※島崎信長さんの“崎”の漢字は、正しくは、“たつさき”です。

 2021年6月24日にNintendo Switch、プレイステーション4にて、コーエーテクモゲームスより発売される、シリーズ最新作『戦国無双5』(PC版は2021年7月27日予定)。

 本作は『戦国無双』シリーズをイチから描き直すというリニューアルタイトルで、設定からキャラクタービジュアルまで一新。これまでは真田幸村が主人公格として描かれていたが、本作では若かりしころの織田信長と、明智光秀のダブル主人公が抜擢され、新たな戦国ドラマが描かれる。

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『戦国無双5』織田信長役・島崎信長さんにインタビュー。ひとりの人間として織田信長の成長が描かれるストーリーが描かれる!

 そんな本作の主人公のひとり・織田信長を演じるのが、声優の島崎信長さんだ。本記事では、島崎さんへのインタビューをお届け。織田信長を演じたことについてや、歴史上の織田信長に対する考え、そして島崎さんとゲームについてなど、たっぷりと語っていただいた。

『戦国無双5』織田信長役・島崎信長さんにインタビュー。ひとりの人間として織田信長の成長が描かれるストーリーが描かれる!
織田信長
『戦国無双5』織田信長役・島崎信長さんにインタビュー。ひとりの人間として織田信長の成長が描かれるストーリーが描かれる!
織田信長を演じる、島崎信長さん

島崎信長(しまざき のぶなが)

声優。『真・三國無双』シリーズでは関興の声を担当。本作では織田信長を演じる(文中は 島崎)

人間・織田信長の物語

――まずは島崎“信長”さんが、織田“信長”に決まったときの、率直な感想をお聞かせください。

島崎「ついに来たか! でも、早すぎない!?」というのが率直な感想です(笑)。僕はこれまでにも織田信長役を演じたことはありましたが、ここまでしっかりとしたキャラクターとしては演じたことがなくて。「早くて10年後かな? 20年後かな? いつか織田信長役を任せていただけるようになったらいいな」と憧れていたところ、もう来てしまいました(笑)。『戦国無双』シリーズという長く愛され続けているタイトルで、一新されるこのタイミングで織田信長役、しかも主人公であるというのも、何かのご縁なのかなと思うので、精一杯演じさせていただきました。

――公式配信番組では、その抜擢理由が“スタッフ陣から声があがっていた”と、鯉沼さん(本作のプロデューサーである鯉沼久史氏)が語られていましたね。

島崎ゲームを制作されている現場の皆さんから、僕の名前を挙げていただいたというのは、素直にうれしかったですし、自信が付きました。

――これまでの織田信長は小杉十郎太さんが演じられていましたが、若かりし織田信長として島崎さんへとバトンタッチというところで、プレッシャーなどは感じられていたのでしょうか?

島崎もちろん多少なりのプレッシャーはあります。ただ、これまでも以前の声優さんから僕にキャスト変更という経験は何度かありました。その都度、これまでも愛してくださったファンの方々にも良さを届けられたらなと思います。ただ、『戦国無双5』は前作までの織田信長を踏襲しているわけではなく、造形や表現の仕方から変わっているので、そこまでプレッシャーにはなりませんでした。これが以前までの織田信長の描きかただったら、お断りしていたと思います。若かりし織田信長というところで、かなりヤンチャな性格ですし、ただ明るいだけはなく挫折や苦難も描かれています。これまでのことは考えず、今回の『戦国無双5』の織田信長だけに真摯に向き合って、演じていきました。

――ヤンチャな性格だということですが、具体的に今回の織田信長はどんなキャラクターになっているのでしょうか?

島崎王道、と形容していいのかわかりませんが、僕個人的には王道主人公なところを感じました。“第六天魔王”感ゼロの、“うつけ”と呼ばれる未完成の織田信長からスタートし、野心溢れる青年として描かれています。そこからさまざまな経験や出会い、別れを経て、1歩1歩、戦国時代を駆け抜けていきます。

『戦国無双5』織田信長役・島崎信長さんにインタビュー。ひとりの人間として織田信長の成長が描かれるストーリーが描かれる!

――最終的には“第六天魔王”と呼ばれるような存在になるのでしょうか?

島崎魔王感というよりは、最後まで僕にはひとりの人間に見えました。最初から最後まで人間・織田信長に見えて、魔王だとは一切感じなかったです。

――なるほど。今回の織田信長のビジュアルを見たとき、第1印象はいかがでしたか?

島崎ギラギラしていますよね! 熱血漢という感じなのですが、どこかニヒルな面も持っていて。ゲームでもアニメでも、キャラクターというのはどこかひとつの特徴を抜き出して強調して描くことって、多いじゃないですか。たとえば、これまでの織田信長は完成系のひとつとして、魔王像のイメージの塊だったと思います。ですが今回の織田信長は何かに一辺倒なのではなく、戦国時代を生き抜くひとりの人間として僕の目には映りました。ですので、皆さんの想像以上にいろいろな面が見られると思います。

――楽しみにしています。実際の収録はおひとりでされていたとお聞きしています。ほかの出演者たちとの掛け合いというのは、どのように演じていたのでしょうか?

島崎僕の場合は皆さんより早く収録していたので、ほかの出演者の演技を想像しながら演じていました。明智光秀役の緑川 光さんは何度も共演経験があるので「きっと緑川さんならこう来るだろう」と想像しやすかったですね。

――緑川さんと言えば、島崎さんは緑川さんに憧れて声優を目指したんですよね。今回、ダブル主人公のライバルとして共演できたことは、どんなお気持ちですか?

島崎師匠と弟子、最終回で殴り合う、仲間どうしなどなど、これまでもさまざまな間柄で共演させていただきました。やはり、毎回うれしいですね。身が引き締まる思いもありつつ、個人的な気持ちとしても高まります。

――では、織田信長を演じるにあたり、気を付けていたことはありますか?

島崎僕は年々、いろいろなキャラクターを演じるにあたり、演技のどこかにポイントを付けなくなってきました。たとえば「ここに気を付けよう」などと入れ込んで演じると、そこにこだわりすぎてしまうことが多くて。

 もちろん、台本などを読んで「ここはこうしたほうがいいな」と目星を付けることはあります。ただ、実際に演じるときはそこにこだわりすぎず、自由に演じることにしています。

 ポイントにこだわると幅が狭くなってしまって、一辺倒なものになってしまうんです。ですから、そのキャラクターの芯みたいなものが自分の中にあるのならば、あとはすべてその場の空気や場面を感じ、生きた声が自分から出たらいいなと思って演じています。

――自分の中から、自然と役の演技が出てくるような?

島崎と言うと、役者の真骨頂ですよね(笑)。もちろんそうなりたいからやっていることでもありますが、なかなかそうはいかないところで。

 事前に考えるぶんには、いくらでも考えていいんですけどね。演じている最中は“島崎信長として考えずに演じたい”というのは、昔から思っていました。最近はそれをより強く感じています。

 とはいえ、ディレクションに応える必要もありますし、本当に何も考えていなかったらお芝居として成立しません。何かに決めつけて演じないようにしている、という感じです。

『戦国無双5』織田信長役・島崎信長さんにインタビュー。ひとりの人間として織田信長の成長が描かれるストーリーが描かれる!

――今回の『戦国無双5』の物語は、どこに魅力を感じましたか?

島崎物語の中でターニングポイントがいくつかあって、織田信長が“変わったな”と感じられる場所があります。小さなことから大きなことまで変化・成長していくのですが、その成長の過程が気持ちよかったですし、おもしろかったですね。

 若いころの織田信長から描く意味があったと思います。織田信長の成長物語というのもかなり貴重ですし、いろいろな人との関係性も目まぐるしく変わるのも魅力でした。それは織田信長に限らず、全キャラクターそれぞれの描きかたとして楽しめると思います。

――“変わったな”というポイントで、演技のプランも変えられたのでしょうか?

島崎収録というのは最初から最後まで順番にしていくものではないのですが、“その出来事を経た織田信長”なのか、“それを知らない織田信長”なのか、シーンごとに逐一チェックして収録していましたね。そのシーンと向き合ったときに、知っているのか知らないのかで、出てくるものも違いますから。

――ネタバレにならない程度で教えてほしいのですが、印象に残っているシーンはありますか?

島崎物語はもちろん史実ベースです。ですので、歴史上で起きたショッキングなことや、グッと来るようなシーンは、僕も胸が熱くなりました。知っている方は「あそこかな? あれのことかな?」とたくさん思い浮かぶとは思いますが、一応ネタバレになりますので……。そこはぜひ『戦国無双5』プレイして確かめてください。

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信長×信長

――島崎さんが織田信長を知ったのは、小学生のころだったとお聞きしています。

島崎子どものころの記憶なので曖昧なのですが、小学校の授業で織田信長という人がいることを知ったのが初めてだったと思います。授業中に先生が、僕の名前と紐づいた、何かユーモアのあるようなことを言っていたような記憶がありますね。周囲の友だちが、すでに織田信長を知る前から“島崎信長”という存在を知っていたこともあり、「ちょっとおもしろいね」程度の扱いだったんですよね。それで心に傷を負うですとか、そういったことは一切なかったですね。

――小さいころなら、ちょっとした名前イジりみたいなのあってもおかしくないですものね。

島崎もし小~中学校の時期に転校を経験していたりしたら、辛いこともあったかもしれません。高校生くらいになってくると、いろいろな学校から生徒が合流するわけですが、さすがにもう心も大人だから名前イジリみたいなことはしないですよね。声優になってからは、先輩や現場の人たちに1発で名前を覚えてもらえるのが得しましたし、イヤな思いはしたことがないです。

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――歴史上の偉人としての“織田信長”は、島崎さんにとってどんな存在ですか?

島崎僕も演じる上で、今回織田信長のことについて、たくさん調べましたが、どういう存在なのか本当にわからなくなりました。というのも、織田信長にもたくさんの解釈があるわけです。現在もリアルタイムで新たな文献が見つかったですとか、こういう見解はどうだろうかなど、諸説あるわけです。

 よくあるイメージの織田信長というのは、冷徹で苛烈なイメージがあると思いますが、でも人にとってはおだやかな人間だったという解釈をしている人もいます。ひとつひとつの出来事も、何が本当でウソかわからないわけじゃないですか。そこに想像の余地がたくさん残されているからこそ、歴史にロマンを感じると言いますか、だからこそみんな歴史が好きになるんだと思いました。

 たとえば、性格なんて誰にもわからないですよね。単純に冷徹だったのか、それとも本当は穏やかな人間で冷徹な人間をあえて装っていたのか、それともじつはビビリなせいでそう見えていたかなど、真実は何もわからないわけですよね。さらに歴史を記した文献や、言い伝えというのも誰かが盛って残っている可能性もあります。

 皆さんの中にも、きっと自分の中の織田信長像があると思います。人の数だけ、いろいろな織田信長像があっていいと思います。『戦国無双5』も、ひとつの織田信長像になります。人物像だけで見れば、もしかしたら本物の織田信長に近い可能性だってあるわけです。

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ちょっとマニアックなゲームトーク!

――島崎さんはゲームファンとしても知られていますが、『戦国無双』シリーズは遊んでいましたか?

島崎あまり深くというわけではありませんが、『戦国無双』シリーズには触れてきました。コーエーテクモゲームスさんですと、『太閤立志伝』シリーズや、『三国志』シリーズといった、ガチガチのシミュレーションゲームをやっていましたね(笑)。

――シブいですね! 『太閤立志伝』は『太閤立志伝V』ですかね?

島崎そうですそうです! 自由に日本全国をさすらう遊びかたをしていて、当時若かったこともあって、たとえば木下藤吉郎として織田信長に仕えるような、マジメなプレイは一切してませんでした(笑)。あとエディット機能で新武将をたくさん作ったりして遊んでいました。久しぶりにやりたくなってきましたね!

――『三国志』はどのナンバリングですか?

島崎それが覚えていなくて。タイプがいくつかあると思いますが、武将個人を選んで遊ぶタイプではなく、君主となって遊ぶタイプのものでした。“パワーアップキット”を買って、これもエディットでいろいろな国を作ったりしましたね。それこそアニメの登場人物をたくさん武将にして、中国大陸に登場させてみたり。

――ほかにコーエーテクモゲームスのタイトルで好きなものはありますか?

島崎たくさんありますが、とくにやり込んだのは『モンスターファーム2』ですね。最近Nintendo Switchやスマホアプリとして発売されましたけど、あれが発表されたときいまだにプレイステーションの実機で遊んでたくらい好きで(笑)。プレイステーション Vitaなどでも遊べるのでそこで遊んで、CDを読み込ませたいときはプレイステーション実機を使って、データを移植したりしてました。僕、プレイステーション版の細かい仕様に慣れ過ぎてて、新しいバージョンのは逆に触ってないんですよ。

――そんなにお好きだったとは! それでは最後になりますが、読者の方々へメッセージをお願いいたします。

島崎『戦国無双』シリーズに5作目ながら、若かりし織田信長として参加することになりました。非常に光栄で、身が引き締まる思いです。今回、本作では人間・織田信長をしっかりと描いているというのが、僕の印象です。僕もまだゲームの完全版は見ていないのですが、PVのようなハイクオリティの映像で、戦って無双していくのかと思うと、いちプレイヤーとしてもドキドキワクワクしています。これからのファンの方々にも、そしてこれまでも『戦国無双』シリーズを愛してくださっている方々にも、思い切り楽しんでいただけたら幸いです。そしてこれをきっかけに、織田信長や戦国時代の歴史など、いろいろなことに興味を持ってくださったら光栄です

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