この“裏切られ感”こそがインディ―ゲームならでは⁉
2019年6月1日~2日、京都市勧業館みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典BitSummit 7 Spirits。会場内にはさまざまなジャンルや規模のゲームが“インディー”という大きな傘のもと集っていたが、その中でも「なんだかよくわからないけど、かわいい」の一点のみで来場者の足を止めさせる、チャーミングなタイトルもいくつか存在した。それらの中から、実際にプレイしてみてからのギャップやインパクトがすごかった『わたしと(わたしの)ねこのしろ』と『わ~きんぐでっど』を紹介。
わたしと(わたしの)ねこのしろ
個人のゲーム開発サークル“かじのゆ”が2018年にリリースした、Game Maker Studio(※イギリスのYoYo Gamesが提供するアクション系ゲーム開発ソフト)製の2Dアクションゲーム。フィールドに落ちているおにぎりを食べてプレイヤーキャラをトランスフォームさせながらゴールを目指す……というシンプルルールで、プレイヤーキャラがやられたときの謎のスローモーション演出や、ゴール地点のネコがカッと目を光らせるアニメーションが、何とも言えない独特の“間”を作り出し、かわいらしいドットキャラの魅力を引き立てている。
そんな見た目に反してゲーム難度が異様に高い本作だが、現在はさらに難しくした続編『わたしと(わたしの)ねこのしろX』を2019年夏の完成に向けて開発中とのこと。
わ~きんぐでっど
2019年5月11~12日に開催されたBitSummit主催の“学生向けゲームジャム”で制作されたゲームのひとつ。「就活中のゾンビの群れの中にいる、なるべく状態のいいゾンビに採用通知を与えるため、邪魔なゾンビに不採用通知をどんどん投げつけどかしていく」というこの世の地獄のような設定のアクションゲームで、一見落ちものパズル風と思いきや、不採用通知を受け取り大暴れするゾンビの行動パターンを読みきって採用通知を投下……というクレーンゲーム的な腕前が問われる内容となっている。
制作した京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科の学生によれば、「画一的な服装に身を包み生気を失った状態で就職活動をする学生たちがゾンビのように思えた」ことが、本作のおおもとのアイデアになったとのこと。グラフィックはかわいらしく、ゲーム内容もシンプルなのに、バックグラウンドは重々しい社会派……というアンバランスさがツボに入り、記者はプレイ中、笑いが止まらなかった。
本作は現時点では、今回の出展以外での公開予定はないとのこと。何らかの形でのリリースが期待される。