『DEEMO』のファンタジー世界をVR空間でハイクオリティに再現

 『DEEMO』はRayarkが開発したスマートフォン向けリズムゲームで、その世界観やストーリー、そしてクオリティの高い楽曲群などが評価され、大ヒットを記録したタイトル。その最新作となる『DEEMO-Reborn-』が、UNTIESがパブリッシングを担当し、プレイステーション4向けに2019年11月21日にリリースされる。

 『DEEMO-Reborn-』では、シリーズで初めてフル3Dグラフィックになるほか、リズムゲームに加えて謎解きや探索などが楽しめるアドベンチャーパートが新たに追加される。また、本作はVRにも対応。先述のアドベンチャーパートが遊べるのはもちろん、リズムゲームも実際にピアノの鍵盤を弾くような操作で遊ぶことができる。

『DEEMO-Reborn-』Rayark CEOのユウ・ミンヤン氏に聞く。VRに対応することで、世界観を大切にしつつさらに没入感を高めた_01
『DEEMO-Reborn-』Rayark CEOのユウ・ミンヤン氏に聞く。VRに対応することで、世界観を大切にしつつさらに没入感を高めた_02
『DEEMO-Reborn-』Rayark CEOのユウ・ミンヤン氏に聞く。VRに対応することで、世界観を大切にしつつさらに没入感を高めた_03

 東京ゲームショウ2019のソニー・インタラクティブエンタテインメントブースでは、本作のVRモードがプレイアブル展示。筆者も実際に遊んだところ、リズムゲームとしてのクオリティの高さはもちろん、作品の持つファンタジックな世界が細かいディティールまで表現されたVR空間に、思わずうっとりと見入ってしまったほどだった。

 そんな本作について、TGS2019に訪れていたRayarkのCEO、ユウ・ミンヤン氏にインタビューを実施。本作について話を聞いた。

主人公の女の子のモデリングは20以上の試行錯誤をくり返した

『DEEMO-Reborn-』Rayark CEOのユウ・ミンヤン氏に聞く。VRに対応することで、世界観を大切にしつつさらに没入感を高めた_04

ユウ・ミンヤン氏

Rayark CEO

――いよいよ発売を間近に迎えた本作ですが、まずはいまの率直なお気持ちをお聞かせください。

ミンヤン今回が初めてのフル3DとVRの作品だったので、多くの反響をいただけてとても嬉しいです。作品はもう完成していますので、とりあえずいまはホッとしています。もちろん発売以降のユーザーの反響も楽しみです。当社のいちばん人気のIPが『DEEMO』ということで、ユーザーの皆様をガッカリさせないようにがんばりました。

――今回楽曲も新たに追加されるとのことですが、新曲と既存の楽曲ではどのような収録割合になっているのでしょうか。

ミンヤン本編には60曲以上楽曲を収録することを発表させていただいていて、割合として半分ずつくらいです。豪華なアーティストの方の新しい楽曲もありますが、過去に参加されていた人気の作曲者の方にも新曲をお願いしたりしていて、気合を入れた部分ですね。

――楽曲をVRでプレイさせていただいたのですが、リズムゲームをプレイしている時の背景のアートも非常に美しかったのですが、こちらは楽曲で背景も変わったりするのでしょうか。

ミンヤン背景は複数用意しているので、そちらもぜひじっくり見てほしいですね。

――『DEEMO-Reborn-』はシリーズとしては初の据え置き機向けとなりますが、どのようなことを念頭に置いて制作されたのでしょうか。

ミンヤン『DEEMO』はスマートフォンやプレイステーション Vitaなど、いままで外に持ち出せるデバイスでリリースしていたので、ちょっとした時間でもプレイできるカジュアルさを意識した設計をしていました。今回は初の据え置き機向けという部分で、長く家で遊んで楽しめるという設計を根底に置いています。また、フル3DでVR対応ということで、背景などのすべてのパーツをきちんと作り込むことを意識しました。VR対応でなければカメラのカット割りなどで作らなくてもいい部分がありますが、VR対応ということでそこは徹底的に注力しました。もうひとつは、キャラクターのモデルです。VRモードではキャラクターを至近距離で見ることになるので、没入感を高めるために仕草や動きは意識して作りました。

――長く家で遊べるような設計のひとつとして、今回の新要素である謎解きや探索の要素を追加されたと思いますが、こちらはどのようなボリュームになっているのですか?

ミンヤン元は音楽ゲームなので、VRで実際にピアノを弾くようにリズムゲームが遊べるという要素だけでも楽しめますし、探索や謎解きを含むアドベンチャーモードだけでも楽しめるようなボリュームになっています。ですので、従来のリズムゲームが好きな方はもちろん、アドベンチャーモードが気になっている方でも喜んでいただけるものになっていると自負しています。

――VRモードと通常のモードでは、遊びの幅が違ったりはするのでしょうか。

ミンヤンVRとTVモードでは同じことができるようになっています。ただ、VR時のプレイとコントローラーでは操作方法がまったく違うので、制作においていちばん苦労したところですね。ただ、操作方法がまったく違うということで、それぞれで楽しんでいただけると思います。

――『DEEMO』はイラストでストーリーが描かれてきましたが、今回はフル3Dになったということで、どのような苦労がありましたか?

ミンヤン一番苦労したのは主人公の女の子ですね。イラストから3Dにする際に、僕ら制作側はもちろん、ファンもそれぞれ「主人公の女の子はこうあるべき」というイメージがありますよね。そのすり合わせはモデルを作るうえで苦労しました。じつはいまの完成形になるまでに20通りくらい女の子の3Dモデルを作っていて、「これはちょっと大人っぽい」とか「これは幼すぎる」とか、本当に悩みながら最大公約数的なデザインを探って、いまの形に落ち着きました。本当にファンの方々はキャラクターに愛着を持ってくれていて、人それぞれにイメージがあるので、全員が満足できるというのは難しいかもしれませんが、最大限の努力はしたつもりです。

――最後に発売を待ちわびているファンの方々へメッセージをお願いいたします。

ミンヤン『DEEMO』の世界観を大切にしてくださっているファンの方々に対して、私たちも全力で『DEEMO』が持つファンタジックな世界を表現したという自信があります。発売された際には、ぜひとも皆さんに楽しんでいただければと思います。