ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2019年6月7日発売予定のプレイステーション4(プレイステーション VR必須)用ソフト『みんなのGOLF VR』(以下、『みんGOL VR』)。本作は、人気ゴルフゲーム『みんGOL』シリーズ最新作であり、シリーズの持ち味である手軽さや爽快感に、プレイステーション VRが実現する臨場感を組み合わせた魅惑のタイトルだ。本記事では、発売に先駆けて本作のレビューをお届けする。なお、本作の無料体験版が2019年5月21日より配信されるので、プレイステーション VRを持っている人は、発売前にぜひ試してみるといいだろう(無料体験版の記事はこちらhttps://www.famitsu.com/news/201905/09175945.html)。

シリーズ初のVR作品『みんなのGOLF VR』レビュー。リアルなコースに立ち身体全体を使ってスイングする、空前のゴルフゲーム体験!_01

青い空、白い雲、緑の芝! 目の前にゴルフ場がやってきた!

 本作は昨年に一度プレイ済みだが、今回はそれからさらに数々の調整が加えられて遊びやすさが増したバージョンをプレイさせてもらった。なお、本作は通常のコントローラでもプレイできるものの、今回はPlayStation Move モーションコントローラーを使用。まるで本物のクラブを握っているかのような感覚でプレイできるので、遊ぶ際は断然コチラのコントローラの使用をオススメしたい。

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PlayStation Move モーションコントローラーでショットをしているイメージ図。

ヘッドセット装着から始まる未知のゴルフゲーム!

 ヘッドセットを着けてプレイを始めると、チュートリアルを経て最初にやるのは “設定”だ。プレイヤーの身長や利き手などを設定するのだが、個人的にここは謎の“これからスポーツをやるぞ感”があって微妙に緊張するポイント。また、設定ではプレイヤーの“姿勢(座り、立ち)”も選択できる。実際のゴルフと違って座ったまま遊べるというのは、ゲームならではのうれしい要素だろう。

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ロビーでは受付嬢のみゆきさんが丁寧に対応してくれる。よろしくお願いします!

 また、ロビー画面からは“練習場”に行って、打ちっぱなしやパターの練習をすることも可能。ボールの位置やカップまでの距離を自由に設定可能なため、操作に慣れない初心者や苦手なショットを集中して練習したい人には打ってつけだ。それから、練習場の背景に建ち並ぶビル群もコースとは違った趣があり、ビル街の真ん中で豪快にショットをキメていくミスマッチさには、なかなかグッとくるものがある。

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ショットやパットの感覚をつかむのにうってつけの練習場。

 まあ、自分はコースを回ることしか頭になくて、完全初心者のくせに練習場をスルーしたのだけど……。一応、コースではショットの前に気が済むまで素振りができ、さらにチュートリアルもあるので、いち早くコースを回りたいという人も安心の設計になっている。

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ショットの方向や力加減が確認できるので、素振りはかなり重要!

 プレイヤー設定が終わったらラウンド開始だが、ラウンドの前には“ボール”や“ティ”の選択といったコースに関する細かい設定ができる。ここでうれしかったのは“トルネードカップ”の存在。『みんGOL』シリーズ経験者ならご存じであろうこの機能は、カップにトルネード(!?)が発生して近くのボールを吸い込んでくれるという、初心者や無精者にはありがたすぎるもの。慣れ過ぎると腕前が上がらないという危険もあるが、本作にも収録されていてくれて頭が下がる思いだ。もちろん、忘れずに設定してありがたく使わせてもらうことにした。

 また、本作には“オンラインランキング”機能も実装されており、インターネットを通じてコーススコアをほかのプレイヤーと競い合える。ラウンドの際の目標になったり、コースに挑むモチベーションを上げたりしてくれたりと、プレイにちょっとしたハリをくれる要素になっているのだ。

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ランキングは“デイリーランキング”と“通算ランキング”の2種類。腕を磨いて世界レベルに挑戦するもよし、世界の壁の厚さに打ちひしがれるもよしだ!
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プレイヤーのステータス画面でプレイ状況やベストスコアなどを確認することもできる。また、シリーズおなじみの“段位”もあり、特定の条件を満たすことで昇段が可能。“師範”や“神”といった高段位取得を目指すのも、やりがいがあって楽しそうだ(自分には逆立ちしても無理だけど)。

ワクワク満載のコースで全身を使ってショットを放つ!

 コースは緑鮮やかな木々の中でプレイできる“フォレスト”、白い砂浜と青い海が特徴のリゾート地“シーサイド”、ジュラ紀をイメージした“ダイナソー”から選択できる(シーサイドとダイナソーは、ゲーム進行により解禁される)。ここは、これまで膨大な種類のコースを取り揃えてきた『みんGOL』シリーズの中でも異彩を放ちまくるダイナソーに即決! なぜかジュラ紀とはまったく関係ない『原始家族フリントストーン』的なイメージを脳内に再生しつつ、ラウンドスタートだ。

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フォレストは風も穏やかでプレイしやすいが、攻めすぎると痛い目を見るかも?
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風が強く正確なショットが要求されるシーサイドは、解放感バツグンのロケーションだ。
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ダイナソーは、おもしろおかしい見た目とは裏腹にコースの難度はやや高め。

 コースに到着して真っ先に目を奪われたのが、脇で木を食むブラキオサウルスらしき首長竜の姿! 画像を見ただけでは伝わりづらいが、このビッグ感はVR効果も相まってすさまじいものがある! いくら草食といってもドテッ腹にショットを叩き込まれれば怒って襲いかかってくるかもしれないと、勝手にテンション爆上がり状態になっていたが、残念なことに(?)恐竜にボールを当てることはできないらしい……。まあ、かわいそうだからしょうがないよね。

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我が物顔でコース上を闊歩するブラキオサウルス。でかいっ!

 このブラキオサウルス以外にも、周囲にはトリケラトプスやプテラノドンなど複数の恐竜を確認できた。そしてプレイ中に何やら視線を感じ、そちらへ目を向けると、コース上からこちらを見つめるコンピーことコンプソグナトゥスの姿が! こいつは『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』の冒頭で“あの惨劇”を生み出した、小さいけれどヤバいヤツ! しかも、偶然かもしれないけどラウンドが進むにつれて数が増えていき、群れで襲いかかってくる気満々な雰囲気を醸し出してくれている! さすがに攻撃はしてこないものの、コンピーに見つめられながらのプレイはなかなか緊張感があった。

 ダイナソーは、ところどころにマグマが流れているのも特徴(地表を流れているので“溶岩”だけど、広報さんがマグマだと言い張っていたのでマグマと表記する)。これはつまり、池ポチャならぬ“マグマポチャ”が起こりうるということ! ゲーム的には池ポチャと変わらないが、きっと落ちた瞬間にボールは消し炭になるので、泥棒が深夜にコースに侵入して池の底に溜まったボールを根こそぎ盗み出す、なんて心配は無用だろう。いまはどうか知らないけど、昔はロストボールをいい値段で買い取ってもらえたから、池に沈んだボールを狙って地元の不良なんかがコースに忍び込む計画を練っていたりしたもんです(当然、犯罪だからやっちゃダメ!)。

 それはともかく、本作はプレイとは無関係のところまでコースが作り込まれており、最初のうちはプレイそっちのけでコースばかりを観察していた。空には翼竜が飛び回り、脇には見上げるほどの大木がそびえ、丘の上には見たこともない恐竜が横たわる(目を凝らしてよく見たら倒木だった)……、こんな光景が目の前に広がっていたら、ゴルフどころじゃないって(笑)。

ナイスショットの爽快感はものすごい!

 ここでようやくプレイの手応えをご紹介。PlayStation Move モーションコントローラーを使ってのプレイはやはり格別で、スティック状のコントローラを両手で握りしめ、ボールの位置を見定めつつスイングする行為は、一打一打に対して並々ならぬ熱意が生まれる。そして、全身を使って振り抜いたティショットが「スコンッ!」とカッ飛んでいく感覚は、脳天が痺れるほど爽快! 『みんGOL』ならではのナイスショットの気持ちよさはVRのおかげで確実にパワーアップを遂げている。

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ナイスショットは何度もリプレイを見たくなるくらい気持ちいい! ※写真はイメージです。

 ただ自分の場合、身体全体を動かしてスイングしているのと(ほかの人のプレイを見たら片腕だけ振っていてスタイリッシュだった)、生来の運動神経のなさのせいで、ボールを捉えられないことも多く、ゴルフの難しさを痛感させられた。ヘッドセットやそこから伸びるケーブルがある関係上、動きが激しすぎるとカメラ位置などがズレてしまうのも注意しないといけない点だ。

 個人的にはパターがいちばんの難関。前回プレイしたときよりも遊びやすくなっているとは思うのだが、それでも力加減の調整が難しく、ちょっと手元が狂っただけでボールがすさまじい勢いでカップを無視してすっころんでいったりする。素振りではうまくいっていても本番だと失敗という場面も頻出し、終始苦笑いを浮かべていた。このあたりは、やはりプレイヤーの運動神経が如実に影響するようだ。まあ、トルネードカップのおかげで安心して楽しめたんだけど。そんなこんなで夢中になってコントローラを振り回していたら、顔面は汗だく状態に。そして、翌日には股関節周辺がすさまじい筋肉痛に襲われるなど、VRならではの体験をさせてもらった……。

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パターはショット以上に慣れが必要。練習場に通うかな……。

 ちなみに、本作のスイングデータは“Dプレーン理論”に基づいて計算処理されているという。これは、これまで長い年月、ボールはショットの瞬間(インパクト時)のスイングの軌道方向に飛び出すとされていたが、じつはボールはインパクト時のクラブフェースの向いている方向にほぼ飛び出すという理論で、現在のグローバルスタンダードなのだそうだ。正直、こう説明されても「そうなの?」という感想しか出てこないが、本作はそれを採用したおかげで、より本物に近いプレイを実現させている。プレイが上達するにつれて、ボールの左右への曲げ幅や打ち出しの方向・角度・スピンなどを自由自在にコントロールすることも可能になるというので、腕の磨きがいがありそうだ。

未知の距離感にドキッ! 魅力的なキャディさんたち

 『みんGOL』シリーズで、忘れてはいけないのがキャディの存在。本作には特典を含めて4人のキャディがおり、コースではグリーンや風の状況などのアドバイスをくれたりする。キャディにはキュートなリコ、セクシーなルーシー、ダンディなスティーブ、なんかすごいグロリアと、個性的な面々がズラリ。グロリアは『みんGOL』シリーズおなじみのキャラクターということで、モデリングがデフォルメされており、ほかの面々とラウンドした後に彼女と行動をともにすると、井上喜久子ボイスも相まって、こう、なんと言うか……とにかくすごいのだ。 そんな彼女たちがプレイヤーの目の前でアクションしたり、話しかけてくれたりする様子はかなり新鮮。これまでの『みんGOL』シリーズ以上にキャディとのバディ感が得られること間違いなしだ。

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リコ
ルーシー
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スティーブ
グロリア

※追加キャディ・スティーブは早期購入特典として期間限定無料で入手可能。2019年6月24日よりPlayStation Storeにて有料でも配信予定です。
※追加キャディ・グロリアは販売価格 648 円[税込]で有料販売予定。デジタルデラックス版の購入でも入手することが可能です。

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キャディはコスチュームの着せ替えも可能。コスチュームもけっこう凝っている。

ラウンド中には、ランダムで各キャディとのイベントが発生することもある。イベント内容はキャディの個性が光るものばかり。超至近距離での(イベントはなぜかキャディと距離が近いものが多い)キャディとのやり取りはゴルフの箸休め的で和まされたのだが、衆人環視の中でプレイしたせいもあってか、こっ恥ずかしい気持ちにもさせられた。ネタバレになるため詳細は割愛するが、ぜひ自身で体験してみてほしい!

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スティーブのイベントのひとつ。彼の手にかかれば、何もないところからハトを生み出すなど朝飯前だ。

 ちなみに、個人的にお気に入りのキャディはリコ。彼女とのイベントではロクな目に遭わないことばかりだったけど、そのポンコツさとキュートさ、そして滲み出るあざとさが絶妙で丸っと全部オーケーです!

 このように、新技術やVRならでは要素を意欲的に取り入れながらも、『みんGOL』らしさも随所に散りばめられた『みんGOL VR』。リアリティーとゲームならではのけれん味が混然一体になったゴルフプレイは、怪しげな中毒性もあって非常に魅力的だ。シリーズファンや身体を動かすのが好きな人は、ぜひ体験してみてほしい(まずは無料体験版から!)。これからの季節、クーラーが効いた室内で臨場感溢れるゴルフゲームをプレイというのもなかなかオツなのではないだろうか。