『スーパーロボット大戦』(以下、『スパロボ』)と『SDガンダム ジージェネレーション』(以下、『ジージェネ』)。歴史があり、ファンに愛され続ける2大ロボットゲームの指揮者たちによる座談会をお届け!

寺田貴信氏(てらだたかのぶ)

長年『スパロボ』のことを支え続けているベテランプロデューサー。『スパロボ』ファンで、氏の名前を知らない者はいない。(写真左から2番目、文中では“寺田”)

最上頌平氏(もがみしょうへい)

近年の『スパロボ』制作に深く携わる人物。『スパロボX』や『スパロボT』などで、寺田氏とともにプロデューサーを務めた。(写真左端、文中では“最上”)

宮城嘉樹氏(みやぎよしき)

初代『ジージェネ』からシリーズの開発に携わっているベテラン。最新作でも、開発ディレクターとして制作を進める。(写真右から2番目、文中では“宮城”)

塚中健介氏(つかなかけんすけ)

『ジージェネ』最新作『クロスレイズ』のプロデューサー。2017年の『巨影都市』などでもプロデューサーとして活躍した。(写真右端、文中では“塚中”)

互いの作品のいいところを参考に、切磋琢磨して開発!

――まずは、お互いのシリーズの歴史について感じていることを教えてください。

寺田双方長いタイトルだなという思いがありますね。僕も『スパロボ』担当歴がだいぶ長いので、『ジージェネ』の新作が出るたびに、シリーズ初期から『ジージェネ』に関わっている宮城さんがいると安心しますよ(笑)。

宮城ホント、お互い長いですからね(笑)。

塚中私はどちらのタイトルとも携わった経験があるレアな担当ですが、当時は『スパロボ』のバンプレストと『ジージェネ』シリーズのバンダイで、両者を代表するフラッグシップだったという印象です。いまでこそ同じ会社ですが。

最上僕は学生のころにユーザーとして『ジージェネスピリッツ』を遊んでいました。

――『スパロボ』と『ジージェネ』は、同じジャンルのロボットシミュレーションRPGということで、開発において両タイトルを意識していたことはありますか?

寺田対抗意識とかはないですね。というのも、両作品は見た目は似ていますが、シナリオ重視の『スパロボ』と機体の開発に重点を置いた『ジージェネ』では、シミュレーションRPGであることと、戦闘シーンが似ていること以外は被るところがあまりないと思っていますので。ただ、『ジージェネ』を見ていて、「『スパロボ』のここを研究したんだろうな」という部分はありますね。初期の『ジージェネ』で武器を4つに限定したのは大英断だと思っています。『スパロボ』も昔は武器をいっぱい作っていてキツい思いをしたので、そこは限定して作ればよかったと、いまだに思うことがありますね(笑)。あと、僕のルールで、基本的に新しいガンダムは『ジージェネ』に出てから『スパロボ』に参戦すると決めています。例外はありますが、やっぱり『ガンダム』作品の新トピックスは『ジージェネ』が優先されるべきだと思っているので。

最上システム的にいろいろできるのは『ジージェネ』のほうでしょうか。たとえば『スパロボ』でモビルスーツ開発がOKになっても、同様に『ガンダム』以外の作品のロボットを開発するのはNGでしょうし、どうしても制限が出てきますから。

宮城同じジャンルで、戦闘シーンに突入するシステム上、どうしてもゲームの見た目が同じように感じてしまう部分はあります。『ジージェネ』は『スパロボ』とは別で、遊びかたもコンセプトも違うと思っていますが、戦闘演出は『スパロボ』を参考にさせていただいたこともあり、よりよい演出を目指しているのは間違いないですね。お互いがいい形で進化していって、新しいものをそれぞれが作っていければいいなと思っています。そこはいちばん開発していて気をつけました。

塚中私も同じです。お客様が『スパロボ』と『ジージェネ』に求めている部分はそれぞれ違うと思っていますので、その違いを大切にしないといけないと意識しています。

――両作品ともに戦闘シーンは大きな魅力のひとつだと思います。そうした戦闘シーンの演出に対するこだわりや違いなどは、どこにあるとお考えでしょうか?

寺田明確に違うのは、うちはドット絵の打ち出し、『ジージェネ』は3Dモデルという部分ですね。共通しているのは、両作品ともに物量との戦いということ。どちらもものすごい演出の戦闘シーンは作れるのですが、それをいかにして量産するかが問題でして。

――確かに、昔といまでは戦闘シーン制作にかかる労力が全然違うでしょうし……。

寺田そうなんです。例えるなら量産型のモビルスーツではなく、高性能のガンダムをいかに量産していくか……みたいな感じです。もっとも、物量の問題は『スパロボ』より『ジージェネ』の方がたいへんだと思います。これはだいたいのゲームに言えることだと思いますが、決められた時間と予算内でどれだけ多くのいいものを作れるかは、永遠の課題ですね。

――コスト&数との戦いですね。たとえば作る機体が30機だけでいい場合、開発はしやすいかもしれませんが、ユーザーからしたら「少ないよ!」となるため、たいへんそうです。

塚中寺田さんが仰った物量もそうですが、ハードのスペック向上による高解像度化も関係してくるんですよ。単純な制作数に加え、解像度という質の部分も非常に大きくて。まるで掛け算のように工数にのしかかってくるので、二重にたいへんな作業なんです。

――そうした戦闘シーンを作るうえで意識していることは、どのような部分でしょうか?

寺田『スパロボ』の場合は、原作を再現して、原作を見ていた人に懐かしいと思ってもらったり、知らなかった方に興味を持ってもらえるような、原作ありきの演出再現ですね。あとはそこにどういうオリジナリティーを加えていくか。例えばνガンダムは『スパロボ』によく出るのですが、フィン・ファンネルの演出をどう変えていくか毎回悩みどころでして。たまに「よし、『ジージェネ』を見よう、そこにヒントがあるかもしれない」みたいなことになったりします(笑)。

一同 (笑)。

最上いまとなってはどちらも同じ会社から出ていることもあり、戦友的な目で見ながら参考にさせてもらっている形です。

宮城『ジージェネ』と『スパロボ』との戦闘の大きな違いは、集団戦闘をしているか否かだと思います。『ジージェネ』は複数でまとまって戦闘したときにどういうバトルになるのかを意識して、戦闘シーンはつねに止まらず、必ずカメラなり機体なりが動いています。ストップをかけないでつねに流しているのが違いじゃないかなと考えています。

塚中原作を追体験していただきたいという意味では、どう映像をフラッシュバックさせるかも重要ですが、『ジージェネ』は映像化されていない作品の機体を動かすことも求められていると思っています。資料の数が圧倒的に少ない作品をどうゲームに反映していくのかは、『ジージェネ』に課せられたミッションだと感じていますね。

似ているようで異なる両作品、互いが思うそのすごさと特徴

――両作品、主人公や部隊名決めなどの要素がありますが、どのようにファンの没入感や楽しみかたを意識しているのでしょうか?

寺田没入感を高めるため、『第4次スパロボ』で初めてオリジナル主人公を登場させたのですが、主人公の名前を決めることで「アムロや甲児が名前を呼んでくれる」といった風に反響がありました。思っていた以上に、主人公の存在を楽しんでくれる方が多かったですね。

塚中『ジージェネ』は部隊編成を楽しんでいただいている方も多いので、部隊を主軸にどうロールプレイしてもらえるかを意識しています。

―― そうした中で、互いの作品で「これはすごい!」と感じた要素や演出はありますか?

寺田「コアファイターと戦車を組み合わせてガンタンク!」みたいな、設計や開発の解釈はなるほどと思いました。「あれとあれが組み合わさったらあのモビルスーツになるんじゃないか」感が絶妙ですし、『スパロボ』ではまずできないことですから。それと昔の『ジージェネ』にあった、1度きりのイベント演出を戦闘シーンにして見せたのはすごかったですね。しばらくしてなくなってしまいましたが……。

宮城あれは本来、ムービーにして流したかったのですが、容量の関係もあって全部ムービーにできず、代わりの戦闘演出を使ったのです。僕が思う『スパロボ』のすごさは、爆発シーンというか、ダメージを与える“ダメージ感”の演出ですね。こういった部分はプレイヤーが爽快感を味わえるものですので、うまくこちらも取り入れていきたいです。

塚中あとは『スパロボV』などを遊んでみても、ひとつのステージのプレイ時間がうちとずいぶん違うなと感じました。『ジージェネ』は長い長いと言われていて、何とかして短くしたいと思っているんですけど。『ジージェネ』は“チャンスステップ”のシステムが長引く要因になっているのかな……。これがいいか悪いかは別として、遊びのテンポは今後考えていくべき課題のひとつだと思っています。

――両作品ファンが多いと思いますが、『スパロボ』と『ジージェネ』のコラボが見たいといった声もあったりしたのでしょうか?

寺田ガンダムのみ参戦する『スパロボ』ですよね? 考えたことはあるのですが、「ガンダムなんだし、“開発”のシステムを入れましょう」ということになったら、それはもはや『ジージェネ』じゃないですか(笑)。ほかのおもしろい要素を入れるとしても、“ガンダムしかいない『スーパーロボット大戦』”と判断されてしまう可能性が高いと思っていまして。

塚中逆に『ジージェネ』の要素で異なるスーパーロボットを開発していくのも、システム的に成立しにくくて難しいですね。過去の一部の『ジージェネ』で精神コマンドを入れたりしたことはあったのですが、参戦作品に関する交流というか、手法はちゃんと考えないとやすやすと実現はできないだろうと思っています。

寺田例えば、マジンガーZとガンダムを組み合わせて開発し、“マジンガンダム”という機体が作れるなら、ニーズがあるのかもしれませんが。実際、『ジージェネ』と『スパロボ』がクロスするなら、そういうところまで踏み込まないと、やる意味があまりないですよね。

―― 現実的な可能性としては『スパロボ』に『ジージェネ』のオリジナルモビルスーツを隠し機体で出せるかも? くらいでしょうか。

最上そうですね。ただ、それをするなら参戦作品のユニットを充実させてほしいと言われてしまうかなと。とはいえアンケートでも、『ジージェネ』オリジナル機体を出してほしいという声はあるにはあるのですが……。

寺田個人的にも『スパロボ』に出したい機体がいっぱいいるんですけれどね(笑)。

――期待しています(笑)。最後に、今後のゲーム開発への意気込みをお願いします。

最上『スパロボV』や『スパロボX』が移植されることもあって、さらに作品を遊んでいただける方が増えるかなと思っています。今後もたくさんの方にプレイしていただける作品を作っていきたいと思っています。

寺田家庭用『スパロボ』はもちろん、スマホアプリの『スパロボX-Ω』や『スパロボDD』もよろしくお願いします。『スパロボ』30周年に向け、またロボットシミュレーションRPGとして、今後もがんばりたいと思います。

宮城シリーズを重ねるごとにシステムが複雑化している傾向にあるので、もう少し新しい遊びかたを入れつつ、何を消して何を変えていくのかをしっかり考えて作っていかないと、つぎの展開は生まれないだろうなと感じています。そうした課題に取り組みながらも、より新しく楽しい『ジージェネ』を作っていけたらと思います。

塚中シリーズをどう発展させていくかが我々の課題です。プラットフォームの多様化とともに、お客様のプレイスタイルも変化すると思いますので、何を残し、何を変えるかの見定めをしっかりしたいです。まずは『クロスレイズ』を全力で作りつつ、今後のことも考えていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

『スパロボ』のこれからや最新作を語る!

スーパーロボット大戦V
ハード:Nintendo Switch
発売日:2019年10月3日発売

――『スパロボV』や『スパロボX』をSwitchに移植したきっかけや経緯を教えてください。

最上Switchのハードが出たとき、『スパロボ』にとって魅力的なハードだと考えていたんです。そんな折、『スパロボT』の発表後、お客様から「『スパロボV』や『スパロボX』もSwitchで遊べたらいいな」という声があったことと、海外からの反応もよかったこともあり、移植する流れとなりました。

――改めて『スパロボ』シリーズを楽しむためには、どうすればいいとお考えでしょうか?

寺田シリーズでかれこれ30年近くやっていますので、なかなか新規の方は入りにくいとお思いかもしれません。ですが、『スパロボV』は独立したお話ですので、これまでのシリーズを遊んでいない人でもプレイしやすくなっています。ロボットをマップ上で動かして敵を倒していくシンプルなゲームですので、参戦作品の中にひとつでも興味があるもの、好きな作品があれば、それを取っ掛かりにして遊んでもらえればと思います。

最上アンケートなどでは、『スパロボV』で久々に『スパロボ』をプレイしたという方もいれば、海外の方で、初めて『スパロボ』を遊ばれたという方も多かったですよ。

――『スパロボX-Ω』や『スパロボDD』など、スマホアプリでも展開中の『スパロボ』は、どんどん新しいことに挑戦していますよね。今後チャレンジしてみたいことはありますか?

寺田ここでは具体的なことはまだ言えないですね。ただ、『スパロボX-Ω』は従来の『スパロボ』では参戦しにくい作品を出していこうという形で運営しており、そもそもロボットアニメではないものも参戦しているという意味では、新たな挑戦かもしれませんね。『スパロボX-Ω』は家庭用の『スパロボ』と住み分けをしつつ、家庭用版にはあまり出てこない作品をこれからも出していきたいと思っています。それと、家庭用版の『スパロボ』はどうしても開発に1~2年かかってしまうのですが、『スパロボX-Ω』はそこまで時間がかからずに出せるのも強みです。

――『スパロボV』などのPC版が出るとのことですが、家庭用版との違いはどんな部分にありますか?

寺田マウスとキーボードで遊べる以外は、ほかの家庭用ゲーム機との違いはないです。

最上PCのプラットフォーム向けに求められるオプションはあるので、そういったところは新たに対応しています。ですが、ゲーム内容そのものに変化はありません。

なお、2019年10月3日(木)配信予定の“生スパロボチャンネル”で最新PVが公開予定。こちらもチェック!

【視聴チャンネル】
・バンダイチャンネル
・ニコニコ生放送
・Youtube LIVE
・LINE LIVE

『ジージェネ』のこれからや最新作を語る!

SDガンダム ジージェネレーション クロスレイズ
ハード:Nintendo Switch/プレイステーション4
発売日:2019年11月28日発売予定

――開発、設計、捕獲といったジージェネ独自のシステムの起源を教えてください。

宮城1996年に、スーファミターボで『SDガンダムジェネレーション』というゲームを作ったのですが、結果的にこれがいまの『ジージェネ』シリーズの起源となりました。当時はクラスチェンジという形でガンキャノンがゲルググに性能進化していたのですが、ハードがプレイステーションに変わってから、ガンダムの魅力のひとつでもある機体の開発系譜をゲームでも公式の設定に沿わせて遊ばせてみようとなったのです。それと開発当時はアクションバトルを考えていたのですが、容量的な問題で戦闘アニメの方向性に落ち着きました。その際は、やはり『スパロボ』を参考にさせていただきました。

――『クロスレイズ』の新システムについても、改めてお聞かせください。

塚中“遊撃グループ”と“アビリティGET”、“グループ派遣”がおもな新システムとなります。本作で描く4作品は、戦艦に搭載するよりも、単独で活躍するシチュエーションが多い作品群です。これまでの『ジージェネ』は戦艦を主体にしていましたが、今回は単独で、まるでユニットが遊撃機のように多方に広がって戦略が取れるようにしているんですよ。従来の固まって進軍するのとはまた異なる、新たな『ジージェネ』の楽しみかた、新たな選択肢のひとつとして、ぜひ楽しんでください。

宮城戦艦のない遊びかたも考えたくて作ったのですが、戦艦なしでいけるのかという疑問も最初はありました。開発中に遊びかたが見えてきて「これはありだな」と思うようになり、無事に新要素として実装が決まりました。

塚中アビリティのGETは、ユーザーがそれぞれ使いたいキャラクターをどう強化してい
くかという部分をより楽しんでいただきたいという想いから実装しました。そしてグループ派遣は、プレイしていない空き時間をどう使ってもらうか考えた結果、入れた要素です。『ジージェネ』はユニットも多いので、どうしても使わない機体が出てきてしまう。それらにも活躍の機会を与えたく、実装しました。

―― 4世界を描く『ジージェネ』の参戦作品はどのように選定されたのでしょうか。

塚中さまざまな機会でお話しておりますが、大前提としては全作品を出したいと思っています。ただ、前作『ジェネシス』から機体のモデルも一新し、戦闘演出のクオリティーが上がって、制作できるユニット数により制限が出てしまった。その中でどういったラインアップにするかを考えたとき、ある程度世界観の近さや攻略性の部分などを加味しながらコンセプトを決め、今回の4作品になりました。

―― 本作の注目点について教えてください。

塚中今回は初めてシナリオを描く作品があるほか、これまでのシリーズに登場していないユニットも新たに出てきますので、ぜひそうした部分を見てほしいです。

宮城限定版のサウンドエディションも注目してほしいですね。各原作の非常に魅力的な楽曲を多数収録していますので、それをバックに戦闘演出を見ていただけると、通常とは違った盛り上がりかたができるのではないかと思います。ほかにもステージ中のイベントの部分でも楽曲が流れることで、イベントシーンがより際立ったものになりますので、ぜひそのあたりの、楽曲がもたらす効果も堪能していただきたいと思っています。