『ガンダム』に演劇の力で武力介入!?
『機動戦士ガンダム』のTVシリーズ放送40周年企画の一貫として、本日(2019年2月15日)より公演が始まる舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』。本作は2007年10月6日から2008年3月29日までTVシリーズが放送された『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』が原作の舞台化作品であり、地球の戦争根絶を目指す“ガンダムマイスター”と呼ばれる主要キャラクターたちの葛藤が描かれたドラマが好評を博した1作だ。
そんな大きなスケールで描かれる『機動戦士ガンダム00』の世界を、舞台でどのように表現しているのか。そもそも舞台でガンダムがどのように描写されるのか……。本稿では、舞台のゲネプロ公演を取材。その模様をリポートしていくぞ!
キャストの熱演の力で魅せる舞台版『ガンダム』
『ガンダム』作品の舞台化と聞いて、まず誰もが思うのが「モビルスーツ戦がどのように表現されているのか」だと思う。
最初に言ってしまうと、本作ではガンダムの被り物が出てくるわけでもなく、アニメ版の映像を使って戦闘を表現しているわけでもない。モビルスーツ戦はすべて、コックピットを模したシートが動き回るなか、キャスト陣の殺陣などを交えた演技だけで戦いを表現しているのだ。
この表現が発明的で、戦っているキャストたちの表情が見えるぶん、そこで描かれる人間ドラマがより強く伝わってくるとの印象を受けた。『ガンダム』を知らない方でも「どのモビルスーツに誰か乗っているのか分からない」なんてこともなく、この舞台を観た誰もがそのドラマを楽しむことができるはずた。また、この演出を成立させるには演者たちの熱演が必要不可欠だが、場内に響き渡るほど熱くセリフを叫びながら戦う姿は、固唾をのんで見守ってしまうほど鬼気迫るものがあった。
さらには、『機動戦士ガンダム00』が持つ重厚なストーリーも、舞台上ではしっかりと表現されていた。もちろん、時間の都合上、アニメ版と比べると全体的に纏められてはいるが、テンポよくうまく物語が収められていると感じた。
ゲネプロ公演では、橋本祥平さん(刹那・F・セイエイ役) 、伊万里有さん(ロックオン・ストラトス役)、鮎川太陽さん(アレルヤ・ハプティズム役)、永田聖一朗さん(ティエリア・アーデ役)、前山剛久さん(グラハム・エーカー役)、赤澤燈さん(リボンズ・アルマーク役)、窪寺昭さん(アリー・アル・サーシェス役)という7人のキャストが登壇した囲み取材も行われた。
主演の橋本さんは、本作の舞台化の話を聞いたときは「驚いた」と率直に話すと、「舞台というものの表現の幅が広がった作品になっていると思います」と、そのデキに自信をうかがわせた。また、橋本さんは「稽古期間の1ヵ月半は一番僕らが『機動戦士ガンダム00』のことを考えて、立ち向かって、戦い続けていました」と深く作品と向き合っていたことを振り返ると、伊万里さんも「テロリストという役なので、家に帰ってからも役について悩みましたし、夢にも出てきました」というエピソードを披露した。
さらに、ほかのキャストも“あの『ガンダム』の舞台化”ということで、新たな挑戦への意気込みを語ると、赤澤さんからは「昨晩、座長の(橋本)祥平がグループLINEで“『ガンダム』という作品に演劇の力で武力介入しましょう”と書いていて、そのときはスベっていたんですけど(笑)、いまは本当にそうだなと思います」と語って笑いを誘うなど、仲睦まじい姿も見せていた。
また、本作の見どころを聞かれた橋本さんは、「ガンダムマイスターどうしが話し合うシーンは、何度も案を出してこだわった部分です」とのことだ。
『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』は東京公演(日本青年館ホール)は2月15日(金)から18日(月)までの期間に全7公演、大阪公演(森ノ宮ピロティホール)は2月23日(土)、24日(日)で全4公演が行われる。