『DQライバルズ エース』誕生秘話と今後の展開を訊く!

 『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターやモンスターたちが登場する、Nintendo Switch/スマートフォン/PC向けの対戦デジタルカードゲーム、『ドラゴンクエストライバルズ』。この人気タイトルが、ひとりプレイ用モード“ソロバトルアドベンチャー”を実装して、タイトルを『ドラゴンクエストライバルズ エース』(以下、『DQライバルズ エース』)に一新! さらに“真1弾”カードパック『英雄たちの凱旋』もスタートしました。

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 今弾でいちばんの焦点となる“ソロバトルアドベンチャー”をはじめ、新要素のダンジョン、選択カード、新英雄などなど、気になるところをスクウェア・エニックスの『DQライバルズ エース』プロデューサー、二木達博氏に直撃します!

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『DQライバルズ エース』プロデューサーの二木達博(ふたぎ・たつひろ)氏。

カードゲームや対人戦が苦手な人もRPG感覚で楽しめるソロモード

――なぜ『DQライバルズ エース』という形で『DQライバルズ』をリニューアルしたのでしょうか?

二木 待望のひとり用ゲームモードとなる“ソロバトルアドベンチャー”のオープンを機に、タイトル全体の大規模リニューアルを打ち出すためです。ソロモードは『DQ』は好きでもカードゲームやオンライン対戦に抵抗を感じていた方でも、モンスターを相手にひとりでマイペースに楽しめるゲームモードです。さらに『DQ』らしい育成要素を取り入れたカードバトルRPGでもあり、対戦とは違ったプレイを楽しめる内容になっています。

 これまでのオンライン対戦が中心だった『DQライバルズ』は、このモードの導入により、対戦モードとソロモードの両面で楽しめるゲームへと進化します。そのために今回、新しい名前とともにリニューアルしました。開発ロードマップで言えば、ソロモードの計画を立てる段階で、ナンバリングがふたケタになる11番目のカードパックを節目にして、心機一転を計画していました。アーケードゲームが2年ほどの周期で大きくバージョンアップするようなイメージですね。いわば『DQライバルズ』の新しい門出(かどで)です。カードだけに

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――なるほど(笑)。ソロバトルアドベンチャーは、どのようなプレイスタイルを目標にしているのでしょうか?

二木NPCを相手に、ゲームルールやカードにマイペースで慣れていったり、強化やスキルのシステムで、ランクマッチ対戦とは違ったバトルやデッキ構築を楽しめるモードです。バトルにはオートプレイが搭載されており、これに育成システムやデッキ構築が組み合わさることで、準備だけしてバトルはお任せといった、シミュレーションゲームのようなプレイが可能となっています。個人的な予想では、日々のスタミナ消化やレベル上げの点から、ボス戦以外はこうしたシミュレーション的なプレイスタイルが広まると思います。ソロモードを遊ぶことでたくさんの報酬が得られますし、ランクマッチを遊ぶことでもこれまで通り報酬がもらえますので、両方を遊ぶようになってもらうのが理想です。もちろんカードは対戦モードと共有ですので、これまで所持していたカードも使えますし、ソロモードを通して手に入れたカードも、勇者専用カードや強化レベルを除き、オンライン対戦へ持ち込めますよ。

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――ソロバトルアドベンチャーには、『DQライバルズ』の本筋である対戦バトルへの道筋をさらに広げる狙いもあるのでしょうか?

二木もしかすると、ソロバトルアドベンチャーをプレイするユーザーさんが、対戦を遊ぶユーザーさんよりも多くなるかもしれません。もちろん、ソロモードだけを遊ぶユーザーがいてもオーケーですし、むしろウェルカムです。ですが、それは対戦プレイヤーの数が減るということではなく、ソロバトルアドベンチャーをきっかけに『DQライバルズ エース』に触れるプレイヤーが増えることで、本来はコアな遊びであるオンライン対戦のプレイヤー人口が増えるのかな、と。そうすれば、さらに白熱した対戦環境になると思いますし、すべてのプレイヤーにとって、よい結果をもたらすと考えています。

――ソロバトルアドベンチャーはカードゲームでありながら、キャラクターやカードの育成(強化)など、『DQ』シリーズと同じように“育成する楽しさ”を存分に感じられるRPGのようなモードですが、本来の対戦ルールとは大きく変わっていますね。

二木すでに対戦を遊んでいるプレイヤーでも楽しめるような新しいものにしたいという一方で、これまで対戦モードだけではなかなか手に取ってくれなかった方たちのことを意識しました。そのため、これまで実装されたカードたちを活用しながら、新しいゲーム体験を作るにはどうすればいいかを検討し、さらにスマートフォンアプリとしてより広く遊んでもらうためにはどんな仕組みが必要なのかを、対戦ゲームのお約束的なものにとらわれずに検討した結果、いまの形になりました。なかなか珍しい構成のシステムなので、今後のアップデートでいろいろと深掘りできる要素を順次実装していく予定です。

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――ソロバトルアドベンチャーも、カードパックのように今後、アップデートされていくのですか? アップデートされていく場合、どのような形で成されていくのでしょうか?

二木ソロバトルアドベンチャーは、リリースの段階で第3章までの配信となり、今後も新しい章を定期的に追加していきます。そして、章追加よりも短いスパンで“試練の間”というボスモンスターと戦えるソロモード向けのバトルコンテンツを実装し、新しい勇者専用カードを定期的に配信していく予定です。これにより、ソロモードだけを遊び続けるような楽しみかたも十分可能になっています。いっぽう、ランクマッチを遊ぶプレイヤーにとっても、これまで新パックや拡張カードが登場するまでのあいだに少々マンネリを感じていたような期間も、『DQライバルズ エース』を継続して楽しめるようになると思います。

――新たなタイトルにある『エース』には、どのような意味が込められているのでしょうか?

二木“エース”はチームの中で突出したプレイヤーを指す言葉ですが、ソロバトルアドベンチャーに導入される、一部の強化可能な特別カードを“エースカード”と呼んでいます。カードで言えば“切り札”を指す言葉でもあるので、要望の多かったソロモードを出す際、ピッタリだと思って名づけました。じつはもっと意味があるのですが、ヒミツです(笑)。

――非常にボリュームのある内容となっていますが、開発で苦労された点はありますか?

二木ソロモードを開発するにあたって、別動の開発用チームを結成しています。今回の開発はゲームモードの追加なのですが、新しい仲間を探すところから始まっていて、ひとつのゲームを作るような、それなりに長い道のりでした。そして、モードは違えど作るゲームはひとつなので、連携の面で現場のスタッフは苦労がたえなかったと思います。そこにコロナ禍の影響を受けて……とにかくたいへんでした。開発スタッフは、ものすごくがんばってくれましたね。

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