プレイステーション4とPCにて発売予定の『フィスト 紅蓮城の闇』(海外タイトルは『F.I.S.T.: Forged In Shadow Torch』)。開発は中国・上海にあるインディーゲームスタジオ・TiGamesが手掛け、発売はbilibili Gameが担当。なお、発売日は現在のところ未定。

中国発『フィスト 紅蓮城の闇』は、ウサギが鉄の拳を振るう、ディーゼルパンクアクション! その魅力と、開発陣へのインタビューをお届け
※この記事は、bilibili Gameの提供でお送りします。

 本記事では、本作の特徴を紹介するとともに、ゲーム内容がより詳しく知ることができた開発陣へのインタビューをお届けする。

クールなウサギが鉄拳制裁!

 物語の舞台となるのは、1940年代の上海をモチーフにした、スチームパンクな世界。ある日、動物たちが暮らしていた“紅蓮城”は、敵の軍勢に侵攻される。抵抗軍は必死に戦ったが、あえなく紅蓮城は敵に侵略されてしまう。

 紅蓮城が侵略されてから6年、元抵抗軍のウサギであり、本作の主人公である“レイトン”は潜伏生活を送っていた。しかし、レイトンは友人が不当に逮捕をされた際に、やむを得ず文字通り“鉄拳”を振りかざし、レジスタンスとして戦うことを決意する。

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主人公のレイトン
中国発『フィスト 紅蓮城の闇』は、ウサギが鉄の拳を振るう、ディーゼルパンクアクション! その魅力と、開発陣へのインタビューをお届け
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 というのが、本作のストーリー。一見かわいらしい動物たちが人間のように振る舞う世界観でありながら、ハードな物語と、激しいアクションが展開されていく。

 ゲームエンジンには、アンリアルエンジン4を採用。オリエンタルな雰囲気に機械が入り混じる紅蓮城の姿や、フサフサとした動物たちに無機質なロボット兵が入り混じるギャップが、アンリアルエンジン4の美麗な3Dグラフィックスで描かれる。

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ゲームは探索型アクション!

 本作は広大なマップを探索していくアクションゲームで、いわゆる“メトロイドヴァニア”と呼ばれるジャンルの作品(『メトロイド』や、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』を彷彿とさせるような、マップ探索型アクションを指す造語)。

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 プレイヤーはレイトンを操作し、広大な紅蓮城を探索していくことになる。各マップには多数の隠し部屋や隠しルートが存在しているほか、強大な敵とのバトルや、パズル要素などが盛りだくさん。

 さらに本作の特徴として、マップの切り換え時はロード画面が入ることはない。どんなステージ間も瞬時に移動できるので、快適に探索を楽しむことができるのだ。

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ウサギの武器は拳、ドリル、ムチ!

 レイトンは機械化された鉄の拳をメインウェポンとして戦う。豪快なパンチをくり出して、敵を一網打尽にしていこう。さらにレイトンは、ドリルと電気ムチも扱う。3つの武器にはそれぞれ異なる使い道があり、個性豊かな敵たちの攻撃方法や、状況に使い分けていくのがバトルの基本となる。

 鉄拳はシンプルなパンチ攻撃のほか、アッパー攻撃などが可能で、敵を浮かせてから空中コンボも行える。また、敵を掴んで投げるといったアクションもくり出せる。

 ドリルはシンプルに敵を貫いていく武器だが、技によってはドリルが展開し、回転ノコギリのような攻撃も可能。電気ムチはリーチの長い武器で、飛び道具を飛ばすなどのアクションもあるようだ。

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開発陣へインタビュー

 以上が、現在判明している『フィスト 紅蓮城の闇』の基本的な特徴。ここからは、開発を手掛けるTiGamesへのインタビューをお届けしよう。より詳しいゲーム内容や、開発がスタートした経緯などをうかがった。

物語にマッチしたウサギと上海の世界

――『フィスト 紅蓮城の闇』の情報が公開されてから、ゲームファンたちからの反応などはいかがでしたか?

TiGames中国以外の地域で初披露されたのは、2020年の“BitSummit”と、“PlayStation Indies”の発表イベントでしたね。同時に、ゲームのストーリートレーラーを初公開し、ゲームのデザイン理念と制作意図を詳しく紹介するブログも配信しました。

 驚いたことに、これまでほとんど認知されていなかったトレーラーが、日本、北米、ヨーロッパのプレイステーションストアで90万回も再生されました。さらに中国最大級の動画サイト“bilibili”(※中国最大級の動画コメントサイト)でも100万再生以上を記録しました。

――発表から一気に注目作となったわけですね。

TiGamesええ。トレイラーの再生数が大きく伸びたのは、開発チームの大きな励みともなりました。プレイヤーからのコメントは、ポジティブな内容が多かったです。正直、本作のビジュアルやゲームスタイルを、プレイヤーの皆さんに受け入れてもらえるのか不安だったのですが、その反応を受けて不安が払拭されました。

――本作はいわゆる、メトロイドヴァニアですよね。最初に“メトロイドヴァニアを作ろう”と考えて、本作の開発がスタートしたのでしょうか。

TiGames開発チームのメンバーは、ほとんどメトロイドヴァニア作品の大ファンなんです。たくさんのメトロイドヴァニア作品をプレイして研究もしました。このジャンルには長い歴史があり、数々の名作がありますが、まだまだ開拓の余地があり、さらにプレイヤーも優秀な作品を期待していることがわかりました。

 また、世界観とストーリーを構築した後に気づいたことですが、本作の舞台となる紅蓮城は、複雑なマップの構築や、豊富な探索性などにマッチしています。自分たちが考えたものを活かして“いままでにないメトロイドヴァニアを作ろう”と、開発がスタートしたのです。

――主人公のレイトンは、ウサギですよね。なぜウサギを主人公に?

TiGames最初は人間を主人公にしようとしていましたが、人種や年齢、性別の創造性に制限があると感じました。ですので、動物を主人公にして開発することにしたのです。最初は猫や犬などの身近な小動物を主人公にしようとしましたが、ウサギのビジュアル、体型、性格などが、本作のストーリーに最適だと考えました。

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――ウサギの特徴、ですか。

TiGamesたとえば、ウサギは“おとなしい、脆い、臆病でかわいい動物”だと、世界中のほとんどの人々に認識されています。そのため、ウサギの見た目は、すぐにどんな性格なのか理解してもらえると思ったのです。そしてそこに、巨大な鉄拳を背負う退役軍人のキャラクター設定を加えて、ビジュアルと中身のギャップ感を引き出ました。また、そういった動物たちが持つステレオタイプの認識を活かして、さまざまなキャラクターを作ることができました。これも動物たちをキャラクターにした理由のひとつです。

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――そしてストーリーに、ウサギがマッチしていたということですね。

TiGamesはい。ただ、本作は世界中のより多くのプレイヤーに知ってもらうため、また、ストーリー内容がプレイヤーの皆さんにしっかりと伝えられるように、ゲーム内のテキスト量も抑えました。本作は多言語に対応しているので、たとえば“このセリフのニュアンスが違った”など、ローカライズの結果によって、物語の損失が生まれないようにするためです。

――レイトンのメイン武器が鉄の拳にした理由はありますか?

TiGamesゲームの世界観にあったユニークな武器をデザインしたいと考え、剣や銃など、よく見る武器は採用しませんでした。鉄拳を選んだのは、ストーリーや背景に関係があるだけでなく、キャラクター設定の一環でもあります。

――レイトンの過去が関係していると。

TiGamesレイトンは、かつて無敵の鋼製メカに乗る、パイロットとして活躍していました。しかし、敵の機械兵団に侵略され、レイトンは敗北し、その後、メカから外した鉄拳が唯一使える武器となるのです。この鉄拳は過去の栄光を象徴しながらも、敗北の痛みを思い起こさせるものになっています。ひとつしか残っていない鉄拳は、レイトンの心の傷の象徴なのです。また、鉄拳のほかにも、戦闘での特性や探索能力に関わるドリルと、電気ムチのふたつの武器を入手できます。

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――ディーゼルパンクでありながら、1940年代の上海が世界観のベースになっていますよね。なぜその時代の上海を選んだのでしょうか。

TiGames1940年代当時の上海は、極東地域でもっとも重要なスーパーシティーでした。東洋と西洋の文化がぶつかり合いながらも、融合している地でもありました。賑やかな租界がありながら、生活感を溢れる下町もあり……。社会の構造も複雑で、あらゆるタイプの人間が、その当時の上海で共存していたのです。そこに我々が構想していた、社会的矛盾に満ちている世界観を重ねたのが大きな理由です。また、我々は上海出身の開発チームです。上海に深い思い入れがあるというのも、理由のひとつですね。

――アンリアルエンジンを採用した理由も教えてください。

TiGamesメトロイドヴァニアスタイルのゲームの多くは、ドット絵などの2Dグラフィックを採用したものが多いと感じたので、最初から3Dグラフィックにすることを決めていました。主人公のレイトンがウサギであることと、ディーゼルパンクな世界観というのは、開発初期から決まっていたことです。アンリアルエンジンは綺麗な金属を表現できることでも有名ですので、ディーゼルパンクの世界観に合わせてアンリアルエンジンを採用しました。

 もちろん金属だけでなく、本作は動物たちがキャラクターとして登場しますから、動物たちの毛並にも力を入れています。最終的に仕上がった動物たちのモフモフ感と、金属の硬さがミックスされたグラフィックは、すばらしいものにできました。

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――では、プレイヤーにアピールしたいポイントを教えてください。

TiGames本作には、数え切れないほどのユニークでおもしろい仕掛けを用意しています。きっとほかのプレイヤーについつい教えたくなる要素ばかりだと思いますが、ぜひ実際のプレイした際には、プレイヤーが自らの手でひとつずつ発見していただきたいです。きっと、サプライズの連鎖になると思いますよ。

 また、高品質なビジュアルもさることながら、アクションやパズルなど、ゲーム性もやり込み要素が多く、楽しい要素が盛りだくさんです。プレイヤーの皆さんには、ぜひ紅蓮城での旅を楽しんでほしいです。

――日本での発売は決定していますが、ほかにはどのような国で販売するのでしょうか。

TiGames本作は開発当初から、特定の地域の文化を強調することなく、ワールドワイド展開できるような作品を目指しました。そのため、全世界で本作の発売を予定しているところです。

 ただ、我々としては日本のユーザーを非常に重視しています。海を挟んではいますが、アジア国家のひとつとして中国と日本は共通しているところもありますよね。また、日本ではメトロイドヴァニア系のゲームや、横スクロール2Dアクションゲームの歴史も長いです。とくに私たちが大好きな『悪魔城ドラキュラ』シリーズや、『ロックマン』シリーズというのも、日本で生まれたものです。そんな日本のゲームファンたちから、「楽しい」と言っていただけたら、何よりの褒め言葉となるでしょう。

――発売時期は未定ですが、現在の開発進捗を教えてください。

TiGames開発は順調に進み、現在は開発終盤を迎えています。公開したトレイラーを見ていただけたら、ゲームが完成する一歩手前の段階であることがわかるかと思います。一部のクオリティアップの課題がまだ残っていますが、日本を始め、全世界のプレイヤーの皆さんには、もう少しお待ちいただけると幸いです。

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――最後に、本作に期待している日本のプレイヤーへ、メッセージをお願いします。

TiGames日本は間違いなくゲーム史上及び、現在の全世界ゲーム産業でもっとも重要な中核であり、いちばん情熱の溢れるプレイヤーを有しています。TiGamesのメンバーも、日本のゲームとともに成長してきましたし、日本のゲームが大好きです。本作が日本のプレイヤーの方々に受け入れられ、愛していただけることが、我々の敬意と感謝を表す、もっとも最適な方法なのではないでしょうか。

 本作はAAAタイトルのような、完璧なゲームでは最初はないかもしれません。ですが、我々は誠意を込めて制作していますし、日本のプレイヤーにもこの気持ちをゲームで感じ取っていただくことを、懇切に願っております。発売後は、日本のプレイヤーのフィードバックや感想をなどいただけることが、我々がゲームを作っていくうえで、望んでやまない最高のサポートになるでしょう。ぜひ発売を心待ちにしていただきたいです。

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