バンダイナムコオンラインとバンダイナムコスタジオが鋭意制作中の新作『ブループロトコル』。制作に5年以上を費やしており、大勢のファンが完成を待ちわびる注目作だ。原作を持たない完全新作IPということもあり、これまでは情報が制限されていた。『ブループロトコル』とはどんな作品なのか。本稿で解き明かす。

主人公が目を覚ますと、謎の少女が立っていた……

「目覚めよ
どうか、この世界を
星の未来を
目を覚ますのだ……」

 どこからか聞こえてくる不思議な声に主人公が目を覚ますと、そこは見知らぬ遺跡だった。目の前で小柄な少女がモンスターに追われている。状況が把握できない主人公だが、危機的状況なのは明白だ。

 ふたりに襲いかかってくるモンスター。主人公は少女をかばうようにモンスターと戦い、なんとか撃破に成功した。しかし、力尽きてその場に倒れ込んでしまう。

 それからどれくらい時間が経っただろうか――。

 主人公が目を覚ますと、目の前には遺跡で出会った少女の姿。“フェステ”と名乗るその少女と会話をしているうちに、自分の過去の記憶が失われていることに気づき、彼女の「遺跡に行けば記憶を取り戻せるかもしれない」と提案を受けることに。

 ここはマグナ大陸の南端に位置する巨大な商業都市“アステルリーズ”。大勢の冒険者が活動拠点とするその街を出立し、アステリア平原のバファリア遺跡へと向かった。

 遺跡の奥で見つけたのは“イマジンシード”と呼ばれる謎の物体だ。フェステによると、この星に生きるすべてのものが持つ意思の結晶らしい。

 稀有な発見だが、それ以上の収穫はゼロ。冒険者としてアステルリーズで生活し、情報を集めることになった。

 順調に冒険者としての経験を重ねる主人公は、調査に赴いた遺跡で正体不明の存在と相対する。その名も“荒ぶる牙王”。

 フェステは戦慄した。このモンスターは時空を超えて生き続ける“アバリティア”ではないか、と。また、遺跡の中で出会った人物は、主人公を見て「来者(らいじゃ)なのか?」とポツリ。アバリティアとは。来者とは。謎は深まるばかり。

 “来者”の意味を調べるために、主人公とフェステはアステルリーズの高台にある“バファリア神殿”へ向かった。教団の中でも触れられたくない言葉のようで、得られた情報はただひとつ。不思議な少女から告げられた“ミンスターホルン”という地名だけだった。

 ミンスターホルンに移動し、そこで出会った人物から、新たに“神懸(かみがかり)の御柱(みはしら)”へと案内される。最上階には巨大なモンスターの封印。不気味な光景に目を奪われていると、光の球体からふたりの人物が現れた。

 それと同時に、封印されていたモンスターが動き出す。ふたりはこのモンスターを討伐するためにやってきたようだ。彼らに加勢してモンスターを倒すものの、轟音とともにさらなる強者が出現。

 絶体絶命……かと思ったその瞬間、まばゆい光が主人公たちを包み込んだ。

 光から解放された主人公の目の前には、先ほど見たばかりの巨大なモンスター。倒したはずなのに、封印されたままの姿で――。

まるで劇場版アニメの中で遊ぶMMORPG『ブループロトコル』

 ミスリードを誘ったわけではないが、あえてここまで“ゲーム”という単語を使わずに『ブループロトコル』のストーリーを紹介してみた。

 本作は原作を持たない、完全オリジナルのPC用MMORPG。スクリーンショットを見ていただければわかる通り、アニメ作品のような雰囲気が感じられる。

 アニメテイストのゲーム自体は珍しいものではない。だが、2020年4月23日~4月27日まで実施されたクローズドβテストをプレイした限り、本作はこれまでのアニメ風ゲームとは違うように感じた。

 まず、どのシーンを切り取っても、画面の見た目や雰囲気、演出がアニメのよう。3Dゲームなので視点をぐりぐり変えてプレイでき、どのアングルから見ても“何となくアニメっぽい”。動いている様子は以下の動画を見てほしい。

 キャラクターメイキング画面はユニークだった。顔の輪郭や目、鼻、髪の色などをカスタマイズして作っていくのは一般的だが、画面のレイアウトがアニメ風なのだ。つい「アニメキャラの設定資料かよ!」とツッコミを入れてしまった。

 アニメっぽいのはプレイヤーキャラクターだけではない。モンスターや街のオブジェクト、エフェクト、フィールドなど、とにかく徹底している。いわゆるトゥーンシェーダーで描かれているが、輪郭線が太すぎず細すぎず、ハイライトもわざとらしくない。すべての演出を、いま風のアニメに寄せている感じがする。

 街でぼけーっと画面を見ていると、そのへんをうろうろしているNPCを“モブ”と呼びたくなるほどアニメっぽい。

ソロでも遊びやすいRPG+αな感じ

 まだクローズドβテストの段階なのでゲーム性について結論を出すのは早いと思うが、最初の印象は“ひとりでも遊びやすいRPG”だった。

 本作では、冒頭で書いたメインストーリーを進めながらキャラクターを育成していく。NPCから「○○を○個もってこい」とか、「○○を○匹倒してこい」などのクエストを受け、装備などを強化するなど、基本的な仕組みはわかりやすい。

 今後のバランスがどうなるかはわからないが、少なくともクローズドβテストの段階では、ソロでもメインストーリーはサクサク進められた。他人とパーティーを組まなくても物語を楽しめるのは、不規則な生活を送っている筆者としてはありがたい。

 クラスはイージスファイター(タンカー)、ツインストライカー(近距離アタッカー)、ブラストアーチャー(遠距離支援)、スペルキャスター(遠距離アタッカー)の4種類。異なるプレイ感覚を味わいたいときは、気軽にクラスを変更できる。それまでに習得した武器とスキルは使えなくなってしまうが、街に帰ればいつでも転職できるのはグッド。

多人数プレイで楽しめるコンテンツもたくさん!

 とはいえ『ブループロトコル』はMMORPGだ。ほかのプレイヤーとともに楽しめるコンテンツも多数用意されていた。

 たとえば規定の時間に出現する限定ダンジョン“レイドバトル”。一定人数だけが入れるインスタンスダンジョンに、超強力なボスモンスターが出現する。みんなで巨大なモンスターをボッコボコにするのはMMORPGならではの醍醐味だ。

 こういったシステムはボス撃破やダンジョン周回を周回するタイプのゲームでも見られるが、もっとカジュアルに、そして唐突に体験できるのがおもしろかった。レイドモンスターは通常のフィールドにも出現するのだ。

 フィールドをふらっと歩いていると、たまにレイドモンスターの出現を知らせるメッセージが出る。マップに表示された出現ポイントには、吸い寄せられるように周辺のプレイヤーたちが集結。刹那的な協力プレイが発生するのである。

 とくにパーティーを組む必要はなく、適当に殴っていればアイテムの権利をもらえるようだった。大ダメージを与えなくてもいいので、冒険を始めたばかりの初心者にもやさしいシステムだ。

 『ブループロトコル』では、フィールドで戦う他人の戦闘に介入できる。ピンチの人を助けるようにモンスターを倒してもいいし、回復してあげてもいい。他人のモンスターを奪う、いわゆる“横殴り”を推奨しないゲームもあるが、本作は経験値とドロップアイテムを両者とも得られるので、個人的に問題は感じなかった。

 こういうインスタントな協力関係の形成に役立つのが、簡単にメッセージを送信できるスタンプやショートカットキー機能。フィールドの散策中、あちこちで「ありがとう」が飛び交う様子を見かけた。

 もしかしたら、ちょっとした助太刀がきっかけで、行動をともにする仲間を見つけた冒険者もいたのかもしれない。ファンタジーや冒険モノのアニメで仲間を増やす際の王道パターンだ。実際、筆者がダンジョンにこもっていたとき、初対面のプレイヤーと数十分間も同じモンスターを狩り続けることがあった。

 ほかのゲームでも似たようなシーンはあるだろう。しかし、『ブループロトコル』での感じかたは少し違う。グラフィックの雰囲気も手伝って、「コイツは来週までに仲間になるな……」とか、アニメ視聴時のように先の展開を期待してしまう。

 MMORPGはプレイヤー全員が主人公=ゲーム内の登場人物とはよく言ったもの。クローズドαテストのリポート記事で、ライター竹内白州氏は『ブループロトコル』を“劇場アニメに入り込んだような世界”と評しており、その観点からするとプレイヤーたちはアニメの登場人物だろうか。

 アニメの登場人物になったような感覚が、ほかのプレイヤーとの関係性から感じられるのが、何ともおもしろい。

戦闘はゲームパッドでも遊びやすい

 本作の戦闘はノンターゲティングバトルで、キビキビ動くアクションゲームのよう。敵との間合いを考えながらキャラクターを移動させ、通常攻撃やスキルでダメージを与えていく。ガードや回避が重要なので、素早い操作が必要な場面も多々ある。

 筆者はキーボードとマウスでプレイしたが、プレイヤーによってはゲームパッドの方が遊びやすいと感じるかもしれない。その理由は、わりとシビアなタイミングで方向キーを入れると技が出せることに加えて、使用するキーがさほど多くないから。

 誰でも遊べるオープンβテストが始まった折には、いままでPCゲームをプレイしたことがないゲームファンにもチャレンジしてほしいタイトルだ。

アイテムの装備やスキルでキャラクターを強化

 『ブループロトコル』には一般的な意味での“防具”が存在しない。用意されているのは“衣装”だけで、これは見た目を変える、いわゆる“アバター”だ。では、どうやってキャラクターのステータスを強化させるのか?

 本作のキャラクターが装備できるのは、武器とバトルイマジン、インナーイマジン。武器は剣と盾、斧、弓、杖があり、クラスごとに装備可能な種類が決まっいる。

 戦闘に関するパラメーターが上がるこれらの要素のほか、移動スピードがアップするマウントイマジンもある。

 バトルイマジンとインナーイマジンは、冒頭のストーリー解説にも登場した“イマジンシード”を加工したもの(といった認識で相違ないはず)で、防御力やステータスを強化させる装備品。フィールドやダンジョン、ボス戦で集めてきた素材を街の施設でクラフトするとゲットできる。クラフト時に効果アビリティがランダムで付与されるので、運がいいとイイモノが手に入る。

 バトルイマジンは同時にふたつまで装備可能だ。“イデア(強力なモンスターがドロップするイマジンシードの一種)”に素材を組み合わせてクラフト。ステータスの上昇だけでなく、そのモンスターを召喚する特別なスキルも使用可能になる。攻撃用や回復、バフなど、さまざまな種類があるのでプレイスタイルによって使い分けられる。倒したモンスターの想いを糧に強くなる……のようにイメージするとわかりやすいだろう。

 もうひとつのインナーイマジンは、他作品で言うところの防具のような感じ。全5種類が存在し、それぞれひとつずつ、合計5つまで装備できる。

 なお、装備アイテムの武器とバトルイマジン、インナーイマジンは、街の施設で強化可能だ。

正式サービスが待ち遠しい期待の純国産オリジナルMMORPG

 駆け足で紹介してきた『ブループロトコル』だが、まだ正式サービス開始日はアナウンスされていない。クローズドβテストをプレイした率直な感想は、「早く遊ばせてくれ! シナリオの続きが気になる!」である。

 たとえるならば、アニメ先行上映会の帰り道。ラストに出てきたティリスとエーリンゼって本当は悪いヤツじゃないよね? てゆうか、主人公を見て来者って言ったメルロウフは何者!? 限られた時間と限られたフィールドでしか遊べなかっただけに、これから先にどのような世界が広がっていくのか、気になって仕方がない。

 完全新作ゆえに、本作のゲームシステムは少しずつベールが脱がされている。クローズドαテストでは4つのクラスや戦闘のアクション性、戦闘・探索で素材を集めて装備を作る基本的なサイクルが明かされた。クローズドβテストでは、それぞれの要素が一段階深くなったうえで物語性が加わった形だ。

 今回のテストでメインストーリーとアクションバトルは楽しめたので、別の面にも興味がわいてきた。MMORPGの醍醐味といえば、その世界の一員になれること。そんな感覚を味わえるような要素を期待してしまうのだ。

 現状では大多数のプレイヤーは街に留まらず、おもにフィールドで狩りをしていた。せっかく作り込まれた広大な街があるのだから、この中で暮らせる仕掛けがあると、より深く『ブループロトコル』の世界の住民になれる気がする。

 建物の中に入ってみたい。商店街のお店でちょっとした買いものをしてみたい。そこらに佇んでいるNPCに何げなく話しかけてみたい。そこからアニメで言うところの“日常回”のようなお話が展開したら――。

 開発者のみなさん、そんなまったりとした時間が流れるサブシナリオなんていかがでしょうか?