじゃないですか。それがすごく嫌で」
最高じゃないですか?