『遙かなる時空の中で』(以下、『遙か』)シリーズは、現代の女子高生が時空を超え、戦いに巻き込まれるなか、さまざまな男性たちと出会い、運命をともにする恋愛アドベンチャー。少女マンガを例に挙げるまでもなく、多くの女子が大好物とする設定で、いろいろなタイプの殿方にときめきながら、揺れる想いに悶える体験ができます。これまで、平安や幕末、大正時代などに似た異世界が描かれてきましたが、2020年6月18日に発売された最新作『遙か7』ではついに! 異世界の戦国時代が舞台です。

 ところで、戦国時代といえば、『信長の野望』というゲームが超有名で、歴史シミュレーションになじみがなくても「名前だけは知ってる」って方も多いのでは。「もし、自分が信長なら、本能寺で明智勢を迎え撃つ!」的な“歴史if”が楽しめるので人気です。この『信長の野望』と『遙か』は、同じコーエーテクモゲームスが手がける作品。そして、『遙か7』のヒロインは、なんと信長の娘なんですよー。戦国時代を描くことに定評のあるコーエーテクモゲームスは、今回どんな物語を用意しているのか?

 この記事では、乙女ゲームや異世界ファンタジーならではの、甘~い“歴史if”が楽しめるというポイントをはじめ、『遙か7』の魅力をお伝えしてきます。

あなたの恋で歴史が動く!? ドラマチックなマルチシナリオ

 女子高生のヒロインは、ちょうど戦国時代の“関ヶ原の戦い”を勉強中。豊臣秀吉の死後、徳川家康の東軍と石田三成の西軍が激突した“天下分け目の合戦”ですが、日本史は苦手なようで、あまり頭に入ってきません。これ、共感~! こんなヒロインの視点で物語が綴られますから、歴女じゃなくても安心して浸れます。

 で、不思議な現象によって異世界へ導かれるんですが、そこは戦国時代によく似た世界で、関ヶ原の戦いが起こるのも時間の問題。真田幸村や黒田長政といった、有名な武将たちもいます。歴史と違うのは、彼らが世にはびこる“怨霊”とも戦っているってこと。ヒロインには怨霊を封印する“龍神の神子”の力があるとわかり、彼らとともに戦っていくことになります。そんななかで恋が芽生える!

 恋愛の対象となるのは、いっしょに異世界へ渡ったヒロインのお兄ちゃんと幼なじみも合わせて8名。“八葉”と呼ばれる彼らのうち、誰と恋を育むかによって、シナリオやエンディングが変化するシステムです。八葉には東軍の武将も西軍の武将もいて、そのどちらもが立場を超えて力を合わせ、ヒロインを守ろうとするんですから、プレイヤー冥利に尽きますよ。どちらと関係を深めるかで、私たちの知る史実と異なる歴史に発展していくことも……なんてドラマチックなの。

 また、ヒロインやお兄ちゃんには歴史の知識があるため、シナリオによっては関ヶ原の戦いに影響を及ぼしたりもします。さらに、冒頭でも言及しましたが、じつはヒロインは異世界の出身であり、織田信長の娘。今回のストーリーは、信長の遺志を姫が受け継ぐお話でもあるわけです。ロマンとロマンスと、どちらにも彩られた何通りもの“歴史if”が展開していきます。

あのひとを守ってあげたい! 絆を強める戦闘

 『遙か7』は恋愛アドベンチャー。シナリオを読み進め、場面ごとに選択肢を選んでいくことで、八葉との絆が変化し、ラブストーリーが進行していきます。加えて、『遙か』シリーズならではの特徴に“戦闘”があり、これがヒロインと八葉の絆を強めるだけでなく、プレイヤーの胸をキュンとさせる仕掛けとなっているんです。

 『遙か7』では、プレイヤーが選んだ最大3名の八葉とヒロインとが、怨霊とバトルします。パッと見、RPGみたいなスタイルですが、基本的には全員自分で考えて自動的に戦ってくれるので、戦闘が不安なプレイヤーでも問題ナシ。ヒロインは「無理しないで」などと声を掛けることで八葉の守備力を上げたり、傷ついた彼らを治療したりできます。そんなアシストに対し、それぞれの性格とヒロインへの想いの強さが反映されたセリフで感謝を伝えてくる八葉。あのひとを守ってあげたい気持ちがググッと高まる!!

 さらに、ふたりの絆が強い場合、八葉が身を挺してヒロインをかばってくれることがあるんです。いやーっ、私のために傷つかないでー!! あのひとを大切に思う気持ちが溢れ出します。戦闘は、絆を育む大切な共同作業。戦闘をくぐり抜けてこそ、イベントシーンの甘さに酔いしれることができるんです。

 ヒロインと八葉の関係にプラスして、八葉どうしにも絆があり、声を掛け合う様子も見られます。ふだんから仲のいいコンビはもちろん、いつもはツンケンしている組み合わせが協力する様子は、ちょっといい場面。じつは、八葉と怨霊にはそれぞれ火、水、土といった“属性”があり、じゃんけんのように相手の属性によって強弱が決まるため、これを考慮して人選したほうがいいのかもしれませんが……「真田幸村と直江兼続の掛け合いが見たい!」とかで選んじゃったりするんですよね、実際のところは。

刺激される空想マインド! 現代で武将をおもてなし!?

 異世界ファンタジーの『遙か』シリーズですが、『遙か7』ではヒロインの世界と異世界とを、ある程度自由に行き来することができます。これは新鮮。現代のヒロイン宅に、戦国武将を連れてくることもできるんですよ。こちらのお茶とお菓子でおもてなしすることもね。異世界へ現実世界の物を持ち込むことも可能で、イベントが発生することも。

 これはいままでのシリーズではあまり味わえなかった感覚。現代ベースの異世界ものという印象がより際立ち、非日常を夢見る乙女心が刺激されます。いいっ! 好きです、こういうの。

歴史は置いといて、和風ファンタジーとして楽しむのもアリ!

 さて、歴史上の人物と架空のキャラクターが入り乱れての物語は、前半は誰と絆を深めても同じ流れとなりますが、ひとりの殿方に想いを定める後半は、それぞれまったく異なるストーリーが展開します。“歴史if”にもワクワクさせられますが、筆者は和風ファンタジーとしてのドラマのほうに、より興味をそそられました。

 筆者がハートを掴まれたのは、ヒロインのお兄ちゃん・天野五月。本記事でははじめから「ヒロインは信長の娘!?」とバラしちゃってますので、お兄ちゃんと血のつながりがなさそうなことは想像がつくと思いますが……その正体はお楽しみに。正体がどうであれ、ゲームスタートの時点で、ヒロインを守りたい気概がほかの7名とは全然違うワケですよ、お兄ちゃんですから。これには心を動かさずにはいられませんでした。

 頭がいいのに浪人生で、受験の失敗にはやむを得ない理由があるのに、それを強く主張したりせず、頭をかいて恥じらうようなひと。実力があるのに謙虚に振る舞ったり、真の力を隠したりするところがあるんですよね。そんな性格と、キャストの鈴村健一さんの演技のマッチングがスゴい! たとえるならば、『銀河英雄伝説 Die Neue These』のヤン・ウェンリー的な、あの感じ。筆者は銀英伝ではラインハルト派なので(←知らんがな)、ヤンのような人格に惹かれるのは意外でしたが……。鈴村さんは、前作の『遙か6』ではラインハルト的なルックスのダリウスを演じていらしたので、そこに引っ張られている部分もあったりして!?

 そんなお兄ちゃんとの個別シナリオは、『遙か』の世界観が色濃く反映されたお話でした。シリーズのファンはもちろん、和風ファンタジーという作品世界に魅力を感じる方にもオススメのルートです。

 また和風ファンタジーとしては、人ならぬ特別な力を持つ(ゆえに不遇な扱いを受ける)“鬼の一族”の存在にも注目です。『遙か7』では一族の美女・ターラがヒロインを狙い、その執念深さには正直、うんざり!! けれど、なにせ美しいので、気にかかって仕方がありません。ヒロインとは異なり、強気で大胆でミステリアスなところもステキ! 『遙か6』では、八葉に鬼の一族がいましたが、今作では!?

 ということで、『遙か7』の魅力、少しは伝わりましたでしょうか。歴史のことはあまり意識せずに、和風ファンタジーとして楽しむのもアリだと思います。女子高生と戦国武将の運命的な恋、あるいは織田家の姫と現実世界の男の子との不思議な縁の物語を、いくつものマルチエンディングで、たっぷり味わってください。