ロサンゼルスで開催中のインディーゲームイベント“IndieCade”のショーフロアの一角。「そこ左!」、「回転させて!」と、声を掛け合いながら8人の男女がプレイしているのは、NES(海外版ファミコン)の『テトリス』。
全員の手にNESコントローラーが握られているのだが、おかしなことがいくつかある。まずNES版『テトリス』は8人プレイなんかできないし、協力プレイというのも妙だ。そして第3に、彼らのコントローラーには1個しかボタンがない。
カリフォルニア大学デービス校のPatrick LeMieux助教授による出展作“Octopad”は、ゲームの方ではなくコントローラーの方。それぞれ1ボタンしかないコントローラーを持った8人が協力してプレイヤー1となってファミコンゲームを遊ぶという作品なのだ。
大学でデジタルメディアについて教え、ビデオゲームに関する著書などもあるLeMieux助教授が本作で提示するのは、「もしゲームコントローラーが今日とは異なる進化を遂げていたら?」という問い。
実はこれ海外の(アート寄りの)インディーゲームシーン的にも、“ユニークなコントローラーによる遊びを提案する”とか(GDCでは例年alt.ctrl.GDCという専門コーナーがある)、“ローカルな協力プレイで隣り合って遊ぶ楽しさを再確認する”といった定番のテーマにマッチしており、一見ネタっぽいがなかなかしたたか。
実際に『テトリス』と初代『スーパーマリオブラザーズ』を遊んだのだが、結構な協力プレイになるので必然的に会話が生まれるし、何かゲーム的なゴールに到達した時はみんなで盛り上がれて楽しい。
強いて言えばいささか残念なのは、“本体”側は実はRaspberry Pi+エミュレーターで動作しているらしいという所だ。完全にNES本体とコントローラーをハードウェアハックして作ってたらさらにカッコよかったのに!