2019年6月1日、2日に行われた国内外のインディーゲームが集うイベントBitSummit 7 Spiritsが行われた。1日目のステージでは、2018年にリリースされてヒットを記録したSabotage Studioの代表作『The Messenger』の開発者であるThierry Boulanger氏を招き、Q&Aセッションが開催。本記事ではこのイベントをリポートをお届けする。

昔遊んだ『忍者龍剣伝』で受けた感動を若いユーザーにも

『The Messenger』は一族の存亡がかかった巻物を氷河山の頂で待つ三賢者へと届ける“使者(The Messenger)”となった主人公が過去と未来を行き来する2D忍者アクションゲーム。テクモの『忍者龍剣伝』(海外版タイトルは『NINJA GAIDEN』)から強いインスピレーションを受けた忍者アクションと、ビジュアルによる演出などで高い評価を得ている作品だ。

 まずは『The Messenger』に関して「開発の過程としてはあらすじを考え、ゲームの細かい部分をデザインしていくといった順番で行うが、『The Messenger』に関しては、どんでん返しをたくさん入れたいというのが最初のコンセプトにあった」とのことで、ゲームの魅力となっているある“大きな展開”はかなり早い段階で思いついていたそうだ。

「本作のなかで誇りに思っている部分」という質問には、本作に込めたメッセージが多くの人に伝わったというエピソードを披露。制作当初は「ひとりでもいいから、本作に込めたメッセージが伝わればいい」と思いながら開発していたそうだが、最近ではゲームをクリアーしたファンから「感動して、泣いてしまった」といった感想が多く届くようになり、「クリエイターとして嬉しい」と話していた。

Thierry Boulanger氏

 続いては、『The Messenger』がインスピレーションを受けた『忍者龍剣伝』について。「『忍者龍剣伝』は難度の高いタイトルですが、もちろんクリアーはされましたよね?」という質問には、「ファミコン版の3作品はもちろんクリアーした」とコメント。とくに、『忍者龍剣伝II 暗黒の邪神剣』(『Ninja Gaiden II: The Dark Sword of Chaos』)がお気に入りだそうで、Thierry氏は“恋に落ちたゲーム”と説明。両親に目覚まし時計を買ってもらい、とにかく早起きしてプレイするほどだったそう。現在でもほぼ毎週のように『忍者龍剣伝II』をプレイし、クリアーしているそうだ。

 さらに、「今後もIPにインスパイアされたタイトルを作るか?」という質問がされると、Thierry氏は「IPを活かしたタイトルを作りたいというよりは、すべてのゲーム開発に関わる方は、子どものころにゲームで遊んでいたときの楽しさや幸せをユーザーに返したい気持ちがどこかにあると思う。私も『Ninja Gaiden II』で受けた気持ちを『The Messenger』を通じて若いユーザーに届けたいと思って制作しました』とゲーム制作にかける思いを吐露。また、『忍者龍剣伝』と同じくらい好きなタイトルとして『クロノ・トリガー』を挙げたが、「IPが大きすぎて私みたいなクリエイターではできないと思いますが、そういうタイトルが作れたら幸せ」と話していた。

「『The Messenger』の制作のなかで泣く泣くカットした部分はありましたか」という質問では、入れたいものはすべて入っていると説明。ただ、ボス戦に関してのブラッシュアップはもう少し精度を上げたかったと話し、「完全版を出すときは作り直すかも」とのこと。また、無料DLCの配信も考えているそうだ。

 今回の『The Messenger』のヒットを受けて、次回作は続編なのか、また別の新しい作品なのかという質問には、「会社を立ち上げたときはビジネスとしてゲームを売りたいということはなく、ユーザーを喜ばせたいと思っていた。その意志を継ぐ形でつぎの作品を提供することを確約できますよ」と嬉しいコメントを残した。また、「すでに頭の中では作品のアイデアがいくつかある」ということで、次回作が楽しみだ。

 最後の質問として「ほかのインディー開発者へのアドバイス」を聞かれると、「インディー開発は食べていけるのかとかを考えると怖いもので、自分の恐怖や弱さを感じることもある。開発にはその怖さに立ち向かう勇気や、いいゲームを作るという熱意がとても大切」と話し、セッションは締めくくられた。