2019年11月21日に3gooから発売されるNintendo Switch、プレイステーション4用ソフト『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン デラックスエディション』を発売に先駆けてプレイすることができたのでそのレビューをお届けしよう。

奇襲が戦いのカギを握る

 本作は、テーブルトークRPG『Mutant』シリーズを原作としたアドベンチャー。核戦争や気候変動により人類が滅んでしまった世界を舞台に、ミュータントたちが“エデン”と呼ばれる安息の地を探す物語が描かれる。

 プレイヤーは最大で6人のミュータントから(※)3人を選んでパーティーを組み、 “グール”と呼ばれる敵を倒しながら、“エデン”を探すために各地を冒険することになる。

※『デラックスエディション』収録の追加ダウンロードコンテンツ“Seed of Evil”も加えての数字。なお、“Seed of Evil”ではさらに手強い試練への挑戦や“ミューテーション”のアップグレードも可能となる。なお、物語の展開をフルに楽しむためには、新規でゲームを開始する場合は最初から“Seed of Evil”は選択しないことをオススメ(ネタバレにならないため)。

 と、SFが大好物の筆者からすると胸踊る設定なわけだが、そんな筆者がまず心に響いたのが、荒廃した世界の構築ぶり。この世界では、人類が滅び文明が衰退しているため、冒険中に訪れる各地では、無残にも放棄されている電車や船、廃屋などがそこかしこに見られる。そのいずれもが細部に至るまでしっかりと作り込まれており、没入感を盛り上げるのだ。

 ちなみに、廃墟に近づくとパーティーに選んだミュータントどうしの会話が発生することもある。話す内容もミュータントによってさまざまで、初めて見た電車の感想やその地にまつわる伝承などを口にするのだが、そういった会話の内容で文明の衰退の背景がわかる仕組みになっている。世界観を大切にする丁寧な作り込みが感じられるフィーチャーだ。

 前述の通り、本作では、3人のミュータントたちを駆使して冒険していくことになる。目的地に到達すると、戦闘や会話などが発生して、つぎの目的地が設定され、これをくり返すことでストーリーが進んでいくといった具合だ。目的地は、いくつかのステージを経由した先に設定されることが多く、ステージごとに待ち構えている敵たちが立ち塞がる。

 戦闘は、プレイヤーと敵が交互にアクションを行うターン制バトルを採用。ターン開始時にキャラクターごとにアクションポイントが2ポイントだけ付与され、これを消費して移動や攻撃などを行うことになる。

 “歩く”は1ポイントで、“歩く”より遠くへ移動できる“走る”は2ポイント消費するなど、行動によってアクションポイントの消費量が異なるのがポイント。敵の数や距離によって攻撃するのか、それとも“走る”で距離をとって体制を整えるか……など状況に応じた選択が重要になってくるわけだ。

 攻撃時は、装備している武器によって与えられるダメージや射程が違うので、ダメージと射程のどちらを優先するかの選択も大事だ。射程は攻撃の命中率に影響を及ぼし、敵味方に関わらず、射程が長いほど遠くから攻撃したときの命中率が高くなる。当然射程が長い武器ほど有利になるわけだが、そのぶんダメージは少なめと、トレードオフの関係になることが多い。

 武器は、キャラクターごとに2種類装備でき、戦闘中に自由に切り替えられる。その際は、ふたつのうちひとつは、クロスボウなどの消音効果を持つ武器を装備するのが定跡かもしれない。なぜなら味方は3人で、多人数の敵がいる陣地に切り込んでいくことが多く、勢いステルス中心の戦いとなることが多いからだ。派手に銃撃戦を展開すると、その銃声で周囲にいる敵に気づかれてしまい包囲されてお手上げ状態……という事態にもなりかねないからだ。中には、仲間を呼び寄せるシャーマンという敵もいたりする。

 本作では、敵陣に切り込んで、いかに気づかれないように敵をひとりひとり倒していくかが戦いかたの基本。そのために重要なのが、攻撃に際しての場所取り。攻撃する場所によって、攻撃の命中率やクリティカル確率が変わる。さらには、高所からの攻撃は命中率やクリティカルの発生確率が上がって、敵の攻撃を回避する確率も高くなるのだ。

 敵を倒す順番も大事で増援を呼ぶシャーマンを早めに倒しておけば、増援を呼ばれることがなくなるので、できるだけ早い段階で倒しておきたい。また、ステージが進むにつれて敵の体力が多くなり、全員でひとりの敵を集中攻撃しないと倒せなくなるので、だんだん奇襲の重要性も増してくる。

赤い範囲が敵の視界でこの中に入ってしまうと戦闘になり、敵の攻撃からターンが開始される。

 操作できるミュータントは、最初はふたりだけだが、ストーリーを進めていくと全部で6人のミュータントを操作できるようになる。

 イノシシのような顔をしており、戦闘では体力が高く積極的に敵に近づいて攻撃できるボーミン、見た目は人だが人間離れした跳躍力を持ち、高所などの有利な位置をとりやすいセルマ、クリティカル攻撃でダメージを与えやすいアヒルの顔をしたスナイパー、ダックス、銃弾を素手でつかみ取るほど身体能力が高く、敵の攻撃を回避しやすいマグナス、かわいらしいキツネのような見た目で、バランスの取れた戦闘力を持つファロウなど……それぞれ特徴を持っている。

 そんな個性豊かなミュータントたちも、物語を彩る大きな要素となっている。

 ミュータントはそれぞれ、 “ミューテーション”と呼ばれる特殊な能力を覚えることで能力を強化でき、武器を装備することで攻撃力を上げられる。 “ミューテーション”を覚えるにはポイントが必要で、敵を倒してパーティーのレベルが上がると、全員にそれぞれポイントが付与される。“ミューテーション”は、ミュータントごとに覚えられ、任意で発動させるものとつねに発動し続けるものがある。その効果も一定ターンのあいだ、敵を動けなくしたり、攻撃できる射程をのばしたりとさまざま。

 なお、“ミューテーション”の種類によっては使用条件が設けられている。一度発動させると、能力ごとに決められている数の敵を倒さないと再使用できない“ミューテーション”も。ただし、条件がある分、その威力は強力で、とくにダックスとファロウが覚えられる“サーキットブレイカー”は個人的にはオススメ。その効果は機械の敵を一定時間行動できなくするというものだ。実際のところ、機械の敵は生身の“グール”と比べて、ダメージを与えにくく、さらに味方の回復を行うので、行動を封じられる “サーキットブレイカー”は、戦闘時にあたっては本当に重宝した。

 ほかにも、“ツイッチショット”も利便性が高く、ふつうに攻撃するときより命中率は下がるが、2回攻撃ができるのがうれしい。1ターンでより多くのダメージを与えられるので有効な場面も多くあった。

 なお、武器にも強化要素があり、ステージで入手できるアイテムを消費して、攻撃力とクリティカル時に与えるダメージを強化できる。さらに、部品を取り付けることで、威力を強化したり、追加効果を発生させられる。部品は着脱可能なので、入手したらすぐに武器に取り付けるだけで性能アップが図れるのは使い勝手がいい。

  かように“ミューテーション”にしても武器にしてもとにかくバラエティーに富んでいるので、自分のプレイスタイルに合わせて好きなものを選ぶ楽しさがある。

 ちなみにミュータントの強化は戦闘中以外ならいつでもできるが、武器の強化は“アーク”と呼ばれるステージに移動しないとできない。“アーク”はミュータントの拠点で武器の強化以外にアイテムを購入できるショップなどもあるので、ここで冒険の準備を整えられる。

 本作の難易度は、ノーマル、ハード、ベリーハードの3種類が用意されている。本作では、ノーマルがいわゆる通常のイージーモードにあたり、戦闘後にミュータントの体力が全回復したり、敵から受けるダメージが減少するなどターン制のバトル初心者向けの難易度となっている。筆者は今回ハードでプレイしたのだが、戦闘後に回復する体力も少なく、敵から受けるダメージも高いので、ひとつのミスが全滅につながる可能性があり、非常にやりごたえがあった。

 また、難易度の選択とは別に“アイアンミュータント”が選択できる。こちらは、一度倒されてしまったミュータントは復活できなくなるというガチ仕様のフィーチャーで、これを選ぶとさらに緊張感のある戦いができるだろう。ステルス制の高いゲームプレイなど、とにかくヒリヒリした緊張度の高い1作だ。