新カリキュラムは2020年スタート予定

 サッカー総合専門学校のJAPANサッカーカレッジは、eスポーツ事業を展開するeスポーツジャパンと、eスポーツマネジメントに関する業務提携を締結し、“eスポーツマネジメントコース”を新設することを決定。2018年10月18日、東京都内の中野サンプラザにて記者会見を行った。その模様をお届けする。

 JAPANサッカーカレッジが新潟県に創立されたのは、日韓ワールドカップが開催された2002年で、地元クラブのアルビレックス新潟との連携から始まり、今年で開校17年目となる。設置学科はサッカートレーナー専攻科、コーチ・審判専攻科、サッカービジネス科など多岐に渡り、現在Jリーグ54チーム中48クラブに卒業生が在籍。日本サッカー協会やサッカー関連の雑誌社などでも、卒業生が幅広く活躍しているという。

 一方のeスポーツジャパンは、2018年10月に設立された新会社だ。事業内容は、eスポーツチームの運営、eスポーツ参入のトータルソリューションサービスなど。元Jリーガーが主要ポストに名を連ね、国際戦略顧問にドラガン・ストイコビッチ氏を据えるなど、リアルサッカーのノウハウを知る強みを活かし、eスポーツの普及・エンタメ化を目指している。

 会見には、eスポーツジャパン側からは代表取締役の岡山哲也氏、取締役の秋田豊氏、執行役員CMOの立川光昭氏、執行役員の内田宝寿氏の4名が出席。またJAPANサッカーカレッジを代表して、学校長の中村勉氏が参加した。

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 会見では、まずJAPANサッカーカレッジの中村氏があいさつを述べ、JAPANサッカーカレッジの概要を簡単に説明するとともに、今回の業務提携について「今後ますます広がりを見せるeスポーツ事業は、おそらくどこのクラブ関係者も興味を持たれていると思います。私どもも、学びの場はもちろん卒業生への情報発信の場となるべく、eスポーツジャパン様との提意義携に至りました」(中村氏)と、そのいきさつを語った。

 業務の第一歩としては、2020年4月より、サッカービジネス科に“eスポーツマネジメントコース”を新設予定(2019年度より募集開始)。eスポーツマネジメントの総合教育ができるカリキュラムを構築していくとのことだ。

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JAPANサッカーカレッジ学校長の中村氏。
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eスポーツジャパン執行役員CMOの立川氏(左)と、執行役員の内田氏(右)。

元Jリーガーも意気込みをコメント

 続いて、eスポーツジャパンの岡山氏が、「JAPANサッカーカレッジ様と業務提携できたことを、とてもうれしく思っています」とあいさつ。岡山氏は現役サッカー選手時代、同カレッジ出身の選手とともにプレイしたことがあるとのこと。また現在は中京大中京高サッカー部の監督も務めているが、同カレッジのOBであるサッカー関係者とのつながりもあり、「何かご縁を感じています」という。

 岡山氏は併せて、今回の業務提携の意義について「JAPANサッカーカレッジ様は、優秀な人材を育成・輩出している実績があり、多分野のスタッフを教育するノウハウをお持ちです。そうした教育機関と業務提携できることは、世間的にも高い信頼を得られると思っています」と説明。加えて、「優れたリーグには、優れた選手とスタッフがいます。eスポーツにおいても、選手だけでなく、これからは優秀なスタッフ・人材が必要になってくるでしょう」と、マネジメントスタッフを育成する必要性をアピールした。

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現役時代は“ミスターグランパス”として知られた岡山氏。

 岡山氏のスピーチに続いて、つぎは秋田氏が、「eスポーツの運営・イベントを広げていくなかで、選手のみならずスタッフを育てなければ、すばらしいものはできないと感じています。そういう意味では、JAPANサッカーカレッジ様とともに、そうした環境を構築し、eスポーツがもっと認知されるようになればと思います。スタッフも含めて、日本のeスポーツシーンがトップだということをぜひ示していきたいです」と、今後の展開について意気込みを語った。

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現在はサッカー解説者としても活躍する秋田氏。

eスポーツを学ぶことは強みになるはず

 会見はここでひと区切りとなり、最後は質疑応答コーナーとなった。おもな質問と返答を以下に紹介しよう。

――新設されるコースでは、eスポーツチームをサポートする人材を育成することになるのでしょうか?

中村氏 あくまで選手ではなく、裏方的な人材を育成するカリキュラムにできればと思っています。ちなみに来たる新潟国体では、関係者から「JAPANサッカーカレッジさん、お願いね」と、運営を期待してくださる声もあったりしますので、学生の現場実習の場としても活用していきたいです。

――指導にあたる教員の方々は、どういったバックボーンになるのでしょうか?

中村氏 そこはまさしく、eスポーツジャパン様とも連携させていただいて、サッカービジネス経験者が担任するという形になると思います。専門的なところはeスポーツジャパン様にご教授いただき、最新情報を学生が知りうるところが重要だと考えています。

――どのような学生に、このコースに来てもらいたいですか?

中村氏 サッカーに限らず、さまざまな形でeスポーツに携わりたいと思っている人に来てほしいですね。海外からの留学生にも対応していければと思います。

――カレッジの学生の皆さんは、どれくらいサッカーゲームに興味をお持ちなのでしょう?

中村氏 調べたところ、ウチでは8割以上の学生がゲームをしています。非常にポテンシャルはあると感じていますし、リアルスポーツとeスポーツの融合という形を目指していければと思っています。

岡山氏 ちなみに自分が監督している中京高サッカー部は、いま約100人いるんですが、その9割が『ウイニングイレブン』シリーズを遊んでいました。来年の国体に向け、部員をエントリーさせようと思っています。また学校にも働きかけて、“eスポーツ部”を発足させるアプローチもしています。

――コース卒業による資格、就職への補償といった点はいかがですか?

中村氏 法的な資格については考えていませんが、就職については現在、Jリーグ様から多くの求人をいただいている状況ですし、将来的には「eスポーツの仕事もできます!」という部分が強みになるのではないかと思っています。

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