エレクトロニック・アーツ傘下のゲームスタジオRespawn Entertainmentが、ミリタリーFPS『メダル・オブ・オナー』シリーズの新作『Medal of Honor: Above and Beyond』を発表した。

 本作の発表が行われたのは、VRヘッドマウントディスプレイを提供するOculusの技術カンファレンスOculus Connectにて。2年前の同イベントで発表されたOculusとRespawn Entertainmentとのパートナーシップ契約がついに結実した形となる。

 ゲームはOculusのPC用VRヘッドマウントディスプレイであるRiftシリーズ向けのVRFPSとなり、2020年配信予定だ。

1999年の初代作のスタッフが手掛けるVR版MoH

 『Medal of Honor: Above and Beyond』の舞台は、シリーズが主に描いてきた第二次世界大戦期のヨーロッパ戦線。プレイヤーはアメリカの特務機関OSS(戦略諜報局)のエージェントとして、フランスのレジスタンスとも協力しながら任務に挑んでいくことになる。

 ディレクターとして開発の指揮を執るのは、1999年の初代『メダル・オブ・オナー』でシナリオなどを手掛けたPeter Hirschmann氏。なおシングルプレイのキャンペーン以外に、
マルチプレイ対戦や、退役軍人がノルマンディを再び訪れるドキュメンタリー映像などを見られるギャラリー機能も用意される。

第二次世界大戦FPS『メダル・オブ・オナー』がVRFPSになって復活! 開発は『Apex Legends』のRespawnで、2020年にRift向けに配信予定_01
第二次世界大戦FPS『メダル・オブ・オナー』がVRFPSになって復活! 開発は『Apex Legends』のRespawnで、2020年にRift向けに配信予定_02

銃のリロードも手榴弾のピンを抜くのも俺の手だぜ!

 Oculus Connect会場でキャンペーンミッションをいくつかプレイすることができたので、その模様もお伝えしよう。

 ゲームはRift/Rift S本体と両手のモーションコントローラーを使ってのプレイとなり、自分の手を割とフル活用する内容だ(ただし移動と回転はコントローラーのスティックでも行えるので歩き回らなくてもいい)。

 例えば銃を撃つだけでも、両手で構えるのもトリガーを引くのも自分の手で行うし、リロードの際は腰から新しいマガジンを取って挿入したり、射撃可能にするためにレバーをスライドさせなければいけなかったりする。手榴弾なども、ちゃんとピンを引いて自分の手で投げるのだ!

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 これは面倒と思う人もいるかもしれないし、プレイしていてもたまにスライド動作を忘れて慌てるハメになったりするのだが、慣れてくると没入感があってなかなかよろしい感じ(ただし完全にリアリズム追求というわけではなく、ライフルなどの片手撃ちもできる)。

 また公開された映像では、ナイフを投げて敵を倒したり、敵のグレネードを撃ち落としたり、または逆に自分のグレネードのピンを口で抜く(口を検出しているわけはないので、多分それっぽい動作でピンが外れる)といったトリックプレイも。

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投げナイフで倒すの図。ちなみに鍋をぶん投げたりもできるっぽい。
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ハシゴなどを登る動作も自分の手で行う。

 ミッションは主人公の役職柄、工作戦に比重が寄っている印象。レジスタンスのアジトで極秘資料を回収するミッションではアドベンチャーゲームのようにややこしい手順で隠し部屋を開けたり、別のミッションでは雪山で軍事通信を妨害しようとロープを登っている最中に上から撃たれる罠シーンがあるなど、手が込んでいて面白い。

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ロープを登っている最中に上から狙われて、慌てて腰のハンドガンで撃つ。
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レジスタンスのアジトで見つけた“楽譜”通りにピアノを弾いてみると……。

 本誌で別途お届けするOculusのゲーム部門トップへのインタビューによれば、Hirschmann氏らは「歴史的な戦場に足を踏み入れる」という当初のビジョンがVRよってより没入感の高い形で実現できる事を喜んでいるそうで、ゲームの作り込みからもその意気込みは感じ取れる。

 VRのFPS自体は珍しいものではないが、ミリタリーFPSというジャンルを確立したタイトルのひとつである『メダル・オブ・オナー』の名と、本作の“真のAAAのVRゲーム”という触れ込みのどちらにもふさわしい、ディープな体験が期待できそうだ。