ゲームセンターで、アーケードゲームと並んで人気なのが、“UFOキャッチャー”を筆頭とするクレーンゲーム。そのプライズ(景品)は、フィギュア、ぬいぐるみ、キーホルダー、実用品など、じつに多彩だ。最近はゲーム関連のプライズも数多く登場しており、クオリティーの高さでも注目されている。そこで、プライズの開発者に、商品化のポイントやこだわりなどを聞いた。
平井 晋氏(ひらい すすむ)
セガ・インタラクティブ AM事業部 MD開発部 MD開発2課 課長。クレーンゲームの景品を企画開発する部署で、アニメやゲームのコンテンツを中心に商品開発を行っている。
キャラクターの魅力がプライズ化の決め手になる
――現在、アニメやゲームのプライズが多くリリースされています。どのようなゲームがプライズ化の候補に挙がるのでしょうか?
平井アニメタイトルもゲームタイトルも、根本はショップに並んでいるキャラクターグッズと同じです。「この子、尊い! かわいい!」とか、「こいつ、めっちゃカッコいいね!」といったキャラクターが存在する作品が、プライズ化(グッズ化)の候補に挙がりやすいです。
――キャラクターの魅力が最重要ポイントだと。
平井はい。そのため、ゲーム性はとても優れていても、キャラクター要素が低いタイトルは、プライズ化のハードルが高くなりますね。
――アニメとゲームで、プライズ化に関して違うところはあるのでしょうか。
平井ゲームのキャラクターは、アニメのキャラクター以上に、感情移入度が高いのではないでしょうか。ファンの皆さん自身がプレイヤーとなって、ゲームの中でキャラクターを動かしたり、ストーリーをたどっていったりすることで、現実世界の自分とゲーム世界の自分とを重ね合わせ、そのキャラクターへの思いを強くされていくのではないかと思います。
――ゲーム内でキャラクターといっしょに過ごす時間が長いほど、キャラ愛が育ちますね。
平井多くのアニメは、1クールでタイトルがゴソッと入れ代わってしまい、好きなキャラクターへの思いが、翌週からの新番組でかき消されてしまうことも多いですよね。しかし、ゲームをプレイしているあいだは、そのキャラクターを忘れることはありません。キャラクターマーチャンダイジングの視点で見ても、ゲームキャラクターとアニメキャラクターでは商品の動きが違っていて、興味深いですね。
クオリティー維持の秘訣はファンの視点を重視すること
――最近のプライズは、種類の豊富さはもちろん、クオリティーの高さにも驚かされます。どのような思いで開発されているのでしょうか。
平井クレーンゲームをプレイして、景品としてアイテムを獲得したとき、ファンの皆さんの予想をいい意味で裏切るようなアイテムを提供したいと思いながら、開発しています。それが、アイテムそのもののボリュームなのか、キャラクターの再現度なのか、グッとくるシチュエーションなのかはさまざまですが、ファンの皆さんが驚き、喜ぶ姿を妄想しながら企画するのは、至福のひとときでもありますね。
――ファンの目線を重視されているのですね
平井たとえば、フィギュアのラインアップも豊富で、リリースしている各社それぞれにいろいろな味があります。私自身、いちファンの立場で見ていてもおもしろいですよ。
――なるほど。今後のプライズやクレーンゲームの進化が楽しみになります。
平井セガ・インタラクティブでは、つねにお客様に新しい驚きと感動を感じていただけるような、楽しいUFOキャッチャーを鋭意開発中です。ゲームセンターでの登場をお楽しみに!
いま注目を集める“寝そべり”シリーズ
プライズのラインアップは多彩。その中でも、とくに人気があるのは? 平井氏に聞くと、「人気ナンバーワンは、何と言ってもぬいぐるみです。ファンシーキャラクターのぬいぐるみはもちろん、近年ではアニメやゲームのキャラクターにもぬいぐるみの波が来ています。“寝そべりぬいぐるみ”は、セガプライズのアニメキャラクターラインアップに変革をもたらしたと言っても過言ではありません!」とのこと。“寝そべり”シリーズは、デフォルメされたキャラクターが寝そべる姿をモチーフにしたもの。さまざまなキャラクターが“寝そべり”シリーズでリリースされている。
平井課長が直伝! プライズゲットの秘訣
欲しいプライズが見つかっても、なかなかゲットできないという人は多いはず。そこで、平井氏にクレーンゲームの秘訣を聞いてみたところ、「クレジットを投入する前から、ゲームはすでに始まっているのです。そのゲームセンターの景品がどう置かれているか、特徴を分析し、ほかの人のプレイを観察して、難度を想像してみるといいですよ。最小クレジットを投入して、偵察するのもいいでしょう。そこでプライズを獲得できる未来を描けたなら、初めて試合開始です!」とのこと。それでも取れない場合は? 「なかなか取れないときは、店舗のスタッフさんに取りかたを聞いてみるのがいいと思います。想像していたのとは違う、意外なところが狙い目だったりするかもしれません」。やはり、攻略法を熟知しているのはショップ店員? 恥ずかしがらずにお試しあれ!