2019年9月12日~15日まで幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2019。今年も注目タイトルが目白押しのインディーゲームブースから、かわいらしいビジュアルと細部へのこだわりに驚かされた『THE TRIP FOR OTHERS(ザ・トリップ・フォア・アザーズ)』を紹介していく。
細部にまでこだわったディティールに注目
『THE TRIP FOR OTHERS(ザ・トリップフォア・アザーズ)』は、運び屋として雇われたうさぎのキルヒムが主人公のポイント&クリックアドベンチャー。運び屋の仕事である町に来ることとなるのだが、ある出来事がきっかけとなり奇妙な依頼を受けることとなる。
パッと見ではかわいらしくポップなドットビジュアルが印象的な本作だが、制作者のGAME-LABO・うすく氏が好きだという『逆転裁判』、『風来のシレン』、『どうぶつの森』、『ゆめにっき』、映画『ゴッドファーザー』などからインスパイアを受けた作品なのだそう。筆者もこのビジュアルに惹かれてゲームを遊ばせてもらったのだが、ゲームの冒頭からすでに上記の作品たちが混ざりあってできたような“異質な雰囲気”を感じた。
そういった刺激を受けたタイトルは、わかいやすい形で本作に盛り込まれていたりもする。たとえば、お店にいるお客さんには攻略のヒントを持っているキャラクターがいるそうなのだか、このお客さんは日によって来る客がランダムで変わる。この根気よく続けて出会わなければならないという点は、『風来のシレン』のランダム要素から来ているのだそう。
そして、プレイして驚いたのは細かいディティールへの強いこだわりだ。パン屋で買った商品を使えば自分で食べられるし、他人に渡せばひとりひとり違ったリアクションをする。ほかにも、レストランではいくつかメニューがあるのだが、注文するものによって運ばれてくるまでの時間が変わったり……といった、要素が随所に散りばめられているのだ。
一番最近追加されたというお花屋さんでは、花を1本買うとアイテムボックスに一輪の花のアイコンが追加されるが、10本買うとアイコンが花束に変化。そして、同じ花の色違いを5本づつ買うと、2色の花束のアイコンになるといった具合で、とにかく細かく作り込まれている。
また、お金を稼ぐ手段としてレストランではウェイトレスのバイトのミニゲームを遊ぶことができるのだが、こちらは注文を覚えて運ぶ記憶力ゲームとなっている。ちなみになぜウェイトレスのバイトかというと、キルヒムが運び屋だからだそう。納得!
こういった細かいディティールへのこだわりは、制作者のうすく氏も力を入れている部分だと話していた。こうした細かい要素を探していくだけでもかなりおもしろいのではないだろうか。
本作は、初めてゲームを制作しているうすく氏が、ひとつずつ勉強しながら完成へと向かっている作品ということで、完成はまだ先になるとのこと。予定としてはPCとAndroid向けのタイトルとして予定しているそうだ。
そして、今回展示された物と同じバージョンが遊べる体験版も現在配信中。内容はゲームの導入部分になっているので、最後までプレイすれば本作がどのようなストーリーを持つゲームなのかが分かるはずだ。丁寧に作られているだけあって、リリースまでにはまだ時間がかかりそうだが、首を長くして待ちたい。