日本最大級のインディーゲームの祭典、BitSummit 7 Spirits。トップクリエイター小高和剛氏と打越鋼太郎氏が登壇した、2日目のステージのもようをリポートする。

 2019年6月1日~2日、京都市勧業館みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典BitSummit 7 Spirits。2日のステージ“We are TooKyo Games!!!”には、スパイク・チュンソフトから独立して新会社を設立した、小高和剛氏と打越鋼太郎氏が登壇した。

 TooKyo Games(トゥーキョーゲームス)は、どこからも出資を受けず約2年前に設立された、インディペンデントな会社。小高氏や打越氏を含む、7名の個性派クリエイター集団だ。

いろんなジャンルのゲームをシナリオ主導で作っていきたい

 ステージ冒頭では、小高氏が独立の理由が説明。ひとつは、いろんな開発会社やパブリッシャーと組んでゲームを作りたいから。アドベンチャーゲームのイメージが強い小高氏と打越氏だが、いろんなジャンルを手がけていきたいという。また、ゲームのほかに、漫画やアニメなどにも携わっていくとのことで、実際にプロジェクトが始動しているそうだ。

 シナリオライターである小高氏がこだわっているのは「自分たちの強み」である“シナリオドリブン(主導)”のゲーム。オンラインマルチプレイのゲームが人気のいま、「時代に逆行しているかもしれないが、自分としてはゲームにおけるシナリオに可能性を感じているし、ひとりでゲームをやりたいという人も多いと思うので、そういう方に向けてシナリオドリブンな作品を作っていきたい」と語った。

小高和剛氏

人のやらないことをやることで世界を変えたい

 独立したもうひとつの理由は、自分たちで完全出資してインディーゲームを作りたいから。これについては現在進行中のプロジェクトで手一杯で、何もできていないようだが、ふたりで「どういう作品を作ろうか」という話はしているのだとか。「せっかくインディーで作るからには、エロもグロも内包して、ちょっと見ちゃいけないようなもの、BitSummitに出せないようなものを作りたい。自分たちの存在価値は、人のやらないことをあえてやることにあると思うし、そうすることで世界を変えたいという野望がある」と小高氏。

 打越氏は「いま、いろんなプロジェクトを進めているが、Too“狂”Gamesというワリにはめちゃめちゃ真面目にやっていて、それでフラストレーションが溜まっている。小高は『ダンガンロンパ』みたいに残酷に殺しまくるヤツをやりたいと思っているハズ」と付け加えた。ちなみに、自身は子どもに向けた愛と平和のゲームを作りたいと言っていたが……!?

打越鋼太郎氏

もっとヤバいインディーゲームを見てみたい

 ここで進行役のベン・ジャッド氏から、ふたりに「BitSummitは初めてということですが、置かれているゲームに対し、どんな印象を受けましたか」という質問が。小高氏は「洗練されている。クオリティーが高いのはいいことだが、ぶっちゃけ悪い面もあると思う。ヤバいってものがない。これ大丈夫ですか、って作品ももうちょっと見てみたい」と率直にコメント。

 また、打越氏は「前夜祭から参加していろんなゲームを触らせてもらったが、全部できがよくて、おもしろくないなって作品がない。インディーと大きな会社の作品との差がなくなっている」と印象を語った。

ベン・ジャッド氏

“クリエイティブ合気道”でゲームを作る!?

 話は変わって、TooKyo Gamesの現状(?)が明かされた。忙しすぎて、打越氏が事務所にほぼ住んでいる状態で、「事務所が打越さん臭くなっちゃっている(笑)」そうだ。小高氏は、同じ「ゲームを作るのに夢中な人たちの空気」をBitSummitにも感じるという。

 「何が趣味なのか考えたときに、やっぱりゲームを作るのが好きで、趣味なのかなー」という打越氏。自分の“設計図”みたいなものを作ってからスタートするわけだが、途中で予想外のインスピレーションが降ってくるときがあり、その瞬間がおもしろいと話した。小高氏は、途中で人から意見されたときにも同じようなことが起こると話を広げ、「突っぱねるのではなく、受け入れてみたらうまくいったりする。相手の力を返す“クリエイティブ合気道”みたいな。決まった瞬間がいちばん気持ちいい」と独特の言葉で説明した。

独立前の企画『AI:ソムニウムファイル』にも引き続き携わる

 ここで再びベン氏から「もともと大きな会社で働いていたふたりが、独立してたいへんなことは?」との質問が。小高氏は「メンバーのクセが強い!(笑)」と個性派集団ならではの苦労(?)を漏らし、打越氏は「自分たちでなんでもやらなければならなくなり、会社にいたときにはいろんな人たちにサポートしてもらってたんだなって、よくわかります」と回答。

 もともと「そんなにうまくいくわけがない」と思って独立しているので、何かあっても想定内。そこに引っかかったりせず、どんどん仕事をするというスタンスのふたり。それでもやっぱり「半年に一度くらいめちゃめちゃ落ち込む」(打越氏)こともあるのだそうだ。

 最後に、「まだお話できないプロジェクトをいろいろやっています」とTooKyo Gamesの近況が報告され、9月17日にプレイステーション4、Nintendo Switch、Steamでリリースされるアドベンチャーゲーム『AI:ソムニウムファイル』の海外向けトレイラーが上映された。打越氏がシナリオを担当するこのゲーム、じつはTooKyo Gamesの作品ではない。独立前から関わっていたため、TooKyo Games設立後も引き続き携わっていた、スパイク・チュンソフトのゲームだ。「子ども向けのゲームが作りたいとか言っておいて、CERO Zかよ」と小高氏がオチをつけ、笑いのうちにステージは終了した。